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2018/09/16

クロカル超人が行く 219 【北欧最新情報】フィンランド・ヘルシンキ&スウェーデン・ストックホルムとウプサラの旅 20 トーマス・トランストロンメル氏の『わが回想』のあるシーンを地図上で歩く

ここでかつてこのコラムで書いたトランストロンメル氏の「わが回想」に言及した一部を再録してみよう。何故なら、今回の図書館研修後の自由時間に、トランストロンメル氏の「わが回想」にある地名を実際に辿ってみる計画を練っていて地図などを用意していたからだ。しかし、後述するガムラスタン(旧市街)の街歩きに魅了されその計画は見事に消え伏せてしまった。それでもバスでの市内遊覧や街歩きでトランストロンメル氏の「わが回想」の中の地名が所々に出現していたのだ。その最たるものがHötorgetだ。 ところで、文学作品と地名・地理あるいは都市という切り口で文芸評論を書いたのは前田愛だった。つい一週間前に毎日新聞夕刊(2018年9月11日3面「著者のことば」)に明治の文豪夏目漱石に関して早大名誉教授中島国彦氏が『漱石の地図張―歩く・見る・読む』なる本を上梓したことが載っていた。本郷、小石川、牛込など坂と台地に注目して作中の場所や地理について考察。地理に着目することによって作品の時代背景が鮮明に見えてくると書いている。これほどまでに本格的なものではないが、文学鑑賞の方法論としては似通っている、トランストロンメル氏の「わが回想」の地名トレースの試みは、都市と文学、その背景を探るには路上観察の点でも少しは貢献するかもしれない。

「わが回想」は著者が60歳の時に書かれた、幼少期~大学入学直前までを綴った自伝的散文詩である。トランストロンメル氏は60歳の時に脳梗塞で倒れ、右手に麻痺が残り話すことも不自由な身になりながらも試作し生き延び、2011年にノーベル文学賞を受賞。受賞式には車イスで臨み、受賞スピーチは彼に替わって夫人が流暢なクウィーンズ イングリッシュで行ったことは記憶に新しい。また、クラシック音楽に造詣が深く自らもピアノを弾いた。2015年に83歳で亡くなっている。23年間病と闘っていたことになる。「わが回想」は、記憶、博物館、小学校、戦争時代、図書館、グラマースクール、エキソシスト、ラテン学校からなり、幼少期~高校時代の思い出が面白可笑しく、時に哀しく綴られている。おませな子どもみたいな感じと受け取るには容易だが、むしろ今でいうシングルマザーの教師の一人息子が、絵を描き、工作や昆虫採集(このコラムでカブトムシの標本の写真があるが、これは「わが回想」に書かれている)をし、博物館や図書館通いもしている。また、学校生活特に授業のこともややシニカルに書いている。これらのことから見えてくるのは、知的で内気なしかも空想力に長けた感受性豊かな子どもだったことだ。中学生時代には学校がイングマール・ベルィマンの映画『悶え』(原題 Hets)のロケに使われて出演もしている。

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