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2010/01/12

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 41

 ナオミは牛乳を麻製の牛乳袋に詰め込み、自転車のハンドル両脇に抱えてミルクプラントから配達に出た。和田地区40軒の戸別配達である。牛乳瓶は本数があると意外と重い、雨などの日は泥道になるからハンドルをとられかねない、自転車のハンドル両脇に抱えた牛乳袋が落ちそうになるのだ。しかも雨合羽を着ていて身動きが今一だった。そういう日が牛乳配達には一番堪えた。集金もしたのである。駄賃をいくらかもらったのかも知れないが、ナオミにはこの牛乳配達に関しては記憶がない。何時だったかやはり雨の日だった気がするが、瓶が滑って泥道に落としてしまった。当然引き返して新しものと交換したのだが、そういう時には学校に行くのがいつもより遅れたのだった。アイスキャンディ配達はすぐ下の弟ヒロミと主に2コースに分けて得意先の小売店を定期的に自転車で販売した。茶箱にシャーベット、オッパイキャンディ、棒状のアイスキャンディなどを積んで店を回った。茶箱が得意先の店先で空になれば良いが、現実はそんな日ばかりでもなかった。
 一つのコースは、ミルクプラントのある地域を道沿いに北に向かって行くのだが、途中から曲がりくねった急坂を走らなければならなかった。もう一つのコースは、途中から橋を渡って行く川向こうの地域、旧炭鉱町の長屋が並ぶところまでのコースだった。いろいろと持参したが、その中でもシャーベットとオッパイキャンディが売れ行き商品だった。確か1袋20本入りで200円、それを10個は積んでいた。この販売には駄賃がついた。1袋売ると20円だった。売上金額を精算すると、ナオミの父がビニール袋から小銭を出して駄賃をくれた。これがナオミの小遣いだった。
 大分後になって父が珍しく悔しがったことがあった。ナオミがI高校入学時に初めて父兄同伴した。小学、中学校はすべて母任せだった。その父が教室まで付き添ってくれた帰り道、担任のS先生がその昔学校牛乳参入を拒んだ張本人だったとぼそっと言ったのだ。「学乳」が入れば牛乳店は販路拡大ができたのである。父の顔には悔しさが滲み出ていた。

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