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2010/02/27

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 52

 自転車の後ろの座席に乗る人には足を支えるところがなかった。だから適当にどこかに軽く足を引っ掛けておかないと不安定で危ないのだ。この日は下校後急いでいたため、確か靴を持ち、靴下を履いたままの状態で後ろの座席に乗ったのだろう。それで何かの調子でバランスを崩してしまい事故が起きた。鞄も持っていたはずだ。
 ナオミはミルクプラントの前の母屋の縁側に友達に座ってもらい、ばい菌がはいらないようにオキシドールで消毒したり傷口にガーゼをあてたりと応急措置を施した。何せ目を覆いたくなるほどの右足踵の傷口、切れてパクっと開いているのだ、そこから血がだらだらと流れていた。友達本人は大分痛かったのかも知れしれないが、痩せ我慢をしていたような顔つきだった。姉など家族の者も手伝ってくれてどうにか足の傷口は最低限に抑えた。すぐに町の病院にタクシーを呼んで出かけた。外科手術が必要で直ちに実行されたのだ。何針か縫った後、ノルウェー人の小さな学校に出向いたのだった。もちろん友達は松葉杖をつきながらだ。びっくりしたのは、ノルウェー人のG先生だった。Oh ! My God ! を連発して同情してくれた。怪我の巧妙とは言わないが、思わぬ展開で会話は弾んだ。友達はG先生に一発で名前を覚えられた。

2010/02/26

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 51

 ナオミはまだボイラー室の缶の前で転寝状態が続いていた。缶の温度が上がるにつれ、ナオミの頬も赤い色に変わった。火照っているのだ。近くにある蛇口からはぽとぽととほんの少しだがお湯が零れていた。ナオミは時折無意識に足を動かしていた。まだ夢の途中なのだ。

 その日は晴れた土曜日の午後だった。ミルクプラントから自転車に乗って駅に向かう最中に流血の事故が起きたのだ。時折友達を伴ってノルウェー人の小さな小学校に行っていたナオミだが、この時は約束時間に遅れまいと懸命だった。最寄りの駅の発車時刻が午後1時15分、背丈も体重もそんなにない、小柄な友達を自転車の後ろの座席に乗せペダルを漕いだナオミ、ミルクプラントが見えなくなったあたりの田んぼの左側のアスファルトの道路で、自分の背後の、その下の方に、つまりは自転車の後ろの座席下のハブあたりで背筋が寒くなる音がした。

ガチャン、ガチャン、
ギコギコ、

 ナオミが漕いでいた自転車が急に動けなくなった。何かが支えている、重い、ナオミの脳裏に悪い予感が走った。ペダルを漕ぐのを止めて後ろを見た。えっ、友達の足が自転車に挟まった、ヤバイ、右足がやられて血が出始めた、ナオミは友達の怪我が気になり、急いでミルクプラントのある方向に引き返した。

2010/02/22

超人の面白創作 携帯連載小説  ミルクプラント 50

 英語と違って北欧語、特にスウェーデン語やノルウェー語などには高低アクセントがあって、これが習得するのになかなか難しい。歌うような感じの言語なのだ。また、北欧語は文法的にはゲルマン語系で英語とドイツ語を足して2で割った言語といわれている。後置詞と呼ばれる名詞の後尾に付ける定冠詞は北欧語の特徴だし、名詞の複数形はあるが(5分類)、動詞の変化、時制は英語より簡素化が進んでいて簡単だ。語順も緩い。その分慣用句やニュアンスを伝える特定の副詞の習得には多少苦労するかもしれない。これはネキサスやコンテクストの中で考えなくてはいけないからだ。書き言葉と話し言葉にも大分差がある。特に話し言葉にはサイレント レターやリエゾンがあるのでネイティブにしっかり教わった方がいいのだ。習うより慣れだろうか。今はその気になればインターネットを通じて現地のテレビを観たりラジオが聴けるからヒアリングなど便利だ。

 G先生はナオミにスウェーデン語を英語やノルウェー語を交えて一つ一つ丁寧に教えてくれた。ナオミも一時期までその情熱は衰えなかったが…。

2010/02/19

超人の面白創作 携帯連載小説  ミルクプラント 49

 ノルウェー人は背丈が高い人が多いが意外と素朴で気さくな人達である。ナオミはこの小さな小学校の女性の先生二人に習った。一人は長身のJ先生、もう一人はJ先生の後任のG先生、この先生は20代の後半で目がくりっとしていて全体的に丸顔で黒髪、語り口も穏やかで包容力のある女性だった。ノルウェーの家庭の食卓でよく出されるクッキーを作ってくれた。コーヒーはインスタントでコーヒー専用のミルクの代わりに牛乳を注いだものだった。後年ナオミは東京にある北欧家庭料理店で同じような食感を味わった。その家庭料理店はスウェーデンの南部地方のものだ。また、この小さな小学校では英語と日本語それにノルウェー語とスウェーデン語が素朴な教授法で行われたが、ナオミには今も目に焼き付いている光景がある。それは四畳半とわずか一畳の床、その床に置かれていた小さな椅子と机―これはイプセン劇の小道具を思い出させるが、最も彼女はイプセンよりはビョルンソンがノルウェーでは人気がありますと言っていた―に年代物のブラックのタイプライターがあった。戦争映画や古い名作映画に出てくるようなタイプライターである。キートントンではないがモールス信号を送るように丸いキーを叩くのだ。紙に打ち出されるアルファベットが擦れたり濃かったりとキーを打つ力加減で微妙に写し出されるのである。紙もタイプライター用だから薄くインクの付き具合もあまりよくなかった。しかし印字されたアルファベットは何とも言えない風情があったのだ。北欧語独特の特殊記号のaの上につける小さな○はないから手で書くのだった。例えば、arのaの上に小さな○をつけて、オールと読み「年」という意味になるのだ。

2010/02/18

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 48

 ナオミはまだ夢の中を彷徨っていた。ミルクプラントでの仕事がないときなど比較的近場の無料の外国人による「個人レッスン」に通うのが楽しみだった。しかも自転車だった。個人レッスンと言っても、外国人に簡単な英会話を習うだけである。大概は奥さんが日本人なのだ。ここでは外国人にもいろいろな人がいることを学んだ。多少孤独癖があって神経質なイタリア系アメリカ人だった。テキストは何を使ったのか?
 また、知り合うきっかけが何だったか忘れたが、隣町の教会の牧師と知り合になった。目的は単に外国語学習の実践だった。この牧師はノルウェー人だった。名前はクヌート、眼鏡をかけた温厚な人だった。10年前に人伝えに聞いた話では、ノルウェーの教会本部で高い地位に就いたらしい。女の子が2人いて、そばかすがかわいい長身の小学生の長女、金髪で目ぱちっくりの次女はまだ小さかったが茶目っ気たっぷりの子どもだった。ナオミはなぜかノルウェー語には興味がなくスウェーデン語に惹かれた。牧師のクヌートさんは親切にも娘たちを教えている小学校の先生を紹介してくれた。ノルウェーの小さな小学校に行くには上りの鈍行電車で3つ目、I駅から歩いていて5分、住宅街の2階まで小1時間かかった。この小さな小学校は近隣のプロテスタントの教会の牧師の師弟が学んでいた。小学生の上級になると神戸にある学校で寄宿生活を送るとクヌートさんに聞いたことがあった。ナオミは土曜日の午後には足早に帰宅してここに通った。隔週だったか。たまには友人達も誘って通った。


クロカル超人のグルメの話 カツオ 13 かつおくんリポート その3 2010年

 かつおくんリポートも今年で3年目に突入。一行だが全部で131回書き溜めたことになる。今年の終わりには3年間の実証から何が見えてくるかまとめてみたい。
1.2010年1月23日。三重県産。1柵。549円。今年初めて。平年より早いか。やや硬い、色艶まあまあ。
2.2月15日。千葉産。6切れ。480円が50円引き。まあ。201002152049000_3

 かつおくん荒波越えて春食べて

3.2月22日。三重産。1柵。398円。新作ものだが(背)細い。味はまあまあ、新鮮な感じ。
4.2月26日。東京都産。珍しい。1柵。480円。腹、やわらか。味まあまあ。醤油にニンニクと生姜をミックスした薬味で。
5.3月5日。千葉産。1柵皮付き。398円。多少硬い。
6.3月9日。千葉産。1柵。580円。まあまあ。

 かつおくんびっくりしたかなごり雪

7.3月13日。千葉産。1柵。580円。まあ。
8.3月18日。千葉産。1柵。880円。高い。味はまあまあ。
9.3月21日。三重産。1皿、7切れ。389円の30%引き。まあまあ。
10.3月24日。鹿児島産。背。1パック10切れ。480円。色艶良い、硬さもそれなり。味もいい。
11.3月26日。宮崎産。1柵、480円。2つ入りしかも100円引き。味はまあ。
12.3月27日。宮城産トロかつお。1柵。383円。味は今一。
13.3月28日。宮崎産。1柵、580円。2つ入りしかも3割引。大分お得だが食べきれず。味はまあ。
14.4月7日。東京産。1柵、999円が夕方7時過ぎたため約半値の500円。高かったが美味。
15.4月9日。鹿児島産。なんと1パックに2本入りで500円 ! 今が旬の鰹、今度は食べきれない。美味。
16.4月21日。宮崎産。1柵、380円。1日おいたせいか鮮度がイマイチ。
17.4月23日。鹿児島産。1柵、298円。閉店間近の買い物で半額。味はまあまあ。
18.5月2日。千葉産。1柵、380円。皮付き。味はイマイチ。
19.5月4日。千葉産。朝水揚げ品。一柵、2個入り!480円。この日はなんと50%引き。美味。今年一。連休でデパ地下は思ったより人入らず、こんな現象も。ラッキー。
20.5月5日。千葉産。すでにカットされて10切れ。480円。味はまあまあ。
21.5月13日。千葉産。1柵。380円。皮つき。味はまあまあ。
22.5月17日。千葉産。1柵。2本入り。480円。2日にわたって食。味はまあまあ。
23.5月20日。千葉産。1柵。380円。皮つき。味はまあまあ。
24.5月27日。千葉産。1柵。480円。まあまあ。
25.5月29日。千葉産。1柵。350円。まあ。
26.5月30日。千葉産。1柵。350円。まあ。
27.6月1日。千葉産。朝獲れたて品。8時半頃は半値で190円。皮付き。今が旬、やわらかで美味。
28.6月9日。千葉産。1柵。480円。意外と美味。
29.6月10日。千葉産。切り身のパック。398円。意外と硬い、味が今一。
30.6月13日。千葉産。1柵。322円。皮付き。やわらか。
31.6月17日。千葉産。1柵。480円。硬め、こりこり。
32.6月20日。千葉産。1柵。361円。やや小振りで硬い。
33.6月21日。千葉産。1柵。380円。こりこり。
34.6月22日。宮城県産。1柵。398円。皮付き。やわらか、味はまあまあ。
35.6月25日。千葉産。1柵。380円。味はまあまあ。
36.6月28日。宮城産。1柵。380円。やわらか。
37.7月4日。気仙沼産。刺身8切れ。色艶イマイチだがやわらか、味もいい。
38.7月12日。宮城産。1柵。398円。味はまあまあ。
39.7月19日。宮城産。1柵。580円。味はまあまあ。
40.7月21日。宮城産。1柵。398円。柔らか美味。
41.7月26日。宮城産。1柵。398円。皮つき。柔らか美味。
42.7月31日。宮城産。1柵。798円が400円。柔らかい。2日にわたって半分ずつ食べる。やはり2日目のものは色他鮮度が落ちていた。
43.8月4日。宮城産。1柵。398円。皮付き。柔らか。
44.8月7日。宮城産。1柵。398円。味はまあまあ。今年は海水の温度が高いせいか上るのが早いカツオくん。
45.8月9日。宮城産。1柵。398円。やや小振り。皮付きだが鮮度イマイチ。刺身ようにカットした1パックは480円。この値段の差は何故?手間?
46.8月11日。宮城産。1柵。398円。皮付き。まあまあ。
47.8月12日。宮城産。1柵。298円 ! 安い。皮付き。美味。
48.8月19日。宮城産。1柵。498円が50%offの249円。旬なので柔らか。
49.8月23日。宮城産。1柵。398円。皮付き。柔らか。
50.8月25日。宮城産。1柵。358円。美味。
51.8月27日。宮城産。1柵。480円。皮付き。まあまあ。
52.8月30日。宮城産。1柵。480円の2割引きの384円。やわらか。
53.9月7日。宮城産。1柵。580円。皮付き。やわらか。
54.9月11日。宮城産。1パック。8切れ、398円。高いがやわらか。

海水温の上昇で海水魚に異変が起きている。カツオもその一つ、不漁だといわれたが、大漁らしい。日本海側では獲れないカツオも、山口県の漁港で3000匹のカツオの水揚げがあったと今朝のテレビが報じていた。サケ、イカ、サンマが不漁。サンマに至っては店頭価格が470円。庶民の味方にはなれない。確か去年は大漁だったはずだが。また、大漁といわれているカツオの価格がもう少し下がってもいい。(2010年9月13日記)
55.9月17日。宮城産。1柵、680円。大振り。都合3回に分けて食した。やわらか。

カツオが大漁ならもっと価格が下がってもいいと前回書いたが、最寄りのデパ地下の魚屋さんに訊くと、三陸の太平洋側は平年より不作だと。

56.9月19日。宮城産。1パック、398円。8切れ。1パック、約50円の勘定。高価!味はまあまあ。
57.9月27日。宮城産。1柵。580円。やや高い。味はまあまあ。
58.10月2日。宮城産。1パック。398円。8切れ。やわらか。
59.10月3日。宮城産。1柵。480円。味はまあまあ。
60.10月5日。宮城産。1柵でも小さい。300円。高い。味はまあまあ。
61.10月11日。宮城産。1柵、いつもの三分の二と小さ目。300円。高い。多少硬い。
62.10月15。宮城産。1柵、小さ目。200円。高い。味はまあ。
63.10月17日。宮城産。1パック8切れ。土佐造り。398円。多少高い。味はまあまあか。
64.10月19日。宮城産。1柵。小さくて値段も高い。やや硬め。
65.10月25日。宮城産。1柵。480円。小振り、やや高6め。味はまあまあ。
66.10月26日。宮城産。1柵。598円。やわらかで味はまあまあ。
67.11月1日。宮城産。1柵。580円。やや硬い。
68.11月3日。宮城産。1柵。250円。小さめ。やわらか。味もいい。高めのカツオは小さめにして価格を抑え、買いやすくしている。69.11月14日。宮城産。1柵。300円。小さい。やわらか。葉山沖のカツオを鎌倉の魚屋で見たが、あまりにも量と値段が釣り合わず止めた。こちらは小さくひょろ長い。まるでうなぎみたいでは…。
69.11月10日。宮城産。1柵。300円。小振り。味はまあまあ。
70.11月14日。宮城産。1柵。300円。小振り。大き目のものもあったがパス。実は鎌倉の魚屋で葉山で獲れたカツオの刺身を見つけたが、あまりも量と値段が違うので買うのを諦めた。あまりの細さにウナギかと思ったほど。

2010/02/17

超人のジャーナリスト・アイ 114 最近のデキゴトロジーから

■昨日のニュースで報じていたが、凄い女性がいるもんだ。誰かの言葉ではないがこれは確かにWIREDだろう。15日午後9時過ぎJR中央線高円寺駅構内で女性が誤って線路に転落し、それを見ていた男性がとっさに助けようと線路に飛び降りた。女性が意識を失っていたため、二本のレールの下に寝かした。彼自身はホーム下の待避豪に駆け込んだという。電車は彼女の頭上を通過、まさに間一髪、かすり傷程度の軽傷で助かったのだ。男性はとっさの行動に覚えていないという。女性は酒に酔っていたらしい。痛ましい事故にならなくて本当に幸いだった。筆者は作業しながら見ていたので若者かどうかは知らないが、何やら昨今の肉食系女子、草食系男子を彷彿させる。思うに、このとんでもない女性は一生この男性に頭が上がらないだろう。何しろ命の恩人だからね。あとで知ったが、女性は20歳、男性は24歳。
韓国の地下鉄ではベビーカーが引きずられて助かった話、オーストラリアでは赤ん坊を乗せたベビーカーを母親が電車近くで置き忘れた話などあわや大惨事になりそこねないニュースもあったっけ。テレビ番組ではないが、ビックリ仰天ニュースだろう。
追記。この男性はJR東日本から表彰を受けた。

■ある知人からもらった紙片から。
いい得て妙と話題のInfoseekニュース。鳩山政権を皮肉った「ハト」ジョークが永田町で話題を呼んでいる。
「日本には正体不明の鳥がいる」。「ハト」ジョークは冒頭、謎かけめいた問いかけで始まり、こう続く。中国から見れば「カモ」に見える。米国から見れば「チキン」に見える。欧州から見れば「アホウドリ」に見える。日本の有権者には「サギ」だと思われている。オザワから見れば「オウム」のような存在。
昔「シラケドリ」なるトリもいた。また、そのトリをトリに行ったそうな。あーぁ。

■関口友宏が司会・主役をつとめるBS放送番組で「尾道再生プロジェクト」なる 地元活性化運動が紹介された。主役は30代のヤンママ、この女性が廃屋の一軒家をボランティアの人達の手助けやリサイクル方式で家を「before・after」の番組に負けず劣らず蘇生させてくれる。人が住める状態に蘇生させた家を今度はインターネットを通じて借りてを募集、その応募者を実際に見学ツアーを開催して最低限リフォームした家々を見てまわり、最後に気に入った家を借りてもらうのだ。年間3万円のところもあった! 但し古い家なので柱が多少曲がったり家が傾いていたりと不便なところもあるのだ。坂道が多く道幅も狭いが、若者や芸術家などが住み始めた。
「尾道再生プロジェクト」主宰のヤンママは、今度は昔ながらの尾道風お好み焼きで若者と年寄との交流をお寺の住職と掛け合って取りつけた敷地で開催、好評を博した。地域再生・活性化のコーディネーターである。なかなか大変な仕事みたいだが、このヤンママには「やる気」があるしまた、人を動かすオーラがあるようだ。空き家再生プロジェクトはたくさんのゴミ出しから始まる。いい仕事をしている。

2010/02/16

超人の面白読書 66 不破哲三著『マルクスは生きている』

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 去年の秋から鞄に入れたままずっと持ち歩いていた本が、やっとのこと読み終えた。不破哲三著『マルクスは生きている』(平凡社新書 2009年6月第3版 本体価格720円)である。もう20年以上前になるが、その時―日本ではバブル期、ベルリンの壁崩壊、その後に東欧諸国での革命、ソ連体制崩壊など体制崩壊が続き、自由主義の嵐が吹きまくった、その影響もあってもはやマルクスものは全然流行らなくなり売れなくなったと、ある親しい大学の研究者と話していた―には、現にマルクス・エンゲル全集など左翼系ものを刊行している出版社はこれから大変だとあちこちで噂が立ったほどだった。あれから20年以上経った今、バブルは弾け金融資本主義の行き過ぎの修正・再生の目処は充分に立たないまま、二体制(政治体制は共産党一党独裁と経済体制は市場経済)維持の中国の台頭が現実化し始め、同時にエネルギー問題、地球温暖化問題、南北問題、民族・宗教問題を含めた地域紛争、貧困と格差それに教育問題、地震などの自然災害問題等々が浮上している。一昨年の暮れには派遣切りで職を追われた人達の救済がマスコミで大々的に報じられ政治問題化した。まさしく“マルクスは生きている”、くさむらの下で眠ってはいない、資本主義体制の暴走に警鐘を鳴らし続けているのだ。
 この本はマルクスと現代を切り結び、資本主義の病理を分析して労働者の真の解放を説いたマルクスワールドの現代的意義を、長い間政治の舞台で活躍した著者ならではの切り口で解き明かしてくれる。それは政治的闘争で培った、謂わば、生きた理論の重層化に他ならない。その舌鋒はやわらかくみえても鋭い。政治評論家の森田実氏に言わせれば、我々とは頭の構造が違うのだという(ネットで読んだ)。
 さて、本書をみてみよう。第1章 唯物論の思想家・マルクス 唯物論は現代の常識 弁証法の方法と自然の全体像 社会観―マルクスは何をもちこんだか 第2章 資本主義の病理学者・マルクス マルクスは「搾取」の秘密を解きあかした 労働者の苦難の根源をついて 資本主義の「死に至る病」―周期的な恐慌 究極な災害―地球温暖化 第3章未来社会の開拓者・マルクス 未来社会への変革のカギは? マルクスの未来社会論の特徴点を見る ソ連とはいかなる存在だったか マルクスの展望と現代社会 以上が目次。著者はあとがきでマルクスのさまざまな誤解を解くことも考えて、マルクスの理論は、マルクス自身の言葉によって、その骨組みやすじ道を再現することを基本としたと書き、この本から何か新しいものを少しでも読みとっていただきたいと期待する。
 筆者的には物理学の話も面白いが(本当に理解できたか疑問)、マルクスが日本の情報をオールコックの『大君の都―幕末日本滞在記』から得ていたことの事実やソ連時代のスターリンの言及に特に興味がひかれた。著者は毎日新聞(2009年6月26日の夕刊)のインタビューでBBC放送が96年に「過去1000年の最も偉大な思想家は誰か?」のアンケート調査に、「マルクス」と答えた調査結果を紹介していた。筆者の書棚には廣末渉編『資本論を読む』(1986年刊 岩波書店)や世界の名著『マルクス エンゲルス』(古本屋を探してⅡ、Ⅰという順に再購入した)読みかけのまま鎮座している。著者不破哲三氏は現在80歳、著書は150冊を超えるという。なかなか手応えのある新書である。しかも平凡社新書からの刊行だ。

2010/02/11

クロカル超人が行く 131 神保町界隈『たいやき神田達磨』

201002111820000_2粒あん〈1ケ〉140円、頭からしっぽまでアンコぎっしり 薄皮たいやき 『神田達磨』。ちょっと気になりながら立ち寄ったことがなかった店だが、小雨の降る寒い夕方―建国記念の日で右翼の街宣車がけたたましく騒ぎたてた後の―思いついたついでに店に並んだ。甘党ではない筆者だが並んでいると買いたくなるから不思議。小腹も空いて食べたくなったのだ。2家族分6ケ、で、待つ間に味見1ケゲット。パリパリ系、薄皮でつぶあん、美味。仕事の手伝いに来てくれた身内の人にもお分けした。鯛焼きも隅に置けない!四谷見附の『わかば』の鯛焼き80259_2や人形町の『柳家』の鯛焼きも食べたが、ここの鯛焼きも甘味控えで美味い。家人が食べてみてと言うのが分かるぅー。
鯛焼き御三家というものがあるそうな。およげたいやきくんのモデルの麻布十番の『浪花家総本店』、四谷見附の『わかば』それに人形町の『柳家』だそうな。それではランキングをどうぞ。①台東区写楽②上野たいやき③抹茶あん板橋区けんぞう十条店④代官山たいやき黒鯛⑤神田達磨⑥世田谷薄皮たいやきあづきちゃん⑦港区麻布十番浪花家総本店⑧横浜市港北区豆乳クリーム十勝サザエ⑨江東区黄金たいやき果川家⑩たいやきひいらぎ

下記は薄皮たいやき 『神田達磨』のチラシから。
明治末期の1909年。この時代、鯛と云えば高級魚の代名詞。縁起ものの魚としも重宝されていた鯛は、庶民にの手の届かぬ代物だったのです。そこに「たい焼き」が生まれました。一つ作るのに一本のコテ(鋳物)を使い、あらかじめ熱しておいたコテの片方に小麦粉、水、重曹からなるタネを流し、自家製の餡をのせる。そして再度上からタネを流したのち、もう一方のコテで挟み込む。ガス火で炙ること数分で皮は薄皮のパリパリに、餡子は火傷するほどアツアツのたい焼きが完成します。
本物の鯛を食べられなかった人々が、心の贅沢品として楽しんだ薄皮のたい焼き。いつの時代にも、たい焼きのまわりにはあったかい笑顔がありました。

ここで問題。たい焼きはどこから食べるか、頭からそれとも尻尾から ?

【写真左上:筆者が買ったたい焼きを途中の駅中で撮ったもの。写真左下:『わかば』のたい焼き。携帯サイトから】

たい焼きは頬張って喰う弐月雪

2010/02/10

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 47

 ギリシャ語と英語それに読みをカタカナで記した紙片は、玉手箱にしまわれたかのようにずっと赤っぽい菓子箱の中に眠っていた。菓子箱にはヨーロッパの息吹があった。ギリシャ語の紙片もバルザック作『ゴリオ爺さん』のページに挿まれたまま置かれていた。そこには溶けた時間があった。紙片は一滴のようにみえ、触ると消えて無くなるようにも感じられた。紙の匂いもまた、彼方のものだった。
 ナオミはミルクプラント外ではザラ紙にドイツ語の名詞の変化や動詞の不規則変化を書き写しながら独習していたのだ。英語は教科書をほとんど暗記していてストーリーが語れるほどだった。やがて実際に外国の人と喋ってみたい衝動に駆られていた。それで思いついたのがO国際貿易港だった。英語圏の人達に自分の発音した英語が通じるのか試したかったが、その国際貿易港で出会った船員は、あまり英語が通じないギリシャの船員だったのだ。しかし親切だった。異文化との邂逅、それはナオミには鮮烈だった。

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 46

ポリフォニー 2。

 ナオミはボイラー室の缶の前で転寝してしまっていた。そしていつの間にか不思議な世界に引きずり込まれていた。確かにここはミルクプラントの中、蒸気が充満していて目の前の缶の中はこうこうと燃えている。時折パチパチと音をたてながら。後ろのコンクリートの壁は限りなく黒い、その壁に寄りかかってうとうとのナオミ―。

 どう辿り着いたのか、ナオミはギリシャ船内にいて、何やらギリシャ人の船員と手真似口真似で会話をしようとしている。君はどこから来たんだい、何年生?船員は優しそうにまだ幼さの残るそれでいて一見大人びいたナオミの顔を見やった。そのうち会話が途切れ、筆談になっていた。ギリシャ語でありがとうは、[efharisto] 、こんにちは、[jia sas] 、さよならは、[adio] と簡単な日常会話を教えてくれた。幾何学的文字のギリシャ文字、とてもすぐには飲み込めない、シュリーマンじゃあるまいし…。ナオミはぶつぶつ、しかしギリシャ人の船員は万年筆を走らせていた。罫線の入った薄いピンク色の紙片の上にその文字は踊った。初めて見る言葉だった。何とへんてこな文字、キリル文字、否ヘブライ文字、そう、あのギリシャ文明の、でも船員の格好はお世辞にも良くなかった。会ったのは船長近くの船員だったはずだ。それでも長旅で何度も読んだのか右上の角が取れていたよれよれの英語版のバルザック作『ゴリオ爺さん』のペーパーバックをくれた。覚えたてのドイツ語でダンケシェーンと言っても通じなかった。ヨーロッパの人だから中にはもちろん読み書きできる人もいるのだ。結局中学程度の英語でやり取りした。あの船は燃料をたくさん積んでいた。O港は国際貿易港だったが甲板から見下ろす海の色は多少汚れていた。

2010/02/09

超人の面白ラーメン紀行 130 飯田橋駅 ラーメン専門店『高はし』

201002091350000

 かつてI氏が絶賛していたラーメン専門店『高はし』。二軒隣には某取次店の人達の御用達の焼き鳥屋もある一角。昼飯はここでと六本木から駆け足でやってきたのだ。時間帯が午後2時前で比較的空いていた。ラッキーである。一人待ちで10分位でカウンターにありつけた。注文は並んでいるときに女将さんが取りに来た。一番人気の中華そば(700円)だ。待つこと10分、やや多めの感じのするラーメンがカウンターに出てきた。スープを一啜り、あっさりした塩味で美味。量もやや多め。次に麺、極細でストレート系、イケる。トッピングのチャーシューはごく普通、どっちかと言えば柔らか系、メンマが何とも言えない味、それに刻みネギがたっぷり、海苔はやや少なめにのっていた。メニューはチャーシュー麺(1000円)、高菜ラーメン(950円)、ワンタン麺(950円)、ワンタン5個(400円)、つけ麺(1000円、夜のみ)と至ってシンプル。9名入れば一杯の小さな店だ。この日は5月上旬の馬鹿陽気、ハンカチで汗を拭きながらの完食。なぜかバックランドミュージックは1960年代のアメリカのフォークソング―。イェッ・・・。
飯田橋駅前『高はし』①スープ★★★②麺★★☆③トッピング★★☆④接客・雰囲気★☆⑤価格★★★

 そのあと飯田橋歴史プロムナードの一角にあった「北辰社牧場跡」をパチリ。牛乳物語の余滴である。201002091423001_2

2010/02/05

超人の面白読書 65 明治乳業50年史

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昭和44年4月発行の『明治乳業50年史』は526ページもある大冊。上記は16ページにあった図。面白いことに、明治時代の牛乳屋の日常が垣間見える。明治乳業は1906年の台南市の明治製糖が始まりらしい。この社史をざっと読んだ限りではある意味では買収してきた歴史で、和田牛乳→東京第一ミルクプラントも明治乳業に戦前吸収合併されたのだ。

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