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2015/08/23

超人の面白読書 90 ノーベル文学賞受賞 スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル氏の作品を読む 47 余滴 続 再録など

約4年振りでノーベル文学賞受賞者スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル(トラン=鶴、ストロンメル=川の意味。さしずめ日本名は鶴川だろうか)氏の作品を読むを再読、少し訂正したりと手を入れた。トーマス・トランストロンメル氏の作品「わが回想」(英文タイトル : Memories look at me 記憶が私を見つめている。もともとは英文詩集『The Great Enigma」の付録)を改めて読んでみると幼少年期の記憶が鮮明で、その後の生き方を反映している出来事が散りばめられていて興味深かった。そのトーマス・トランストロンメル氏が今年の3月26日に死去した。心理学者として長らく更生施設で活動しながら詩作を続けてきたが、1990年はじめに脳梗塞で倒れ、後遺症で右手が麻痺、また失語症状態になった。それでも左手でピアノの鍵盤を叩いていたという。その腕前は相当なものだったー。この「わが回想」にも終わりの方にピアノの話が書かれている。社会の周辺で人々を救済する仕事に従事する一方で俳句にも親しみ、イメージ豊かで転調の効いた短い詩を数多く残した。この「わが回想」は、ノーベル文学賞受賞後に独立した形で英文版が出ている。
さて、以前にも書いたが、筆者は途中からストックホルムの市内地図を購入し、主要な地名や通りを地図上に落としてこの回想記を読み進んだ。これでより理解の度合が深まったことは言うまでもない。今回その地図を掲載することを思いついたわけだが、ついでにそのとき書いた記事も再録した。

今一万分の一のストックホルムの市内地図を広げてトーマス・トランストロンメル氏の『わが回想』に出てくる地名などを記し、その足跡を追っている。もちろん戦前と現在では街の風景は変わっているに違いないが(行ったことがないので分からないが、テレビの映像やインターネットの動画で多少知っている程度。近い将来行ってみたいが)、地図上では公共の建物、駅名などはそんなに変化がないはずだが、通り名などは変化しているところもあるはずだ。また、イングマール・ベルイマン映画の『もだえ』は著者の学校がロケに使われた映画で、当時の学校生活の雰囲気を見事に活写しているだけでなく、その当時の学校周辺の建物なども写し出していて大変印象深かった。特にロケで使われた学校は、威厳がある建物、また、高台にあることも映像を通じて判った。

さて、この『わが回想』をページを追いながら実際に地図上を歩いてみよう。最初出てくるのは著者や母方の両親の住所、スウェーデンボリィ33番地、ブレーキンゲ通り、その後の転居先住所、フォルクンガ通り57番地、警察本部のあるクングスホルメン、ストックホルムのど真ん中で消えたところへトルイェット、家に帰る途中の橋ノルブロー 、旧市街ガムラスタンそしてスルッセンからセーデルへ、鉄道博物館のあるイエヴレ、国立歴史博物館通いでは路面電車でロスラグスツルまで、高台にある南ラテン中学校への通勤は家からビョルンの庭園、イェート通りやヘーベリィ通りを通って行く、というように該当の地名を一つ一つ蛍光ペンで記しながら追ってみた。著者の行動範囲が判って面白かった。そして印象に残った二ヶ所―ストックホルムのど真ん中で迷って家に帰るところや南ラテン中学校通勤のところ―の距離を大雑把だが試しに測ってみたのだが、結果的には想像していたより長い距離ではなかった。テキストの地名を地図上で当たり、行動範囲を描き、点→線→面に到達していく過程の面白味を味わった。ついでにインターネットでストックホルムの現在の映像を見て、夜のスルッセン辺りを確認したのだ。それにしても周りは大小の島々という多島海である。余談だが、近代的な建物と古い建物が混在しているような街並みの中に緑色に染められた公園が多いことに気づくと同時に、病院も多く存在していることも地図で判った。

あまり裕福ではない友人の家に遊びに行ったときのトイレの話は大変印象的で、なぜかその場面が目に浮かぶくらい。戦前の話なのであり得るし、日本でも形態は違うが大なり小なり同じようなことはあったはずだ。貧富差が激しい時代は当然あり得た。今でこそトイレは衛生的かつ快適な空間、しかもデザインも優れているが、その昔は汲み取り式で田舎では畑に肥やしとして蒔いていたのだ。東京などの都会では役所の清掃車が来ていたはず。この記事には筆者も驚いた。

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追記 文中にある南ラテン上級中学校は現在の「南ラテン高校」Södra Latins gymnasium。
英語名 : upper secondary school ("gymnasieskola")。

260pxsodra_latins_gymnasium_2

南ラテン上級中学校はイングマール・ベルイマン監督の映画『もだえ』のロケ地の学校で有名だが、学校の教室、廊下、講堂それに学校周辺など映画のシーンが瞼に浮かぶ。『もだえ』はベルイマン監督の初期作品で倫理とエロスを扱った傑作。ベルイマンは19世紀のスウェーデンの劇作家アウグスト・ストリンドベリーから多大な影響を受けた人である。写真で見る限り現在の南ラテン高校の校舎は建造物といい、色調といい大変立派だ。ついでに言えば、今は音楽や演劇などの芸術関係の高校として有名とか。

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