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2009/02/28

超人の面白映画観賞「ホルテンさんのはじめての冒険」

200902281846000何と静かでほのぼとした冒険だろう ! これが筆者のこの映画を観た直後の感想だ。映画制作が個人的にならざるをえないのが北欧映画の特徴とこの映画のベント・ハーメル監督(『酔いどれ詩人になるまえに』などの作品がある)が新聞のインタビューに答えていたが、事実、ストリンドベリィのセリフが出てくるあたりは19世紀の心理劇や北欧リアリズムの流れを汲んでいるのかと想像もできるが―。
 物語はベルゲンの真面目な鉄道員トッド・ホルテン氏が定年を間近に控え、いつものように機関士として勤める鉄道会社に朝早く出かけるところから始まる。トンネルの多い線路を同僚と運転、もうじき定年だねと同僚に尋ねられ、その時はオスロへ飛行機旅行すると答えるホルテン。定年後のことについていくばくかの戸惑いの表情を隠せないのが読み取れる。永年勤続表彰を受けた夜あたりからほのぼの冒険が始まる。歯車が狂い始まるのだ。その夜は定年祝いをしてくれる職場仲間の部屋に葉巻タバコを買いに出かけて戻ると、彼の部屋の暗証番号を忘れてパーティ会場に入れず、階段でのぼるも下の階の別な部屋に辿り着き、その部屋で小さな子どもに掴まってしまって、とうとうパーティには行けず朝まで過ごしてしまう。職場の仲間はホルテン、行方不明と叫ぶ―。おじさんの小さな小さな非日常、アバンチュール。そこには若い時代の華やかさやはない。あるのは多少危なげな冒険があるだけだ。友達を空港で探すが怪しまれて取調を受ける場面、ヨットを売る話、スキージャンプの選手だったが今や痴呆の老母を見舞う場面、通りすがりの酔った自称元外交官を助けて彼の家に行き、明け方目隠しして運転するという無謀ドライブをした、その酔いどれの彼がドライブ中に心臓麻痺を起こして死亡、連れてきた犬と逃げ出す場面等々怪しげな冒険が続く。最後に機関士時代に常宿にしていた女将と駅で再会、ここでこの映画は終わる。何とももの哀しい映画だ。ほの暗いのだ。人生とは、定年とはと問いかけてはいるが、そして静かでほのぼのとした温かいこともいいが・・・。欲を言えば、昼の世界、明るい方ももう少し観せて欲しかったと筆者は思うのだ。上映時間、90分。

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