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2009/11/17

超人の面白創作 携帯連載小説 ミルクプラント 17

 この絵は戦争画だ。従軍画家が描いたものか、絵の上手い一兵卒が描いたものかは知りえないが、一枚一枚めくるとその臨場感が伝わって来るのだ。戦場へ駆り出された兵士の日常がここにはあった。恐らく中国大陸での戦争画だろう。ある絵には諦めたのか死を意識して帽子を被った兵士の表情が微細に描かれていて悲惨だった。めくるわくわく感どころか却って、めくることへの戦きがあった。今までなぜこんな奥まったところに封印されたまま置き去りにされていたのか、ナオミは不思議でならなかった。祖父か父の関係者がくれたものなのか、あるいは預かってほしいと置いていったものなのか、ただ想像を巡らすだけだった。それにしても自決のシーンの短刀、ナオミにはその日から脳裏に焼き付いて離れなかった。この外箱に入った長方形の画集は日露戦争を描いたものらしい。
ナオミの父は先の戦争のときには徴兵検査で落とされて戦争に行っていない。どうしてかと叔父あたりに訊ねると初期には背丈が基準を満たさない者は徴兵検査で落とされたという。代わりにすぐ下の弟が行かされたらしい。いつだったかそのナオミの父のすぐ下の弟の叔父が、実家に来た折りに先の戦争時に戦地で人を殺した記憶がありますかと質問したことがあった。自分が非常事態で必死に生き延びなければならなかったからともかく逃げ回ったという。ついに人を殺したかどうかの真相は聞き出せなかった。

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