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2007/02/11

超人の面白音楽 北欧の音楽 エドヴァルド・グリーグの曲などを聴く レイフ・オヴェ・アンスネス ピアノ・リサイタル

  今年2007年はノルウェーの作曲家・エドヴァルド・グリーグの没後100年。その一環として北欧の俊英、
レイフ・オヴェ・アンスネスLeif Ove Andsnesのピアノ・リサイタルを彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールで聴いた。すでに11月に予約を申し込んでいたもの。
シベリウス:キュリック-3つの抒情的小品Op.41 J .Sibelius:Kyllikki-3 Lyric pieces, Op.41 
《13の小品》より<悲歌的に>Op.76-10 Elegiaco(13 Pieces Op.76, No.10)
《13の小品》 より<練習曲>Op.76-2 Etude(13 Pieces Op.76, No.2
《5つの小品》(樹木の組曲)より<白樺の木>Op.24-10 The Birch(5 Pieces Op.75, No.4
《10の小品より》<舟歌>Op.24-10 Barcarola(10 Pieces Op.24, No.10)

グリーグ: ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 Op.24
E.H.Grieg: Ballad in the Form of Variations on a Nowegian Folk Song in G minor, Op.24
シェーンベルク: 6つの小さなピアノ曲 Op.19
A.Schnberg: 6 Kleine Klavierstcke, Op.19
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111
L.V.Beethoven: Piano Sonata No.32 in C minor, Op.111

これが2時間に及ぶ曲目の全てだが、この北欧の俊英のピアノ演奏は何と言ったら良いか、透明感のあるなかに力強さと情熱を持ち合わせているとでも言えようか。彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールの二階からピアニスト・アンスネスの手の動きから足の動きまで仔細に眺め下ろすも、手の微妙な動きは二階のこの席からは見えなかったのが残念。長身で端正なマスクそして薄茶色の髪の毛と黒を貴重とした服装、それは今が旬のノルウェーのピアニストに相応しいステージ衣装なのか筆者には知る由もない。ピアノを弾くアンスネスの表情は時に眉間に皺を寄せ、時に優しさの織り交じる表情も見せたりする。二階の聴衆を意識してかどうかは知らないが、弾きながら顔を上げている仕草は瞑想のそれか、集中力のなせる技かは想像にまかせよう。決して派手なパフォーマンスを見せつけるピアニストではないように見受けられる。むしろ額に汗を滲ませて振舞う実直さが聴衆の心を捉えていただろうか。ピアノの音が会場一杯に響き渡る、静かだがパンチがある、透明感がある、正確に弾くそして情熱的に感性の襞を辿って行く。素人の筆者には分からないが何かが伝わって来るのだ。これが感動と言うものだろうか。北欧の風景を勝手に思い浮かべてはしばし瞑想に耽ってみたくなる。筆者もグリーグのピアノ協奏曲を期待していたが、十八番のようにそればかり要求されているらしく、もう敢えて弾くのを止めて7,8年になるとUnoffical site of Leif Ove Andsnesは伝えている。気持ちはわかるような気がする。シベリウス他の小品もすばらしいではないか-。弾き終えた後との聴衆の拍手が鳴り止まない、レイフ・オヴェ・アンスネスは再三bowingをした後に、私たち聴衆のアンコールに応えてくれた。

1.バッハ/ムゾーニ
 主イエス・キリストよわれ汝を叫ぶ
2.メンデルスゾーン
 無言歌 嬰へ短調 Op.67-2
3.グリーグ
 抒情小品第1集 Op.12より
 6.ノルウェーの旋律
 5.民謡 
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これが演奏終了後玄関に張り出されたアンコール曲だ。CD購入者にはこのピアニストのサインが貰えるとあって並んだ人は60人位 ? 筆者は買わずに横でその光景を見ていただけ。Where,here,Thank youとノルウェー語ではなく流暢な英語で応えていたね。それにしても「100人を聴く10年」(99/100とあるからレイフ・オヴェ・アンスネス氏で99人目)の音楽監督を務めるピアニストの中村紘子が、遅れていて時間に間に合わなく今回の挨拶は中止しますと場内アナウンスが流れた矢先、本人がマイクを持って出て来たのには驚いた。良い方に転んだのだ。ところで、旦那さんの作家・庄司薫氏はお元気で書いているのだろうか。余談、余談、冗談だよと筆者の独り言。このホールは610人入るそうだ。本日の入りは90%くらいか、盛況だろう。すばらしいピアノ・リサイタルだった。感動をありがとう、Tack,Herr Leif Ove Andsnes !

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【会場で配布されたパンフレットから。ピアノ演奏家のプロフィール】


「アンスネス」で検索してみたら、こんなサイトが。以下はそのコメントの全文。


輝かしいキャリアの絶頂に立つ欧州屈指の名手、アンスネス 

1970年、ノルウェーのベルゲン近郊カルメイに生まれたピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスの来日は2007年2月に予定されている5年ぶりのリサイタル・ツアーで、通算10度を数える。筆者は1992年2月、ネーメ・ヤルヴィ指揮のベルリン・フィル定期演奏会に招かれ、グリーグの協奏曲を弾いてのドイツ・デビューに遭遇、日本の音楽雑誌に「未来の巨匠が出現」と報告した。翌93年にはドミトリ・キタエンコ指揮ベルゲン・フィルに同行して初来日、同じグリーグの協奏曲を弾いた。レセプションに現れたアンスネスはまだ少年の面影を残していたが、後日のインタビューでは「グリーグの協奏曲のように一定期間、特定の作曲家、作品に集中して解釈を深め、『一つの成果を得た』との手ごたえを得たら弾くのを休み、別の作品を究める」など、しっかりした考えを持っていることに驚いた。

 以後の来日でも、決して「○ ○ 作曲のピアノ協奏曲全曲演奏会」とはならず、慎重に作品を選んできた形跡がありありだった。2006年8月の来日で東京・サントリーホールの現代音楽祭に出演、マーク=アンドレ・ダルバヴィの協奏曲を日本初演することは、従来のアンスネス像をかなりモダンな方向へ修正するに違いないが、解釈それ自体は、グリーグの協奏曲で世界を制覇した少年時代以来の透徹した仕上がりを達成しているはずだ。

 アンスネスはドイツやイタリア、フランスといったヨーロッパ音楽の源流の外に生まれ、派手なコンクール歴とも無縁のまま、オーディションや推薦で活躍の場を広げてきた。現在はニューヨークのカーネギーホール、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホール、ロンドンのバービカンセンターなどが曲目の“白紙委任状”を与え、アンスネスの弾きたい曲目、希望の共演者だけによる公演で客席を満たすことができるようになった。英EMIクラシックス本社は「40年単位の長期戦」で、「歴史的な巨匠に成就するまでの道」を録音する。母国で小さな音楽祭を主宰する事実が物語る通り、室内楽や歌曲、室内オーケストラ“弾き振り”にも意欲をみせ、幅を広げる。
2005年の秋に会った時も「作曲家や時代ごとのスタイルというものは、楽譜と真剣に向き合えば、作品の方から語りかけてくるものなんだよ」と、大変なことを、さらりと言ってのけた。全てにバランスがとれ、磨き抜かれた技と解釈、深みのある音色で多くの聴衆を魅了するアンスネスのピアニズムは絶頂を極めつつあり、欧州屈指の名手(ヴィルトゥオーゾ)の名を欲しいままにしている。

日本経済新聞社 文化部 編集委員 : 池田卓夫

2007年2月13日毎日新聞夕刊の音楽評(音楽評論家、大木正純)は、6日王子ホールでのもの。

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