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2010/10/12

超人のジャーナリスト・アイ 130 今年のノーベル賞

 昨日発表のノーベル経済学賞受賞者がアメリカの2人とイギリスのキプロス国籍を持つ経済学者に贈られて、これで今年のノーベル賞がすべて発表された。その中で特記すべきことは、ノーベル化学賞にアメリカ人の学者と日本人2人を含めた3人が受賞したことだ。有機化合物の革新的な合成法を開発した鈴木章・北大名誉教授(80)、根岸英一・アメリカパデュー大特別教授(75)、リチャード・ヘックアメリカデラウェア大名誉教授(79)の3氏だ。2種類の有機化合物を、金属のパラジウムを触媒に使って結合させる化学反応「クロスカップリング」と呼ばれる手法をそれぞれ独自に開発、医薬品製造やエレクトロニクスの分野で、様々な新しい物質の合成を可能にした功績が評価された(2010年10月7日付毎日新聞朝刊)。これで日本出身者の受賞は、医学生理学賞1、物理学賞7、化学賞7、文学賞2、平和賞1の18人。
 一つ気懸かりなことは今年のノーベル平和賞だ。ノルウェーのノーベル平和賞委員会は、満場一致で中国の反体制運動家で服役中の劉暁波氏に贈ることを決定したが、これが中国政府を刺激している。中国政府はノルウェー政府と漁業交渉などの会議を見送り両国間がギクシャクしているとマスコミが連日報道。去年はアメリカのオバマ大統領だった。受理するか話題になったし、受賞演説も何かと物議を醸したことは記憶に新しい。ノーベル平和賞は現実的すぎるからか話題には事欠かない。それと今年もノーベル文学賞の候補者になっていた村上春樹氏だが、受賞者はペルー出身のマリオ・バルガス・リョサ氏(74)だった。ファンがその知らせを固唾を飲んで待っていたが残念、また来年にとテレビが悔しそうな比較的若い男女の集団を映し出していた。
 昨夜某テレビ局のBS放送で「ノーベル賞・知の冒険と葛藤」という番組を放送していた。途中から視たのだが、なかなか面白かった。湯川秀樹の物理学賞には長岡半太郎の強力な推薦があった事実。また、長岡半太郎が推薦する学者は100%受賞していて、関係者にはミスター100%と呼ばれたエピソードも披露。同じく後に物理学賞を受賞した朝永振一郎と湯川秀樹は年の差もあまりなく良きライバルだったなど、今だから訊けるノーベル賞の舞台裏に迫っていた―。ノーベル経済学賞は成り立ちも違い、また、同じ科学でも経済学は社会と人間を扱うから評価と言ってもなかなか難しいらしい。戦後世界経済をリードし続けたアメリカが圧倒的に強い。フリードマンやハイエクが代表的、日本はまだこの分野では受賞者はいない。ゲスト出演した慶大の金子勝教授が経済学の学問の発展と社会貢献を手短に説明するも、ノーベル経済学賞受賞者でもその後にその理論が通用しなくなっていることもあると鋭い指摘をしていた司会の一人、タレントの山田氏。また、イギリスの2人の学者がDNAの構造が二重螺旋構造であることを発見してからこの分野は分子生物学として発展、最近の研究ではゲノムの解析、それにより遺伝子組み換えが可能になり、人間も優秀な頭脳や美形などを人工的に作り替えることが可能になってきた。また、今年最有力のノーベル賞候補だった京大の山中教授のiPS細胞の研究は、特に難病患者には朗報でまさに夢の医療だ。皮膚から取り出した細胞をある細胞を媒介することで初期化し新たに再生する仕組みだ。使い方や科学の進歩を過信すれば、人類の方向性が危ぶまれる最も危険なところでもある。倫理観と想像力が求められるとはこの番組に出演した全員の一致した意見だった。
最近ガンバリズムが著しい韓国だが、日本人2人のノーベル賞受賞者が発表された日の韓国の新聞が、まだ一人も受賞者が出てないことを嘆き、奮起を促していたと日本の新聞が伝えていた。いずれにせよ、今やノーベル賞は世界的な影響力を持ち始めているのだ。


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