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2009/12/26

超人の面白読書 62 黒川鍾信著 『東京牛乳物語』 6

 一代目半次郎、二代目該助とも婿養子組、著者は二人を惹きつけたのはその美貌だったのではと推理する。三代目になるはずの該助の長男輔は、小さいときに仕事にかまかけて実家に預けて育てられたせいか父親とは馴染まず、やがて勘当されてしまう。三代目は次男の重夫が継ぎ(札幌農学校出の長女あいの婿養子潤平が二代目該助の命により重夫を補佐)、長男輔は田舎暮らしを余儀なくされる。その放蕩三昧はこの物語の影の部分を照らし出していて哀しい。
 長女あいの婿養子潤平は「酪農の父」と言われた宇都宮仙太郎と若い時に札幌農学校時代に会い、アメリカの酪農経営法を学んだのではないかと著者は推理する。和田潤平は二代目該助に懇願してアメリカに留学する。当時の酪農先進国はデンマークやアメリカ中西部。そのアメリカ中西部のウィスコンシン州で最新の酪農技術を吸収、また、ホルスタイン種20頭を買い付け、中西部からロッキー山脈を越えて西海岸へ、そこから日本へ船で搬送したらしい。搬送途中で2頭の牛を失う。明治40年代である。最も過酷な仕事だったと本人も帰国して随分経ってから、再婚後(なぜか突然出家してしまい、全国を行脚、その後は三島で再婚し何人か子どもを設けた。出家の原因は何かは本書では詳らかではないが)に生まれた息子に語っていたと著者。これはオーラルヒストリーの成果だろう。この辺が本書の醍醐味だ。また、著者自身も潤平が行ったアメリカの足取りを辿る旅を試みているが、その記録は付記に道中記として纏められている。
 本書160ページには芸者衆に囲まれてご機嫌の輔の写真が差し込まれている。著者は「天真爛漫」、悪く言えば「おっちょこちょいの江戸っ子」だと山口は彦島での生活ぶりを淡々と描いている。

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