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2012/01/18

超人の面白読書 90 ノーベル文学賞受賞者スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル氏の作品を読む 42

当時私はすべての宗教に対して無神論者だった。確かに私は一度も祈らなかった。数年後に危機がやってきたなら、ある黙示として経験できたはずだ。私に起きたこと、それは釈迦の4人の邂逅者(老人、病人、死人そして物乞う僧)みたいだ。私は無意識に侵入した変人や病人に対して多少哀れみの感情や怖れない感情をどうにか持ったはずだ。しかしその時に戻って恐怖にとりつかれていたならば、宗教色に染まった解釈は私には役立たなかったのだ。祈らなくも音楽で悪魔祓いをしようと思えばできた。私は熱心にピアノを叩き始めた。
そうしてずっと成長してきた。秋季学期の始めに私はクラスで一番背が低かったが、終わりには一番背が高くなっていた。私の中に棲みついた恐怖は植物が急に成長するのを手助けする化学肥料的な役割を果たしたのだ。
冬が終わりかけ日が長くなった。今奇跡的に私自身の中の暗闇が引いた。少しずつだが事は起こったが何が起こっていたのかよく理解するには時間がかかった。ある春の夕方、私の恐怖は今端なものだと解ったのだ。私は深く考えたり煙草を吹かしたりしながら友達と座った。蒼白い春の夜に歩いて帰宅するときだった。家に待っている恐怖に私は怯えなかった。私が加担してしまったもの、おそらくは私の一番大事な経験だろう。でも終わった。地獄だったが煉獄だったと思った。

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