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2005/05/29

クロカル超人の北欧文学散歩 6 『今日の北欧文学素描 Ⅵ』 

『今日の北欧文学素描』の続き。最終章。

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Kerstin Ekmanは3世代を困惑させたスウェーデンの近代化についての三部作をちょうど書き終えたばかりだ。社会改革のテーマに対するEkmanのアプローチは他の作家と異なっている。P.O.Enquistのような作家たちが現代性の足跡を追うところでー世界の中からはずれた北方の小さく貧しく半未開拓な村でスタートを切るがーともかく物事が間違って進んだルーツ、福祉社会の均一的な枠にあまり適合できないならば、外国人、原住民、女性や子どもたちを投げ捨ててしまうルーツ、そのルーツにEkmanは振り向き戻る。Ekmanは常に文学を倫理的な効用に置くが、最近特に文学をあらゆるテキストと主題が許されるひとつの遊戯と見なす傾向に照らして見ている。そのことが道徳の問題や歴史的な現実の解釈になるときを除いては。これはもっとはっきりしてきて、時折評論家に批判されてきた。しかし、倫理的なものと目に見えない審美的なものとの縫い目を作るEkmanの能力に誰も反駁はできないのだ。私の考えでは、彼女の作品は今日のスウェーデンで産み出された最高の文学である。
この北欧文学の素描では北欧五ヶ国の類似性よりは相違性に、また各々の国が隣りの国より自分たちの伝統に費やされていることを明らかにした。それでもなお、成長と成人についての物語は北欧の小説には共通している。ノルウェーの作家Klaerstadを言い換えるなら、幸せな幼少期を持つのは決して遅過ぎないし、さらに不幸な幼少期を持つにも遅過ぎないということだ。
全体的にスカンディナビアの作家たちは不平を言えない。本は人気があり、冬は長いし暗い、そしてスカンディナビア人はたくさん本を読む。雑貨店とほとんど同じ数の文庫本を売る本屋があって出版社はより良い時を経験しているし、テレビはゲストとして作家を欲しがる。新人作家の関心は現在より決して大きくなっていない。最近の10年間で創られた文学賞のなかで質とそしてで小説の価値を推し量るなら、それは質が高く上昇中だ。

文芸評論家Ingrid Elam女史は比較文学の博士号を持ち、1970年代の終わりから各種メディアにおいて文芸批評家として活躍している。彼女はスウェーデンの主要な新聞にコラムを書いていて、また公共の文芸討論の司会もするし、各種の文学賞の審査委員にもなっている。

追記。Norstedts社のwebsiteから。【写真左下: 文芸評論家 Ingrid Elam女史】
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Ingrid Elam
Ingrid Elam är född 1951 på Donsö i Göteborgs södra skärgård, och är idag bosatt i Stockholm. Hon har varit verksam som litteraturvetare vid Göteborgs universitet och doktorerade 1985 på en avhandling om Den romantiska versberättelsen. Ingrid Elam har medarbetat i olika litteraturhistorieprojekt och antologier, varit verksam som litteraturkritiker i olika media sedan slutet av 1970-talet, 1989-2000 kulturchef på, i tur och ordning, GT/iDAG, GP och DN. För närvarande områdesprefekt för Konst, Kultur och Kommunikation vid Malmö högskola. 2005 mottog hon Gerard Bonniers essäpris för Min obetydliga beundran.

Swedish Book Reviewのwebsiteの英文から。
Ingrid Elam has been active as a journalist in Sweden in the fields of arts and literature since the late 1970s. She holds a PhD in Comparative Literature, and has served as the editor of the arts pages of several of the major daily papers in Sweden: Göteborgs Tidningen, Göteborgs-Posten and Dagens Nyheter. She is currently self-employed and is often seen on television, heard on the radio and read as a columnist in virtually all the main Swedish publications, as well as chairing public debates and serving as the director of various committees for the awarding of literary prizes. Her favourite work of art is Bach’s B minor Mass.
(2007年3月24日 記)

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