« 超人の面白読書 10 吉村昭著『大黒屋光太夫』 | トップページ | クロカル超人が行く 24 金沢 »

2005/06/04

クロカル超人のジャーナリスト・アイ 新聞・雑誌拾い読み 11       

06_25_5
毎日新聞2005年6月3日付夕刊文化批評表現欄の「海外の文学」デンマーク編で、クロカル超人の『北欧文学散歩 5』で取り上げましたデンマークの現代作家イプ・ミカエルの最新作『グリル』について長島要一・コペンハーゲン大学異文化研究・地域研究副所長が書いている記事を見つけました。下記は本文からの引用です。

マジックリアリズムの冒険
 小説で読者を魅了し、今年はアンデルセン親善大使にも任命されたデンマークを代表する作家、イプ・ミカエル=写真=の最新作『グリル』が、賛否両論で話題になっている。
 イラク戦争に参戦しているデンマークの役割を糾弾するこの作品は、作者にとって初めての政治スリラー小説である。百四十年も戦争を体験することなく平和の温床にぬくもってきた小国が、悪の独裁者から国民を解放するという大義名分を鵜呑みにして、何はともあれ独立国であるイラクに派兵した。一部に批判的な声は上がったものの参戦は何となく受け入れられ、終結のめどもなく続いている、とイプ・ミカエルは言う。そしてその胡散臭さをえぐるように、テロ攻撃あり人質事件ありの現実を従軍記者のような眼で描き、九・一一以後の世界の根無し草的状況を浮き彫りにしている。
 ストーリーは、夜空を飾るイリュミネーションの制作者グリルが住むコペンハーゲンのアパートで始まる。彼女の知り合いの若い女性がイェーメンに旅行してそこで恋に落ち、千夜一夜物語まがいのような思いをする。その相手というのがデンマーク人とアラブ人の混血の男。やがてコペンハーゲンで殺人事件が発生し、アラブ系移民二世の若い男が、事件に無関係なのに名乗り出て罪を着る。そこで中年女性グリルの出番となるのである。
 コペンハーゲンを舞台にその背後に広がる国際政治の複雑で不透明な世界が描写されるのだが、色彩豊かなエピソードがあまりに多すぎる、変装やら偶然、どんでん返しなど、小道具を使いすぎると批判されている。


« 超人の面白読書 10 吉村昭著『大黒屋光太夫』 | トップページ | クロカル超人が行く 24 金沢 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 超人の面白読書 10 吉村昭著『大黒屋光太夫』 | トップページ | クロカル超人が行く 24 金沢 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31