« 超人のジャーナリスト・アイ 24 | トップページ | 超人のジャーナリスト・アイ 26 『SAYURI』考 »

2006/02/17

超人のジャーナリスト・アイ 25 フランスの現代作家ル・クレジオ来日の記事など

 現代フランス文学の巨匠の一人、ル・クレジオさんle_crejio
が、東京外国語大学でのシンポジウムの講演で39年振りに来日したと毎日新聞2月16日付夕刊の記事。えっ、あのル・クレジオと筆者はその記事の見出しを見てサプラズ。
『調書』、『悪魔祓い』など1970年代初期に読んだ記憶がある作家ですが、なかなか凝った本作りで手触り感や内容の斬新さに新鮮さを感じたものだ。確か訳者は豊崎光一 ? 勿論彼の本を良く解って読んでいたかは怪しいです。やや大型の本で白い紙と黒い活字のコントラスが目に焼きついていて、その作家のエッセーもカリブ海の話とか文化人類学的なフィールドぽかったかな。筆者の記憶に間違いがなければの話ですが。
なかなか面白い記事でしたので紹介します。筆者も夕方銀座にいましたが、ル・クレジオ氏も久々に見た日本の感想について「銀座を歩くと高速道路が通り、高いビルが林のように建っていて、円盤のようなヘリコプターが飛び交っている。SF漫画のようだ。その一方で、先祖崇拝のような風習があるのは、驚くべきこと」。また「銀座で道に迷って、英語のできそうな女性にたずねたら『あの人についていけば行けますよ』と言われて、モダンな街の中なのに森の中で案内されているようで、妙な感覚でした」と。筆者も銀座4丁目から数寄屋橋方面を歩いていましたら、大柄なイタリア人っぽい男性が、外資系のブランドの建物が知りたかったのか通りがかった日本人の女性に場所を訊いていて、あそこはアルマニーニ、その角を左に曲がったところとその女性はジェスチャー交えて英語で答えていましたね。ル・クレジオ氏的な感受性はなかったと思いますが・・・。
現在はアメリカのニューメキシコ在住でアイヌにも関心を持っているという。今回のシンポジウム講演の前に友人の作家・津島佑子氏と北海道を訪れて2日間、アイヌの人々の話を聞いた由。シンポは立ち見も含む300人が参加。四方田犬彦・明治学院大学教授、代表作の一つ『黄金探索者』の訳者、中地義和・東大教授、今福龍太・東京外国語大学教授と津島佑子氏が講演、彼自身の最新作朗読などを含めて8時間に及んだとのこと。
講演では作者の役割や読者の関係について「作家はマイノリティーで、読者がいないと成り立たない弱い存在。作家の武器である言葉はちっぽけなものだが、読者との間には魔術的な力が働くことがある。状況に働きかけて政治的影響力を持つこともできる」などと語ったと毎日新聞が報じていました。

 ところで、今筆者が読んでいる雑誌と本を二つ三つ。『ニューズウィーク』最新号(February13,2006)は最近の日本事情を4ページにわたって特集しています(題してTURNING UN-JAPANESE)。なかなか視点が面白いかな。光文社新書『下流社会』はマーケティングのプロが日本の当世若者気質と動向を意識調査などのデータから読み取り分析してみせた本。かつての中流意識は消え下流社会が出現していると書いています。65万部も売れていて、今話題の本です。翻訳ものではスウェーデンの文化人類学者が書いた『スウェーデン人』、移民他を扱っていてなかなかの好著。それと平易な日常言語で書かれていて面白い、現代スウェーデンの作家でklippbokの名手Stig Claessonの"Liv och kärlek"(Albert Bonniers Förlag,2005)。短編、ショート・エッセーはこれかなと思う本ですね。

« 超人のジャーナリスト・アイ 24 | トップページ | 超人のジャーナリスト・アイ 26 『SAYURI』考 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 超人のジャーナリスト・アイ 24 | トップページ | 超人のジャーナリスト・アイ 26 『SAYURI』考 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31