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2012/11/23

クロカル超人が行く 170 ノルウェーウィーク 4日目 中村孝則氏講演「中村孝則氏に聞く、ノルウェーの魅力」

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東工大大学院社会理工学研究科主催のノルウェーウィークなるイベントを観に出かけた。今年で4年目、過去にはフィンランド、デンマーク、スウェーデンの北欧の国々を取り上げ、今年はノルウェー。すでに今週始めから開催されていて3日間ー一部にノルウェー人の翻訳家Yngve Johan Larsen氏の講演もあって聴きたかったがーはスキップ、4日目の第一部だけ聴講。北欧の大学と交流しながら北欧の人間主義を学ぶことをテーマに開催してきたとは関係者の話。『ノルウェーウィーク』開催にあたりのチラシで研究科長の飯島淳一氏は、インスティテューションの違いを超えて、北欧モデルをどのようにしてわが国に適用するかについての解(ソリューション)を提案することが、このプロジェクトの最終目的ですと書いている。
NHKBS1で月曜〜木曜放送の番組「エルムンド」の火曜レギュラー、コラムニストの中村孝則氏Ncm_0490_2が「Norwegian lifestyle design」というタイトルで講演した。予定の時間を10分以上オーバーして約1時間熱弁。無料なので多くの聴講者があるはずと踏んでいたが、そうでもなくせいぜい80人位だった。しかも中高年、特に女性が多かったみたい。ひよっとすると中村氏ファンの女性もいたりして・・・。
彼はノルウェーの親善大使を務めているだけあって場慣れしている感じだ。パワーポイントも駆使してプレゼンのやり方も心得ている。講演内容も要を得たコンセプトで“Norway now“を語っていた。筆者は40年以上前の“Norway now”の本やドキュメント類は持っているが、時代は大きく転換したのだ。それもそのはず、当時の人口は440万位、今スウェーデンもそうだが人口増加に成功している。ノルウェーにいたっは50万人増の490万人、それでも福岡県の人口である。国土は日本とほぼ同じ面積。筆者の想い出は益々セピア色ー。
さて、中村氏の講演の骨子は、1、観光をデザインする、2、コミュニケーションをデザインする、3、セキュリティーをデザインする、4、フリルスリフ(frilufsliv自然と共にいきること)をデザインする、の4つのキーワードを中心に”Norway now”をデザインの視点で切り結ぶ。今や北欧の家具はデザインといい機能性といい優れていて、日本でもたくさんのファンを持っている。ノルウェーもその一つ。ここで注目すべきことは問題解決をデザインの基礎にしていることだ。それは貧しかった国柄に由来していることらしい。面白かったのは灯台をホテルにとか、薪ストーブ(震災後に国連援助物資リストから送り込もうしたが、使い方の認識のズレで1万台が見送られたこと、その後非常時にはお湯も沸かせる貴重な暖房ツールとしての理解が深まり、今やっと陸前高田市に一台設置されたという)の住宅設置問題で賛否両論が沸き起こり住民投票の結果結局否決され、また従来通り住宅に設置するいう話など示唆に富むストリーも。それは自然の過酷さに知恵を働かそうとするノルウェー人の生活の処し方かも。また、セカンドハウスとして山小屋を持つことも子供の教育に欠かせないらしい。携帯もパソコンも持たず電気のない生活で自然と接する機会をつくり家族の絆を深めることの意味も込められているという。高校時分に接したノルウェー人の女性も夏になると故郷に似ている軽井沢によく出かけていたことを想い出した。
世界最長のトンネル(ラールダーントンネル、24.5km)には斬新な光のデザインが各所に施されている話も、ノルウェーのデザインに賭ける国家戦略が伺えて興味深い。つい最近ノルウェーの女性首相が来日して、温暖化現象で北航路ができれば、日本とノルウェーの、特にノルウェーの北部に位置するトルムソはヨーロッパで一番近いところになるし、石油他貿易が活発になると力説したという。遠い国が短かになると。それにしても、ノルウェーは40%が女性を占めることを立法化した国柄。国会議員、会社の取締役それに公務員等々。男性の育児休暇は1年もある、福祉先進国だ。ある民放のテレビである学者か政治家が言っていたことが脳裏を霞んだ。日本と北欧諸国とは人口比で比べものにならないと一刀両断、こういった無知かつ傲慢な発言が国のカタチをおかしくするのだ。見習うことは貪欲に吸収した方がいい。ノルウェーは社会的実験が成功している国だというが、すべて良いとは言えないと、その後のO&Aでノルウェーのいわば影の現実を語った初老の聴講者。”luxury”の人中村孝則氏、デザインすることで国力をあげることも大事だが、反面影の部分にも目を向けるべきだろう。高福祉高負担の行く先だ。また、オーロラ観光に行きたいが本当に見られるのかとの女性らしい質問もあった。自分の最近の体験を交えた中村氏の答えは明快でかつ朗報もの。2014年まではオーロラは当たり年で、北部の都市トルムソに二三日滞在すれば見られるらしい。10万円もあればオーロラ観光はできると中村氏。
筆者は自称北欧ウオッチャーのつもりでいるが、いろいろと目配りしているつもりでも新鮮な情報がときに漏れることもあるのだ。この「ノルウェーウィーク」もたまたま直前で偶然知った。インターネットの普及で以前と比べて断トツに情報量が増えたことと細分化も進む中、日本の住空間に北欧デザインアイテムが相当入り込んで来ている。北欧デザインは新たな生活スタイルの発信基地にもなって来ているのだ。それだけ魅力のある国なのだ。開かれたノルウェー王室のホームページの話も興味深かったが、その話はいつか。
今年5月に渋谷は富ヶ谷にオープンしたオスロが本店のカフェ「フグレンFuglen」の海外1号店。今やノルウェーコーヒーのうまさは世界一とか。そのコーヒーが会場で提供された。コスタリカ産のコーヒーだが適度な酸味とまろやかやがあって今までのコーヒーとは一味違っていた。コーヒー好きな方は出向いてみたらいかが。
時間の都合で第2部のグリーグが愛した幻の楽器ハルダンゲルヴァイオリンNcm_0489による演奏は聴けなかった。そのハルダンゲルヴァイオリンがこれ。会場で筆者が撮影したもの。奏でる音色を聴きたかったが・・・。

因みに「ノルウェーウィーク」のスケジュールとタイトルは下記の通り。
第1日目 : 11月19日(月)体験「みんなでつながる ノルウェーの音」 講演・討議「ノルウェーと日本の科学技術交流」 第2日目 : 11月20日(火) 講演「オーロラの秘密 地球と宇宙」「北極から地球をさぐる」 シンポジウム「持続可能な社会へむけてーノルウェーと世界の取組み」 第3日目 : 11月21日(水) 講演「ムンクの芸術」「翻訳について語るときにノルウェー人翻訳家が語ること」 第4日目 : 11月22日(木) シンポジウム「戦略コンペ 地域ブランドと大学ブランドの共栄」  第5日目 : 講演「中村孝則氏に聞く、ノルウェーの魅力」 演奏・講演「美しきノルウェーの音楽グリーグの愛した幻の楽器・ハルダンゲルヴァイオリン」試飲「オスロのカフェ“フグレン”のコーヒーサービス」 場所 : 東京工業大学大岡山キャンパス 西地区 西9号館
来年はアイスランドを企画中らしい。今朝の民放の情報番組で冬のアイスランドを紹介していたが。楽しみだ。
最後に一つ。コラムニスト中村孝則氏はノルウェー大使館と共同でフリーペーパー「Style NORWAY MAGAZINE」を出していて現在7号、この中には中村氏自身の紹介記事も掲載されている。彼はノルウェー大使館からHr.Style Norwayに任命されている。Hr.Style Norway とはノルウェーの魅力を伝える人物に与える、ディプロマとして2010年に設立された。

追記。ついに『Fuglen Tokyo』に出かけてコーヒー(この日のコーヒーはブラジル)をテイクアウト。M先生の研究室に伺う前にコーヒー持参と思って来たのだ。じっくり店内でコーヒーを嗜む時間はなかったが多少雰囲気は味わえた。この辺は松濤、高級住宅街とあってオシャレな店が多い。筆者には縁がないが―。
ところで、ここからM先生の研究室のある大学までタクシーで行かないと約束の時間に間に合わない。多少焦りながら交差点近くでタクシーを拾おうと必至だった。そのことに夢中で持っているコーヒーが少し零れていたことに気が付かなかった。原因は持ち運び出来るコーヒーカップの飲み口のところをテープで留めてもらっていなかったことだ。サービスが悪いねと怒っても仕方がない。とうとう先生の研究室までそのまま持ち込んだ。そしてテッシュなどで拭きながらM先生と飲んだのだった。我ながら不覚。
さて、そんな慌ただしいときであっても店の写真は撮った。
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『Fuglen』のオスロ本店と東京店のWEB SITEはこちら→http://www.fuglen.no

追記。ノルウェーのカフェでコーヒーが美味いのにはそれなりの理由が。それはすばらしいバリスタの存在があるからだ。何でもノルウェーはバリスタの世界大会で好成績を上げているという。

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