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2012/01/23

超人の面白読書 90 ノーベル文学賞受賞者スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル氏の作品を読む 43

ラテン語

1946年の秋私は高等学校のラテン語コースに入学した。新しい先生の登場だ。モッレ、サターン、スレマン(スレ=さえない)に替わってフャーラル、フィード、リッラン、モステル(おばちゃん)やボッケン(山羊)のような人物だ。最後の名前が一番重要だった。彼は担任で私たちの個性が潰されたと思いたいほど私に影響を与えた。
私の先生になる数年前、私たちは劇的な接触の瞬間があった。ある日私は遅れて学校の廊下を走っていた。もう一人の少年が私と反対方向で突進して来た。似たようなクラスにいたGで雄牛としてよく知られていた。衝突を全く避けようとしなかったので向き合って急に止まった。この急なブレーキで勢いあまる攻撃を封じ込められたが私たちは廊下にぽつんと置き去りにされた。Gは右手の拳を出して私の上腹部をなぐった。私は目の前が真っ暗になり床に倒れた。19世紀の小説の中における独身女性のように唸った。Gが消えた。暗さが晴れてくるにつれて私は曲がっている一本の指にチカチカした星印があるのに気がついた。やつれて喚き、「どうした?どうしたんだ?」と絶望したかのように繰り返し声を出し続けた。そのとき私はピンク色の顔と白チョーク色のとても身綺麗な顎髭を見たのだ。顔の表情は心配している様子だった。
その声や顔からラテン語やギリシャ語を教えているペール・ヴェンストルム、別名ペッレ・ヴェンステル(左の意)、別名ボッケンだったと判った。彼は私が床にどっしりと倒れている理由について何も質問しなかった。彼は私が助けを借りずに歩けるのを見て満足そうだった。ボッケンが心配して現れ、手助けをしようとしたので、私は彼が良い人だという印象を持った。その印象は後々まで続き、私たちが心配事があるときでもそうしてくれたた。
ボッケンはかっこよく本当に芝居じみていた。彼は普段は白い顎髭を生やし、つばの広い帽子を被り、短いコートを着ていた。冬の外での最低の着飾りだ。ドラキュラの格好だとはっきりわかるのだが。ちょっと離れて見れば彼は優秀で着飾っていたが近寄って見れば彼の顔は無力そのものだった。
彼の特徴の半ば歌うような抑揚はゴットランド仕込みだった。

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