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2015/09/18

超人の面白TV映画鑑賞  学歴の値段~集金マシーン化した米大学の真実 4

さて、このコラムの最初の方で取り上げたディープ・スプリングス・カレッジとクーパー・ユニオン大学についてここで触れておう。筆者はこの二つの大学の名前をこの映画で初めて知った。規模は小さく、ディープ・スプリングス・カレッジに至っては現在僅か26人の学生で、一方、クーパー・ユニオン大学の場合でも1,000人足らずの小規模なのである。では、他に世界的に有名な大学がたくさんあるアメリカで、なぜこの二つの小さな大学が取り上げられたかだ。それには原題“Ivory Tower”ではなかなか見えにくいが、日本語版タイル“学歴の値段~集金マシーン化した大学の真実”のタイトルではインパクトのあるものとして鮮明に見えてくる事例だろう。即ち、この二つの大学に共通しているものは、否、現時点で正確に記せば、「共通していた」になるのだが、無償の大学教育が受けられることだった。映画は前者のディープ・スプリングス・カレッジのユニークなリベラル・アーツ教育の実情をコンパクトに描き、今の形骸化された高額な学費とレジャーランド化した大学に一石を投じている。砂漠の真ん中に隔離された学舎で、大きな牧場の中に牛、馬、豚、鶏やうさぎを飼い自営自活し、ネットもテレビもなく、さらにアルコールも禁止で2年間のキャンパスライフを送るというもの。学費は奨学金で賄っているという。馬に干し草を与える学生の働きぶりと少人数の授業は先生と学生との直接対話形式、映画では政治哲学の授業風景を写し出していた。リベラル・アーツは、アメリカの大学の基本で日本の教養教育より質が高く奥深いといわれている。ここでも古典ギリシャ語から分子生物学まで文系理系のそれぞれの科目を履修する。共働と自治(カリキュラムから講師選びまで学生が行うという)は自営自活から学び、リベラル・アーツ教育では深められた議論(今安保法案という国の岐路を問う重要議題の国会審議が大詰めを迎えているが、政府側の答弁の劣化ばかりが目立ち、議論の深まりがなく、はぐらかしたりぶれたりと精彩を欠くも甚だしいものだ!)と批判思考critical thinkingを養う。卒業生はアイビーリーグの大学、大学院へ進学し、やがてほとんどの学生は専門的知識を生かしてビジネスリーダーや研究者になると。インタビューを受けた学生の話しぶりには好印象を持った筆者だ。彼らは明確なビジョンを語り、ここでの経験が自分の人生で貴重かつ重要であることを認識していた。もちろん他人の意見に耳を傾けることや他人をリスぺクトすることの重要性をとくコミュニケーション力も忘れていない。(続く)

追記 ディープ・スプリングス・カレッジは2013年から女性の入学を受け付けている。(大学のホームページより)

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