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2016/12/25

クロカル超人が行く 197 三島市 大岡信ことば館『谷川俊太郎展 本当の事を云おうか』

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【写真上から: 大岡信ことば館入口 1階の関連書籍展示販売コーナー T出版社の本が売行第1位とか】

三島駅近くにある大岡信ことば館『谷川俊太郎展 本当の事を云おうか』を観に出かけた。今日が開催最終日、1.映像作品、2.模型飛行機、3.ラジオコレクション、4.『20億光年の孤独』、5.写真作品、6.朗読、7.詩集/絵本の原画、8.櫂、9.書簡資料、10.海外での活動、11.鉄腕アトム、12.大岡信の部屋を2時間かけてたっぷりと観賞。印象的だったのは、ノートに鉛筆で書き記されていた高校時代の詩篇(意外にもきれいな字!)と父谷川徹三のABC評価(筆者的には「20億光年の孤独」の自筆原稿が見たかった!)、三好達治の谷川詩を推奨する原稿、谷川俊太郎が献呈した作家の自筆御礼葉書(室生犀星、サトウハチロウ、堀口大學など。三島由紀夫は達筆)、父谷川徹三の息子宛の子を思う優しい葉書、寺山修司のビデオ・レター、ラヂオのコレクション(アメリカ製やドイツ製の貴重なラヂオは京都工繊大に寄贈した由)、模型飛行機(懐かしい。作ったことがあるある)、大岡信の机(使いこなされた大きめの木製机とその上に置かれた大辞典の数々)、フランクフルトでの連詩の試みの写真・巻物など。
谷川俊太郎に詩友と言わしめた大岡信には谷川詩についての小論があるが、その冒頭にはenfin terrible(恐ろしい子ども)とその鮮烈な詩を評価した文章が展示してあった。大岡信は『文學界』に掲載された「ネロ他5篇」を読んで衝撃を受けたと語っている。筆者は大岡信の仕事振りは先に世田谷文学館で鑑賞していたので想定内だった。しかし、その著作物には驚嘆せざるを得ない。幅広いジャンルに及び極めて生産性が高い。それに比べて谷川俊太郎は評論は手掛けなかったが、これまた幅広いジャンルで活躍している。いわゆる現代詩、連詩、鉄腕アトムの詞などアニメソングやコマーシャル、校歌、ライトヴァース、マザーグースのうたやスヌーピーの翻訳、絵本、脚本、自作詩の朗読(ポエトリーリーディング)、横のつながりに目をむけた「にほんご」など多岐多様、その詩的真髄はジャック・プレベール的なポエジーか、即興詩人のそれか。ことばに軽やかなリズムを吹きかけて異次元の世界を現出させる、言わば、現代のことばのマジシャンだ。言葉の異化作用をいとも簡単に成し遂げてしまう天才的なテクニシャンなのだ。それで“私は詩人ではない“と嘯く(谷川俊太郎展の「本当の事を云おうか」は、詩集『鳥羽』から取ったフレーズでそのあとに続く言葉がこれ。詩集が出てすぐ読んだ。何と人を喰ったフレーズであることか)。筆者は谷川俊太郎の詩とは20歳の頃から付き合ってきた。今日も「トルムソコラージュ」の中の長い詩を含めて10篇以上は声を出して読んだ。改めて詩の面白さを噛み締めたのだ。快い響きと解放感、それにナンセンス詩や言葉遊びがいい。

追記 大岡信ことば館の季刊雑誌『大岡信ことば館だより』(季刊第11号 2013年春)には、対話=谷川俊太郎/三浦雅士 大岡信との絆を語るという記事が掲載されている。「櫂連詩」から「ファザーネン通りの縄ばしご」までの副題が付けられた25頁もの。同人誌「櫂」に集った詩人たちの連詩をつくる過程と人柄がみえて勉強になった。影響力大の大岡信それに谷川俊太郎の連詩をつくるも良いものながなかったなど印象深かったところも。(2016.1,5 記)


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