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2015/03/31

クロカル超人が行く 173  町田市民文学館『常盤新平展』 5

やがて翻訳家として独立。1974年、訳書『大統領の陰謀』がベストセラーに。常盤新平、43歳。初の小説『遠いアメリカ』が第96回直木賞受賞するのは57歳のときで、それ以後小説、エッセイや時代ものも手掛ける。そして首都圏を転々したあと、1994年から町田の南つくし野で過ごし、2013年の1月に町田市内の病院で死去。享年81歳。小説21、エッセイ他62、訳書86以上、その他に編著や監修書20弱と多作。エンターテイメントを中心の翻訳もの、市井の人びとを描くエッセイもの、暗黒街の人びとを温かい目で綴ったもの、それに競馬や将棋などの趣味ものも。これらを常盤新平は平明かつ洒落た文体で書き続けた。筆者的に想像するに、常盤新平は作家といえども生活は決して楽ではなかったはずで、必至に書き続けた結果がこのような多作を産んだのだろう。それとも多趣味がこうじて・・・。いずれにせよ、良き読者とは言えない筆者(ミステリー小説や推理小説はあまり読まない)としては略年譜の行間を読み取りながらそう思うのだ。そして、それらの本が「常盤新平展」でところ狭しとずらりと並んだ。アメリカに憧れをもった、多面的な作家の一生がコンパクトに鑑賞できた。
ところで、筆者は常盤新平の本で雑誌「ニューヨーカー」の存在を知った。もう大昔ー。作家村上春樹も愛読の雑誌だ。クオリティーペーパーとしての地位はすでに確立していて、老舗(1925年2月17日創刊)の貫禄のある文芸誌だ。その「ニューヨーカー」に掲載された短編小説を訳して本にしていたのが常盤新平である。最近ではハンナ・アーレントの描いた映画「ハンナ・アーレント」(2013年1月岩波ホールで上映)でこの雑誌が果たした歴史的役割は記憶に新しい。1963年ハンナ・アーレントのアイヒマン裁判傍聴リポート「イスラエルのアイヒマンー悪の凡庸さについての報告」がこの雑誌に掲載されて大論争が起こったのだ。筆者は思いきって去年1年間購読してみたが、毎週(バラで読むより非常に安価)届いても読みきれず、さっと目を通したものを少し時間をかけてじっくり読んでみようと考えている。時事的な記事でも今読んでそんなに古さは感じられないのだ。ましてやユーモアのある挿絵や文芸もの、街の話題、リポート、インタビュー記事(これが意外と面白い)、それに映画評、新刊短評や定評のある書評も1年遅れで読むのもいい。
筆者は、雑誌「ニューヨーカー」に早くから目をつけ紹介し続けた常盤新平を時代の先駆者としてリスペクトしたい。
英語力は相当だったに違いない。そういうエピソードやメモ類ももっと観たかった。
参考文献 : 町田市民文学館ことばらんど刊「常磐新平―遠いアメリカ」展 additional notes(2015年1月17日)

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