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2009/11/26

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクブラント 22

 ナオミの実家の2階を覗いてみよう。
 階段を上ると上り切ったところが雨戸の出し入れ、左側に欄干、その欄干の真向かいには足踏み式のミシン、また、布で覆われた古いタンスが3棹置かれていた。ナオミにとってはみんな年季ものに映った。ところが、タンスを開けると1円札、50円札や百円札があちらこちらに、挙句には江戸後期の天保銭や小銭もじゃらじゃら音を立てて出て来た。近くには赤茶色の袋に入った何枚もの日本コロンビア社のLP盤と一緒に黒色と銀色が混じった蓄音機もあった。蓄音機はもちろん手動式だった。ナオミはその蓄音機を回したことが何度かあった。音は丸い拡声器を通して出たが、何せ遅い、そのうち回していた手の方が疲れてしまった。
 欄干の脇には着物や雛祭りの道具、冠婚葬祭用の漆のお椀など大事な物が収納されていた赤褐色の長持があったが、なかなか洒落ていて上下に上げ下げする凝った代物だった。長持の脇を通って障子戸を開ければそこは8畳ほどの居間だ。その居間の右手のガラス戸を開けると下に無花果の木、その脇に第二の便所(裏の便所)が見えた。ここは代々その時に応じて主が替わった。古くは叔母、姉、妹と主に女性陣の住みかだ。
さて、雨戸の収納のところまで戻って廊下を左奥に行けば、そこが6畳ほどのナオミの両親の寝室だった。桐のタンスや茶箱に収納されていたのは訪問着用の着物だったか―。
 ナオミの目で母屋をその部屋に纏わるエピソードを添えて描いてきたが、家にはそれぞれ固有の織り成す人間模様が展開する。確かこのナオミの実家は昭和に入って祖父が生家から土地を譲り受けて建てたらしい。ナオミはかつて叔父にそう聞いたのだが。洒落た避雷針、瓦など屋根についての話(それこそナオミたちちびっこいたずら探検隊は、2階の雨戸の出し入れのところから屋根に上がり、頂上まで上るのだが、苔が生えていたところは危険で避けながら上るのだ。そして時々瓦が割れる、そのとき父に叱られはしないかと心臓がパクパクと動くのだった)、雀や燕の巣、軒下をくねくねと面白いように徘徊した話などこの家にはナオミの幼少期の時間が凝縮していた。

おーい、雲よ、
どこへ行く

ミルクプラントの方か

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