« 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 36 | トップページ | 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 38 »

2010/01/08

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 37

 ナオミの父はと言うと、以前にも書いたことだが、背が小さい割りにはよく動いていた。また、明治生まれのせいか実直で頑固、厳格を地でいくほどの人物だった。だからナオミは一度も真剣な話などしたことがなかった。直球系だったのだ。ある意味では怖い存在だった。褒めることもできない不器用さもあったため、営業展開には確かに不利な面があったのかも知れない。その点すぐ下の叔父や叔母などは商売人の顔が備わっていた。ナオミの父は短気でもあった。仕事が思うように行かないときなどミルクプラントの床に空瓶をよく投げつけたものだ。そんな時ナオミの母―体格が良く大らかだった―が出番で、仕方なく子ども達に号令をかけるのだった。
そんなナオミの父にも楽しみがあった。それは金曜夜8時のプロレス中継だ。力道山全盛の頃だった。ルーテーズ、体重が優に200キロを超していた大食漢でぼさぼさ頭のアメリカのプロレスラー、吉村、豊登、遠藤、ジャイアント馬場、猪木など面白いプロレスラーがいたのだ。テレビ観戦しているのだが、いつの間にか夢中になってリングのそばにいる錯覚を覚えるのだ。そして日本人タッグチームが負けそうになると、手で拳を振り上げ、そこだ、そこと声を張り上げ、力道山が空手チョップで攻勢に出るといいぞ、いいぞ、その調子、アッハッハとなるのが常だった。その時間帯は貯蔵タンクの牛乳の殺菌、温度下げの作業中だから多少時間に余裕があったのだ。

 先見の明、計画そして実行―。一生懸命働くが現実に直面、今でも通用する言葉だが、そこには夢とその事業成就の仕方に些か相違があった。少なくともナオミにはそう映った。

« 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 36 | トップページ | 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 38 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 37:

« 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 36 | トップページ | 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 38 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31