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2006/03/25

超人の最新文学渉猟 フリーペーパー化した新生『早稲田文学』など

 東大出版会のPR誌「UP」の最新号で雑誌『早稲田文学』Nec_0038_1
がフリーペーパーに変身したとの記事を見つけてどういうことかなと不思議に思っていたところ、3月19日付日経新聞書評欄の活字の海でこの新生文芸誌「WB」(隔月刊、無料配布誌)に言及している。その記事によれば、昨年11月に”創刊”された時の発行部数は一万部だったが、注文が相次いだために増刷し二万部印刷して最近その最新号の第3号が出た。「文学のすそ野を広げたい」(市川ディレクター)との狙いはその連載コラムにも表れているらしい。早速直接定期購読を申し込んでこの画期的な雑誌を手にしてみた。表紙の上半分は目次で下半分には巻頭を飾って芥川賞作家のモブ・ノリオ「スローガン」が掲載されている。「R25」ではないが、20ページ強の薄い雑誌だが執筆人は他の文芸誌にも劣らない。レイアウトの工夫もあり内容は盛りだくさんだ。ちょっとごじゃごじゃし過ぎの感は歪めないか。創刊号は大西巨人、角田光代、重松清、斉藤美奈子、島田雅彦、絓秀実、渡部直己など早稲田OB他多彩。第二号は巻頭は余白や広告も含めたページ全体を作品化する奇妙な新人と紹介されている萩田洋文の「アホリズム」、翻訳家・青山南、漫画家・大塚英志、横田創他筆者も知らない若手作家なども登場していて賑やかだ。そして最新号の第三号はというと巻頭は伊藤比呂美の「昔の人の今の声」(古文に倣ったような文体と文章、そして古典から取った題材、その内容の不気味さと異様な光景につい引き込まれてしまって一気に読んでしまった)、三田誠広、山田詠美他。「現代作家が選ぶ世界の名作」では島田雅彦が寺田寅彦を、津島佑子がフランシス・バーネットの小公子を、山田詠美が獅子文六を取り上げていて面白い。全体的には重厚さはないが文学の面白さやエキスを味わえる。話題性のある小説を掲載できるかがこの雑誌の課題と日経新聞の囲み記事は結んでいる。また「早稲田文学」が生まれ変わった背景には、厳しい台所事情もあった。運営資金のほとんどは年間一千万円の大学からの補助金頼みで執筆者の原稿料は4百字詰原稿用紙で一枚あたり500円ときわめて安かった。フリーペーパー化に伴い、ページ数を五分の一の20ページ強に減らすことで、他の文芸雑誌並みに原稿料を払えるようになったとその背景にも言及している。斉藤美奈子の雪国の読み方(ちょっと無理のある読み方、いや意地悪な読み方かな)評論家・渡部直己のソシュールなど帰りの電車の中で読んでみて面白かった。この気軽さが良いのだ。愉しい文学が溢れている「早稲田文学」、頑張れとエールを送りたい。最近読んでいないが「三田文学」の反応はどうかな。気になるところではある。

もう一つの話題はアメリカで文芸誌創刊号に日本特集を組んだ話。毎日新聞が3月22日付の夕刊で報じているもの。国際的な文芸雑誌『ザ・パリス・レビュー』の元編集長ブリジット・ヒューズさんが編集長の季刊文芸雑誌『ア・パブリック・スペース』。(柴田元幸東大教授とローランド・ケルツ東大講師も編集に携わっている)創刊号は224ページでそのうち50ページ弱が日本特集に割かれた由。阿部和重「馬小屋の乙女」(『グランド・フィナーレ』所収)、中原昌也「血で描かれた野獣の自画像」(『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』所収)、小川洋子「バックストローク」(『まぶた』所収)の3編を収録。編集方針は「あらゆる人に開かれている雑誌」で日本から見た米国、米国から見た日本・・・・・・双方向の視点で文学作品を読み解くことができるよう工夫を凝らしたという。
筆者もずっと前からこの双方向の視点を考えていて最近ある試みを実行しているところだ。まずはこの雑誌を読んでみようと年間購読を申し込んだばかり。4冊で60米ドル。今日のレートで約7,230円。Amazon.co.jpではまだ取引なしだ。この雑誌の来るのが楽しみである。ちょっとその前に・・・内容をA Public SpaceのWebsiteで覗いてみよう。

What is A Public Space? It's a new magazine. It's fiction that matters. It's opinion, argument, investigation. It looks at other cultures and how those cultures look at ours. It's a literary magazine that gives you the stories behind the news. It's a conversation about fiction and poetry and their place in our lives.
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The debut issue is: Charles D'Ambrosio, Kelly Link, Anna Deavere Smith, Haruki Murakami, Marilynne Robinson, Rick Moody, Yoko Ogawa, Motoyuki Shibata, John Haskell, Lucy Raven, Peter Gizzi, Matthea Harvey, Antoine Wilson, Peter Orner, Ian Chillag, Eamon Grennan, Jeremy Glazier, and others. On: Superheroes, Hollywood in the McCarthy Era, translating grapefruit into Japanese, New Jersey porn, Tutsi women, the coal mines of West Virginia, Chekhov, Galileo, Salinger, that weird guy who lives down the street, Bertolt Brecht, digging a hole to China, and more. See the full Table of Contents.
Ask for A Public Space at your favorite bookseller, purchase the issue online now or subscribe and get a year or two in your mailbox at a special discounted rate. Join our mailing list for updates on the magazine and events nationwide.
If You See Something, Say Something is our forum for writers to sound off on topics that fascinate, baffle, or just plain annoy them. In a piece from the first installment, Rick Moody gives his take on the recent James Frey and J. T. Leroy literary scandals, and the media's role in fueling them. Read the full story.

2006 A Public Space Literary Projects, Inc.

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追記。フリーペーパーも継続し『早稲田文学』が今秋、季刊で復刊とは2007年4月25日付毎日新聞夕刊の記事の見出し。1891年に坪内逍遥によって創刊された老舗雑誌の『早稲田文学』が、今年秋から第10次『早稲田文学』(季刊)として再出発する。隔月刊のフリーペーパーも続投するらしい。復刊に先立ち、第10次0号を4月25日に発行。川上未映子、中原昌也、青山真治、青木淳悟、向井豊昭らの新作を紹介。斉藤美奈子と森達也の対談も掲載している(2007年5月2日 記)。

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