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2014/05/04

クロカル超人が行く 191 長野県東御市『水村喜一郎美術館』

「小諸なる古城のほとり」

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子(いうし)悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も藉(し)くによしなし
しろがねの衾(ふすま)の岡辺(おかべ)
日に溶けて淡雪流る

あたゝかき光はあれど          
野に満つる香(かをり)も知らず
浅くのみ春は霞みて           
麦の色わづかに青し
旅人の群はいくつか           
畠中の道を急ぎぬ

暮行けば浅間も見えず          
歌哀し佐久の草笛(歌哀し)
千曲川いざよふ波の           
岸近き宿にのぼりつ
濁(にご)り酒濁れる飲みて       
草枕しばし慰む


「千曲川旅情の歌」-落梅集より-

                       

上記は有名な島崎藤村の詩だが、その舞台からそう遠くない、長野県東御市にある個人美術館『水村喜一郎美術館』を訪ねた。訪ねたのはこの詩より遅い新緑の季節。この美術館については去年9月のこのコラムで多少触れた。筆者は何度か週末の休みを利用して出かけようと試みたが、やっと実現出来たのはコラムを書いてから8カ月後のゴールデンウィーク最中の5月4日、しかも筆者の誕生日と重なった格好だ。これはひょっとしたら特別な日のイベントととして記憶に残るかも。
長野新幹線上田駅からしなの電鉄線に乗り換え二つ目の大屋駅に到着したのは午後2時6分。長野新幹線の指定席は朝早くかこの時間帯しか取れなかったため午後になってしまったのだ。この辺は初めて降り立ったところなので皆目地理が分からない。筆者らはともかく簡単な地図をたよりに歩き出した。昔栄えた街道を思わせる蔵や格子戸のある旧い家を眺めながら歩くこと25分、途中農作業中の土地の人に道を訊くも、「まだなの、早く携帯で確かめてよ!」と100メートル後方を歩き疲れた風の声で家人が言うと、「あのあたりだから…」と農道と新しい一戸建てが並ぶ通りを過ぎて少し大きな道路に出ていた筆者が応えた。やがて桃の花が咲き並ぶミニゴルフ場を過ぎてすぐ右手に白亜の一軒屋が見えた。数分後洒落た造りの比較的大きな家に着いた。ここが水村喜一郎美術館だ。エントランスは少し注意しなければ美術館だと気づかずに通り過ぎてしまうほどだった。ここが本当に水村喜一郎の個人美術館と一瞬疑ったほど。それもそのはず、何日から何日まで開催中と書いてあったので間借りしているのかなと恐る恐るドアを開けて、館内の住人につい訊いてしまった。「ここは水村喜一郎美術館ですか」すると「はい、そうです」と若い男性が応えてくれた。あまりにも控え目な館名でむしろ併設されている奥の喫茶店『千曲川』の看板の方が目立っていたのだ。しかし見方を変えれば、それはとある教会のエントランスを連想させた。

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