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2005/08/17

超人の出版文化雑感

出版科学研究所によると今年上半期(1月~6月)の書籍と雑誌を合わせた出版物の販売額は、前年同期比0.8%減の1兆1299億円。書籍0.2%増、雑誌1.7%減の「書高雑低」である。書籍の販売額は4998億円。『頭のいい人、悪い人の話し方』(樋口裕一著、PHP研究所) 『電車男』(中野独人著新潮社) 『キッパリ!』(上大岡トメ著、幻冬社』 『脳を鍛える大人のドリル』(川隆太著、くもん出版) 『香峯子抄』(主婦の友社編)の6点が100万部を超え、映画やテレビで取り上げられ売れ行きが加速する傾向と、毎日新聞夕刊(2005年8月16日)が伝えている。
筆者はこの6点のうち残念ながら1冊も完全に読破したものはない。書店で立ち読みしたのは『頭のいい人、悪い人』と『電車男』位、前者は予備校か何かの論文添削の先生、後者は今流行りの日記風簡易ホームページ・ブログから出て来た複数の書き込み集団(テレビでドラマ化し放映中)である。
雑誌は月刊誌が0.6%増の4871億円、週刊誌8.7%減の1430億円。インターネットによる情報入手が影響しているとは同研究所の分析。週刊よりは隔週刊で現状の供給過剰を対応したものとみられる。8年振りで前年を上回った昨年、出版不況の歯止めがかかったものの依然厳しい状況が浮き彫りになったと同新聞の記事。
かつては出版物が年間3兆円に届くかと思われた時代があったが、いまや7000億円以上も減少し縮んでいるのが現実、日書連加盟店も1万店以上減少し7000店強、そんななか、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡など大型書店の紀伊國書店、丸善、有隣堂、旭屋、三省堂、ジュンク堂、ブックファーストなどが大都市圏ターミナル地域で規模拡大しながら凌ぎを削っている。取次代理戦争の様相を呈しているように筆者には見えるが・・・。
そんな大型書店に立ち寄って欲しい本が手に入らないのも読者にとっては苛立たしい。全ての本が網羅されているとは所詮無理な話と分かってはいるが。だから手触り感はないが、ネット書店で注文すれば一両日で手に入る方を択ぶのも無理はないと思うのだ。最近では書店の棚を縦横に分類しコンピューターで管理する便利な在庫管理システムを導入している書店が増えている。しかし、肝心の書店員のプロ化が以前ほど進んでいなく機械任せの感が見られるのだ。一例を出そう。あるターミナルビルに入っている大型書店での話。探した本がどうしても見当たらなくやむなく書店員に尋ねると、その書店員がカウンターのコンピューターで検索した後で、その本は左側の棚のAの42のところにあると言ってくれた。再度探してみたが見当たらない。それでカウンターに行ってその書店員に再度尋ねると、それなら今品切れになってるとの返事が帰って来た。そのうちに上司みたいな人が飛んで来て、その本がないと決めつけていたのか本の物流などを説明していた。しかし、どうしても読みたかったため、今度はその棚の周辺をひとつひとつ指で追って探してみた。するとどうだろう、分類外のところにあるではないか。結局は筆者は2冊探していてその1冊に手間取ったが、内容、値段等を見て買うのを控えたのだった。これは笑える話だが、本を触っていない証拠なのだと思う。よしんば店に来た人が立ち読みして元あった棚に置かなかったとしてもだ。何故なら、棚の整理はその担当者が常日頃しているはずだからだ。序に言えば、その昔「書店棚の会」とかがあって、読者が好感持てる書店の棚づくりについて議論をしたと、ある中堅の書店員から聞いたことがある。コンピューターの中の在庫管理と実際の棚にある本との乖離がここにはあるのだ。それでは対策はないか、単純明快である。棚の本を絶えず触って専門性を身につけることだ。人手が足りないと嘆きの声が聞こえてきそうだが、そのくらい徹底性が欲しいと筆者は考える。この棚はわたしに任して下さいと、ね。夥しい新刊本、雑誌が毎日出ていて大変だが、書店の基本はそこだと思う。そういう書店には読者も安心して何度でも足を運ぶと思うのだ。書店論はこの辺で。
面白い記事が8月14日付朝日新聞に載っているので、その記事から抜粋。
話題作でたどる60年、そのなかから最近の15年間をピッククアップ。

1990年 二谷友里恵『愛される理由』
1991年 さくらももこ『もものかんづめ』
1992年 バラエティー番組『それいけメチャいけ』
1993年 ウォラー 『マディソン郡の橋』
1994年 永六輔『大往生』
1995年 ゴルデル『ソフィーの世界』
1996年 春山茂雄『脳内革命』
1997年 浅田次郎『鉄道員』
1998年 五木寛之『大河の一滴』
1999年 山崎豊子『沈まぬ太陽』
2000年 大平光代『だから、あなたも生きぬいて』
2001年 ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』
2002年 ローリング『ハリー・ポッター』
2003年 片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』
2004年 綿矢りさ『蹴りたい背中』
2005年 山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れない』saodake

2006年 ?
 
この前には村上春樹、吉本ばなな、黒柳徹子、渡辺淳一、山口百恵、村上龍、田中康夫などの作品、最近では養老猛司の『バカの壁』、斎藤孝の『声に出したい日本語』などが話題になっている。この話題の本と電通などが行っている流行語大賞を並べて比較すれば面白い世相学、民間学が出来、筆者が言う時代の感性・知性のモーメントが見えて来て興味深いと思うのだ。そう、電通と言えば最近感じていることがある。新聞広告出稿の量と質が以前と比べて少なく、出版社と商品名が変わってきていることだ。経済不況の"失われた10年"とも関係あると思うが、4大紙と言われる朝日、読売、毎日、日経の新聞広告を見ていると軽くなったなぁと思わざるを得ない。硬いもの、学術関係書の広告が減っているのだ。少なくとも載る回数は減っていると思う。
一億2千万の人口で人口減少が著しい日本。出版社が6000社以上あって、一日に7万点以上刊行されている出版物は世界一、洋書でも日本は世界二番目の市場とか。それでも少子化、高齢化、読書離れの世代の到来等出版不況の材料には事欠かない現象が出現している。供給過剰気味、出版文化が危うい? 考えさせられる昨今ではある。
筆者のブログで取り上げた本、雑誌の数はこの半年で50冊弱(多少洋書も入って)。千夜千冊の松岡正剛氏には到底叶わない。せいぜい読みかけの本3冊ぐらいはこの夏季休暇中に読了に漕ぎつけたい。暑いやら地震やらあっても、そんな自然現象とも向き合いながら、ね。

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