« 超人の面白創作携帯 連載小説 ミルクプラント 25 | トップページ | 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 27 »

2009/12/03

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 26

 ある時などナオミは嫌々ながら集乳の仕事をしていて事件が起きてしまった。
Kミルクプラントから自転車の荷台に行きは空の一斗缶を積んで帰りは搾乳の入った一斗缶を積み、往復約50分の道程を集乳するのだ。途中堤防の道や橋を渡って酪農家に行き、空の一斗缶を置いて搾乳が入った一斗缶を持ち帰る。この酪農家は牛が7、8頭の小規模酪農家で、行く度に牛糞の臭いが立ち込めていた。搾乳が入った一斗缶は門を入ってすぐの右側に置いてあった。一度だけナオミは実際にここで乳搾りを体験したことがある。ピュウピュウと指で搾るのだが、これが思ったよりむずかしい。バケツからはみ出したり、自分の顔にかかったりと上手くいかない。一定の量を搾りだすことすら難しかった。今は機械で搾り出す。

 事件は雨上がりの橋の袂で起きた。雨上がりだから堤防の道や橋の上の道には所々水溜まりが出来ている。橋の袂でナオミはよく友達と会って暫しの休息を楽しんだのだった。帰り時間を気にしながらだが。その時は友達といたかどうかは判然としないが、もちろん暗闇だったことは確かだった。どこでどう違ったのか、ドカンと音がしたのだ。砂利道だ。うっ、荷台に積んであった一斗缶が転げ落ちた。十文字に縛った黒いゴム紐の引っ掛けるところが外れたのだ。いけない、牛乳がこぼれている、慌ててナオミは自転車を止めた。すでに三分の一はこぼれている。一斗缶を起こした。ふと見ると、堤防の草むらに養分を補給してしまっていた。父に叱られるとナオミは思った。はて、どうしたらいいか考えた末、ゆっくり帰れば寝てしまっているから叱られないで済むと自転車を押しながら家路に向かった。大体いつもは午後7時頃には到着するのだが、この時は何時だったか、10時はとっくに過ぎていたようだ。父から何と言われたかは分からないが、もしかしたら母が庇ってくれたのかも知れない。少なくとも父が取り戻して来いとは言わなかったが、ナオミは自分の失策を悔いた。

 この道はいつか来た道―。その後何かの用事で何十年ぶりに通ってみた。アナボコは全くなかったどころか風景が一変していた。

« 超人の面白創作携帯 連載小説 ミルクプラント 25 | トップページ | 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 27 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 26:

« 超人の面白創作携帯 連載小説 ミルクプラント 25 | トップページ | 超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 27 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31