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2005/06/04

超人の面白読書 10 吉村昭著『大黒屋光太夫』

吉村昭著『大黒屋光太夫』(新潮文庫)を買い込んだ。なぜかこのところ買い込むスピードがあがっている。この漂流民の話は吉川弘文館の人物評伝シリーズか何かで読んでいたが、異文化接触の先駆け、18世紀の当時のロシアに流され、ペテルブルグで日本語を教え、ロシア政府の政策転換で10年後に帰国を果たした漂流民、大黒屋光太夫の伝記小説。時の将軍徳川家斎に拝謁し見聞を披瀝するも長らく幽閉を余儀なくされる。結局は、すべて晴れて帰郷を許されるが、時代は江戸時代、鎖国政策の真っ只中、時代状況は推して知るべし。数奇な運命を庶民レベルで綴った吉村昭得意の歴史伝記小説。川西政明の解説に依れば、神昌丸の遭難から帰国までの記録として重用されてきた『北槎文略』が幕府が未知のロシアの実情を知るために残した公式な記録に対し、『魯西亜国漂白聞書』や『極珍書』は平談俗語駆使した同行の漂流民、磯吉の語り言葉から成り立っており、そこには主ではなく民の目線があると。この資料を使って書いたのがこの歴史小説だ。かつて同じような漂流民を題材にした井伏鱒二著『ジョン万次郎』を面白く読んだ。こちらは江戸時代にアメリカに渡った漂流民の話。
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