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2005/05/22

クロカル超人の北欧文学散歩 1 『今日の北欧文学素描 Ⅰ』 

筆者は以前から現代の北欧作家の動向を一瞥してみようと考えていた。その昔、と言っても十二、三年前だったか、雑誌海か何かに北欧研究者の寸描が載っていたのを読んだことがある。いま、家のどこかを探せば出て来るはずだが、その二、三ページもののコピーが見つからない。熱が入ったときには夢中で没頭するが、仕事にかまけて遠ざかっては月日の経つのが早く、自分の能力不足を呪う始末。
ということで、ある雑誌(2004年夏号)の電子版で見つけた小論、『今日の北欧作家』の私訳を試みよう。

Ingrid Elam女史の 『今日の北欧作家素描』

スカンディナビア人は、世界で最も文学的な人々で多くのすばらしい自国の作家の作品を持っているばかりではなく、外国の翻訳作品の最良のものを読んでいる。最近のスカンデイナビアの作家について著名なスウェーデン人文芸評論家に解説してもらった。

スカンディナビア文学は進歩しているか。
それはアプローチのしかた次第だ。たとえばドイツ人から見れば、北欧文学は以前より活発で繁栄しているように見える。最近の10年間、ほとんど若者向けに書いているノルウェー人の Jastein Gaarder、スウェーデンの犯罪作家の Henning Mankell やデンマークのPeter Høeg(Smilla's Sense of Snow)のような作家たちは、多かれ少なかれベストセラーリストに載る作家だった。
しかし、私はストックホルムに住んでいるが、Høegはここ8年間本を出版していないことや犯罪小説はスウェーデンでは他のジャンルより数で売れているという事実を嘆くし、それによって文学的シーンが単一文化に変わっていくことを恐れるのだ。
それでもなお、読者は、特別に北欧作家を自分たちの言語で読めるなら幸せであることがたくさんある。私はスウェーデン語、ノルウェー語そしてデンマーク語は読めるが、アイスランドやフィンランドの作家のものは翻訳に頼っている。私は詩よりは小説をプロットより意味を好んでよく読む。書き出しにあたってこのような私の視点を踏まえ、今日の北欧文学のシーンについて個人的かつ選択的な見解を述べる。
ノルウェーの文学状況を見ると、まずは個人的生活上で大冊の小説を書いている40才代の男性作家をわずかにはっきりと認めざる得ない。Jan Kjaerstad は2001年にNordic Council's literature Prize賞を受賞したばかりではなく、The Seducer、The Conqueror、The Discovererの三部作で多くの読者を獲得した。Kjaerstad の小説は、古典的な叙事詩的長編小説のように見えるが、事実は様式と芸術フォルムのおどけた交錯である。彼のテーマは倫理的で人文主義的だ。彼は自分自身や読者に人間はいかにして共にピッタリ合うか、そしてどのように乗り越えられるかを問う。彼の主人公はテレビのパーソナリティーで、その生活は矛盾している物語に満ちている。この小説でjaerstad は自分たちが現在あるのは、自分たちが記憶していることや自分たちについて記憶されているおかげであると主張する。Tegn til kjoerlighet (Signs of Love)という最新の小説ではグラフィックな文化がいかに自分たちの人生と愛を形作ったかを探る。それは三部作の作品のように熱狂的には受け入れなかったが、私の見方ではまるでシビュラの書のように魅力的な作品だった。(この項続く)

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