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2010/04/03

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 59

 ナオミの転寝は佳境に入っていた。
 ミルクプラントが良かった時期はこの10年間位の時期だったか。ナオミが小学生の低学年の頃、高学年には事業にも陰りが出て、家族には家の犠牲になる者も出たのだった。その時には一応家族会議めいた会合が玄関を入ってすぐの居間で開かれたが、当然父は自分の意見を通した。家族を養っていかなくてはいけないから、誰かを外に出さなければならなかったのだ。そこにはやり切れない思いが子どもたちにはあった。まだ学業半ば、上級学校への門戸は開かれていたはずだったし、当人も当然そう思っていたはずだ。事業を持続させていくにはそれなりの覚悟が必要だが、それを乗り越えていく何かが必要なこともまた、事実だった。怒号が飛び交う、そんな修羅場より解決に向かう暗黙の了解が漂っていた。確か「たこや」、この響きはナオミの鼓膜に末長く張り巡らすことになる。いつの世も栄枯盛衰はつきもの、家族に犠牲者は出さないと誰が言えるか。そこに生を受けた者とってはある意味での運命だったかもしれない。仕方がないな、と呟きが長男にはあったのだ。兄弟はいたし。母は泣いていた。それから長男は外での稼ぎに回された。二転三転、結局どういう計らいかは知らなかったが、親戚の事業の参画で落ち着き、ある時期まで事業展開の推進役を担った。この頃にはミルクプラントはすでにその役割を終えていた。看板の黄色板に書かれていた青色のミルクプラントの文字はペンキが剥がれて文字が霞んでいた。

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