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2020/08/10

超人の面白読書 151 田村紀雄著『自前のメディアをもとめて―移動とコミュニケーションをめぐる思想史』3

去年の11月7日、27日、12月6日の計3回にわたって東京経済大学研究会議室で行われた講義形式による対談が本として纏められたのが本書。今夏の最大のイベント、お盆の里帰り、即ち帰省の問題で本書のテーマである「移動」の問題が立ちはだかっている。普通なら交通渋滞などマスメディアのワンパターン報道を聞かされるが、今夏はコロナ感染拡大防止で東京からの帰省を控えてステイホームするようにと政府や都知事が呼びかける、悩ましい夏になっているのだ。「移動」で新型コロナウイルス感染拡大が地方にももたらされて増加するからに他ならない。「移動」と「コミュニケーション」のルールをわきまえず行えば新型コロナウイルス感染が拡大するというのだ。

さて、本書は「移動」と「コミュニケーション」学の専門家の個人史、パーソナルヒストリーで、個人的体験が中心しかも語りが柔らか。対談相手の突っ込みや物知りも本書の魅力だ。筆者も雑学程度にいろいろな人の自伝などを読んできたが、外国と関わり合いが深い人ほど晩年は日本回帰否郷土愛が深くなると思い始めている。本書の著者もまた、アメリカやカナダ、中国などで社会学・新聞学・移民学研究の研鑽を積んだ研究者で、様々な研究会や学会を組織したコーディネイターでもあるが、生まれ育った故郷の群馬や栃木を語ることにも力を注いでいるような感じを受けた。それもそのはず、『日本のローカル新聞』(1968)や『明治両毛の山鳴り 民衆言論の社会史』(1981)から出発して、『ガリ版文化史 手づくりメディアの物語』(1995)をものにしてきた。メディアの小規模、ミニコミに注目し人間の生きざまを活写、そこにはマスコミ(マスメディア)にはない人間臭い葛藤史を追ったドキュメンタリーがあった。これが他の追随を許さない、人間田村紀雄のなせる技である。

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