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2014/05/29

超人のドキッとする絵画 24 平塚市美術館『石田徹也展ーノート、夢のしるしー』 3

石田徹也は自分のアイデア帖に書いている。

最初は自画像に近いものだった。弱い自分をギャグやユーモアで笑えるものにしようとした。結果は、笑えるものだったり、余計かなしいものができたりして、見る人にとっては、風刺や皮肉と受け止められることもあった。そうやって続けていくかていで、自分自身が消費者、都市生活者、労働者、と広がってきて、自分の感じる社会問題も意識するようになった。 
僕が、強く感じることができるのは、人の痛み、苦しみ、不安感、孤独感などなどで、そういったものを自分の中で消化し、独自の方法で見せたい。

1999年4月頃のアイデア帖より(P.267『石田徹也・ノート』求龍堂 2013)

さて、印象に残った作品の続き。
33.無題 1977年頃 アクリル、板 1820×145.6 静岡県立美術館蔵
34.無題 1997年頃 アクリル、板 182.0×91.0 個人蔵
36.めばえ 1998年頃 アクリル、板 145.6×206.0 静岡県立美術館蔵
37.説教 1999年 アクリル、板 51.5×72.8 個人蔵
40.父性 1999年 アクリル、カンヴァス 45.5×53.0 個人蔵
42.分解 1999年 アクリル、カンヴァス 51.5×72.8 静岡県立美術館蔵
49.捜索 2001年 アクリル、カンヴァス 112.1×162.1 第一生命保険会社
66.無題(絵皿) 1996年 陶器 193×19.8×1.8 個人蔵
69.無題 はりこ、絵付け前の高崎だるま 24.0×22.0×19.5 個人蔵
76.無題 2001ー03年頃 アクリル、カンヴァス 130.3×162.0 静岡県立美術館蔵
84.無題 2003年頃 アクリル・油彩、カンヴァス 91.0×117.0 個人蔵
102.転移 2004年頃 アクリル・油彩、カンヴァス 91.0×91.0 個人蔵
103.無題 2004年頃 アクリル・油彩、カンヴァス 145.5×194.0 静岡県立美術館蔵
特別出品 2003年頃 アクリル・油彩、カンヴァス 45.5×38.0 個人蔵
〈つづく〉

2014/05/27

超人のドキッとする絵画 24 平塚市美術館『石田徹也展ーノート、夢のしるしー』 2

今回の平塚市美術館の出品目録を見てみよう。 
1.起点「創作方法を探したい」
2.漂う人「現実の何かに光をあてる」
3.変化「他人の自画像」
4.ユーモア「ナンセンスへと近づくことだ」
5.再生「とにかく かく」
このテーマ、コンセプトで展示された作品群ではあるが、ともかく自画像と思しき感情を閉じ込めた、冷静沈着で同じ表情をした一人の若者が目立ち、至るところに奇妙で不気味さを醸し出しながら想定外のモノとの合体を描いている。意外なパーツの組み合わせによって出現するのは、ユーモア、皮肉、社会風刺、諧謔性、そしてエロ・グロナンセンスの類だが、画一的に見える中に〈差異・落差〉のコードを巧みにちらつかせている。それは社会通念のアンチテーゼとも読み取れる。可笑しみを通り越して不思議なリアリティを感じさせる。そこには内面深く抉られた優しくも鋭い感覚がある。

編年体で追った作品の中で筆者が特に印象に残った作品は下記の通り。

7.居酒屋発 1995年 アクリル、紙 51.0×78.5 静岡県立美術館蔵 第63回毎日広告デザイン賞優秀賞(イラストレーション担当、企画、デザイン、コピー=平林 勇)
8. ビアガーデン発 1995年 アクリル、紙 51.0×78.5 静岡県立美術館蔵 第63回毎日広告デザイン賞優秀賞 (イラストレーション担当、企画、デザイン、コピー=平林 勇)
18.鯉の夢 1996年 アクリル、板 103.0×145.6  個人蔵 第6回ひとつぼ展グランプリ受賞者個展「石田徹也展漂う人」
20.トイレへ逃げ込む人 1996年 アクリル、板 103.0×145.6 静岡県立美術館蔵 第6回ひとつぼ展グランプリ受賞者個展「石田徹也展 漂う人」
23.兵士 1996年 アクリル、板 145.6×103.0 静岡県立美術館 第6回ひとつぼ展グランプリ受賞者個展「石田徹也展 漂う人」
25.飛べなくなった人 1996年 アクリル、板 103.0×145.6 静岡県立美術館蔵 第6回ひとつぼ展グランプリ受賞者個展「石田徹也展 漂う人」
28.燃料補給のような食事 1996年 アクリル、板 145.6×206.0 静岡県立美術館蔵 第6回ひとつぼ展グランプリ受賞者個展「石田徹也展 漂う人」  
30.トヨタ自動車イプサム 1996年 アクリル、紙 59.4×84.,1 個人蔵 第64回毎日広告デザイン最優秀賞(イラストレーション担当、デザイン=平林 勇)

これらの作品では静岡県立美術館蔵が目立つようだ。〈つづく〉

2014/05/26

超人のドキッとする絵画 24 平塚市美術館『石田徹也展ーノート、夢のしるし-』

気になっていた石田徹也展をやっと観た。2005年に町田市で交通事故死してから9年、石田徹也の絵画の人気は高まるばかりだ。今は日本全国を巡回中で平塚市美術館の次は富山県へ行く予定。さっと一巡した限りでは石田徹也の有名な代表作が何点かは出品されていなかったが、彼の初期作品から中期そして晩年までの作品107点を一同に観ることができたことはラッキーだった。わずか31歳で亡くなった石田徹也、その生涯は余りに短く、彼の才能の開花期の片鱗は観られるものの、円熟期の絵画も観たかったのは筆者一人だけではなかったはずだ。それにしてもだ、こんなに不気味な絵画は鑑賞者泣かせだろう。社会の鋭い観察者石田徹也の絵画は、笑い、ユーモア、皮肉、風刺、諧謔、ナンセンスとカタルシスのオンパレードでどれも分離、合体などパーツが効果抜群なのには驚きを隠せない。と同時に、観る者一人ひとりにグサッと内面を刺す鋭い音を感知せざるを得ない。それはある種この個展に通底奏音のようにエコーする〈痛み〉の感情だろうか。〈つづく〉

2014/05/23

クロカル超人が行く 193 再びの奈良 奈良公園の鹿

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しかたがない

しかたがない
しかたがある
しかがいる

しかたがない
のぶんがく
しかたがない
そうせきさんの
こころ
あくたがわさんの
しょうせつ

ああ
しかがいる
ならはあいかわらず
なら
おならではなく
しかのふん

さゆりさんの
びーめんのうた
しかのふん
しかたがない

しかたがない
うたにすれば
しかがいない

There are no deer
I don't blame

2014/05/22

超人の面白ラーメン紀行 179 大阪 西中島南方『人類みな麺類』

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東京世田谷区芦花公園にある『アイバンラーメン』が去年秋にニューヨークのヘルズキッチンのマーケットの一角に、音を立てて啜るの意味のslurpを店名に取り入れて出店、その6カ月後の今年の5月に今度はリトルイタリー地区に進出して評判を呼んでいる。ここは塩ラーメンが美味いがニューヨーカー受け狙いも考えてメニューもバリエーション豊富らしい(しかし、今年(2020年)1月はじめに一時ニューヨークから帰国した愚息によれば、実際に食べてみたところ味はそれほどでもないらしい。ラーメンの好みは人それぞれだが)。“らしい”と書かなければならないのは何とも歯がゆいが、本店しか行ったことない筆者にとってはいた仕方ないのだ(筆者は本店で店主と名刺交換をした)。一方、読売新聞神奈川版は横浜家系ラーメンの元祖の一つ、『吉村家』の今時のラーメン事情を連載している。今やラーメンは日本の誇る食文化にー。
さて、大阪のラーメン店である。どうしても時間帯が合わない中津の『弥七』(塩ラーメンの超人気店)で食べることを諦めていた矢先に、西中島南方でチャーシューが分厚くメチャ柔らかくて美味しいラーメン店を見つけた。名前もユニークで『人類みな麺類』。濃口醤油味でトッピングのメンマも美味。ネギが少し乗っているくらいでシンプルそのもの。しかしチャーシューは違っていた、薄くも厚くも好みに応じてくれ、厚く頼んだチャーシューはどでかく柔らか、いやー、こんなの食べたことがなかった。超美味。メニューもいたってシンプルでらーめんmacro、らーめんmicro (筆者の注文したもの)、らーめん原点スープの3種類すべて800円。若い人たちで切り盛りする行列のできている人気のラーメン店だ。
余談だが、隣の定食店の女将さんいわく、2年前にできた店でインターネットをみて来てるみたいと我関せずの表情だった。

大阪西中島南方『人類みな麺類』①スープ★★②麺★★③トッピング★★★④接客・雰囲気★★⑤価格★★


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追記 某洋書店のH氏からアメリカ人の学者が書いたラーメン社会史の新刊案内がメールで届いた。下記はその内容。

ラーメンから見た現代日本社会史
The Untold History of Ramen
How Political Crisis in Japan Spawned a Global Food Craze
George Solt (Author)
California Studies in Food and Culture
A Philip E. Lilienthal Book in Asian Studies

Paperback, 240 pages
ISBN: 9780520282353 \4,552
February 2014
貧しい労働者の食べ物だったラーメンが日本食を代表する世界的商品になるまでの輝かしい足跡を追い、機密解除された米国政府関係文書や日本語資料を使い、米国占領下の輸入小麦の闇市場の形成や冷戦期における日本の労働力の産業復興などに言及しています。

A rich, salty, and steaming bowl of ramen noodle soup climbed its way onto the international culinary scene and, from Tokyo to New York, is now a symbol of the cultural prowess of Japanese cuisine. In this highly original account of geopolitics and industrialization in Japan, George Solt traces the meteoric rise of ramen from humble fuel for the working poor to an international icon of Japanese culture. Ramen's popularity can be attributed to political and economic change on a global scale. Using declassified U.S. government documents and an array of Japanese sources, Solt reveals how the creation of a black market for American wheat imports during the U.S. Occupation of Japan (1945-1952), the reindustrialization of Japan's labor force during the Cold War, and the elevation of working-class foods in redefining national identity during the past two decades of economic stagnation (1990s-2000s), all contributed to the formation of ramen as a national dish. This book is essential reading for scholars, students in Japanese history and food studies, and anyone interested in gaining greater perspective into how international policy can influence everyday foods around the world.
George Solt is Assistant Professor of History at New York University. (2014.5.23 記)


2014/05/11

超人の面白映画観賞 スウェーデン映画『シンプル・シモン』

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アスペルガー症候群は自閉症の一種で興味・意志疎通に特異性がみられる広汎性障害。普通の自閉症とは違って行動にこだわりなどはみられるものの、知的障害や言語障害はないし、IQが高いといわれている。
そんな障害者が主人公のスウェーデン映画を渋谷のユーロスペースで観た。映画の邦訳名は『シンプル・シモン』だが、原題は『I rymden finns inga kanslor』で和訳すれば、宇宙には感情がないという意味だ。
アスペルガー症候群を表明している主人公シモンが大好きな兄サムと日々の葛藤をコメディータッチで描いた映画。
あらすじはこうだ。こだわりを持つ物理とSF好きのシモンは“ロケット”というブリキ缶に閉じこもったまま、母親の必死の呼びかけにも応じない。兄サムが2人にだけ通じる不思議な交信言語で発信すると弟シモンが反応する。兄サムはそんな弟シモンを面倒みれるのは自分しかいないと恋人を含め3人で暮らし始めるが、兄サムの恋人はこだわりが激しすぎる(ある意味では非常識に映って)弟シモンの行動について行けず兄サムと別れてしまう。やがて落ち込んでいる兄サムのために新しい恋人探しにシモンが自ら一役買って奔走するが、兄に自分のルールで折角選んだ女性を気に入ってもらえず、今度は兄のアドバイスに従って性格が正反対の女性イァニファーを探し当て(仕事に行く通勤バスの運転手が有名なフランスのシェフの言葉を持ち出しながら、愛はソースと同じく時間がかるものだと言ったこともしかと聞き入れて)兄が好きになれば弟の自分も好きになるはずと探し当てた女性イェニファーに自分の仕事の様子を見てもらったり彼女の家に呼ばれて遊興する。そこでシモンは強がりで天真爛漫な彼女の意外な一面を見る。そうとは知らず兄サムは何時になっても帰宅しない弟シモンを必死に探し回る。そして、遅く帰宅した弟に対して兄が感情をむき出しにして怒りをぶつける…。その後シモンが仕事仲間に協力してもらい兄のデートを大々的に演出し実行に移す。一生懸命努力したにもかかわらず、兄は乗り気ではなくその表情を見て彼女が一足先に帰ってしまう。そのことで落ち込んでしまったシモンは、また、例の“ロケット”に閉じこもってしまう。兄が再び交信言語を弟に発信、彼女はきっと現れると…。そうこうしているうちに彼女が家に入ってきて例の“ロケット”の“ハッチ“を開けシモンの手に触れる。触れられることに今まで嫌悪感を示していたシモンにある種の感情の変化が現れる。彼女がシモンに恋愛感情を抱きシモン自身を変えてしまったのだ。ハートフルなこのストーリーはここで終わる。感情を持たない人がポップミュージックやいろんな人と触れあうことで頑なに閉ざしていた心の世界を外へ向かって開く。この映画はそういうことを深刻ぶらずにコメディタッチで描いているのが味噌。
アスペルガー症候群も自閉症の一種だが、自閉症を持つ家庭の人々はこの映画に共感し励まされるはず。また、この映画はさらに他人との触れ合いが苦手でこだわりを持つ障害者にもっと理解をとのメッセージも込められているはずだ。日本の映画にもこういった深刻だがユーモラスに描いた映画作品があってもいい。監督は新鋭アンドレアス•エーマン監督。俳優たちの演技も新鮮、難しい役柄をこなしていた。スウェーデンの色彩豊かな風景も魅力の一つ、またポップなミュージックも聴けて面白かった。泣き笑いしてしまうほどユーモアもあり深刻さもちょっぴりあって好感度一杯の映画。新しい世代の人たちの登場だ。
2011年アカデミー賞 外国語映画スウェーデン代表作品。2010年製作。上映時間86分。
午前11時35分の上映でチケットには68の番号が振られていた。これは入場者数を表しているはず、上映前にさっと観客を数えたら80人あまりだった。やはり女性が多かったが。映画終了後にドアから出たら次の午後1時35分上映の観客がすでに待っていた。午前の上映より観客数は多いようだ。
この映画でもそうだが、日常生活では障害者も悪戦苦闘、親・関係者も悪戦苦闘の連続なのだ。

2014/05/07

クロカル超人が行く 192 鎌倉市雪ノ下の萩焼専門店『彩炎』

鎌倉市雪ノ下の萩焼専門店『彩炎』で見つけた青色の光沢を放つ内富晋作の『湯呑』。この一品のみらしい。高額なので今回は写真を撮影しただけ。病み上がりの女性店主と珍問答しても解はなかった…。

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以前に買った湯呑茶碗がひび割れたり欠けたりしたので同じものと考えていたが、残念ながら買い求めていたものがなく、形状、色彩それに風合いが違った別物に。予算内での買い物だから仕方がなかったかー。

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2014/05/05

クロカル超人が行く 191 長野県東御市『水村喜一郎美術館』 3

『水村喜一郎美術館』 2 の続き、写真左上から。

①『水村喜一郎美術館』表札
水村喜一郎展
4月1日(水)〜11月30日(日)
〒389-0518 東御市本海野645
開館時間
午前10時〜午後5時
休館日: 毎週月曜日
(祝日の場合翌火曜日)
入場料 : 一般 500円      
シニア(65歳以上): 400円 
小中学生 無料

開館中

上記の開館期間を読むと、“水村喜一郎展”は
春4月~晩秋11月までの開館期間で、冬12月
~春3月までは休館

水色の可愛い屋根と木箱の温もりが映える

②館内入口右側
「水村喜一郎油絵展」案内など
ほぼ15年前のポスターだが色褪せていない

③館内入口左側
来客用の記帳
みなさん丁寧な字で書いている

④小学のころから高校時代まで
・キリン  ・ニワトリの親子
この画家の早い時期の才能を見る思い

⑤27. 雪の降る夜(鶴岡)  1996年  油彩  キャンパス  F50
詩情豊かで感動的 白、茶、黄の使い方が見事

⑥23. 水門  1963年  油彩  キャンパス  F25
水面の静寂さが観る側に迫るようなある種の迫力がある


⑦53 .どくだみ  2013年  油彩  キャンパス  P12
・ 54 あざみ   2013年  油彩  キャンパス  F20
この画家得意の静物画 最近作 花瓶の色使いが見事 均整のとれた構図

⑧50.角のたばこ屋さん(神戸) 2002年頃  油彩  キャンパス  284×609
51 角の酒屋さん(神戸) 2003年  油彩  キャンパス  F10
独特の筆使いで水村ワールドを演出 その色調 街の風情を醸し出している

⑨天皇陛下来館時の写真、新聞記事そして絵葉書コーナー
家人は絵葉書2枚を購入 天皇陛下来館時の模様はテレビで観た

⑩美術館裏側に併設されている喫茶店『千曲川』全景

⑪喫茶店『千曲川』の店内
コーヒー 400円
ケーキ  400円
家人がケーキは自家製ですかと訊いたとか…

⑫喫茶店『千曲川』に飾られている作家水上勉先生への感謝のこもった別れの手紙
筆跡が力強くすてき

写真は『水村喜一郎美術館』の“管理人”の水村純朗さんに特別許可をいただいて撮影したもので、一言筆者なりの感想を添えた。展示作品リスト2014によれば全部で60点。そのうち1994年の画集収録作品後のものは16点くらい。伝統を踏まえたリアリズムの饗宴。独特の匂い、色調そして通底奏音は哀しみと人間愛、これこそ水村ワールドの真骨頂。


20年振りにお会いした水村喜一郎画伯は、Mizumura2_3多少年老いたものの元気そのもの。昔お会いしたと似たような洋服を着て喋りも歯切れがいい、やはりタフさを感じた。
「よっ、久し振り、遠くからすみません」と画伯、早速持参した手土産を手渡した。こちらの来るのを大分待った感じだ。覚えてくれて嬉しかった。
「一杯呑みたかったが、急用があってこれから自宅に車で帰らなければいけないので。今度また会おう」と言って出て行った。筆者らは“管理人”の純朗さんに少しばかり話を聞いた。喫茶店『千曲川』にもお邪魔した。すぐ近くに千曲川が流れていてとても素敵な場所のようだ。誕生日記念のいい小旅行になった。水村喜一郎画伯親子に感謝である。!

追記 近くにはこの美術館から先を左折してすぐに蕎麦屋『ふくしま』があって、その蕎麦は美味いとまた、海野宿もありますよとは純朗さんが教えてくれたが、時間なく寄れなかった。海野宿は古く寛永2年(1625年)に北国街道として開設され、江戸時代の旅籠屋造りと明治・大正時代の蚕室造りが調和して現在まで残されているらしい。ネット「水村喜一郎マップ」から。

追記2 チケットと「鉄橋の下船が行く」の絵葉書

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クロカル超人が行く 191 長野県東御市『水村喜一郎美術館』 2

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2014/05/04

クロカル超人が行く 191 長野県東御市『水村喜一郎美術館』

「小諸なる古城のほとり」

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も藉(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど          
野に満つる香(かをり)も知らず
浅くのみ春は霞みて           
麦の色わづかに青し
旅人の群はいくつか           
畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず          
歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよふ波の           
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて       
草枕しばし慰む


「千曲川旅情の歌」-落梅集より-

                       

上記は有名な島崎藤村の詩だが、その舞台からそう遠くない、長野県東御市にある個人美術館『水村喜一郎美術館』を訪ねた。訪ねたのはこの詩より遅い新緑の季節。この美術館については去年9月のこのコラムで多少触れた。筆者は何度か週末の休みを利用して出かけようと試みたが、やっと実現出来たのはコラムを書いてから8カ月後のゴールデンウィーク最中の5月4日、しかも筆者の誕生日と重なった格好だ。これはひょっとしたら特別な日のイベントととして記憶に残るかも。
長野新幹線上田駅からしなの電鉄線に乗り換え二つ目の大屋駅に到着したのは午後2時6分。長野新幹線の指定席は朝早くかこの時間帯しか取れなかったため午後になってしまったのだ。この辺は初めて降り立ったところなので皆目地理が分からない。筆者らはともかく簡単な地図をたよりに歩き出した。昔栄えた街道を思わせる蔵や格子戸のある旧い家を眺めながら歩くこと25分、途中農作業中の土地の人に道を訊くも、「まだなの、早く携帯で確かめてよ!」と100メートル後方を歩き疲れた風の声で家人が言うと、「あのあたりだから…」と農道と新しい一戸建てが並ぶ通りを過ぎて少し大きな道路に出ていた筆者が応えた。やがて桃の花が咲き並ぶミニゴルフ場を過ぎてすぐ右手に白亜の一軒屋が見えた。数分後洒落た造りの比較的大きな家に着いた。ここが水村喜一郎美術館だ。エントランスは少し注意しなければ美術館だと気づかずに通り過ぎてしまうほどだった。ここが本当に水村喜一郎の個人美術館と一瞬疑ったほど。それもそのはず、何日から何日まで開催中と書いてあったので間借りしているのかなと恐る恐るドアを開けて、館内の住人につい訊いてしまった。「ここは水村喜一郎美術館ですか」すると「はい、そうです」と若い男性が応えてくれた。あまりにも控え目な館名でむしろ併設されている奥の喫茶店『千曲川』の看板の方が目立っていたのだ。しかし見方を変えれば、それはとある教会のエントランスを連想させた。

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