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2011/10/27

超人の面白読書 90 ノーベル文学賞受賞者スウェーデンの詩人トーマス・トランストロンメル氏の作品を読む 10

スウェーデン語の原著ではこの辺に写真が一葉挟み見込まれている。それは1933年ルンマレ、母の父、カール・ヘルメル、従兄のマルギットと一緒の母、ヘルミー、父、イエースタそして小さい頃の著者である。この写真には珍しく離婚前の父の姿がある。祖父は威厳ありげ、母は美人で優しそう、父は頼りなさそうな感じ、やんちゃな著者は砂遊びをしている。1933年といえば和暦で昭和8年、ヒットラードイツの台頭、日本でも軍部が強くなっていく時代。
写真のついでに少し「私訳」から離れて日本での紹介記事を見てみよう。

トーマス・トランストロンメルは早くから俳句を嗜んでいたことでも知られている。ここに詩誌『現代詩手帖』1999年9月号に載った俳句抄をエイコ・デューク編訳で拾ってみたい。

高圧線の幾すじ―
凍れる国に絃を張る
音楽圏の北の涯。

生きねばならぬわれら
細かく生え揃う草と
地中の嘲笑と。

つがいの蜻蛉
固く絡んだままの姿
揺らぎ揺らいで飛び去る。

『悲しみのゴンドラ』から

綴り違えたいのち―
うつくしさはなほ残る
刺青のように。

少年がミルクを飲み
おそれもなく眠る独房
石造りの子宮

『収監所』から

地の底深く
すべり動くわたしの魂
彗星のように音もなく。

絶望の壁……
行き交う鳩たち
顔は持たずに。

歩廊の情景。
なんと不思議なしずかさ―内面の声。

『大いなる謎』から

最初の3行だけスウェーデン語と英訳を記そう。

Kraftledningarna
spända i köldens rike
norr om all musik.

The power lines streched across the kingdom of frost
north of all music.

写実、諧謔、イメージの膨らみ、鮮烈そして凝縮、これが見事に
現れているのが17文字の世界、俳句である。その魅力に取りつかれたトーマス・トランストロンメル氏の詩群、短いながら鮮烈、その飛躍がまたいい。

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