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2010/12/21

超人の面白読書 78 ノーベル文学賞作家 ペール・ラーゲルクヴィスト著 尾崎義訳『バラバ』

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 Alla vet hur de hängde där på korsen och vilka som stod samlade omkring honom, Maria hans moder och Maria fråm Magdala, Veronika, och Simon från Cyrene, som bar korset, och Josef från Arimatea, han som svepte honom.

 彼がどんなふうにあの十字架の上に垂れさがっていたか、また彼のまわりに誰々が集まっていたか、それが彼の母マリアとマグダラのマリア、ヴェロニカ、十字架をかついだクレネのシモン、それに彼を布で巻き包んだあのアリマテアのヨセフであったことなどは、だれでも知っている。(尾崎義訳『バラバ』冒頭より 岩波文庫 1989年第9刷)

 これが新約聖書を題材にして書かれたペール・ラーゲルクヴィスト作『バラバ』(Barabbas)の有名な冒頭部分。因みに最後の二行はこう書かれている。

―おまえさんに委せるよ、おれの魂を。
そしてかれは息たえた。

 はて、この"おまえさんに委せるよ、おれの魂を゛のフレーズ、バラバを現代人と捉えれば、このおまえさんとは誰か ? 作者は問いかけている。答えはなかなか見つけにくい……

 冒頭のスウェーデン語は、長らく仕舞い込んであった『バラバ』の原本『Barabbas』のコピー。日付は1972年1月12日と書き記されている。ある研究所内での講習会でのテキストだった。
そして今頃になって尾崎義訳岩波文庫でこの本を読んだ。ずっと埋もれたままだったが、筆者のわずかな蔵書整理中に出てきたのでこの機会に一挙に読んだのだ。
不条理―。なつかしい用語だが、ある本にはこの著作のことについて簡潔に書かれていた。

 Barabass(1950), the work which has now given Pär Lagerkvist an international reputation, deals with the eternal dilemma of those who try to believe but incapable of un questioning belief.

 ―from A Swedish Reader With Introductions and Notes by P. Brandberg and R.J.McClean , University of London, The Athlone Press, 1963.

 この本はイエス・キリストの身代りに釈放された盗賊バラバの数奇な運命を描いた秀作。ゴルゴタの丘での出来事が―。
【写真左上: ノーベル賞文学全集 19(主婦の友社昭和47刊)より】

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