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2014/11/28

クロカル超人が行く 168 横浜郊外の銀杏の木


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横浜郊外のお寺にある銀杏の木。歴史の重みに耐えた風格がある。黄色が映えること映えること、大銀杏の趣。

追記 トレビア。中国が原木の銀杏の英語名はginkgo。日本語はgをyと誤って発音したことから成立したらしい。
雑誌「ニューヨーカー」2014年11月24日号の47ページには、夜の銀杏の話が載っている。その最後の4、5行はこんな言葉で終わっている。「銀杏を見る夜があるけど、ほとんどの人は就寝中で見られない。しかし、翌朝には銀杏の下の地面はたくさんの重たい金色のファンの形をした葉っぱでカーペットを敷いた状態になるはずだ」。ここで終わろうと考えたが、晩秋は詩情を誘うのだ。この短いエッセーにもHoward Nemerovの詩が引用されている。(2014年12月5日 記)

Late in November, on a single night
Not even near to freezing, ginkgo trees
That stand along the walk drop all their
leaves
In one consent, and neither to rain nor to
wind
But as though to time alone : golden
and green
Leaves litter the lawn today, that yesterday
Had spread aloft their fluttering fans of light


2014/11/25

超人の面白読書 104  『SF作家オモロ大放談』

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昭和51年(1976年)いんなあとりっぷ社刊の『SF作家オモロ大放談』。38年前の古い本だが言いたい放題で実にオモロイ本だ。星新一、小松左京、筒井康隆、平井和正、豊田有恒、矢野徹、石川喬司と大伴昌司の著名なSF作家8人の雑誌での放談をまとめたもの。今やそのうち4人は物故者だ。抱腹絶倒。一味も二味も違う可笑しな社会論、政治論に経済論さらに文化論、若者論、恋愛論にまで及ぶ。ナンセンス、スカトロジー、愉快なセックス談義、一風変わった趣味の話など言いたい放題。いやはや、作家の下品も極まれりとはこのことか。決して読んで得したとは思わないけれど、愉快爽快痛快だった。小松左京の博識にもこれまた再認識した次第。
くだらない、くだらない、ああ、くだらないと思いながら読んでしまった。1970年代の匂いがぷんぷんするオモロイ本だ。目次は下記の通り。

インフレ・貨幣制度・食料・スパイ・そして‥…   
小松左京 筒井康隆 星新一   

食物としての人間の自己完結性
小松左京 筒井康隆 星新一

霊魂と肉体の生態系 
小松左京 筒井康隆 星新一  

70年代を恐怖にまきこむ5大問題
小松左京 筒井康隆 星新一

バラ色にしよう、キミの未来 
大伴昌司 小松左京 筒井康隆 平井和正 星新一

灰色にしよう、キミの未来
大伴昌司 小松左京 筒井康隆 星新一 矢野徹

どう変わる? 未来の男女関係
石川喬司 大伴昌司 小松左京 筒井康隆 星新一

純粋趣味批判《ペット編》
小松左京 筒井康隆 星新一

純粋趣味批判《収集編》
小松左京 筒井康隆 星新一

純粋趣味批判《刺青編》
小松左京 筒井康隆 星新一  

宇宙、革命、戦争、ンが!…なのだ
小松左京 豊田有恒

SF作家が語る1970年 
大伴昌司 小松左京 筒井康隆 星新一

告発的青春時代《純愛編》
小松左京 筒井康隆 星新一

告発的青春時代《青雲編》
小松左京 筒井康隆 星新一  

我らの青春を語る
小松左京 筒井康隆 豊田有恒 星新一

実は星新一を調べていてこの雑誌を見つけた次第。序にこの雑誌はスポンサーが異質でユニークな雑誌だった。肌触りは柔らか。確か詩人の金子光晴がオモロイ老人として登場していたし、田村隆一も載っていたかな。T駅降りてすぐにあったB書店(入口付近には雑誌が山のように積んであったが今はない)でよく立ち読みをしたことを昨日のように覚えている。
星新一の語りを読んでいるうちに、彼が発明した架空の鳥「ホシヅル」の話が本文253ページに載っていたのだ。

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2014/11/21

クロカル超人が行く 167 長岡京市•西山浄土宗 総本山 光明寺の紅葉参道

JR長岡京市駅の北西4Km、車で10分のところにある紅葉の名所光明寺。紅葉の色付きはまあまあで鮮やかかつ艶やか。特にもみじ参道は一見の価値あり。赤、黄色、緑と紅葉が進んでいる様が如実に分かる。筆者の前を歩いていた家族連れの会話が可笑しかった。もみじ参道を歩きながら今年の重大ニュースを語り合っていたのかも。「スタップ細胞はありまーす」と嘘を言ってはいけないと父、それに頷く娘。「スタップ細胞はありませーん」では字余りっぽいー。
快晴、暖、無風。赤く色付いた葉は陽に晒されてキラリと輝き、陰影のある風情を醸し出していた。

晩秋の参道のなか葉隠れし

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2014/11/13

クロカル超人が行く 166 ある文学研究大会の飯館村・南相馬方面のスタディバスツアー 3

クロカル超人が行く 166 ある研究大会の飯館村・南相馬方面のスタディバスツアー

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写真上左から右 。 ①松川事件の現場に立つ松川記念塔。忘れてはいけないスタディツアーはここから始まった。②南相馬原町地区から萱浜海岸へ向かうところの住宅地だった一帯。被災し今や荒涼とした原野。やり切れないほどの凄まじい光景。野草だけが悲しそうに風に吹かれていた。③大地震、大津波や原発事故の放射能にも耐えて立つ看板。当時のままで崩壊寸前のN食堂の文字も見える。④洒落た造りの喫茶店。かつては珈琲を啜りながら語らっていた憩いの場所だったはず。⑤地震・大津波で崩壊した家屋は更地に。行政が立てた文字が無味簡素。⑥土壁の一角。聞けばここの近くにあった由緒ある土壁の家は地震で崩壊したらしい。⑦浮舟会館。昔あった小高城は別名浮舟城と呼ばれ、その名を冠した会館。浮舟会館には埴谷島尾記念室がある。筆者は8年前にここを訪ねている。現地ツアーアテンダント、南相馬市職員のT氏の職場でもあった。彼は3.11の大津波があった日もここにいて、知人に海岸方面にあった実家が津波で流されてないと言われ、駅の近くの高台からその光景をただ呆然と眺めたという。そして次の瞬間頭を切り替えて新たに生きていく覚悟を決めたと語った。もう一人英文学者で評論家、雑誌「近代文学」の同人でこの地の出身者荒正人の資料もあるとか。⑧⑨小高駅からもう一人の現地ツアーアテンダントである詩人の若松丈太郎さんから島尾敏雄や埴谷雄高の実家や墓地のあるところを説明して頂いたあとに現れた村上海岸近くの工事現場風の建物。実は大津波災害で出た瓦礫処理の巨大な作業場だった。雨の中車窓から。周りは原野に変わってしまった。惨すぎの一言。改めて津波の怖さを思い知らされた。

賢明な読者はこの写真を見て気づいたかも。ここには誰一人いないのだ。④はスタディツアーの研究者たち。そんなゴーストタウンの地区に市会議員選挙の宣伝カーが清き一票をお願いしていた。それは虚しい叫び声にも聞こえた。


2014/11/11

クロカル超人が行く 166 ある文学研究大会の飯館村・南相馬方面スタディバスツアー 2

文学研究大会では地元の詩人が講演。筆者は聴けなかったので配布されている資料を読んだ。実直な詩だからこそ胸を打つ。同じ浜通り出身の草野新平の詩にも似た句読点の妙技や郷土出身者の有名人をリスペクトしてやまない詩ー。原発事故後の詩だ。その詩はこう綴られている。


この日、小高で

斎藤 貢

地が逆さまに激しく揺れ、海が天空から襲ってくる。
あり得ないことだが、
地震と。津波と。放射線と。
それら。すべてが、わたしたちの日常を一瞬で押し潰した。  

2011年3月11日、
この日を、決して忘れない。

この日。小高で
わたしたちは楽園を追われた。ふるさとを追われた。
翌日には、福島第一原子力発電所の。原子炉建屋からの水素爆発。避難指示。
放射線や放射物質が、この地には、数多(あまた)、降り注いだ。

時間はもとに戻らない。
ふくしまの。浜通りの。南相馬市小高の。汚染。汚辱。
地震の。津波の。被爆の。
取り返しのつかない、あやまち。

小高の村上海岸で
避難を誘導していた駐在警察官も。消防団員も。
心優しきひとが、波にのまれて消えた。

津波にさらわれて。真夜中の海を、15時間、漂流した16歳の少女の。
闇夜に。流されていく海の無明を思う。海の恐怖を思う。

苦しいなぁ。

かつて、小高の駅舎に降り立った、若き日の島尾敏雄がいる。
「雄高は小高より發せり」と揮毫した、晩年の埴谷雄高がいる。
そのときの、「おだか」という言葉の。地名の。
どこかもの悲しい音の、ぬくもり。

小高の岡田は、埴谷雄高の父祖の眠る墓地の。般若(はんにゃ)家の、墓所の地名。
小高の大井は、島尾敏雄の眠る墓地の。その土地の、名。
大津波に、のみこまれずに、それらは今もそのままにあるのだろうか。
福島第一原子力発電所から、20㎞圏内の。小高の地で。
警戒区域の。立ち入り禁止の。小高の地で。

それは、神の怒りだろうか。それとも、わたしたちの罪なのだろうか。
洪水の去った荒れ地で、
わたしたちはその土地を、ふたたび耕すだろうか。
中世から続く、浮船(うきふね)の地で。
ふたたび、土地の魂は蘇るだろうか。

ひかりは、まだ見えない。


クロカル超人が行く 166 ある文学研究大会の飯館村・南相馬方面スタディバスツアー 

3.11から今日で3年8ヶ月。安全と補償が不十分のまま再稼働が現実化しつつある。そんな中ある文学研究大会のスタディツアーに参加し、被災地の飯館村•南相馬市小高地区方面をバスで巡った。総勢44名。途中何回かトイレタイムがあったり路上観察もあったが、約5時間半の車窓観察だった。ツアーアテンダントは福島大学名誉教授の先生、被災地の整備基本計画策定委員でもある地理学の先生、南相馬市の現地案内役の詩人若松丈太郎さんや南相馬市職員の方々。
バススタディツアーのスケジュールは次の通り。福島大学→松川記念塔見学→車中にて昼食→川俣・原町線を原町方面へ。道の駅川俣で休憩。川俣町、飯館村の飯樋・草野・臼石地区車窓観察→阿武隈山系を越えて南相馬市原町へ。萱浜地区の津波被災地→道の駅南相馬で休憩→小高地区の浮舟会館を車窓から眺め小高駅でバスを降車、小高商店街を徒歩視察→村上海岸の近くへ。南相馬市出発→道の駅南相馬で休憩、牛越仮設住宅前通過→福島駅到着・解散。

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写真上左から右。 ①福島大学の線量計。この日は0.13mSv/h。②③④飯館村の田んぼがあったところに置かれた除染袋、所謂フレコンバッグというやつ。1袋1tあるとか。田んぼや牧場それに家の前にも。そのおびただしい数、唖然、呆然。一体いつ、だれが、どこに運ぶのかまだ分からないという。不可能とも。⑤止まったままの小高駅。JR側は高校生が戻ってくるまで再開しないと。赤字では走れないらしい。⑥小高のメインストリート。帰宅困難地域のため人っ子一人いない。映画のセットではあるまいし、本当に寒々としたストリートだ。よくもこんな街にしてくれた!怒りが谺しているよう。何だかあのムンクの「叫び」を思い出した。⑦崩壊寸前の家。ツアーアテンダントによると、余震でこのように崩れた由。⑧なくなった家の色付いた木々。虚しいねぇ。

百聞は一見にしかず。熱しやすく冷めやすい性格を帯びる私たち日本人だが、この現実を見れば決して自然災害や原発事故を風化してはならないことが解るはずだ。21世紀を生きる人間として、一人ひとりが考えていかなければいけない問題であることを再認識した次第。

文学研究大会で講演をした福島大学の澤正宏名誉教授の資料には現時点でも持続している危機的な状況を具体的な数字を示しながら書かれていた。
・2014年11月5日 富岡町沖のシロメバルから127..8Bq/kg検出。
・帰村を勧める川内村の峠で6.0μSv/時の表示(2013年12月)。
・今年になって福島市渡利(汚染高の地区)で子供2人が甲状腺癌を発症。
・廃炉作業行(日)程の延期、中間貯蔵施設への廃棄物搬入の延期。
※デブリ回収は5年遅れ。中間貯蔵施設は10万Bq超/kgの放射性廃棄物+汚染土の保管施設。(本年8月に県が建設受け入れ決定、難航/学校の汚染土の搬入は停止、政府が交付金を倍増し3010憶円を提示/金銭解決優先、強行)
・避難者の総数は12万5515人(本年8・13現在、県内、県外比/1対2)
福島県の原発事故関連死者(自殺者を含む)は1753人、(本年8・29現在)
「原発事故に因る関連自殺者」は2011年6月~2012年12月迄で21人。

2014/11/07

超人のドキッとする絵画 26 板橋区立美術館『種村季弘の眼 迷宮の美術家たち』 16

谷川晃一 失われた伝説 1973年 水彩、紙
吉江庄蔵 風の肖像 1990年 プラスチック、着色
吉江庄蔵 風洞 1990年 プラスチック、着色
森村泰昌 肖像ー経済 1991年 オフセット、その他 ◎
柄澤* 迷宮浮上 1977年 木口木版画
柄澤* 『種村季弘のラビリントス 失楽園測量地図』校正紙 1979年 鉛筆、印刷物、紙
間村俊一 シュトウダー狂想曲「フリードリヒ•グラウザー、種村季弘訳『狂気の王国』表紙のためのコラージュ 1998年 コラージュ、紙
勝本みつる 『別冊幻想文学 怪人タネラムネラ 種村季弘の箱』表紙のためのオブジェ 2002年 ミクストメディア
宇野亜喜良 『白雪姫』原画 1991年 水彩、パステル•ボード
種村季弘 写真 宮川淳
種村季弘宛 書簡 澁澤龍彦
種村季弘宛 書簡 稲垣足穂
種村季弘宛 書簡 瀧口修造
種村季弘宛 書簡 加藤郁乎
種村季弘宛 書簡 吉岡実
種村季弘宛 書簡 吉行淳之介
種村季弘宛 書簡 堀内誠一
種村季弘宛 書簡 武田百合子

以上が展示品のすべてである。展示品のリストを書き写してみて改めて“タネムラワールド”の魅力に触れた感じだ。特に最後の作家の書簡は文字に作家の個性がくっきり。短いながらも独自のオーラを発揮しているよう。意表を突く新芸術の極みが一同に観れて楽しかった。購入した図録も有益だった。筆者は、種村季弘先生が晩年静岡県清水市にお住まいの時に、フックスの書物についての説明会でご一緒したことがある。気さくな徘徊小父さん、という感じだった。夕方には少し早い午後の3時半頃に漁師の行きつけの店に行って、酒のツマミである新鮮な魚を頬張ると幸せ感が漂うととおっしゃっていたのが印象的だ。あくまで庶民的な人、自由人なのだ。それが種村季弘である。

2014/11/06

超人の面白映画鑑賞 デンマーク映画 ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』

映画『二ンフォマニアックⅠⅡ』を観た翌日偶然にもスカパーで同じラース・フォン・トリアー監督の前作『メランコリア』を観賞。この映画は3年前の作品で、『二ンフォマニアック』とは対照的にセックス描写が一度ぐらいしかなく、全体的なトーンは憂いに満ちて暗いが饒舌。“メランコリア”という惑星に囚われたイカれたコピーライターの妹(キレティン・ダンスト)と生真面目な姉(シャーロット・ゲンスブール)、その姉の夫(キーファー・サザーランド)や息子(キャメロン・スパー)を取り巻く奇妙な人間ドラマ。2部構成で舞台は姉夫婦が経営する由緒ある高級ゴルフ場。結婚式場のゴルフクラブハウスに大分遅刻してやってきた妹がさらに式をぶち壊すイカレた行動を取ったことに、式次第全般を取り仕切る姉が怒りを露わにする。反社会的な母親キャビー(シャーロット・ランプリング)と冗談好きの父親デクスター(ジョン・ハート)、過大評価する新郎マイケル(アレキサンダー・スカルスガルド)、金儲けしか頭にない会社の上司(ステラン・スカルスガルド)と少しおっちょこちょいの上司の甥の新人君ティム(ブラッディ・ユーベット)等々親戚縁者が集う結婚式の披露宴ではよくみえる世間―。そんな宴の中で何度も取り乱す妹に姉が、やがて精神的な病(鬱状態)だと気づき理解しようと努める。
後半は姉夫婦が生活を営む由緒あるゴルフ場が舞台で、妹が訪ねてくるところからストーリーが展開する。今度は前半とは対照的に姉がおかしくなり、妹がシャーマン的な役割を果たしてゆく。天文好きで科学的な姉の夫と叔母の妹を愛してやまない息子ー。“メランコリア”という惑星にとりつかれ地球と接近するとき爆発すると信じ、その実現性に恐れ戦く家族。やがて夫は馬小屋で自殺し、残された姉と息子それに妹の3人が爆発を避けるメイポールのようなシェルターを建てて入る。そのとき“メランコリア”という惑星が爆発したかのように周りが急に明るくなる。この世の終末を思わせるシーンだ。ストーリーの中身や展開についていけないところもあったが、映像がいい、音楽も効果抜群。

【キャスティング】
ジャスティン(コピーライター): キレティン・ダンスト
クレア(ジャスティンの姉): シャルロット・ゲンスブール
マイケル(ジャスティンの夫): アレキサンダー・スカルスガルド
ティム(ジャスティンの会社の若手社員): ブラッディ・ユーベッド
レオ(クレアの息子): キャメロン・スパー
キャビー(ジャスティンの母親): シャーロット・ランプリング
デクスター(ジャスティンの父親 ) : ジョン・ハート
ジャスティンの上司 : ステラン・スカルスガルド
クレアの夫 : キーファー・サザーランド

上映時間135分。

最後のシーンはハッピーエンドを思わせるものだと監督が仄めかせたとか。

追記 デンマーク映画のラース•フォン•トリアー監督の記事を読みたい方は、こちらも参考になるかも。
筆者のコラムのカテゴリー「北欧映画」をクリックして「より以前の記事一覧」から「超人のジャーナリスト•アイ 81 『デンマーク映画特集』2008年5月31日」をさらにクリックして見てください。

2014/11/04

超人の面白映画鑑賞 デンマーク映画 ラース・フォン・トリアー監督『ニンフォマニアックⅠⅡ』

デンマークのテレビドラマ『キングダムⅠⅡ』をWOWOWで観たのは今から16、7年前、それともそれ以前 ? サスペンスドラマで、いつの間にかストリーに引き込まれてしまう妙なスリリングがあった。舞台は王立病院。医師を取り巻く人間ドラマだが、病院内で次々と起こる奇妙な出来事に恐ろしさも加わり、犯人捜しについ拍車がかかった。また、このドラマのもう一つの見どころは、2人の知的障害者の少女が病院内の軒下で出来事の展開を予測するあたり。続編を期待していた筆者だったが、医師役の俳優が死去したことで続編は中止になっていた。
今回新宿武蔵野館で観た映画『ニンフォマニアックⅠ Ⅱ』の監督が、このテレビドラマ『キングダムⅠ Ⅱ』のラース・フォン・トリアーだった!
『ニンフォマニアック Ⅰ Ⅱ』のテーマは女性のセクシュアリティー。ストーリーは“ニンフォマニアック(色情狂)”なジョーという女性の半生を描いたものだが、過激なセックス描写があるものの映像や演技は新鮮かつ重層的。そして過激でショッキング。
映画は2部8章の構成。第1部 1.コンプレートアングラー 2.ジェローム 3.ミセスH 4.せん妄 5.リトル•オルガン•スクール 第2部 1.東方と西方の教会 2.鏡 3.銃、とそれぞれにタイトルが付けられ、ストーリー展開を示唆する。
とある路地裏で殴打され血まみれになって倒れている女性ジョー(シャーロット・ゲンスブール)を通りがかった初老の男性セリグマン(ステラン・スカルスガルド)が助け自分の家に連れ込み、そして彼女の生い立ちを尋ねる。ストーリーは知的でハンサムな初老の男性の質問に女性が答える形式で回想を織り交ぜながら展開する。幼少期の性的な目覚めと物まね的行為、前が5と後が3のセックス(こういうゲームがあるのかが不思議だが)に明け暮れる10代、結婚しても止まらないセックス依存症的でアブノーマルな行為による男性遍歴、離婚、不感症、自己愛と孤独の愛憎連鎖、ついには裏社会まで踏み込み、そこでひょんなことで再会する羽目になった元夫ジェローム(シャイア・ラブーフ)におもっきり仕返され血まみれになる。回想はここで終わり、男性は半生をすべて語った彼女にゆっくりお休みと告げて自分の部屋に戻る。ここで終了かと思いきや、彼は下半身裸で戻り彼女に迫る。これは一体? 観客の常識を裏切った斬新さ。笑っちゃいマンねん。滑稽、コケコッコウである。彼は彼女のエロス的話に魅惑され欲望を剥き出しにされたということかー。しかし、すべてをさらけ出した彼女はそれを拒んだ。ここで映画は終わる。
驚いたことが一つ。第2部でセリグマンがバッハの「ポリフォニー」を説明していたが、筆者はこの言葉を文学用語(複数の独立したパートからなる文学、とりわけ小説の類)として拙い書きものの冒頭に使った。まさかこの映画に出て来るとは。また、推理小説・ホラー小説の先駆的作家のエドガー・アラン・ポーを登場させ、ヌードと重ね合わせた映像美を作り出している。その他セリグマンに語らせる文学(監督好みの?)などややもすると低俗に落ち入りやすい映画(日本でいえば、かつての日活ロマンポルノ映画など)を文学や音楽を導入することで質的転換を図り、特異な映像美を作り出した。高級なポーノグラフィーを観た感じだろうか。

【キャスティング】
ジョー : シャルロット•ゲンスブール
セリグマン : ステラン•スカルスガルド
若いジョー : ステンシー•マーテイン
ジェローム•チリス : シャイア•ラブーフ
ジョ-の父 : クリスチャン•スレター
ミセスH : ユマ•サーマン

上映時間『ニンフォマニアック Ⅰ』 117分 『ニンフォマニアック Ⅱ』 123分。

【写真左下 : この映画のチラシより】

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2014/11/02

超人のドキッとする絵画 26 板橋区立美術館『種村季弘の眼 迷宮の美術家たち』 15

種村季弘 特装本 『贋物漫遊記』(壺中館) トーナス・カボチャラダムス装画 1985年 書籍
種村季弘 特装本 『壺天奇聞』(壺中館) 書籍
種村季弘 特装本 『吸血鬼想』(壺中館) 書籍 
種村季弘 特装本 『食物漫遊記』(壺中館) 書籍
種村季弘 特装本 『影法師の誘惑』(冥草社) 書籍
種村季弘 特装本 『好物漫遊記』(壺中館) 書籍
種村季弘 特装本 『器怪の祝祭日』(沖積社) 書籍
種村季弘 特装本 『山師カリオストロの大冒険』(壺中館) 書籍
種村季弘 特装本 『毛皮を着たヴィーナス』(壺中館) 書籍
種村季弘 著作、対談、翻訳 書籍
野中ユリ ナンセンス詩人の肖像 13 Members of Table 1969年 コラージュ、ボード
野中ユリ ナンセンス詩人の肖像 A Round Table Affair 1969年 コラージュ、ボード
種村季弘 『吸血鬼幻想』(薔薇十字社)野中ユリ 装画想定 1971年 書籍
種村季弘 『ナンセンス詩人の肖像』(竹内書店)野中ユリ 口絵装幀 1969年 書籍
種村季弘、稲垣足穂 『コリントン卿登場』(美術出版社)野中ユリ 装画装幀
1974年 書籍

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