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2007/02/23

クロカル超人が行く 56 最先端を走る「奈良県立図書情報館」

200702231223000_2 朝は小雨、昼には曇りそして青空と風と目まぐるしく変わる近畿地方の今日の天気。久し振りの古都・奈良は都大路を入った商店街のメインストリートを歩くと、新しい看板が目立ち始め、古の都にもヤングアダルトや若者向けのオシャレな店があちこちにでき始めている。その昔は奈良漬けの本舗、南都銀行、そば屋に土壁それに奈良公園の鹿、大仏、正倉院、春日大社、国立博物館に奈良ホテル等々であった。周辺には法隆寺、高松塚古墳など古代史ファンには堪らない場所なのだ。
  ところが、その古都・奈良に昨年11月上旬、超モダーンな奈良県立図書情報館がオープンしたのである。もらってきたばかりのこの図書情報館のパンフレットを覗いてみよう。"想いをかたちに"の新館構想から12年余、敷地面積31,638平方メートル、地上3階地下1階。3Fは文献資料を中心にした空間で専門資料と一般資料に分かれ、専門資料は約10万冊の開架、「ふるさとコーナー」と「戦争体験文庫」コーナーから構成されている。一般資料は約15万冊の図書と約1,500種の雑誌の開架。2Fは様々な情報機器を駆使しつつ自ら学び創造していく情報活用スペース。デジタルスタジオ、オーサリングルーム、アトリエなど高機能な情報機器とソフトウェアを用意、コンピュータを使った作品の制作や編集が楽しめる。LLルームはネットワークやCD-ROMなどを活用して語学学習やe-ラーニングができる。点字・音声出力室、対面読書室やセミナールームもある。1Fは事務用スペースと交流スペース。交流ホールは最大220人の使用できる会議室だ。さて、この情報館の特徴はパソコンを設置しただけではなく、利用者が持ち込むパソコンを使用できる持込PC利用席を設けたこと。座席の半数約200席でインターネットが利用できるという画期的な試み。その謳い文句はこうだ。過去の文化の光芒を伝える古典籍から、ダイナミックに変貌する最先端の情報を写し取る現代の電子メディアまで、多様な形態をもつ資料を使いやすく整理されて集積している空間ー。去年11月3日開館してその月だけで50万人の利用者があったという。これはすでにこの図書情報館のHPでも公式発表されている。
試しに筆者は1階のコンピュータが備えられているコーナーで実際にコンピュータを使ってみた。動かないのだ。思わず隣の学生らしき男性に尋ねてみて納得。カウンターでパスワードを発行してもらうんですよ。1日だけ使用の人にも所定の用紙で申し込めばすぐ使えますから。これはイロハだったようだ。場所は奈良市の郊外、交通の便(バスは30分間隔で運行)は多少悪いが、ハイテクを装備した最先端の図書館には一度訪れる価値がありそうだ。神社仏閣の奈良旅行にこの図書情報館を加えると更に旅行の思い出が深まること間違いなしだ。
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【写真左:工夫が施された雑誌陳列棚と開架図書棚    写真中央:斬新なデザインのPC利用席 写真右:編集・加工できるオーサリングルームとデジタルルーム】※奈良教育委員会作成の「奈良県立図書情報館」を参照

Nara Prefectural Library & Information Center is a theme park of knowledge and information.
Imagination becomes reality here.

■開館時間 9:00~20:00 ■休館日 月曜日

2007/02/17

グリーグ没後100年記念演奏会 Vol.1 グリーグと文学~詩・戯曲からのインスピレーションによる作品を集めて 

  祭日振替日の2月12日筆者は、西武線ひばりヶ丘駅中のファーストフード店で軽い食事を取っていた。演奏会開演の2時半までにはまだ余裕あるなと思いタクシーに乗り目的地のJ学園に開演前30分前に着いたのだった。羽仁吉一・もと子が創設者のユニークな教育理念で知られるJ学園は、フランク・ロイド・ライトとその弟子の遠藤新の設計による建物でも有名らしい。門を入って明日館らしき建物が左側にあるなと勝手に思い込みながら進んで行ったが、梅が満開のベンチ近くで立ち止まり、座っていた女子高生に明日館の場所を尋ねてみてビックリ(οдО;)、 オーマイゴッド! その建物はここではなく池袋なんですと、この女子高生は親切にパンフレットがある事務室まで案内してくれた。うっかりである。ホームページで住所など確かめなかったのがいけなかったのだ。その演奏会は2時半開演、今から池袋に電車で引き返したところで到底開演には間に合わない。遅れても行こう、こういう機会はめったにないのだからと自分に言い聞かせたのだった。
池袋西口メトロボリタン口を出て5、6分歩くとその重要文化財指定の建物、Meinichikan_1
明日館が見えた。ちょうどこの建物の敷地内で結婚式の記念撮影が行われていた。入るわけにはいかず守衛に尋ねると、それは左側先にある講堂だと教えてくれた。こうしてやっとの思いで会場にたどり着いたのだった。時計はすでに3時15分を指していて前半が終了しインターミッション直前だった。日本・ノルウェー音楽家協会主催のグリーグ没後100年記念第一回演奏会。グリーグと文学〜詩・戯曲からのインスピレーションによる作品を集めて。どんな演奏を聴かせてくれるか楽しみだったのだ。プログラムは演目と出演者のプロフィールそれに内容紹介が書かれた簡単なもの。

1.組曲《ホルベアの時代より》Op.40
2.歌曲
きみを愛す Op.5-3(詩:アンデルセン) Jeg elsker dig !
はじめての出会い Op.21-1(詩:ビョルンソン) Det første møde
白鳥 Op.25-2(詩:イプセン) En svane
睡蓮に寄せて Op.25-4(詩:イプセン) Med en vannlilije
3.組曲《シーグル・ヨルサルテファル》Op.56より
 休憩Pause
4.歌曲
 川のほとりOp.33-5(詩:ヴィニエ) Langs ei å
 ロンダーネにて Op.33-9(詩:ヴイニエ) Ved Rundarne
連作歌曲《山の娘》Op.67より(詩:ガルボルグ) Frau "Haugtussa"
ヴェスレモイ、ブルーベリーの丘の斜面、逢い引き
5.舞台音楽《ペール・ギュント》Op.23より Fra "Peer Gynt"
第1曲 前奏曲
 第8曲 ドヴレ山の王の広間にて
 第12曲 オーセの死
 第13曲 朝の気分
 第15曲 アラビアの踊り
 第16曲 アニトラの踊り
 第19曲 ソルヴェィグの歌
 第21曲 ペール・ギュントの帰郷
 第26曲 ソルヴェイグの子守歌

以上が演奏会の内容だ。語り小林ひかり、演奏は池内保子(フルート)、石橋なつか(ホルン)、井上勢津(ソプラノ)、平夏穂(ピアノ、フルート)、長崎美穂子(ピアノ)、藤咲真介(ホルン)、古川愛(ホルン)、松谷友香(ソプラノ)、谷敷さなえ(ピアノ)のノルウェー音楽家協会の面々。全てノルウェーに留学しているキャリアの人たちでもある。
この会場には常連だろうか、100人くらいの人たちが来ていて、その中にはノルウェー人が3人、うち1人は男性の姿もあった。この会場の講堂も古く歴史を感じる建物だ。そして、午後の一寸した陽射しがこの古い建物に入ると、明暗のコントラストが効いた光景が広がり、その光景はルーベンスやレンブラントの絵の光りを想像してしまうほどすばらしかった。フルートの音色もいい、ソプラノの歌もいい、果てはグリーグ様、あなたの曲は何処に ? こういう演奏会にあまり来た事がない筆者だったが、北欧の詩・戯曲とグリーグの曲を中堅の女性演奏家たち(男性も一人いたが)の優しい演奏で響き渡った1時間(筆者が聴いたのは)、ときに音が割れた感じもしたが貴重な充実した時間だった。このときすでにloss timeは筆者の中から消えていた。

Grieg_2007212_1


2007/02/16

超人の面白ラーメン紀行 57 『麺屋 武蔵』   

Menya_musashiついにか超人気のラーメン店『麺屋武蔵』の登場だ。西武新宿駅を歩いて5分にあるこの店、いやに賑やかでそのパフォーマンスはまるで“ラーメン武蔵”劇場だ。特に麺のお湯切りの儀式には笑ってしまった。麺を温めてお湯を切るときに担当の店員がザルを振り落とすと同時に、ヨイッシャと気合いを入れて発声すればそれに合わせて他の店員も一斉に発声する、これは祭りの神輿担ぎのラーメン版か。それにしてもちょいはしゃぎ過ぎではないの、と言いたくなるね。何せ店主はただおいしいだけではなく、楽しんでいただける気持ちのよい店を心掛けているとか。
12時37分に暖簾を潜ったのだが、やはり19人待ちだった。その間に券売機で脂肉入り味噌らー麺(800円)を注文。15分待ってカウンターに着くなり、赤と茶を基調とした斬新なデザインの作業着を着こなす店員から季節限定の脂肉入りらー麺は終わりましたとのアナウンス。ちょうど筆者のところで終わったらしい。このらー麺はその昔台北市内で食べた角煮うどんに似ていたみたい。もちろん台湾のは牛肉で味も違っていたことは言うまでもない。麺はストレート系平打ち太麺でうどんのような触感と独特な臭みのある中国野菜が辛味噌スープと相性がいい。ここでは注文するとき必ずこってりかあっさりか聞かれる。何も無ければ中間のほどほどの味になる。筆者は初めてだったので想像がつかず、味は中間のほどほどでスープ多めと言ってしまっいた。これがいけなかった。スープの味は美味かったが辛い。三度も水を飲んでしまった結果か完食できなかった。残念であるが己の限界も知ることも大事なのだ。トッピングの肉は小さな唐揚げっぽいが多少塩辛くて硬かったかな。そうだ、テレビでも放映していたか、エビ油、秋刀魚の煮干し、羅臼こんぶなどの素材を使ったスープが売り。店はカウンター19席のみ。メニューはらー麺730円、あじ玉らー麺850円、つけ麺780円、あじ玉チャーシュー麺1250円。筆者が食べ終わって出て行く頃にも行列は続いていたね。今度はごく普通のらー麺に挑戦してみよう。気になったのは券売機横に書いてあった募集の張り紙。社員、月給323,000円、アルバイト、日給1,200円なのだ。
『麺屋 武蔵』①スープ★★☆②麺★★③トッピング★★④接客・雰囲気★★★⑤価格★★☆

らー麺屋劇場となるも味深し

クロカル超人が行く 55 東京再訪

   

 梅が満開


中野区上高田の三井文庫の庭に咲く梅。以前にも撮りましたが、
今年は暖冬で咲くのが早かったみたい。新機種のカメラ付携帯
電話で撮ったもの。

           暖冬やアオリヲウケテ踊る梅

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【2006年2月17日の写真(写真左)と2005年2月11日のもの(写真右)】
いずれもカメラ付携帯電話で撮ったもの。比較すると面白いですね。


 

 
 
 
 

2007/02/15

超人のジャーナリスト・アイ 55  ニューヨークの迷い子の話

2007年1月23日の朝日新聞携帯サイトで拾ったニュースをひとつ。舞台はニューヨークのクウィーンズ区。南米のガイアナから兄を頼ってニューヨーク市クウィーンズ区にきた御年32歳になる男性ー初めてでしかも兄から怖いところだと聞いていたというーは、着いてすぐに兄の家を出て街に繰り出した。ところが、初めての地とあって迷い子になり、帰るに帰れず寒い夜など車の下で寝ては寒さを凌いだらしい。パスポートを忘れて出てきたため、捕まるのではと警察官に道も聞けなかったという。結局教会で保護されて無事親戚に連絡がついた。5日間広いクウィーンズ区(人口220万人、それにこのサイトには面積も書いてあったが失念)を彷徨ったことになる。とんでもない'冒険野郎'がいたもんだ。デイリー・ニューヨーク紙の記事にあった由。1週間位経って図書館で2007年1月23日付朝日新聞の夕刊に載った記事をコピーして読んでみると、ビミョーに携帯サイトの記事と違っていたね。ところどころカットされていたのだ。
ところで、今ニューヨーク州の東部地区は1メール以上も短時間に積雪したバレンタインデイの“贈り物”に本物の花を届ける花屋さんが、悲鳴を上げている、しかも一年で一番忙しい日にだと今朝のアメリカのABCニュースは伝えていた。ジョン・エフ・ケネディ空港(その昔はゴルフ場、その後軍の基地だったそうな)もこの悪天候でフライトのキャンセルが相次ぎ、てんやわんやの状態らしい。確か明日ニューヨークに発つ知人の親子は大丈夫だろうか。ニューヨークに留学中のI..Kに会いに行くらしいが・・・。旅の無事を祈るしかない。Bon voyoge !

追記。その知人の親子が日本に戻ってきた。これは聞いた話だが、不思議で面白い異文化体験をしたらしい。
ひとつはニューヨークのマクドナルドでの話。I・Kの友人のテキサス生まれのイケメン君(近々日本の川越に住み、池袋の英会話学校で英語を教えるらしいが)は日本語、日本人のI・Kは英語でそしてその親子の子の方はは半分居眠りしていたらしく、まわりでその光景を見ていたアメリカ人が不思議がってじろじろ見ていた、と。また、タクシーを降りるときにパキスタン(多分)からの移民のタクシードライバーが、この日本人の親子を中国人だと思って謝謝と言ったとか-。今やニューヨークの人口の4割以上(定かではないが)、よその国の人が占めている時代なのだ。いろんな人がいて普通なのかも知れない。筆者もモンゴロイドとよく冷かされたものだ。New York City is a melting spot.(2007年2月28日 記)

2007/02/13

超人の面白読書 25  『主語を抹殺した男 評伝三上章』 2

試しにネットで「日本語」と入力して検索してみると、ネット百科事典「ウィキペディア」に詳細で内容の充実した記事を読むことができた。江戸時代には本居宣長、富士谷成章・義門、契中などの国学者、明治以降には大槻文彦、松下大三郎、橋本進吉、山田孝雄、時枝誠記、佐久間鼎、金田一春彦、三上章などの日本語学、言語学者がいる。この「ウィキペディア」は今までの日本語の言語学的見地とは違って最近の言語学の成果も踏襲した画期的なアプローチになっているのだ。それは次のような記述からも伺える。日本語では「私は本を読む。」という語順で文を作る。英語で「I read a book.」という語順をSVO型の(主語・動詞・目的語)と称する説明にならっていえば、日本語の文はSVO型ということになる。もっとも、厳密に言えば、英語の文に動詞が必須であるのに対して、日本語文は動詞で終わることもあれば、形容詞や名詞+助動詞で終わることもある。そこで、日本語文の基本的な構造は、「S(主語 suject)ーV(動詞verb)
ではなく、「S(主語)ーP(述語predicate)という「主述構造」であると考えるのが適当である。たとえば、

1.私は(が)学生だ。
2.私は(が)行く。
3.私は(が)うれしい

また、日本語文では、主述構造とは別に、「題目ー述部」からなる「題述構造」をとることがきわめて多い。題目とは、話のテーマ(主題)を明示するものである。よく主語と混同されるが、別概念である。主語は「が」(「は」)によって表され、動作や作用の主体を表すものであるが、題目は「は」によって表され、その文が「これから何について述べるのか」を明らかにするものである。たとえば、

4.象は大きい。
5.象は船で運んだ。
6.象は干し草を与えておいた。
7.象は鼻が長い。

日本語と同様に、題述構造の文をもつ言語(主題優勢言語、Topic-prominent language)は東アジアなどに分布する。たとえば、中国語、朝鮮語、ベトナム語、マレー語やタガログ語にもこの構造の文が見られる。そして、「題目」の用語は、三上章が『象は鼻が長い』(くろしお出版1960)で提唱したものであるとこのウィキペィデアは断っている。最新の日本語の言語学的アプローチにも三上文法が活かされている実例だ。話を戻そう。
<続く>

2007/02/11

超人の面白音楽 北欧の音楽 エドヴァルド・グリーグの曲などを聴く レイフ・オヴェ・アンスネス ピアノ・リサイタル

  今年2007年はノルウェーの作曲家・エドヴァルド・グリーグの没後100年。その一環として北欧の俊英、
レイフ・オヴェ・アンスネスLeif Ove Andsnesのピアノ・リサイタルを彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールで聴いた。すでに11月に予約を申し込んでいたもの。
シベリウス:キュリック-3つの抒情的小品Op.41 J .Sibelius:Kyllikki-3 Lyric pieces, Op.41 
《13の小品》より<悲歌的に>Op.76-10 Elegiaco(13 Pieces Op.76, No.10)
《13の小品》 より<練習曲>Op.76-2 Etude(13 Pieces Op.76, No.2
《5つの小品》(樹木の組曲)より<白樺の木>Op.24-10 The Birch(5 Pieces Op.75, No.4
《10の小品より》<舟歌>Op.24-10 Barcarola(10 Pieces Op.24, No.10)

グリーグ: ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード ト短調 Op.24
E.H.Grieg: Ballad in the Form of Variations on a Nowegian Folk Song in G minor, Op.24
シェーンベルク: 6つの小さなピアノ曲 Op.19
A.Schnberg: 6 Kleine Klavierstcke, Op.19
ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111
L.V.Beethoven: Piano Sonata No.32 in C minor, Op.111

これが2時間に及ぶ曲目の全てだが、この北欧の俊英のピアノ演奏は何と言ったら良いか、透明感のあるなかに力強さと情熱を持ち合わせているとでも言えようか。彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールの二階からピアニスト・アンスネスの手の動きから足の動きまで仔細に眺め下ろすも、手の微妙な動きは二階のこの席からは見えなかったのが残念。長身で端正なマスクそして薄茶色の髪の毛と黒を貴重とした服装、それは今が旬のノルウェーのピアニストに相応しいステージ衣装なのか筆者には知る由もない。ピアノを弾くアンスネスの表情は時に眉間に皺を寄せ、時に優しさの織り交じる表情も見せたりする。二階の聴衆を意識してかどうかは知らないが、弾きながら顔を上げている仕草は瞑想のそれか、集中力のなせる技かは想像にまかせよう。決して派手なパフォーマンスを見せつけるピアニストではないように見受けられる。むしろ額に汗を滲ませて振舞う実直さが聴衆の心を捉えていただろうか。ピアノの音が会場一杯に響き渡る、静かだがパンチがある、透明感がある、正確に弾くそして情熱的に感性の襞を辿って行く。素人の筆者には分からないが何かが伝わって来るのだ。これが感動と言うものだろうか。北欧の風景を勝手に思い浮かべてはしばし瞑想に耽ってみたくなる。筆者もグリーグのピアノ協奏曲を期待していたが、十八番のようにそればかり要求されているらしく、もう敢えて弾くのを止めて7,8年になるとUnoffical site of Leif Ove Andsnesは伝えている。気持ちはわかるような気がする。シベリウス他の小品もすばらしいではないか-。弾き終えた後との聴衆の拍手が鳴り止まない、レイフ・オヴェ・アンスネスは再三bowingをした後に、私たち聴衆のアンコールに応えてくれた。

1.バッハ/ムゾーニ
 主イエス・キリストよわれ汝を叫ぶ
2.メンデルスゾーン
 無言歌 嬰へ短調 Op.67-2
3.グリーグ
 抒情小品第1集 Op.12より
 6.ノルウェーの旋律
 5.民謡 
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これが演奏終了後玄関に張り出されたアンコール曲だ。CD購入者にはこのピアニストのサインが貰えるとあって並んだ人は60人位 ? 筆者は買わずに横でその光景を見ていただけ。Where,here,Thank youとノルウェー語ではなく流暢な英語で応えていたね。それにしても「100人を聴く10年」(99/100とあるからレイフ・オヴェ・アンスネス氏で99人目)の音楽監督を務めるピアニストの中村紘子が、遅れていて時間に間に合わなく今回の挨拶は中止しますと場内アナウンスが流れた矢先、本人がマイクを持って出て来たのには驚いた。良い方に転んだのだ。ところで、旦那さんの作家・庄司薫氏はお元気で書いているのだろうか。余談、余談、冗談だよと筆者の独り言。このホールは610人入るそうだ。本日の入りは90%くらいか、盛況だろう。すばらしいピアノ・リサイタルだった。感動をありがとう、Tack,Herr Leif Ove Andsnes !

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【会場で配布されたパンフレットから。ピアノ演奏家のプロフィール】


「アンスネス」で検索してみたら、こんなサイトが。以下はそのコメントの全文。


輝かしいキャリアの絶頂に立つ欧州屈指の名手、アンスネス 

1970年、ノルウェーのベルゲン近郊カルメイに生まれたピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスの来日は2007年2月に予定されている5年ぶりのリサイタル・ツアーで、通算10度を数える。筆者は1992年2月、ネーメ・ヤルヴィ指揮のベルリン・フィル定期演奏会に招かれ、グリーグの協奏曲を弾いてのドイツ・デビューに遭遇、日本の音楽雑誌に「未来の巨匠が出現」と報告した。翌93年にはドミトリ・キタエンコ指揮ベルゲン・フィルに同行して初来日、同じグリーグの協奏曲を弾いた。レセプションに現れたアンスネスはまだ少年の面影を残していたが、後日のインタビューでは「グリーグの協奏曲のように一定期間、特定の作曲家、作品に集中して解釈を深め、『一つの成果を得た』との手ごたえを得たら弾くのを休み、別の作品を究める」など、しっかりした考えを持っていることに驚いた。

 以後の来日でも、決して「○ ○ 作曲のピアノ協奏曲全曲演奏会」とはならず、慎重に作品を選んできた形跡がありありだった。2006年8月の来日で東京・サントリーホールの現代音楽祭に出演、マーク=アンドレ・ダルバヴィの協奏曲を日本初演することは、従来のアンスネス像をかなりモダンな方向へ修正するに違いないが、解釈それ自体は、グリーグの協奏曲で世界を制覇した少年時代以来の透徹した仕上がりを達成しているはずだ。

 アンスネスはドイツやイタリア、フランスといったヨーロッパ音楽の源流の外に生まれ、派手なコンクール歴とも無縁のまま、オーディションや推薦で活躍の場を広げてきた。現在はニューヨークのカーネギーホール、ロサンゼルスのウォルト・ディズニー・コンサートホール、ロンドンのバービカンセンターなどが曲目の“白紙委任状”を与え、アンスネスの弾きたい曲目、希望の共演者だけによる公演で客席を満たすことができるようになった。英EMIクラシックス本社は「40年単位の長期戦」で、「歴史的な巨匠に成就するまでの道」を録音する。母国で小さな音楽祭を主宰する事実が物語る通り、室内楽や歌曲、室内オーケストラ“弾き振り”にも意欲をみせ、幅を広げる。
2005年の秋に会った時も「作曲家や時代ごとのスタイルというものは、楽譜と真剣に向き合えば、作品の方から語りかけてくるものなんだよ」と、大変なことを、さらりと言ってのけた。全てにバランスがとれ、磨き抜かれた技と解釈、深みのある音色で多くの聴衆を魅了するアンスネスのピアニズムは絶頂を極めつつあり、欧州屈指の名手(ヴィルトゥオーゾ)の名を欲しいままにしている。

日本経済新聞社 文化部 編集委員 : 池田卓夫

2007年2月13日毎日新聞夕刊の音楽評(音楽評論家、大木正純)は、6日王子ホールでのもの。

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2007/02/10

超人の面白ラーメン紀行 56 『一風堂池袋店』  

超人の面白ラーメン紀行 一風堂
雑誌『DANCHU』3月号のラーメン特集で開店直前のラーメン店を体当たりリポートした女性編集者の記事が面白かったと言うか痛快だった。電車の中でこの記事を読み終えてすぐに筆者は、昨年12月7日にオープンしたこの店、一風堂池袋店の暖簾を潜った。時間があまりなかったので、20分以内で食べられるかなと考えながらメニューを見て定番らしき白丸元味(650円)、柔らか麺の薄味スープ多めを頼んだ。店員の笑顔でハキハキした接客態度(女性編集者の奮戦記にも店主は接客には厳しいと書かれていた)は本物、なかなか好感が持てた。ちょうどこの店の開店直後の12月中旬に入った東北のどこかのラーメン屋とは雲泥の差と内心思ってしまった。その彼女がここはトンコツのラーメンです、と開口一番。もちろん九州の天神から進出した店なので、豚骨ベースであることくらいは承知済みだ。いや、同じような名前が札幌系でもあったかなー。
赤く塗られたどんぶりに入ったストレート系細麺、トッピングは薄切りの柔らかなチャーシュー、モヤシ、メンマと刻みネギだ。半熟玉子はオプションで100円、とんこつ系に付き物の紅生姜はない。スープの味はやっぱりあの油っぽいとんこつの味、多少薄めでさっぱりなので高菜とニンニクを加えてマイ テイストに仕上げたのだった。どうも筆者には豚骨系はたまになら大丈夫だがキツイ。後に引くのだ。ニンニクを潰して入れられる優れものの簡単な道具があるとは知らなんだ。発見、知りけん、うむ。店は明るく活気があったが、度がすぎて喧しいくらい。何事もほどほどが良い。
メニューはコクのある赤丸新味750円、赤丸新味肉入り950円、白丸元味肉入り750円、明太子ごはん1200円、チャーハン520円、博多一口餃子420円など。カウンター、テーブル合わせて50席はある比較的広い店で、赤が目立ち、店のレイアウトも土着風仕立てでユニークだ。池袋駅東口から徒歩5、6分。住所は豊島区南池袋2-26-10。営業時間は11:00〜翌朝4:00。
『一風堂池袋店』①スープ★★☆②麺★★☆③トッピング★★④接客・雰囲気★★★⑤価格★★☆

序にこの『DANCHUダンチュウ』なる雑誌、今年は醤油ラーメンが流行ると名品を紹介している。岩手・盛岡市『中河』、新潟・新潟市『中華そば来味』、福島・白河市『とら食堂』、東京・方南町地雷源』、東京・町田『69'N'ROLL ONE』、大阪・天満『洛二神』、広島・尾道市『朱華園』。そしてラーメン通が注目する横須賀ラーメン。京浜急行北久里浜駅より車で5分のところにある塩ラーメン『塩や』(横須賀市佐原)、京浜急行横須賀中央駅米軍基地近くの醤油ラーメン『若松』(横須賀市大滝町)、京浜急行県立大学駅徒歩5分のところにあるトンコツ醤油『らあめん鳥や』(横須賀市安浦町)。路地裏は新宿御苑駅徒歩5分の独創的な和風味『旬麺しろ八』(新宿区富久町18-5)、地下鉄新高円寺駅徒歩5分のところにあるオリジナル醤油ラーメン『旅の途中』(杉並区高円寺南3-16-21)。いずれにせよ筆者は行ったことがない店ばかり。あーぁ、奥が深ーいのだ。
ところで、ラーメン評論家石神秀幸、柳麺 ちゃぶ屋、MIST店主森住康二、麺屋 中村屋の中村栄利そして芸能界のラーメン応援団長ことタレントの勝俣州和のラーメン談義の記事の中で、タレント勝俣州和の話。一風堂の河原成美社長はしゃべりながら泣きますからね、この社長みたいに熱い人は貴重じゃないかな、と。同じことがこの雑誌の女性編集者が書いた奮戦記にもあったね。


2007/02/09

超人の美術館巡り 国立新美術館

超人の美術館巡り 国立新美術館

  2007年1月21日にオープンした国立新美術館 The National Art Center,Tokyo。 開館後昨日までの入館者数は16万人、平日で1000人とは関係者の女性の話。只今「パリの異邦人」なる企画展が開催中だ。リオナール・フジタ、ピカソ、シャガール、モディリアーニ、キスリング、ブランクーシ、ジャコメッティ、ブラッサイやマン・レイなどパリに集まった外国人芸術家たちから現代作家まで(1900年ー2005年)ポンピドー・センター所蔵の作品展である。5月7日まで開催。また、無料枠では建築家、黒川紀章展を開催中。この薄緑の新素材を使用したガラスを組み合わせた国立新美術館の建物は、建築家・黒川紀章による曲線と直線の組み合わせによる建築美の追求と大海の波のうねりを思わせるようなダイナミズムそれに宇宙基地(UFO)をイメージしたような正面玄関、それらは調和を越えて未来への柔らかなメッセージとも言うべき建築的言辞の言わばポスト・ポストモダーン的建造物の新たな出現を示唆しているのだろうか。マスコミ報道で読者諸兄はすでにご承知と思うが、この国立新美術館は、美術団体の展覧会などに貸出方式を導入していくなど斬新なアイデアも公表されている。一瞥した限りでは、館内の風景はゆったりした感じだ。空間処理が上手くできている。無料で楽しめる空間もあるのもいい。所蔵、スペースとももっとあっても良いとも思うが緑を感じられる図書館もOKだ。端末を多少いじってみた。まだこれはアクセス先など問題もありそう。この辺はこれから暫時進化していくのかも知れない。
警備員の対応には多少辟易したが概ね関係者の対応も良かった。それにしても中高年の人達が目立っていたね。館内のカフェも充実している。チケットを購入したわけではないので、一瞥感を免れない。お許しを。この館が苦境に立っている公共美術館の起爆剤たらんことを祈るばかりだ。場所は六本木は龍堂町(昔はよくこの界隈のクラブなどに行ったね。呼び出されて閉口したが、その主はもういない)の近く、都営大江戸線六本木駅から徒歩5、6分。敷地跨げば政策研究大学院がある。その昔は東大生産研究所だった。時代は回るのである。

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【写真左から。国立新美術館3階から見下ろした館内。美術専門書などが揃った図書館。チケット売り場。そしてこの3月にグランドオープンする東京ミッドタウン新ビジネス街】

Aux six arbes アンニュイの風 今何処

2007/02/06

超人の面白読書 25 金谷武洋著『主語を抹殺した男 評伝三上章』

Img091 筆者は母国語である日本語で書いたり話したりしているが、時にこの文章には主語が必要なのかと迷ったりすることがある。また、日常のさり気ない会話でもよく主語がなく話し相手に解りづらいと指摘されたりする。その度に日本語はつくづく難しくやっかいな言葉だと思ってしまうのは筆者の思い過しだろうか。否、単なる個人的な癖だよと言われそうだ。余談だが、あれ、あれっ、あれだ、あれあれあれ、これ、これっれ(この終わりの「れ」は余計か)などの指示代名詞の多用も多く我ながら呆れてしまう。加齢か華麗かはいざ知らず健忘症の謗りを免れない。昨年だったかある新聞にM商社の偉いさんだったかが、日本語はビジネス向きの言語ではなく文学に適した言語で、むしろビジネスの交渉などには英語が相応しいと言っていたことがまだ脳裏に残っている。どういうことかとずっと気になっているのだ。論理的な言語ではなく情緒的な言語、それが日本語。本当だろうか。
 さて、今回の書評だ。日本語には主語は存在しない。この画期的な言語学的な命題を追求したのが「町の語学者」、三上章である。日本語文法に取り憑かれ生涯独身を貫き通し、『象は鼻が長い』、『新訂版現代語法序説-主語は必要か』、『日本語の論理ーハとガー』など現場主義のユニークなそれでいて鋭い文法書を7冊と数多くの論文を残した。その生き様は古武士そのもの。この評伝はこの文法学者・三上章に惚れた一人の日本語学者の手で書かれ、その尋常ならぬ惚れ込みようは行間からと言うよりはむしろ、ストレートに時に多弁と執拗な繰り返えしの言辞によって読み取れるかも知れない。現在カナダ、モントリオール大学で日本語を教える著者念願の書でもある。本文269ページ。詳細な年譜、参考文献も付した丁寧な造本でカナダはフランス語圏にいる著者らしく、副題にはLa vie et la grammaire d'Akira Mikamiと仏語が添えられている。

目次

序  章 三上章を追いかけて
第一章 三上文法と出会う
第二章 幼年~学生時代
第三章 知的逍遥時代
第四章 街の語学者
第五章 晩年
終  章 時空を超えて

『日本語に主語はいらない』(講談社選書メチエ 2002年)、『日本語文法の謎を解く』(ちくま新書 2003年)、『英語にも主語はなかった』(講談社メチエ 2004年)の三部作をものにした著者の渾身のこの書は、自分のカナダ留学から筆を起こし、日本語教師、日本語代用教員の仕事、友達から紹介された三上の文法書、三上文法で日本語を教授やがて盆栽とクリスマス・ツリー、虫の視点と神の視点という日本と英語の文法の違いを精査し独自の日本語教授法を編み出していく。そして三上文法と出会いその独創的な文法理論を開陳した後、第二章、三上章の幼少~学生時代を生前一緒に暮らし兄章を陰で支えた末妹茂子のインタビューなどを交えて語られていく。そして三上章に影響を与えた叔父の科学史家で和算史研究家の三上義夫の存在-。
<続く>

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