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2005/05/28

クロカル超人の北欧文学散歩 5 『今日の北欧文学素描 Ⅴ』 

『今日の北欧作家素描』続き。

南のデンマークへ目を向けると、詩の確信がどの国よりも力強く見えるのは最も若い作家たちだ。北欧諸国では詩は常に初心者にとって重要なジャンルなってきているが、最近の20年間では若い詩人たちがよく1980年代の理論的かつ言語学的な議論を鳴り響かせてきた。詩についての詩、すなわち詩至上主義という言語を扱った内向きな詩を書いてきた。デンマークではそうではなく、詩人たちは外へ、政治の方へ、外国へそして日常生活へ転換してきた。このこともまた、デンマークの詩は隣国の詩の多くの状況より単純化され、より幅広く読まれるようになってきている。
40才に届こうとしているMorten Søndergaardはデンマークの詩人で最も成功した詩人だ。彼の最新詩集Vinci,senere(Vinci,Later)が、2003年に Nordic Council's Prize賞を受賞した。哲学的な詩には原初的存在があるが、また、それ故に真実の詩的ヴィジョンに反駁できないこと、また、写実がVinci Laterそれ以後、第一印象に続くことをSøndergaardは知っている。詩人はVinciという小さな町でしばらく過ごしたきた。彼の詩はその経験の余波である。夢、家族生活、建築、彫刻というポストモダンの現実の多面的な相を脚色している。
Søndergaardの創造性は、その詩が説得力があって魅惑的であるばかりでなく、人生抱擁を力強くしているかのようだ。
また、彼は比較的若い世代の文学へのアプローチの典型的な代表者でもある。何でもするが、真剣である。ファン雑誌や雑誌の編集をしたり映画の脚本を書き、小説や詩集を出版してきた。Tingen Orden(The Order of Things)は神話と伝統的なラブストリーとを組み合わせた小説である。ヒーロー、イカルスは屋根瓦で無意識に叩き、忘れることができないで目が覚める。彼は自分の全ての記憶に打ちひしがれてコペンハーゲンを歩き回り、アリスと出会ったことで安堵を発見する。
比較的若い世代が北欧諸国の大部分でそうであるように、デンマークでも大いに注目をあつめているけれども、1970年代初期に出現したまさに力強い世代は、重要な小説を書き続けているし、その小説は多くの読者に読まれている。二つの例を出そう。Ib Michaelは、ラテンアメリカの幻想写実主義に一早くインスピレーションを受けた海洋作家だが、いまなおKejserens Atlas(The Empire's Atlas)のような幻想物語とロマンティックなラブストリーを書いている。Kirsten Thorupは女性の生活と社会問題(ノルウェーのJan Kjaerstadが彼女に必ず敬意を払ってきた)についての3つの小説を書いて1980年代を席捲した。Bonsai盆栽のようにスリムにしながら、彼女はエイズで死んだ一人の男と前夫人の間の満たされない愛の性質を探し求める。
文学的状況はスウェーデンでも全く同じだ。若い作家たちは詩と同じく散文においても簡潔さで魅了する。短編は何年も作家デビューのジャンルだったし、1980年代にはたくさんの女性の詩人たちによって進化した新反形而上学的詩、その詩が、長さ、重要さにおいて育っている。一度例外として認めてしまうことは、今まで既定化されているので、新人作家たちを無理に抵抗させたりからの騒ぎを起こさせたりするのだ。

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若い詩人のAnna Hallbergは2年前にFriktion(Friction)という処女詩集を書いたとき、Katarina FrostensonやAnne Jäderlundような名前を持つミュージカル風に詩を歌う女性の伝統にはっきりと逆らって書いた。作品Friktionは反詩的で反イディオロギー的で反心理学的でそして反ジェンダー的である。にもかかわらず、イディオロギーや心理学やジェンダーのテーマで自己を確立してきた、現在70才代であるこれらの作家たちは、いまなお出版社や批評家や読者の間でまさに堅固な地位を保っているのだ。

写真:Sweden's Anna Hallberg

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