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2008/09/26

超人の面白読書 47 雑誌「現代思想」9月号

  フランスのサルコジ大統領が大学改革でてこずっている様子を最近の新聞が伝えている(毎日新聞9月23日の朝刊)。日本の教育制度と違ってフランスは、大学の他にエリートを養成する機関、経営大学院、国立行政学院のグランゼコールと呼ばれている専門教育機関があって、特に後者のグランゼコール・国立行政学院(ENA)の出身者がフランス政界の主流を占めているらしく引く手あまたらしい。大学はすべて国立だが中間層が進み二番手に甘んじている。大学は改革できてもグランゼコール改革は容易ではないとパリ大学の教授の話を載せている。実はこの書評の第一回目は天野郁夫著『大学改革』だった。そこではこのフランスのユニークな教育制度を紹介していたのだ。
さて、書評。今回は雑誌を取り上げてみた。「論座」など硬派の雑誌が休刊に追いやられたりして時代の反映をみる思いがするのだが、どっこい雑誌「現代思想」は頑張っている。その「現代思想」9月号の編集後記はやや長く600字強だ。大学は現在過酷な大転換期を迎えようとしていると記し、グローバリゼーションの効率化の論理が主因としながら、大学の現場化に大学人はもっと自覚と誇りを持つべきと説く。特集は<大学の困難>、フランス文学、政治哲学専門の先生方による31ページに及ぶ鼎談が面白い。

2008/09/25

2008年 秋

初秋

暑かった夏が去り
まだ余韻が残る
いま
海の向こうではハリケーンが暴れしばし沈黙
しかし
政治の季節が吹き荒れている

暑さ寒さも彼岸まで

よく使われるフレーズは季節の到来を告げて

杓子定規が踊っている

「安倍」川餅と小「福」餅
包んだ新聞紙を
メチャメチャ丸めて投げると
彼女はそれを例のマジックで粉々にする

季節は秋
久しぶりにスーパー銭湯に行った
節々が泣いていて
かたかたと音がするのだ
趣向を凝らした洞窟風呂でフクロウが笑っている
しかも口からオユを出して

不苦労
風呂長寿

季節はやがて変わるのだ

2008/09/23

超人の面白ラーメン紀行 97 横浜市港南区『くじら軒上大岡店』

超人の面白ラーメン紀行 96

京浜急行線上大岡駅京浜百貨店1階にある『くじら軒上大岡店』。台湾の民家風の本店は横浜市営地下鉄センター北駅近くにあるらしい。昼時を多少オーバーした時間に入ったが客の入りはまあまあ。早速メニューを見てここにも排骨麺があることを発見、頼んだ。スープは選べるらしく支那そばに使われる古典的な醤油系スープ(高級日高昆布と焼津の鰹節、煮干に豚骨、鶏ガラ)を選択。排骨といえば『ラーメン万世』なのだが、ここのはやや薄く細い、味は『ラーメン万世』に比べるば淡白、しゃきしゃき感はあった。値段も『ラーメン万世』の750円より250円も高く1000円。ただスープは『くじら軒上大岡店』の方が美味。麺は極細麺ストレート系だ。その他チャーシュー飯も人気のメニューらしい。一目見た限りでは客層は広いみたい。
『くじら軒上大岡店』1.スープ★★2.麺★★3.トッピング★★☆4.接客・雰囲気★☆5.価格★☆
 
ところで、このラーメンを食べた翌日の昼食にカップラーメンを食べた。埼玉・白岡の『もちもちの木』の中華そばだ。ある友人はわざわざ埼玉の外れのこの店まで食べに行ったそうな。それを思い出して食べてみた。鰹だしたっぷりのシンプルなカップラーメン、多少メッセージが強いが、1999年創業以来白岡店、野田店、新宿店、宇都宮店、蓮田店、福島店、仙台店と今や7店舗を展開中。あの名店、永福町の『大勝軒』を彷彿させる味だ。こだわりの一品である。明星食品298円。

超人の

2008/09/14

超人の面白読書 46 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』 6

 その昔自衛隊勧誘が盛んだったことを本当に久し振りに思い出した。この著者が言うには今日本でも高校生をターゲットに始まっているらしいのだ。アメリカではレイムダック状態のブッシュ大統領がイラクから今度はアフガ二タンに増派すると発表したばかりだ。泥沼化の一途、また死傷者が出るのだ。平和はいつ来る・・・
 軍のリクルーターの手の込んだ高校生勧誘のリポートは第4章、出口をふさがれる若者に詳しい。ここでは小見出しを拾おう。「落ちこぼれゼロ法」と言う名の徴兵政策、経済的な徴兵制、ノルマに圧迫されるリクルーターたち、見えない高校生勧誘システム「JROTC」(Junior Reserve Officer Training Corp)、軍の第二のターゲットはコミュニティ・カレッジの学生、カード地獄に陥る学生、学資ローン返済免除プログラム、魅惑のオンライン・ゲーム「アメリカズ・アーミー」、入隊しても軍隊から抜け出せない、帰還後にはホームレスにが第4章の小見出しで追ったあらましだ。続いて第5章は世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」。「素晴らしいお仕事の話があるんですがね」の誘いに乗った男性の告白記事。経済的困窮からリクルーターの誘いで軍に入隊、その後イラクへ。トラックでの搬送業務に就き、そこで身体の異変に気づき帰還、治療生活へ。更なる経済的試練が待ち受けたと言う話。「これは戦争ではなく派遣という純粋な戦争ビジネスです」、ターゲットは世界中の貧困層、ここでは派遣会社からブルックリンに住むフィリピン人への軍への誘いの話そしてバングラデッシュ、中国、インド、ネパールと広がっているらしい。しかも軍人ではないので軍法会議にかけられない法の網の目を潜る。更に小見出しは続く。戦争で潤う民間戦争請負会社、見えない「傭兵」、一元化される個人情報と国民監視体制、国民身分証法、州兵としてイラク戦争を支えた日本人・・・。
今何が起きているかを知ることと(無関心を装うな、主体性を持て)そして新しい眼で世界をとらえなおす視野が求められていると著者は本書を結ぶ。翻って日本、格差と貧困、教育と医療そして防衛問題等々問題は山積みなのだ。誰が首相になるかって、それより見通しの効く政策、そして実行力を伴った政治力が今こそ問われていると思うのだ。アメリカだって大統領選真っ只中だが、スキャンダル合戦はいただけない。今日だって凄いニュースが飛び込んできたのだ。サブプライム問題で大手証券会社のリーマン・ブラザーズが破産申請を出したニュースだ。アメリカはやはり病んでいる。今朝のアメリカのABC放送で元FRB連邦準備制度理事会議長のインタビューが報道されていた。こんなことは100年に一度起こるか起こらないかの出来事だ、バブルだったのだと・・・。しかしその代償は少くないはずだ。
 本書には刺激される事柄が多かった(一部加筆訂正 9月15日記)。
追記。この本は現在15刷、19万部。著者は今年のエッセイスト・クラブ賞を受賞し、どうすれば人間的な社会を守り育てていけるのかが新作のテーマだと毎日新聞夕刊(2008年8月22日付)「本の現場」で語っている(2008年9月24日 記)。

2008/09/13

超人の面白ラーメン紀行 96 新宿『麺屋武蔵』と戸塚区『松壱家戸塚店』そしてビッグダディの元妻の働き場所など

超人の面白ラーメン紀行  96

西新宿7丁目にある『麺屋武蔵』を再訪。開店前にすでに23人が
並んでいて相変わらずの人気ぶりである。醤油ラーメン(750円)
を頼んだ。美味。ところで、店の元気なのは分かるがパフォーマ
ンスが多少度が過ぎないか。


一方、横浜市戸塚区の新家系ラーメン『松壱家戸塚店』。筆者はラーメン(豚骨醤油、750円)を味を薄めに頼んだが食べた後多少違和感が残った。これは好みだから仕方がないか。
同じ戸塚区内にある『しんの助』とは大分味が違う。『松壱家』は
藤沢が本店で他に平塚にも店があるようだ。戸塚店は1、2年前
に出来た男っぽい雰囲気の店。13人位並んでいた。つい2日前
の9.11から値上げしたのが気になる。同じような家系ラーメン
『寺田家』は戸塚駅西口駅前にある。こちらはスタッフも比較的
若いせいか、同じ家系でも多少あっさりしているみたい。

ここで突然クイズ、この二つの写真で大きな違いは ?

比較ラーメン学の試みなのだ。
ロケーション、人材、スープの味、風格、麺のアルチザン的こだ
わり、トッピングの華やかさと落ち着きそして見た目、どんぶり
の質と量そして美的センス、接客・雰囲気→客目線と気配り
そして明るさ、納得のいく適正な価格

『松壱家戸塚店』1.スープ★★2.麺★★3.トッピング★☆
4.接客・雰囲気★★5.価格★★

 

らーめんや口許さびしや暖の秋

追記 あれから5年以上経つが『松壱家戸塚店』はそれなりに繁盛している。特に若者たちに人気らしい。その『松壱家戸塚店』が今度はテレビに登場。テレビ朝日の年末スペシャル番組「ビッグダディ」(2013年12月29日放送)でビッグダディが“元祖”元妻が働くラーメン店(『松壱家戸塚店』)を訪問、元妻が仕事を終えた後斜め前の店で一緒に食事しながらお互いの近況報告を語り合った。まさか『松壱家戸塚店』が番組に出たとはオドロキだ(2013年12月30日 記)。 

追記2 テレビ登場後好奇心もあって訪ねてみた。相変わらず若者が多い。心持ち人入りは良いような感じだ。それにしてもだ、何だか分からないが変な緊張感なのか、忙しいなかに何か元気がなさそうー。
(2014.2.12 記)

追記3 先週土曜日(2014.10.4)の夕方の 日テレのニュースで“ビッグダディ”の盛岡の実家が全焼と。出火の原因は漏電らしい。燃え上がる家まで映し出されていた。かつてテレビ朝日でロケされた家だ。(2014.10.6)

超人の面白読書 46 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』 5

 Img007_2
第3章は公的医療の話だ。医療にかかる費用が具体的で示唆的である。今日本でも病院が経営困難に陥ったり(銚子市立総合病院などひどい問題だが)、医師不足特に産婦人科医はなりてがいない、僻地には医師も看護師も不足しているなど日本の医療環境もお寒い状態だが、それより高齢者の医療負担増は深刻だ(悪知恵を働かす医療政策者がいて“後期”高齢者を対象に医療費負担しかも年金から天引きのオプションつき。さすがに施行後評判悪さと行政側の認識不足がマスコミの餌食にされ、ついには政府が一部手続き改正に追い込まれたのだ)。早く死ねと宣告されているようなものなのだ。年金生活が頼りの高齢者にとっては特に顕著だ。この国の医療福祉政策の呆れるほどの無策振りと現実感覚の欠如をみると、アメリカの医療の話を決して対岸の火事とは思えないのだ。今年度などは文科省があわてて大学の医学部定員を増やす始末である。過去には医師溢れなどといわれた時代もあったというのにである。重労働に耐えかねた医師が複数で退職した貝塚市の救急医不足に市が打ち出した苦肉の策は法外な報酬での医師募集広告だ。曰く、年収3000万円保障というもの。その後どうなったかは筆者は知らない。
 さて、アメリカの公的医療の話である。ここは数字で示したほうが良さそうだ。びっくりするほど高い。それほどまでにアメリカの保険会社が牛耳っていて日本の健康保険制度の仕組みがないのだ(民主党のヒラリー・クリントンがやろうしていた)。以前から聞いてはいたが、本書を読んで尚更その思いを強くしたのだ。医療費高負担でついカードに手を出し挙げ句に多重債務者に成り果て最後は自己破産で終わるケースが多いらしい。そうかと思えば、日本の日立みたいな規模のマンモス病院があって(350の病院を所有)28万人が働き年商200億ドルを稼ぐ世界一の病院だそうだ。 日本で盲腸手術にかかる入院費は12000円なのにアメリカはじめ世界の都市の入院費用はこうだ。ニューヨーク、1日平均243万円、ロサンゼルス、1日平均194万円、サンフランシスコ、1日平均193万円、ボストン平均169万円、香港、4日平均152万円、ロンドン、5日平均114万円となっている。これで見るかぎりではロンドンが意外に安いか。
 アメリカは保険会社の寡占化が進み高い保険料を払わせられるがそれ以上に何かと理由をつけて支払わないのだという。病院はといえば、たくさんある保険会社の書類に忙殺される有様らしい。保険会社天国アメリカか。先程触れたマンモス病院は株式会社で人の生命より企業の利益を優先している病院で常に目標必達のノルマが課せられているという。
出産の場合も日本のような一律35万円の出産一時金制度がなく、自己負担、その入院出産費用は1万5000ドルが相場。所得による格差のしわ寄せが妊婦にまで直撃していると著者は書く。また、高齢者の公的医療保険「メディアケア」は「ソーシャル・セキュリティ・タックス」という社会保険税を10年以上支払うと65才で受給資格が得られる仕組みで、受給者は毎年100ドル支払うと医療費の20%を自己負担するだけで60日までの入院は一律800ドル収めればよいことになっているが、20%自己負担は変動するし病院側の「メディアケア」サポート額も変わってくるという。長期療養の心臓病や糖尿病には向かないらしい。国と州が折半出資の「メディアケイド」(低所得者医療扶助)もあるが、高すぎる医療費と保険会社が支配するアメリカ医療システムの中で予算を圧迫し問題になっているという。入院すらできない、いや、たとえ入院したとしても回転率が問題で早く退院させられるとインタビューをした人の話に切迫感がある。こう見てくると、新自由主義も例の“格言”が徘徊していると思わざるを得ないのだ。富める者は益々富み貧しき者は益々貧しくの構図、格差と貧困の構図が明確に認識できる。
本書はルポルタージュなのでたくさんの人にインタビューを試みているが、他人の痛みが分かり合える社会の到来はありえるだろうかという疑問が残る。次の章の軍のリクルーターの話もひどい。続く。

2008/09/12

クロカル超人が行く 96 丸の内界隈 2008年丸の内牛祭り 

クロカル超人が行く丸の内界隈
“丸の牛”の出現である。全部で65頭いるらしい(オブジェ)。今回はベビーカウ8頭も参加。タレントの中川翔子、建築家の隈研吾、アートディレクターの佐藤可士和の若手(中川翔子以外筆者は知らない)もエントリー(「パンフレット―アートなウシが、丸の内ジャック―より)。その一頭がこれ、夜露死苦といった表情。この丸の内牛祭り「カウパレード東京 丸の内2008」も2年ぶり3度目。パブリックアートのご開陳だが、当初東京駅から新丸ビルを歩いて出くわしたときにはびっくりしたな、モウだった。オフィス街に牛君突然登場には戸惑ったものだ。牧場にいる牛もいいが(もともとは1998年にスイスで始まり、パリやニューヨークなどの都市でも開催され動員数も多いという)、アートしている牛もまた、いい。COW COW だ。
「カウパレード東京 丸の内 2008」は10月19日まで開催中。さて、開催後の牛の運命はどうなる?ステーキにして食べられる?それとも?答えはパンフレットをご覧あれ。さて今度は昼間オアゾあたりで見てみようと。

ウッシッシィーという勿秋の夜は

Slow and steady wins the art race.

超人の面白読書 46 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』 4

第2章のニューオーリンズの話は前に多少触れたが、ここでは本来国が責任を負うべき学校が民営化された話(チャータースクールで災害後ルイジアナ州では学校128校のうち107校)や移民問題などが書かれている。移民はアメリカの総人口の12.44%、3570万人に達し、ヒスパニック系移民がアフリカ系移民を追い越し、またアジア系移民が増加しているとその特徴をアメリカ国勢調査局の最近の統計(2006年発表)を駆使して書く。白人が占める割合は66.88%と15年前より10%近くも減っている。1990年と2000年の移民出身国の変化が表になって出ているのでそれを追ってみよう。ラテン・アメリカ(スペイン語圏、97%増)、東アジア(55%増)、ヨーロッパ、西半球の非スペイン語圏、南アジア(70%増)、中東、カナダ、サハラ以南のアフリカ、オセアニア・その他となっている。グローバリゼーションという名の競争に負け、国境を越えてアメリカに不法入国してくる経済難民の数は日々増えていると著者はこの章を締めている。続く。

2008/09/11

超人の面白読書 46 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』 3

ニューヨーク州の公立の小学校の50%は肥満児、その対策に乗り出すが、ジャンクフードやファーストフード(貧しい家庭に配布されるフードスタンプを使用している児童が多い)などの揚げ物中心の食事では児童の肥満は増え、予算のない公立の小中高ではこの傾向が益々強くなって来ているとなかなか対策が進まないらしい。貧困児童の教育の低さと肥満は比例するという。そして120兆円規模の食品産業が貧困層をターゲットに巨額の利益を上げていると経済学者ポール・ゼイン・ピルツァーの著書『健康ビジネスで成功を手にする方法』の中から引用している。経済的弱者がそれらの産業を潤わせるアメリカで貧困と肥満は同義語と指摘。弱者を食い物にしているのだ。この資本主義の矛盾―。続く。


2008/09/10

超人の面白読書 46 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』 2

本書は雑誌『世界』、季刊誌『ひとりから』などに書いたものを大幅に加筆・修正して出来上がっている。
第1章 貧困が生み出す肥満国民
第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民
第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々
第4章 出口をふさがれる若者たち
第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」

一読してアメリカ社会の現実はアメリカンドリームとは程遠く疲弊しているということだ。今朝のNHKニュースのニューヨーク情報コーナーでは新しいファッションを紹介していて華やかだが、一歩中に入ると弱者に厳しい現実の顔があるのだ。特にニューヨークは成功者には限りない拍手を送るが、一方失敗者には冷たくただ黙って立ち去るのみらしい。それでも世界中から一攫千金を夢見て集まってくるのだ。
つい最近もハリケーン・ハナ、グスターフ、アイクとハリケーンが続いてハイチなどに被害をもたらした。幸いにニューオーリンズは100万人避難と騒がれたがハリケーン・ハナの勢力も弱まり大きな被害はなかった。そのニューオーリンズは4年前にハリケーン・カトリーナの上陸で大被害を受けたことは記憶に新しい。復興中のニューオーリンズだが沿岸部に住んでいたアフリカ系アメリカ人などが立ち去った後に、替わって不動産屋が売り出して高級住宅化しているとリポートは語る。また、当時も問題を醸し出したFEMAの緊急出動態勢や救出活動について元職員の話としてあのハリケーンは自然災害ではなく人災だったと語らしめている。貧困が生み出す肥満国民の章では著者はある統計を引用する。アメリカ国勢調査局の2006年度の資料だ。それによると、貧困の定義は4人家族で世帯年収が2万ドル(220万円)以下の世帯を指し、その家庭の子どもを「貧困児童」とする。2005年度のアメリカ国内貧困率は12.6%%、うち18歳以下の貧困児童率は17.6%(約6人に一人)で、2000年から2005年の間に11%上昇した。これは5年間で新たに130万人の貧困児童が増えた計算になる(本文P.18)。そしてブッシュ政権では保育援助基金の5年にわたる凍結で貧困児童を急増させているという。

2008/09/09

超人の面白読書 46 堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』

 アメリカの大統領選挙がいよいよ2ヶ月後に迫り、民主党のオバマ候補かそれとも共和党のマケイン候補か、全世界の注目を浴びているところ。オバマ候補が有利とメディアは伝えているが、何が起こってもおかしくないのがアメリカの大統領選挙だ。9.11同時多発テロ事件から7年目が目前、最近ではサブプライム問題で二大大手の住宅金融会社に緊張の公的資金が注入されたばかりである(Fannie MaeとFreddie Mac)。今のアメリカは経済的に病んでいるのだ。格差と貧困、この新自由経済体制の明と暗の構図はここ10年ではっきりしてきた。日本でも今年始め毎日新聞の記事が火付け役で小林多喜二著『蟹工船』(新潮文庫)がフリーターやワーキングプアーの多い若い世代に口コミ、書店の積極的な販売戦略、そして話題性などから読まれ出した。戦前の話だが共感することがあった、ということか。おかれた境遇から立ち上がり団結していくプロセス―。それにしても50万部以上出たとはサプライズ。さぞかし地下に眠る多喜二先生はニンマリを決めて込んでいるのでは―。これを機に党派性が薄れた昨今の政治状況でひとり気を吐く政党もあるようだ。途中で投げ出した某首相、どこかの新聞のタイトルではないが、この国は一体どこへ行く、だ。
 さて、前置きが長くなってしまった。堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』を読み終えた。刊行してすぐに立ち読みした本だ。なるほどフリードマンのいう“危機のみが変化をもたらす”―。続く。

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