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2007/05/31

学術先端情報-学術mini情報誌「PS Journal」最新号の紹介 6

学術先端情報-学術mini情報誌「PS Journal」第10号Img142_1
特集: 研究者の現在Ⅸ 人文・社会科学の、パースペクティヴ 2

RG131接収商社資料と空襲ターゲット選定
                         九州大学教授 三輪宗弘

米国国立公文書館Ⅱに所蔵されているRG131(接収文書)は大きく分けて3つの資料群から成り立っている。
①日本(商社と銀行)、ドイツ、イタリア企業の在米支店の接収文書
②司法省戦時経済局(Department of the Justice, Economic Warfare Section)の調査資料(日独伊企業、日独伊と取引・資本関係のあった米国企業、日独伊占領地域の経済調査)
③第一次世界大戦時接収資料(主にドイツ)
 
RG131の司法省戦時経済局調査関係資料のRecords of the Japanese Research Project(entry 341)の24箱に手書きの草案や英訳を行うだけの価値があるとされた資料が残されている。司法省戦時経済局は、押収した日本の商社のニューヨーク支店(三井物産、三菱商事、大倉商事、浅野物産、安宅産業)の資料を徹底的に分析し、日本の企業がどのような機械・装置を購入したのか、機械を据付けた工場の所在地はどこなのか、一点一点調べ上げた。機械や石油に特化していた大倉商事、浅野物産は資料がなくなるほど調べ上げられたようである。大倉と浅野の資料は戦時経済局の作成した調査レポートによって在米支店の活動および日米取引の実態を把握するしかないのが現状であるが、かなり研究がすすみそうである。
日本の基幹産業・軍需工場の設備が丸裸であり、日本への戦略爆撃ターゲット選定に有用なレポートになったであろう。例えば航空機燃料を精製する石油プラント関係の機械(購入先、商社、納入先)に関しては、航空機ガソリンや四エチル鉛の製造企業約50社の機械・装置の導入や契約内容などに関しては以下の手書きのレポートが残されている。
①H. Glicks, Draft of Petroleum Report
②Fred S. Auty, ,Report on Synthetic Oil and Gasoline Industry Japan (1943年8月8日作成)
陸軍造兵廠・海軍工廠(横須賀、呉、舞鶴、航空本部、艦政本部など)はじめ日立金属、中島飛行機などの個別企業ごとに、機械の購入元(メーカー)、販売商社名の詳細な調査記録が残っている。商社別の調査記録もある。例えば浅野物産、大倉商事、三井物産、三菱商事の資料から人造石油(フィッシャー法、オイルシェール)に関する情報を収集したり、交通網を破壊する資料として鉄橋や港湾、高速道路などの情報収集するなど手抜かりはなかった。機械据付に派遣された米国企業の技師のインタビューや日本に滞在した宣教師からの事情を聴取して作成されたレポートもある。
爆撃目標に選定された日本企業は九冊からなる“Air target intelligence, Japanese War : target analysis by areas”が米国議会図書館のGeography & Map Reading Roomに所蔵されている。Indexも一冊あり、日本本土だけでなく、満州、朝鮮、台湾、インドシナ、中国なども幅広く目配りされており、ターゲットとすべき目標(企業、鉄橋)が網羅されている。幸いにも米国戦略爆撃調査団のマイクロフィルムに収められており、国立国会図書館憲政資料室で閲覧できる。「接収された商社資料が日本爆撃にどのように利用されたのか、米国が日本の戦争遂行能力を低下させるためにどの企業を爆撃するする必要があると考えていたのか」という問題を跡付けることで、接収された商社資料は斬新な視点・切り口を日本経済史研究や軍事史研究に照射(しょうしゃ)しそうである。
米国国立公文書館Ⅱで、司法省(Department of the Justice)の資料を探したところRG60のCentral Correspondenceの中にEntry 230: Records of the Economic Warfare Section関連資料があり、戦時中の日本の戦争遂行能力に関する包括的な研究が行なわれ、プラスティック、軽金属、人造石油、化学産業、セメントなどの報告書が収められている。戦争末期になると、ドイツ、日本の賠償能力に関する。レポートも作成されたようである。作成されたレポートは左記に配付された。
①BEW(British Economic Warfare)
②OSS (Office of Strategic Service)
③MIS(Military Intelligence Service)
④A-2―Far East Section(後のG-2)

さて、米国戦略爆撃調査団(The United State Strategic Bombing Survey)報告書マイクロフィルムが国立国会図書館憲政資料室で閲覧可能であるが、その中に、戦時中の司法省戦時経済局が作成したレポートが収められている。Entry 46: Security-Classified Intelligence Library,1932-1947の中のSection 6: Japanese Intelligence Libraryの中に戦時経済局が作成した200ものレポートがマイクロフィルムに所収されている。RG165( Entry 79 : P. File)およびRG60に点在する戦時経済局のレポートも寄せ集め、接収された商社資料分析から、どのような知見が得られるのか、現在調査中である。

全内容はこちら「img143.pdf」をダウンロード

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