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2010/03/31

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 58

 飛び込み台などはないから、ちょっとした勢いをつけて飛び込んだ。ザブーン、しかしその後飛び込んだ川が深かったのと流れが多少あったので、アップアップ状態、5分ぐらい水を飲んで浮いたり沈んだりしていた。丘の上の年長者たちはナオミの下手くそな泳ぎ方にそれ、みろ、と言いたげな笑い声が聞こえた。これも肝試しなのだった。川は浅いところと深いところがあって、岸より近くが水面の色具合でも分かるのだが、水深3メートルくらいはあったはずなのだ。溺れかかっている本人としてみれば、まさに藁をも掴みたい心境だった。年長者たちの中には泳ぎ方が上手い者もいて、すいすいと川を横切って遠くの向こう岸まで辿り着いていた。ナオミたち年少者は小さな中洲に辿り着くのがやっとで川の流れに逆らえなかった。下手すると身体ごと流されてしまうことだってあったのだ。今でこそこんな光景は見られないけれども、その原因はというと水質汚染や川の蛇行で遊泳禁止になってしまっていることだ。それよりも川が全体的に浅瀬になっていて昔の面影がなく、景観が一変したことだろう。やはり川は生きているのだ。今は違った現象が多い。夏にはゲリラ豪雨、秋には台風の変質した集中豪雨など異常気象が地球を覆って自然災害が多発しているのだ。
 N川のほろ苦い想い出に少しばかりわさびの効いた話も添えておこう。今でも時々ニュースになることもあるお騒がせ人間たちの話だ。
 遊泳のポイントは限られていたが、ワルガキ隊はつい冒険心に駆られて未知なるところまで行ってしまったのだ。何の目的かは忘れたが、ただ単にその川中にあるK島―竹が生い茂っていて畑もあった―に泳いで辿り着くだけの単純な発想だった思うが、これがいけなかった。台風が接近していたため、島に辿り着いてしばらくして天候が急変、雨が振り出して川の水かさが増し、流れが急に速くなったのだ。ワルガキ隊がK島に取り残されてしまったのだ。家族が救出願いを出したのか消防隊員や警察官が駆けつけた。雨の中のゴムボードでの救出作業は大掛かりだった。全員救出にほっとしたが、後味の悪い出来事だったようだ。ナオミも野次馬よろしく事件現場にいたのだ。翌日の新聞に写真入りで救出模様が載った。
 川中のK島を少し下ると、この辺の集落では有名なI堰がある。その堰の真下はよく鮎などが獲れた場所だった。

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