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2012/09/28

クロカル超人が行く 165 新宿紀伊國屋書店「サザンシアター 」の谷川俊太郎の講演会 続々

谷川俊太郎氏への質問者は若い女性、男性、中年、高校教師など7、8人だった。ごくありふれた質問から解答者の谷川俊太郎氏を困らせたものまで多様。その中で特に鉄腕アトム(アニメの主題歌は谷川俊太郎作詞)が何で好きかの質問も単純で意外性があったが、興味を引きつけたのは高校教師の質問だった。

「生徒からの質問で、谷川俊太郎さんの詩の解釈で困っています。くしゃみという語が出てくる一編で、このくしゃみをどう解釈すれば良いか解りません。お教えて下さい」(確かこのような質問内容だったと記憶している)
「こういう解釈だという一定のものはありません。個人個人自由に感じたまま解釈すればそれで良いのです」
「それでは生徒に答えられないのですが」
「詩はいろんな解釈があって良いのですよ」
「ううん」

といったやり取りで、ときにドッと笑いが起きたのだ。

谷川俊太郎は1953年、詩人三好達治の推薦で「文學界」デビューを果たす。若々しく鮮烈なデビューである。そもそもは友人に誘われて詩をノートに書き留めたのが始まりだったという。デビュー後は喰うために無我夢中でいろんな仕事をしたらしい。だから当時3万円くらいは稼いでいたと。ただそういう一時期の詩には自己韜晦もあったと貴重な証言も聴けたのだ。

詩は突然やって来るとは谷川俊太郎氏の持論。ミューズがいつでもすぐに降りて来てくれる類い稀な人間なのかも?今さら詩人―。その昔ジャック
・プレヴェール(「枯葉」の作詞家)というフランスの詩人もいた。平易なコトバの魔術師、その鋭い感受性は二人に共通しているのだ。

二十億光年の孤独

人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間が欲しがったりする

火星人は小さな球の上で
なにをしてるか 僕は知らない
(或はネリリし キルルし ハラハラしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨らんでゆく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
ぼくは思わずくしゃみをした

(集英社文庫 谷川俊太郎詩選集)

Two Billion Light-Years of Solitude

Human beings on this small orb
sleep, waken and work, and sometimes
wish for friends on Mars.

I've no notion
what Martians do on their small orb
(neriring or kiruruing or haraharaing)
But sometimes they like to have friends on Earth.
No doubt about that.

Universal gravitation is the power of solitudes
pulling each other.

Because the universe is distorted,
we all seek for one another.

Because the universe goes on expanding,
we are all uneasy,

With the chill of two billion light-years of solitude,
I suddenly sneezed.

(Translated by William I. Elliot and Kazuo Kawamura, Shueisha, 2008)

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