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2012/02/13

超人の面白映画鑑賞 ベルイマン監督 『不良少女モニカ』

超人の面白映画鑑賞ベルイマン監督『不良少女モニカ』

イングマール・ベルイマン監督の1953年作品『不良少女モニカ』(原題: Sommaren med Monika)を図書館所蔵のレーザーディスク版で観た。つい先だって見に行ったマルチメディアによるベルイマン展示会のしおりを読んでいるうちに、この際にできる限りの作品を観てみようと考えたのだ。もちろん昔観た映画が全く忘れていたり、その時は気が進まなかったりとスキップした映画もあったからだ。
『不良少女モニカ』は日本でいえば昭和28年制作の映画で白黒、ストックホルム南部の労働街で働く若い男女の一夏の“大人ごっこ”が主テーマ。上映時間92分。さりげない日常に反抗して一時の夢を見て行動するが、結局更に重い日常に連れ戻されて行く格好。

映画は春の兆しが見える、どんよりとした空の下小さな船着場を写し出すところから始まる。ハリーはストックホルム南部の労働街の陶磁器会社で配達係として働く真面目そうな19歳、一方、タバコをくゆらし、一見男慣れしているように見えるモニカも八百屋で働く17歳、二人はカフェで知り合う。貧乏人の子だくさんで粗暴な父親が嫌いなモニカと気弱そうなハリーはお互いに家庭の不満などで共感、恋に発展していく。ハリーは奔放で野生味のあるモニカに、モニカは実直なハリーに惹かれていつかは一緒に暮らしたいと思っている。モニカは銀婚式の日に酔った父親が暴力を振るったことで家出をする。ハリーは同情し、父が病気で留守の間家事を手伝っている伯母に、体のいい理由を語り寝袋他を運び出して父のボートで暮らし始める。ストックホルム郊外の二人の船上での暮らしは享楽的。やがて妊娠するが、途中嫉妬心の強い仲間にボートに火をつけられる事件も起きるが打ち勝つ。そんな開放的享楽的な暮らしでは食糧も底をつく。モニカは別荘に入り肉塊の盗みを働くが、モニカの危険を顧みない行動に比べて臆病者のハリーに対してモニカが怒りをぶちまけ、二人の関係がまずくなる。
子どもができる前にハリーの伯母が取り持ち結婚する。ハリーはエンジニアを目指し家庭を守るためにも工場で懸命に働く。すぐに長女が誕生、しかしモニカは赤ん坊と貧乏な生活に耐え切れず昔の仲間と浮気してしまう。それを出張帰りに目撃したハリーはモニカと別れる。季節は楽しかった夏が過ぎ落ち葉が舞い落ちる初冬にさしかかっていた。ハリーは子どもを引き取り新たな生活をめざす決心をする。映画はここで終わる。以上があらすじ。

この青春映画の原作はペル・アンデルス・フォゲルストレームの短編小説。主演は新人のハリエット・アンデション、ラルス・エクボルイの二人。特にハリエット・アンデションの野生味溢れる体当たり的な演技が光っている。ものの本によれば、この時ベルイマンも私生活では二度の離婚で子どもを養わなければならなかったので生活は苦しかったらしい。
ハリエット・アンデションの体当たりで新鮮な演技には目を見張るものがあるが、特に海辺で陽をたっぷり浴びようと裸でくつろぐシーンは開放的と同時に、自由奔放さを感じさせる。若者の反抗とも受け取れる。

みんな幸せなのにどうして私たちは幸せではないのとモニカの台詞、肉塊を盗み森の中で噛りつくシーン、また、ラストシーン近くでハリーの伯母が家財道具を引き払う時に少しでも高く買ってもらう交渉をしているシーン、そしてラストシーン。ハリーが以前働いた店の前を通り、鏡に写る自分の顔を見て思いの外老けたことに気づくシーンなどが印象に残った。しかし前述したがベルイマン自身の私生活にせよ、映画芸術にかける意気込みにせよ、この同時の心境が反映しているのは確かだ。それを青春映画に投影したのだ。フランスのヌーベルバーグの旗手たち、とりわけトリフオーに影響を与えた映画。

こう書き終えて、さりげなく易しいスウェーデン語が謳い文句の新聞の電子版に目を通していたら、今年は(2012年)ベルイマン自身も大分影響を受けた「アウグスト・ストリンドベリィ年」とその文化欄は報じていた。そう言えば、ベルイマンの卒論はストリンドベリィだった…。

【写真:『ベルイマンを読む』より】


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