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2010/03/13

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 55

 まだ夢の途中―。今度は顔が強張る場面だった。ジグザグ、ジグザグ―。思わず恐怖で目が覚めた。ここはどこ―。
公民館。映画は日にちをおいて2本上映された。螺旋状の遠い記憶が蘇った。

 ど―どどどとと、ど―どどどとと、かぜのおとがひびく、どこかのどてにたたずむおとこ、ど―どどどとと、ど―どどどとと、ふきつけるかぜのおとがひびきわたる、ここはどこ、わたしはだあれ? ふうけいはのっぺらぼう、まんとをまとったおとこがたっている、とおくにはまっちばこみたいないえいえがたちならぶ、おぞおぞしい、ものとーんの、こうりょうとした、むごんのにちじょう、しょうがくこうのきょうしつのぽつんとしたじょうけい、ここはどこ、わたしはてんこうせい、ど―どどどとと、ど―どどどとと。

 ナオミは思わず目を伏せた。怖い。このモノトーンの映画は風の音が異常に強く、風景はのっぺらぼう、効果音は更に増幅する。

ど―どどどとと、ど―どどどとと、ど―どどどとと、ど―どどどとと、
青いくるみも吹き飛ばせ
すっぱいかりんも吹き飛ばせ

谷川で異様な声が轟く。

 ナオミは怖くて前の人の背中に顔を隠した。後ろの方からは映写機の音もしていた。
 家から歩いて3分の公民館は郷土芸能の練習の場所や大木がある庭はかくれんぼなど子どもの遊び場を提供していたばかりではなく、夜には映画観賞などの娯楽も提供していた。この夜は宮澤賢治原作の『風又三郎』を上映していたのだ。
 ナオミも近所の人たちに混じって映画観賞したのだった。これ以来ナオミはなぜか宮澤賢治作品にはあまり触れていない。


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