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2008/05/16

超人の面白文学発見 ある文学研究会見聞記 1

  つい一週間前の冷たい雨の降る土曜日の午後、京王稲城駅からタクシーに乗って研究集会会場の駒沢女子大学へ向かった。思ったより時間が掛かってしまい(もっと早く出てくれば良かったのだが)開始時間から15分遅れての入室。すでに満席に近い状態だった。歌人の福島泰樹氏の講演が始まっていた。この研究集会は昭和文学会と中原中也の会研究集会とのジョイントでテーマは「中原中也への新たなまなざし」だ。筆者はある先生が発表するというので顔を出したのだ。
 さて、歌人福島泰樹氏の講演は中原中也の朗読詩をひっさげてコンサートを続けている人らしく、講演慣れしているとみた。「中原中也と戦争」というタイトルの講演はえっ、“公演“と間違えてしまうほどだった。中也の家族構成それに戦争の時期を絡ませて“好演”は続く。

    サーカス


幾時代がありまして  
  茶色い戦争ありました

幾時代がありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代がありまして
  今夜此處での一と殷盛り
     今夜此處での一と殷盛り

幾時代ありまして
  サーカス小屋は高い梁
 
そこに一つのブランコだ
  見るともないブランコだ

頭倒さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋のもと

ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉がなります牡蠣殻と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

      屋外は真ッ闇 闇の闇
      夜は劫々と更けまする
      落下傘奴のノスタルヂアと
      ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん  

 読んでいる歌人の低音もいいが、言葉遣いといい音といい情景が浮かぶのだ。このブランコとゆあーんゆよーんというオノマトぺの効果、最高!歌人も言っていたけど。また、“茶色い戦争“という語句、笑っちゃうな、さすが言葉のマジシャンだ。中也は難解な言葉は使っていないが短歌の素養があるから叙情性を出せたのかもしれない。偏に漢語使って抽象を泳ぐよりもだ。解釈はこの辺にして。歌人、福島泰樹氏はいかに中也を超えたか―。講演の終盤のパフォーマンスがそれを言い表わして見事だった。その中也詩の解釈の奥深いこと。筆者は会場受付で売っていたコンサートを収録したこの歌人のCDを購入してしまったほどだ。Img020_7
帰り際、夕方吉祥寺で寺山修司没後25周年を兼ねたコンサートをすると宣伝してさっさと帰ってしまった。<続く>

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