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2007/11/04

クロカル超人が行く 72 鎌倉文学館企画展『中原中也 詩に生きて』

クロカル超人が行く鎌倉文学館

鎌倉文学館。旧前田侯爵別邸で一時期元首相の佐藤栄作も別荘として借りていたこの建物は、洋風建築と和風建築との融合した建築美を備えた貴重な建造物だ。
 晩秋の晴れ渡った午後、筆者は鎌倉散策の途中、この鎌倉文学館で開催中の「中原中也 詩に生きて」(今年は生誕100年とあって、山口、福島、金沢他各地で詩人・中原中也の催しが開催された)Img198
の企画展を観た。最初の常設コーナーでは里見淳、川端康成、久保田万太郎、獅子文六、小林秀雄、吉屋信子、岡本かの子、横山隆一、田村隆一、吉田秀和等鎌倉文士が住んだ(住んでいる)地図が展示されている。その数100人余、いろんな方がこの地に住んだのが一目瞭然。特に三島由紀夫はこの洋館をモデルにした『春の雪』を書いていて、その生原稿が展示されている。律儀な筆跡は彼の性格を物語っていて見事。その他太宰治の『人間失格』の生原稿もあった。
 今回の中原中也企画展では自筆原稿を見れれば良いと考えて来たのだ。なるほど、超コンパクトに纏められた部屋の一室では中原中也の“モノトーン+セピア色+インク色の青さ”が合奏していた。原稿用紙に書かれた慣れた文字群が跳ねていた(展示中の小三時の習字は抜群の出来。でも不思議、90年前のまま、複製?それとも墨の偉大さ、紙は変色するはずだが)。何枚もの家族の写真が落ち着きを放っていた。息吹はこの詩人の京都時代、富永次郎やダダイスト新吉を知るあたりだろうか。中也の幼少時代、学生時代、小林秀雄や大岡昇平などの交遊関係、手紙、同人雑誌などの展示はすでに大方が知っていること、別に新発見の資料もなくごく平凡だ。その中でも印象に残ったのは、富永次郎の臨終の写真と文、黒く染めたマントと帽子だ(中也は背が低かった)。やはり富永次郎から受けたフランスの象徴派の詩人たち、ランボーやヴェルレーヌ風を気取っていたのだろう。もうひとつはこの臨終時の写真でも判るが長髪である。中也も長髪だった。その格好での冠婚葬祭の出席は母フクからも拒まれていた。芸術は“形”から入るが世間にはなかなか受け入れらない・・・。
それにしても詩人・中原中也は幾時代も超えて受け入れられている。この哀しみは普遍、不思議である。穿った見方をすれば中也幻想、中毒がいかに多いかだ。筆者もその一人かも知れない。

2007年10月22日が没日で生誕100年を記念して刊行された角川文庫版『中原中也全集』をここのミュージアムショップで購入。この中から一、二編を引用してみよう。
 
含羞
 
―在りし日の歌―
 
なにゆゑに こゝろかくは羞ぢらふ
秋 風白き日の山かげなりき
椎の枯葉の落窪に
幹々は いやにおとなび彳ちゐたり
 
中略
 
その日 その幹の隙 睦みし瞳
姉らしき色 きみはありにし
あゝ! 過ぎし日の 仄燃えあざやぐをりをりは
わが心 なにゆゑに なにゆゑにかく羞ぢらふ
 
 

汚れつちまつた悲しみに・・・・・

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の皮裘
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる・・・・・・

外に出て薔薇園(刺がない品種の薔薇で有名みたい)を覗いた。

晩秋の薔薇

晩秋の薔薇は
海からの風に揺れ
少し嗤った

茶色い戦争はもうイヤ
棘のないあなたがいい

年増女がそう言ったか
分らず フラッシュバック

晩秋の薔薇は
丸い帽子を被って黙った

・・・・・・・・・
            超人
               


そして薔薇園から戻って門を出たら山道の句碑が目に留まった。
それは芭蕉が鎌倉を詠んだ句だ。

 
鎌倉は生きて出にけん初松魚
                           芭蕉
 
帰路鎌倉駅西口で見つけた手作りの店の棚がこれ。

東口に回ると人込みが特に小町通りでひどかった。

それにしても小耳に挟んだニュースには驚いた。またか、だ。
小沢民主党代表が辞意表明。福田首相との二回目のトップ会談でその内容が党内で受け入れられず政治的混乱を招いたのが理由。
この国の政治は本当に密室で決まるのか。さて、今後の行方が注目されるところだ。

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