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2009/11/20

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 19

 その奥の部屋にはナオミにとって忘れられない出来事があった。3才の幼子が熱に冒されて死を彷徨っている姿だ。ナオミの末弟である。もう、大分昔だが、あの夏の出来事は一大事であった。しかも両親が初めて近所の人たちと夫婦揃って山形方面に旅行に出かけていた日だった。親代わりにナオミの叔父が呼び出され終始付き添った。やや甲高い声とせっかち風な仕草が叔父の特徴だった。ただM医院の院長が駆け付けて治療にあたる以外は手の施しようがなかった。だから呼び出されて来たものの、叔父は布団に入って眠りこけているだけだった。それがナオミには可笑しかった。末弟は何が原因で病臥、いや死を彷徨っていたのか。夏の暑い日の午後―確か旧盆の送り火だったか―近くのN川にお盆の飾りものや供え物を片付けて船にして先祖を送り出す精霊流しの習慣があって、その日が近所の仲間と行く日、幼い末弟もナオミたちと行ったのだった。仏壇を飾った笹や竹で舟を形作ったところにぶどう、梨、桃、トマト、なすやきゅうり、おはぎやお菓子などの供え物を蓮の葉でくるんで入れて持参するのだ。各家庭で自ずと舟の形が違っていた。そしてひとかたまりになって、大人が子供を引率するのだ。この時期は夏の真っ最中、肝試しも行われたのだ。
N川の畔に着いた。ここでハプニングが起きた。ねえ、S男ちゃん、まだ食べられるから、飾ったぶどう食べてみてよとやや小太りでガラガラ性格のTさんが悪ふざけで言った。TさんはしばらくKミルクプラントに勤めていた。主にアイスキャンディを作っていた。オッパイに似たアイスキャンディも作っていて、時折茶目っ気たっぷりに自分が作ったアイスキャンディを胸あたりに当ててみせた。下ネタが好きな姐さんといった女性だった。

 すると幼いS男は本当にその供え物のぶどうを口に入れてしまった。


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