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2006/06/04

超人の面白読書余話 森鷗外『舞姫』のモデルについて

 茨城大学名誉教授で地理学がご専門の中川浩一氏が『舞姫』のヒロイン・エリスのモデルとされる実在の来日した女性について、その本名がElise Wiegertであることを横浜発行の英字紙The Japan Weelkly Mail を読んで発見したという記事をHPで見つけて以前に書いたが、その記事を横浜開港資料館で実際に調べてみた。The Japan Weekly Mail紙の1888年(明治21年)の9月15日号には横浜港に降り立った名簿にMiss Elise WiegertImg072_3の名前が書かれているし、それから1ヵ月ちょっと過ぎの10月20日号には日本を立つ乗船名簿にMiss Wiegertの文字が見える。 インターネットで舞姫についての記事を探していたら、some other time氏のブログに2006年4月20日付で「舞姫あるいはゲネラル・ヴェーダー号の一等船客」と題した記事を見つけ面白く読んだ。曰く、Miss Elise WiegertはブレーメンBremenからはブラウンシュヴァイクBraunschweig号でスエズSuezを経由し香港でゲネラル・ヴェーダー号に乗り換えたらしいことが分かっているという。ブラウンシュヴァイク号の香港到着記事に降客名としてミス・エリーゼ・ワイゲルトMiss Elise Weigertと記載されているらしい。これが今日までの舞姫をめぐる混乱の大きな要因となった、と。WiegertかWeigertかそれとも法律家で現地調査を踏まえて書いた植木哲氏(筆者はなかなか手に入りにくかった『新説 鷗外の恋人エリス』を読んでいる)のルイーゼ・ヴィーゲルトか、謎は深まるばかりで興味は尽きない。それにしても森家には何らかの資料があるはず。公開して欲しいと願っているのは筆者だけではないと思うのだが。
小金井喜美子著『鴎外の思い出』(岩波文庫)にはこう書かれている。
10月17日になって、エリスは帰国することになりました。だんだん周囲の様子も分かり、自分の思い違えしていたことにも気が附いてあきらめたのでしょう。もともと好人物なのでしたから。その出発については、出来るだけのことをして、土産も持たせ、費用その外の雑事はすべて次兄が奔走しました。前晩から兄と次兄と主人とがエリスと共に横浜に一泊し、翌朝5時に起き、7時半に艀舟で本船ジェネラル・ウェルダーの出帆するのを見送りました.。中略。後、兄の部屋の棚の上には、緑の繻子で作った立派なハンカチ入れに、MとRとのモノグラムを金糸で鮮やかに縫取りしたのが置いてありました。それを見た時、噂にのみ聞いて人目も見なかった、人のよいエリスの面影が私の目に浮かびました(P.105~P.106)。
Miss Elise Wiegertが降り立った1888年(明治21)当時の横浜港とそれから118年後の現在の横浜大桟橋の写真

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