2020/07/16

超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新と型コロナ感染拡大克服策 18 最終回

面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新と型コロナ感染拡大克服策
【その14】最終回

ヤコブスドッティル首相は接触追跡チームを讃えた。そのチームは彼女の3人の息子の1人を隔離した(彼女の夫は2週間サマーハウスに連れて行っていたのだ)私は国境を再開する計画について訊いてみた。彼女はヨーロッパのすべての国々がこの問題で苦慮しているのに気づいていた。
「私たちが考えたのは、ステップを慎重に踏むことでこの実験をスタートしました。国民が検査か隔離かチョイスできます」と言った。「もしうまくいかなければ調整します。少なくとも次の数ヶ月間。今年はアイスランドの観光部門は救済できません。そのことはわかっています。しかし、私たちは人びとが入国したり出国したりできる保障が必要です。健康管理システムにあまりプレッシャーをかけずに成し遂げたい。だからそこは微妙なバランスを取ることです」
その日の夕方は天気は快晴で肌寒かった。外で食べるには肌寒いが、ニューヨークの気候を考えればレイキャビークはむしろ爽やかな方だ。
屋外のカフェは混んでいた。レストラン側はテーブルを2メートル離すように客に頼んだ。いくつかのレストランを覗いてだが。私が気づいたことは、その景色が完全に元の日常に戻った様子だということ。それにしても今は異国にみえる。ちょうど夕食の時間帯で人びとは友人と会って寛いでいた。1人の旅行者にとって、これは氷河あるいはクジラを見学するよりもさらに良い抽選だろうと思った。

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【その13】

ヤコブスドッティル首相の発表の次の日、私はカリ・ステファンソンと話をした。「あなたは首相と話をしたいのですか」と訊かれて頷いた。彼は記者秘書にかけてくれたが出なかったので、直接首相のヤコブスドッティルに電話をかけた。彼女が電話に出た。
ヤコブスドッティル、44才。左翼グリーン運動のメンバーだ。彼女は2017年に首相になった。アイスランド憲政に波乱のあった年だ。2つの政府が迅速な引き継ぎで衝突、1つは性犯罪者を巡るスキャンダル、もう1つは沖合いの資産を巡るスキャンダルで。彼女は内閣府で有名な格好良いビルで働いている。そのビルは18世紀の終わりに刑務所として建てられた場所だ。
私は彼女のオフィスに案内された。ほとんどあなたの意見に賛成するわと言った。ステファンソンと議論するよりやさしかったからだ。私は彼女にアイスランドが他の多くの国より新型コロナウィルスの扱い方で、うまくできたことについてどう思うか訊いてみた。「すごく身近に中国のニュースを追いかけていたの」と言った。「だからアイスランドで陽性反応が出ないうちに準備を始めたのよ。初めからはっきりしていたことは、科学と医学の専門家によって導き出されということ」彼女は続けた。「専門家たちはとても謙遜だった。彼らが言っていたことは「新型コロナウィルスについて本当に私たちは何も知らない」ということ。思うに、プロセスの長所は「次に何が起きているのか私たちには分からない」ということだ。

2020/07/15

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超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新型コロナ感染拡大服策
【その12】

制限は5月初めに緩め始めた。私が到着した頃には再開していた。集まりでの制限は50人に引き上げられ、人びとはまた、美容室に集まった。私が宿泊していた向かい側に昔アイスランド国立電話会社が入っていたビルは、ホテルに替わっていた。毎日ホテルのガーンと響く音で目が覚めた。「観光客はいないが、レイキャビークの店は閉まったままだ。ニューヨークの5番街に匹敵する街のラウガヴェグルを散策した。古着店のスプートニクが開いていた。水着やビキニ、バス用スーツが売っている店だ。トロールドールやアイスランドの土産品を置いているオジンは、更なる通知があるまで閉まっていた。トールやアイスランド語が話せないといわれている他の土産品店、アイスランドメモリーズなどの店もだ。ツメノドリの置物やヴァイキング船のモデルを詰めた、ある店のそばで足を止めた」(この点ではシナリオ5の合法的違反だ。私は自分で検査を受けていた。結果は陰性だった)2人の女性が働いていた以外は空っぽだった。
「観光客相手の店なのに、観光客がいないの」1人が言った。商売の話をすると、彼女は肩を丸めた。
「普段なら混雑していて歩けないほどなの」
ウィルスを効果的に排除して―私が滞在中の週にはわずか1症例が確認されただけ―アイスランドは現在、羨ましくもぎこちないところにいることがわかる。はっきりしていることは、入国する人びとが少なくなればなるほど、新しく発生することも減るということだ。しかし、人が訪れないということは、空室なホテル、売り残るトロールそれに仕事が何千と無くなるということた(アイスランドは政府の救済が必要になるかも知れないのだ。新型コロナウィルスがパンデミックにならないうちに財政難に陥りつつあった)。
私は修正された隔離ルールと闘っているときでさえ、アイスランド当局は、コーヒーバーや公衆トイレをチェックしながら、国境を再開する方法を探っていた。5月12日にカトリン・ヤコブスドッティル首相が6月中旬には訪問客を受け入れる計画を発表したのだ。発表ではケフラビィックに着いた外国人は3つのオプションが与えられる。新型コロナウィルス検査の確認証を提示、PCR検査を受け、隔離される。検査を実施するのは誰か。すべてを軌道に乗せる方法が特定できないでいる。

2020/07/14

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【その11】

アルナルソンは帰国するとすぐに気分が悪くなった。彼の娘が新型コロナウィルスの家族の検査を申し込み、デコード社に提出された。陽性反応が出たときに、アルナルソンはアーティストの友人が借りていたスタジオに隔離された。毎日看護師と医師のチームの誰かから電話が入った。「体調はいかがですか?」「彼らが訊ねた。「症状はどうですか。助けが必要性ですか」」彼は思い出した。「本当に驚きました。彼らの仕事が分かって快適でしたね」非常事態で呼び出される電話番号を受け取った。「彼らはそんに多くの電話を受け取っていないと思います。理由は彼らが積極的だったからです」「隔離されている間に妻と娘は新型コロナウィルスで最初陰性反応が出ていたがかかってしまいました」彼女らは同じ治療を受けた。みんな病院やクリニックに行くのを止めた。
アルナルソンは1人で6週間過ごした。家族と離れて彼は一度回復しても帰宅しなかった。その間アイスランドの他のところと同様に彼は毎日2時に始まる3人組のブリーフィングを見ていた。「政治家、医師、疫学者の3人組はヒーローです」とアルナルソン。「彼らは冷静に人びとに話しかけています。事実と基本を踏まえて。こういうやり方なら政治や政治家は必要ないんですよ。」
発生の真っ只中アイスランド政府は、20人以上の集まりを禁止した。また、高校や大学も閉鎖した(小学校やデイケアセンターは時間を制限して開けていた)。

2020/07/13

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【その10】

今日アイスランドは今尚遠い。一番近いグリーンランドは氷に覆われていて、首都のヌークは100マイル離れたところにある。しかし、アイスランドはジェット機やクルーズ船を利用して死ぬまでに行ってみたい目的地になっていた。去年200万人の外国人が訪れた。これは10年前の4倍に達している。アイスランドの新型コロナウィルスの犠牲者は多分驚きに値しないが、休暇を楽しむ人だったはずだ。名前を公表していないが、オーストラリア人で、彼は3月6日に亡くなった。クジラ見学で有名な北の海岸の小さな町フサビークのクリニックに着いて直ぐの3月16日に亡くなった。
検査で陽性反応が出た彼の未亡人は隔離を命じられた。アイスランド人から同情をされたラケル・ヨンスドッティルという女性が、「私たちから愛を込めて」とフェスブックに書き込みをした。だからフェスブックを見た人たちが彼女に投稿してきたのだ。1万人以上の投稿があった。「あなたは私を見たこともなく知らないけれど、あなたのことを気にかけています」ヨンスドッティルが書いた。
アイスランド人もまた、旅行好きだ。2018年には人口の80%が休暇で海外に出かけている。私は海外からウィルスを持ち込んだレイキャビークの何人かに話を聞いた。絵画のディーラーをしているビョルクール・アルナルソンのギャラリーに行ってその話を聞いた。その時店は閉まっていた(ルール4b: インタビューを受けた人たちだけはジャーナリストと対話ができた)。
一般にはデンマーク系アイスランド人アーティスト、オラクル・エリアソンの名前で知られるアルナルソンは、3月の初めにニューヨークのアーモニーショーに出演した。ショーの後に手食料理が出る賑やかなパーティーに参加した。「私が初めてではありません」彼は私に語った。「しかし、アイスランドで何が起きているか知っていました。ヨーロッパで起きていることも。ニューヨーカーの信頼に心を打たれたんです。彼らは起きていることを信じなかったか、起きていても何とかやっていけると思っていたんです」

2020/07/12

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【その9】

アイスランドは地球上で人の住める場所で最期の土地だった。9世紀の終わりの時期までは。デコード社による実践された遺伝学的分析が示しているのは、アイスランドの初期の住人は、主にノルウェーやイギリスの島々からやって来た男性だった(女性はヴァイキングに捕まり強制的に連れて来られた)。
何世紀もの間どこから誰が来ようがアイスランドへの旅行をほとんど邪魔する者はいなかった。効果がなかったようだ。低い人口密度と結びついた孤立には免疫を保持する傾向がみられた。例えば、この国には黒死病(ペスト)は存在しなかった。しかし、病気が潜り込んだときに免疫がない集団に影響して拡大してしまった。1707年に1人のアイスランド人がコペンハーゲン旅行中に天然痘に罹患、彼は帰国途中に死亡して海に埋葬された。彼の遺品の洋服が南の海岸のエイラルバッキの町に引き上げられた。そして、1709年頃発生が爆発、国の人口の4分の1が死亡した。

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【アイスランドの地図】―ウィリアム・モリス
大塚光子訳『アイスランドへの旅』より

2020/07/11

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【その8】

代わりに施設が削減されたようだ。新型コロナウィルスのアイスランドの致死率は、確認されたところでは80人に1人、ちょうど0.56%で世界でもっとも低い数字だ。数字が低いので疑惑が上がった。ミュラーの部局は、発生し始めてからどんな理由であれ何人死亡しているか調査することを決定した。判明したのは、アイスランドの死亡は新型コロナウィルスが到来して以来実際に下がっていた。
私はミュラーにマスクについて訊ねてみた。マサチューセッツでは州知事が発令した高官命令で店の入口、タクシー乗車、公共機関ではマスク着用を義務化し、違反者には300ドルの罰金が課される。アイスランドではマスクはほとんど話題になっていない。ミュラーが言うには、マスク着用は病気や風邪の人には助言できるが、ともかく人は市中で歩き回るべきではないのだ。「付加したり、安全性について見誤った考えを持つとは思わない」「また、マスクは時々使用して濡らして使えなくすることです」とミュラーが言った。ミュラーはアイスランドの新型コロナウィルス克服についての発言には慎重だった。3人組やアイスランドのためにも、彼女は自分が功績があったことに迷惑している様子だ。ボタンを押して彼女が行く一番遠いところは次のようにいうことだった。「過去に金融破綻があった国です。雪崩、地震や火山爆発など自然災害についても対処しています」国の新型コロナウィルスに関する経験について私に見せてくれたスライドには「成功?」というラベルが貼られていた。

2020/07/10

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【その7】

ミュラーはパソコンにグラフとチャートを描いた。これは一人あたり他の北欧諸国よりまた、イタリアやイギリスよりも多く症例があったことを示していた。アイスランドの北西のボルングアルヴィークの町やウェストマン諸島、南の海岸沖の列島では自宅治療で発生し、ハンドボール大会で始まったようだ。
「最初の数は恐ろしいほどだった」ミュラーは語った。国の成功は早い時期にスタートしたことで、取扱件数を低く抑えられたと考えている。アイスランド大学病院と伴走している“3人組”は、1月にミーティングを始めていた。「中国で何が起きているのか」彼女は思い出した。「私たちは緊急事態局や道路でさえ人が倒れて死んでいる写真を見たんです。だから何か恐ろしいことが起きたことは確かだった。他の国に拡大するかは知らなかったんですよ。チャンスがなかったから準備したのです」「例えば、国が医療従事者に対して充分な保護装備を用意していなかったから、病院関係者がすぐに防護衣をもつと多く買い始めたんですよ」
一方、ミュラーは“バックアップ”チームを立ち上げ始めた。「アイスランドでは皆が知り合いなんですね」と彼女が言った。「私はアイスランド医療学会長で看護学会長に電話を入れました」最近退任したばかりの他の仕事を続けた看護師で緊急事態に署名した人だ。新しい症例がすぐに診断されスタートすると、パンデミックで閉めていたオフィスの医師と共に、バックアップチームが電話で人びとをカウンセリングした。「もしあなたが70才で血圧が高ければ、毎日電話できますよ」ミュラーが私に語った。「もしあなたが若くて健康ならば、1週間に2度で良いかも知れません。これで数少ない病院入場許可や集中治療の許可が得られたことになるんです」

2020/07/09

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【その6】

その夜神聖なる3人組は、奇跡的な救助をしようとバスローブを身につけていた。アイスランドの歳入の約40%は観光業が占めている。イギリス、アメリカやドイツからやって来るすべての人たち―新型コロナウィルス感染拡大でホームステイしているが―向けに環境を整備するため、政府はアイスランド人はあえて国内旅行をするよう要請した。レイニッソン、グズナソン、ミュラーは、別々の部屋に入った。レイニッソンはホール側、他の2人は反対側に入った。3、2、1とカウントして彼らはドア(可笑しな出で立ちだが)を開けることになっていた。それからレイニッソンはカメラを覗き、さわりどころを喋った。「万一の場合に備えよう。」(そうしたときはカメラクルーは大笑した。現地語のアイスランド語で笑いを誘うような言葉を発したに違いないと想像してみるしかなかった)1人がやればあとの人も続けると、私は国立アレルギー・感染病研究所の所長アンソニー・ファチ、疫病コントロール・予防センター長のロバート・レッドフォードそれに政府のコロナ対策のコーディネーターのデボラ・バークスを写真に収めようとした。
ハプニングが起こったとき私は翌朝ミュラーと会う約束を取りつけていた。彼女は港近くにあるスマートなガラスのタワーにある事務所に戻っていた。座って彼女が最初に言ったことは、「ごめんなさい。アメリカが大変な困難に直面していることを2月はじめから知っていたの」だった。ミュラーは集中治療の外科医で、1990年に彼女はアイスランド海岸警備のドクターヘリの最初の女性になった。仕事は病人を扱うため北アトランティック海で低空して漁船に乗り込むような危険な仕事を伴っていた。2018年に彼女は衛生局の最初の部長に就任した。

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【その6】

「これは極端にバランスを取ったやり方で成し遂げたんです」また、「当局はすべて正しかったと思いますよ」他方で私にそう言った。「全体的に見てすばらしいことは、アイスランドでは公衆衛生局の運営で絶えず行ってきたということです。彼らは計画を提案して制度化した。私たちは幸運だったんですよ。政治家が彼らを手中におさえてくれたからね」

レイキャビークで私は議会からそう遠くない、アールデコ調のビルの閉鎖していないホテルに宿泊した。ある夜ホテルに戻ってみると、ホテルの通路を遮って撮影隊や乱雑に置かれた機材を見つけた。カメラの前で2人の中年の男性と女性が立っていた。白いテリーバスローブを纏っていた。わずか2日の宿泊だったけれど、私は合点がいった。彼らは新型コロナウィルスに対するアイスランド政府の考えを伝えているチームだった。国の非常事態管理部長のヴィジュール・レイニッソンと疫学者のポロルフール・グズナッソンそれに衛生局部長のアルマ・ミュラーだった。レイニッソン、グズナッソンそれにミュラーは、アイスランド海岸警備局の臨時新型コロナウィルス指令センターで一緒に働いていた。3月、4月、5月のほとんど決まって午後2時に共同のブリーフィングを行っていた。その時に彼らは事実に基づいて何を知らせるかしないかを議論した。時々パンダミックについて子どもに話しかけるように話をした心理学者をゲストに招いた。彼らはよく誤った情報に警告を発した。例えば、漂白剤を飲めばウィルスと戦う意欲が命取りになるというようなこと。アイスランド人の4分の3はある時点で同調した。レイニッソン、グズナッソンそしてミュラーが「トリオ」になったことは有名だ。ある人は“神聖なる3人組”だと私に語った。

2020/07/07

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【その5】

一方、デコード社も陽性に戻ったアイスランド人すべてからウィルスを配列していた。ウィルスが人から人へ移ると突然変異を取り出した。これらを分析することで遺伝学者は、病気の拡大を地図化できる。発生の初期段階ではイタリアアルプスからアイスランドへ帰国した旅行者が最初の感染者だと思われていた。しかし、デコード社の研究者が発見したのはイタリアに注目している間に、ウィルスが静かにイギリスをはじめ他のヨーロッパ諸国へ紛れ込んだという事実だ。アメリカの西海岸の旅行者がある系統で、もうひとつの系統は東海岸から持たされをたものだった。東海岸のものはイタリアあるいはオーストリアからアメリカへ輸入されヨーロッパへ戻ってきたのだ。
感染した人のウィルスを順序よく配列することで、デコード社の研究者もまた、いかに感染拡大したかについて仮説を立てることができた。「最大の関心事はすべてのデータに子どもが両親を感染させた症例がたくさんあることだった」ステファンソンが私に語った。ステファンソンは度々アイスランド政府を批判している。彼は漁業会社の経営から病院の財政まで幅広い問題について新聞で頻繁に意見を述べ続けてきた。(数年前に彼はある嘆願書を閲覧した。それは政府が健康管理にお金を費やすことに成人人口の3分の1が署名したものだった)彼はいつ何時も必ずと言っていいほど大臣と次から次へと口論となった。3月にアイスランドデータ保護局が、デコード社の要求について即座にルール化はできないと言ってきた。ステファンソンはフェスブックで長い間非難してきた。しかし、私がステファンソンにアイスランド政府の新型コロナウィルスに対しての応えを訊ねると、彼は親切な言葉をかけてくれただけだった。

閑話休題。改めてアイスランドの地理的位置を地球儀で確認したら、今更ながらアメリカからはそう遠くない位置にあることが分かる。極東の日本からはやはり遠い―。そして、この小国は遺伝子研究では先進国なのだ。

2020/07/06

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超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策
【その4】

ステファンソンはアイスランドの最初の症例が発表された後の数日は新型コロナウィルスの研究に没頭することに決めた。新型コロナウィルスの致死予測をラジオで聞いた朝、車で会社に向かった。「感染した人の3.4%が死に至るんですよ」ステファンソンが思い出した。「致死数の数え方が理解できなかったんです。社会のウィルス浸透を知らないんですよ。だから私は仕事に戻って同僚と仕事についたんです。私はアイスランドでは一般集団を検査することを申し出るべきです」と彼らに言った。
アイスランドの大学病院はすでに新型コロナウィルスの症状のある人々を検査していた。しかし、無感染者や軽い症状の人々を検査することによってデコード社では多くの症例を掬い上げるが、一方では、見逃しも生じた。これらの症例もまた、追跡チームの仕事になった。アイスランドは5月17日までにウィルス検査を人口の15.5%まで実施した。アメリカでは3.4%だった。

2020/07/05

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【その3】

数日後資格があるため否が諾になった。私はジャーナリスト用の調整された隔離部屋に入らなければならなかった。感染防止の規則のリストはシングルスペースで4ページに達し―本当は使わない―公衆トイレの使い方についての但し書きも含まれていた。シナリオ6つで構成されていた。それは「私企業設置の公人の面接」、「個人の屋外設置での面接」で、各人の扱い方を詳しく指示してあった。「仕事場での公務員の面接」が許されていたが、様々な条件が付いていた。(「公共団体の部長は、面接を受けないとしても、知らされ面接した人に告知しなければならない。ジャーナリストはサイトを見れない。案内人でさえ。しかし、面接用スペースだけは見ることができる」)
アイスランド航空はこの時点ではボストンからの散発的なフライトを除いて、アメリカからのサービスを中断していた。私が離陸した日の土曜日はローガン国際ターミナルは厳粛で霊廟のような静けさだった。航空券1枚でもカウンターは閉まっていた。機内で私は200席近くのうち満席の14席を数えた。私は前の列にいた1人の女性と少し話した。彼女はアイスランドのサッカー選手のフィアンセを訪ねるところだった。しかし不幸にも彼女は最初の2週間は別々のアパートで過ごさなければならないだろう。
明らかに数か月は設置されていなかった機内の雑誌は、雪の中で休暇を楽しむ人たちの写真で一杯だった。それは他の時代の遺物として輝く刷り物として読める。乗務員の一人が私に言ったのは、パイロットを含むすべての同僚のほとんどが3ヵ月の告知を告げられたことだ。彼らは臨時便だけ搭乗していた。一般的には憂鬱になるにもかかわらず、どこかへ飛んでいけるスリリングな面があった。前週の8週間、私が行った最も遠いところは酒屋だった。
アイスランド国際空港ケフラビークに着いたとき、私は良心の最初の危機に直面した。様々な活動が制限されるなか、知ってはいたがショッピイングはできた。しかし、アイスランド航空は夜の10時でフライトの食事サービスは中止していた。免税店には入れたか。実行したのだ。その夜の夕食はビールとリコリス(甘草)だけだった。
次の日ステファソンがホテルに私を迎えに行くことを申し出た。(危機2。「面接をした人は隔離したジャーナリストからできるだけ大きく2メートルの距離を開けなければならない」)わたしがポルシェに乗り込んですぐに、彼がどこの出身と質問した。私が西マサチューセッツと答えると、「恐らく世界一退屈なところだろう」と高らかに言った。
71才のステファンソンは背が高く、広い肩幅を持ち、白髪でヘミングウェイ張りの白い顎髭を生やしていた。80年代と90年代はほとんど彼はアメリカに住んでいた。シカゴ大学で教え、その後ハーバード大学で教えた。病気と遺伝的変化の関係を研究するため、国の小さな近交的集団を使うという考えを抱いて帰国した。これは以前人間のゲノムは規則正しく配列されていた。ステファンソンは海図のない海を航海していた。彼はデコード社を設立し大企業に育てたが、他と同じく2008年の金融危機で破産した。デコード社は現在「アムゲン」というアメリカのバイオテク会社が所有している。会社はレイキャビークの地方自治体の空港からほど遠くない、なめらかで金属加工が施されたビルに入っている。地下の冷凍貯蔵室には大雑把にいえば、国の2人に1人の18万人のアイスランド人の血液サンプルが貯蔵されている。

2020/07/04

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アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策
【その2】

追跡チームもまた、52人のメンバーまで成長していた。彼らはレイキャビークのあるホテルの会議室でシフトしながら働いていた。ホテルは観光客がいないので閉まっていた。晒された人を見つけるため、チームのメンバーが搭載明細表をスキャンしたり、セキュリティカメラの痕跡をスキャンしていた。バスのなかやレクチャーホールで隣に座ってピンポイントを試みた。
病気になったある男性は、最近コンサートに行っていた。彼が唯一思い出した男性は、妻がいる間接触していた。しかし、追跡チームが捜査してコンサート後にパーティーを行っていたことが分かった。
「この集まりでは人々はハグしたり、同じトレーで食べたりしていたんですよ」パルマソンが私に語った。「だから決定が下されたんです。すべての人を隔離することをね」もしあなたが海外からアイスランドに帰国したら、あなたも電話を受け取っていたはずです。あなた自身も隔離されると。同時に、国は新型コロナウィルステストを積極的に行ってきた。世界のピーク時に一人ひとり。
アイスランドは都市封鎖をしなかった。例えば、ナイトクラブやヘアサロンなどのビジネスだけは例外的に封鎖した。レイキャビークの誰もがマスクをかけていなかった。5月中旬にパルマソンに話を聞きに行った。追跡チームはほとんど誰も残っていなかった。前週アイスランドのすべてでわずか2人だけ新型コロナウィルス感染症例が確認されただけだった。国はどうしても曲線を平にすることはできなかった。事実上排除したかのようにみえた。
私は3月にアイスランドに行く予定を立てていた。新型コロナウィルスと関係のない記事を書くためだった。突然出張が取り止めになったのだ。EUはアメリカ人の入国を禁止し、アメリカはヨーロッパからの入国を禁止した。フライトはキャンセルされた。私の身に起こる前は復活しないように思えた。アイスランドの新型コロナの反応について書いていたらどうなったか━。
私はネットを見て学んだ。それは入国するすべての人が、2週間隔離される方法について要点を簡潔にまとめてある書類を提出する必要があるということ。私は外務省に出向き、ジャーナリストとして適用外にしてくれないかと交渉したが、返ってきた答えはノーだった。
私はいくつかメールをし電話をかけまわった。アイスランドの人口は、デンバーの半分の36万人5千人で、よく知られているように緊密関係にある。文字通りほとんどの人が他の誰かとつながっているのだ。もし2人が自分たちの家族がどのように絡み合っているか知りたければ、de CODEデコード(遺伝子解読)と命名されたアイスランドのバイオテック会社が経営する遺伝子データベースで調べられるのだ。アイスランドはたくさんの人々を検査できた。というのも、発生最中、デコードを使用するため最先端施設をウィルス検査用に替えたのだ。神経学者で国の有名人である社長のカリ・ステファンソンに連絡を取った。彼はうまく切り抜けられるだろうと私に語った。

2020/07/02

超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策 4

下記は試訳。因みに、原文はA4用紙で15頁以内、試訳は7回ほどのパートに分けて掲載。この報告でアイスランドの新型コロナウィルス対策の現状が分かって大変興味深い。


アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策
【その1】

2月28日の朝、レイキャビ―クの警察署の刑事エバール・パルミ・パルマソンが上司に呼び出された。アイスランドの新型コロナウィルスと確認された症例ではなかったが、国の国民保護防災局が新設された。PCR検査で陽性反応が出たら、チームは接触した人の追跡を追う必要がある。「私たちは話していたんですよ。最初の症例が出るのはこの1週間だろうと」パルマソンは思い出した。「その2時間後に電話を受け取りました」ドロミテスでスキーをしていたある男性が国の最初の新型コロナウィルスの感染者と知らされた。
他の警察官と二人の看護師それに犯罪の専門家がパルマソンのチームに割り当てられた。「追跡テクニックを用いて人々を見つけ出し、症例から情報を収集しました」パルマソンが語った。「チームが学習した男は感染する前の数日間アイスランドに帰国していました」その時彼は皆と同じように、仕事をしたり仲間と会ったりして過ごしていた。彼の近くで15分以上過ごした人は誰でも潜在的には感染していたと考えられる。(「近く」とは半径2m以内、6feet以上と定義された)彼が最初に感染を経験する前の数日間過ごした人は誰もである。
チームは66人の名前のリストを捜し出してきた。夜中までに66人すべての場所を特定し14日間強制的に隔離した。最初の症例に続いて3件以上、6件以上それからアタックした。3月までにアイスランドでの確認された新型コロナウィルスは、60人、70人そして100人までに増加していた。
国の人口の割にはアメリカの増加よりはるかに速かった。一方、追跡チームが行った人数は忽ちに上がっていた。ある感染者は5人あるいは56人以上近くにいた可能性が高かった。ある若い女性は、PCR検査で陽性反応が出る前はクラスに出席し、劇の練習をし、合唱の練習にも参加していたなど大変活発に行動していた。彼女の接触は200人近くになった。すべての人が隔離された。

2020/07/01

超人の面白ナンセンス詩 マスク

マスク

タイガーマスク
ライオンマスク

アベノマスク
フェイクマスク

ハウスマスク
ビルマスク
地球マスク





ピンク
グレイ

布マスク
市販マスク
手作りマスク
使い捨てマスク
洗えるマスク
子どもマスク

国産
外国製
医療用

ボロマスク
ポロマスク
黒マスク

ゆり子マスク
ポッチャリマスク
透明マスク
ナンセンスマスク

マスクよ
マスク

アメリカを見よ
ブラジルを見よ

Here in Japan
No mask no stay.
Peer pressure
On the train.

マスクよ
マスク

トヨタマスク
チャチナマスク
ユニグロマスク
キヨシマスク

マスクよ
マスク

作りすぎマスク
返品マスク
窃盗マスク
高額マスク
便乗マスク

マスクよ
マスク

この人を見よ
あの人を見よ

顔の見えるマスク
顔の見えないマスク

Let's wear a cool mask.
Save our species !

2020/06/30

超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策 3

Letter From Reykjavik June 8 & 15, 2020 Issue 

 HOW ICELAND BEAT THE CORNA VIRUS 

The country didn't just manage to flatten the curve: it virtually eliminated it.By Elizabeth Kolbert, June1, 2020


 これが雑誌『ニューヨーカー』に掲載されたタイトル。ニューヨーカー専属ライターのエリザベス・コルバート氏は、21年ものライターを務めているベテランスタッフで、2015年に『The Six Extinction: An Unnatural History』でピュリッツァー賞(ノンフィクション部門)を受賞している。

2020/06/29

超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策 2

今朝のメディア報道によると、世界の新型コロナ感染者は1000万人を超えて10063319人、死者数は500108人(2020年6月29日午前6時現在、アメリカジョン・ホピキンズ大学の集計による)。アメリカ(感染者251万人、死者12万人)、ブラジル(131万人、死者5万人)、ロシア(感染者63万人,死者9千人)、インド(感染者52万人、死者1.6万人)、イギリス(感染者31万人、死者4万人)、ペルー(感染者27万人、死者9千人)、チリ(感染者26万人、死者5千人)、スペイン(感染者24万人、死者2.8万人)、イタリア(感染者24万人、死者3.4万人)。毎日新聞朝刊(2020年6月29日)に掲載されたウィルス感染者が多い国・地域―アメリカジョン・ホピキンズ大学28日午後7時現在の集計より。日本は感染者18390人、死者874人。昨日あたりの東京都や北海道それに栃木県などで感染者が増えている。特に若者組の夜の訪問先に感染拡大の兆候がみられる。やはり今少し3密を避けることだ。

さて、アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策の報告の話。昨夜一応試訳を終えたので、早朝久し振りにアイスランドの新聞の電子版を覗いたら、新型コロナ感染拡大克服策はまだ道半ばのようだ。アイスランドの新聞『Iceland Review』の記事を読むはこちら⇒ https://www.icelandreview.com/society/first-community-transmitted-covid-19-infection-in-two-months/


 


 

2020/06/22

超人の面白読書 雑誌『ニューヨーカー』を読む アイスランドの新型コロナ感染拡大克服策

アイスランドÍsland。氷河と火山の小国。氷島。地熱や間欠泉の国。地球の割目で有名な国。もちろんオーロラも見える国。古ノルド語を残すアイスランド語を母語とする国。アルシングの国。誰々の息子、誰々の娘を語尾につける独特の名前を持つ国。アイスランドといえば、筆者的には山室静の紀伊国屋書店新書が懐かしい。それはそれは大昔。エッダやサーガの話それにノーベル賞作家のラックスネスのことも書いてあった・・・。時々北欧文学の先駆者山室静自選集を引っ張り出しては読んでいる。
そのアイスランドは、12年前のリーマンショックで金融破綻、10年前に火山爆発など21世紀に入って自然災害や経済危機に襲われたがその度に克服してきた。最近ではエコツアーが人気で観光客が大分増えているらしい。筆者も近い将来この国を訪ねて島一周を試みたいのだ。事前情報を仕入れたいと考えているが、書籍などは世界一高いらしい。約10年前にアメリカの雑誌に掲載されたアイスランドの環境問題について取材した記事を読んで試訳をしたことがあるが(全23回。下記は参考までにはじめとおわりを再録した)、今回は雑誌『ニューヨーカー』に連載された新型コロナウィルス克服策の現状報告を読んだ。

【参照】レベッカ・ソルニット氏の「ユートピアだより。超人のジャーナリスト・アイ 96 アメリカの雑誌を読む 小国アイスランド報告 アイスランドの恭しい反理想郷」試訳。
https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2008/10/post-eed5.html レベッカ・ソルニット氏の「ユートピアだより。超人のジャーナリスト・アイ 96 アメリカの雑誌を読む 小国アイスランド報告 最終回 アイスランドの恭しい反理想郷」試訳


https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2008/11/23-02e0-1.html
このレベッカ・ソルニット氏の記事にはイギリスの詩人、デザイナー、マルクス主義者のウィリアム・モリスに言及した記事(彼の著作にはアイスランドへ旅行したことを書いた旅行記もある)もあって興味深い。そのコラムを読みはこちら→


https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2008/10/16-9b84.html
https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2008/11/17-6280.html (続く)

2020/06/19

ポストコロナに想うこと 3

昨日用事があって眼科医院に行ったら、体温計を計るマシーンが受付脇に設置されていた。待たされている間さりげなくマシーンの方を見ていたら、右上に36.5℃の数字が表示された。少しドキドキ感が。不安と安心が複雑に交差する瞬間だった。スマホの拡大版みたいのに体温を瞬時に測定されてしまう、考えてみれば便利だが怖いマシーンだ。ネット情報だと顔認証で体温測定する体温測定器の一つ、わかる君は100,000円で購入できるらしい。

昨日も都内では40人以上のコロナ感染者が出て、再アラート一歩手前。これはPCRを検査する人たちが増えたためらしい。若い人たち特に夜の接客業に多く東京だけではなく、名古屋や福岡でも感染者が増えているのだ。

2020/06/18

クロカル超人が行く 118 ニューヨーク再訪 7 最終回 続

13年振りに尋ねたニューヨークは最初にワールド トレード センター跡地のグランド ゼロDscf0560_2からだった。地下鉄から出るとちょうど帰宅の時間帯だった。ぞろぞろとそれこそいろんな人が家路を急ぐ光景に出くわした。かつて見た富の象徴の二つの高層ビルは跡形もなく、今は工事中の大きな幕に取り巻かれているだけだった。9.11直後、犠牲者のモニュメントを見たかったが入れないという。仕方なく写真を記念にパチリ。赤い夕陽が隣のビルの窓にさしかかる瞬間、その光に幾分頼りなさを感じたのは果たして気のせいだろうか。
人々の表情を追おうとその時思い浮かんだ。それからチャイナタウンにあるレストランで最初の夕食となった。野菜炒めものと海鮮お粥に青島ビール。身内がよく通う店だそうな。味は日本人にあっていた。客がいつもより少ない、不景気の影響とか。それから5日間いろいろな街の表情を切り取った。そして旅の収穫は、ウォール街そのものには行ってはいないけれども、観劇の強弱や(「ブルーノート」でのジャズ鑑賞とオフブロードウェイでのミュージカル「STOMP」の鑑賞、Dscf0754_2街歩きのコツ、地下鉄やバス利用(以前はバス乗車は危険で利用をむしろ止めたほど、複雑な市営地下鉄は東京のそれより複雑だが、これも以前より落書やノイズがほとんどない。一度コロンビア大学に行くときの車中でマリアッチ演奏の旅芸人3人組に出くわした。演奏が終わるや否や、若い女が帽子を反対にしてカンパを乞うていた。ある程度もらえば次の車両に移動するのだ。現金なものだ)、大学図書館見学と学部訪問、低料金(30ドル)のバスで行くフィラデルフィア1日観光旅行等々だった。Dscf0789Dscf0786Dscf0790Dscf0766

これもニューヨーク在住の身内のアドバイスがあって実現できた。それにヤンキースタジアムで松井選手やジーター選手も観た。しかも松井選手のヒットまで、それはいつでも引き出せる旅の良い思い出だ。失敗談はどの旅にもつきもの。筆者もご多分にもれなかった。アメリカ・スカンジナビア協会では最新号の雑誌入手に失敗、雑誌「ア パブリック スペース」発行元訪問は近くまで来たものの、別な用事で終わってしまった(それは創作料理がまずくなりそうな身内との夕食だった。旅の目的には身内との話し合いも入っていたのだ)。そしてフィラデルフィアでの午後の出来事。Dscf0821Dscf0816
ペンシルべニア大学行きまでは良かった。明治期にペンシルべニア大で講演した日本人リベラリスト馬場辰猪の墓を探すのに2時間以上もかかってしまい、結局見つからず、判明したのは帰りのタクシーの中だった!一巻の終わり、後の祭りだった(実は馬場辰猪に関してコピーを取っていたが、出発直前他の資料ともに忘れて行ってしまったのだ)。教訓はインターネットなどで下調べを充分にせよということだが(墓地なのか記念碑なのか、場所の特定、少なくともメモくらいは持参。初めてのところに行くのだから。うっかりである)、また、土曜日が悪かったのだ。スタッフは大概デイオフだ。フィラデルフィアはもう行かない!とかんかんの身内、それもそう、行くまでいろいろと手配した挙げ句、2時間以上近く待たされたのだから―。今はないトークン(それがフィラデルフィアの地下鉄ブルーラインで見つけて変に懐かしんだ)の代わりに磁気でできた地下鉄カードの通し方に戸惑い(いっそのこと日本のようにタッチにしてしまえば)、歩きに疲れては足首やふくらはぎを揉んだ。300枚弱のデジカメ写真も見物だろうか。そう、ブルックリン橋渡り歩きは身内に、コロンビア大学の図書館書庫の貴重書見学と資料あたりもO先生に感謝だ。全てはある先生が語っていた<互恵性reciprocity>だが、今回ばかりは相手に助けをいただいたことだけかも。give & take の精神は大事である。旅とはある距離を心の物差しで測る道具かもしれない。伸びたり縮んだりする。旅は心象風景にほんの少し彩りを与える。旅の目的が何だろうと。だから最近考えていた事柄の一部に―大きなファクターだが―あるヒントを与えた、無駄ではない、無駄もまた、健全なる精神を形成する、大袈裟に言えば文化を形成するとね。最後に筆者の英語のヒアリングも上達したみたい。ニューヨークスタイル イングリッシュに大分慣れたか。ところで、新型インフルエンザは滞米中は全く支障なしだ。そう書いてニューヨーク再訪記を終わろう。

【追記】鳩山由紀夫新首相が明日からニューヨークの国連本部での演説、オバマ大統領との会談、G20などの出席のためアメリカへ出発することを帰国して知った。大リーグの始球式もするらしい。
そして最後に小さなエピソードを披露しよう。フィラデルフィアのペンシルべニア大学の博物館の研究員(日本人のモニュメント探しに一役買ってくれたプログラマー)にお世話になったので、ニューヨークに帰るバスの中でお礼のメールを書いたのだ。その返事が帰国後すぐに来た。下記はその文面。

Mr.Chojin,

You're very welcome. I'm sorry I couldn’t find the garden and monument for you. Now that you found the grave site, you and your son will have to return to Philadelphia to see it. And when you return, be sure to visit our Museum again, as we always have new and exciting exhibits!

Enjoy your day.

Kind regards,
Jay

【追記2】2020年春のニューヨークはコロナ禍で大変だった。大分落ち着いてきてビジネスも徐々に戻りつつある。ミュージカルなどニューヨークらしいところは、まだまだ半開き状態だ。劇場関係者が言っていたことだが、今までは金持ちの年配者が客の大半だったが、これからは若者も観賞できるようにチケットをより安く提供出きるようにして新しく生まれ変わりたい。コロナ禍は人々の意識を変えつつあるようだ。(2020.6,17 記)

2020/06/17

クロカル超人が行く 118 ニューヨーク再訪 7 最終回

下記は2009年9月21日付コラム。約11年前の記事だが、当時の様子が分かって興味深い。最後に新型インフルエンザの話にもほんの少し触れている。また、annus mirabilis のラテン語にも注目したい。ここに再掲することにした。

すでに帰りの飛行機の中にいる。出発して約7時間が経過、アラスカ上空あたり。早朝6時にブルックリンのアパートを出た時は23℃快晴、4時間前の客室乗務員のアナウンスによると、日本の成田国際空港は15℃(そう聞こえたが21℃位だと思う。この客室乗務員は日本時間も間違って訂正していた)晴。涼しいか。
何の気なしに差し出されるままに「ウォール ストリート ジャーナル」9月19日・20日号を手に取った。その新聞にジョン・スティール・ゴードン氏が(確かシカゴで出している雑誌に寄稿しているコラムニストだと思うが)、“Don't bet against New York ニューヨークに賭けないで”というタイトルでニューヨーク ウォール街の金融破綻の再生を過去の歴史から繙いている。興味をそそられる記事だ。このコラムニストの記事を要約してみよう。

ニューヨーク ウォール街の金融破綻が2008年に起きて40000人の人が失職、市も国も一つの産業の税収入に頼ってきた。再生の方法がたくさん語られてきたが、ニューヨークの歴史を眺めれば楽観的な理由がそこにはあることに気付く。その理由は初期の時期に説明できる。金融危機は崩壊したが、市は過去に何度も再創造してきたと書く。ニューイングランドのピューリタン、ペンシルべニアのクェーカー、メリーランドのカトリック教徒が自由を求めてアメリカにやってきた。そして近代資本主義を発明した金持ちのオランダ人が金儲けにマンハッタンへやってきた。彼らは貿易に忙しく、17年もの間教会の建物を造らなかった。オランダ人が入植してから20年後の人口は一千人、すでに通りでは18カ国語が話され国際的だったという。その後イギリス人がハドソン川経由で北米の内部へアクセスする水路をもって世界的な中心に港を据えた。オランダ人の知事が北からの攻撃を守るため壁を構築するが、1664年イギリス人が南から海軍の力で帆走、オランダ人の商人が調停して町は拡大し続けた。ハドソン川沿いの土地は小麦を育てるのに適し、イギリス人は小麦生産を独占化、主貿易として13のコロニーが育ち、特にボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、カールストンのような最も重要な都市が出現した。だが、南北戦争でニューヨークも大打撃を受け、イギリス支配の時に大きな火事と逃げてきた愛国者の人口で町の大半が崩壊、その後イギリスが撤退、町は驚くほどの速さで回復した。1800年にはフィラデルフィアの人口を抜き、アメリカ一の人口となった。1817年、ニューヨークにとってannus mirabilis(驚異の年。元々は1667年に発表されたジョン・ドライデンの長編詩。1665年~1666年の出来事を記念したもの。ロンドンの大火やペストの大流行(ロンドンの大疫病)など災厄があった年。ウィキペディアより。2020年6月18日付毎日新聞朝刊の「余録」参照✳)、驚異の年のような3つの出来事があった。第一は世界で最初のヨーロッパとの定期航路が形成されたことでニューヨークは直ちに海洋乗船輸送の中継点になった。それは1970年代に飛行機旅行の近代長距離輸送が始まるまで残っただろうか。第二はニューヨーク証券取引所が正式に組織されたことだ。当時フィラデルフィアが最も重要な金融センターだったが、債務不履行を起こし銀行が倒産した1830年代にニューヨークが引き継いだのだ。1840年代「ウォール ストリート」はアメリカの金融世界の代名詞になった。1850年代モーリスの電報の発明のおかげで世界中の取引者と取引可能になり、アメリカで唯一の重要な金融市場になった。当時のフリップ・ホーン市長が「4月の太陽が来ないうちに富が雪のように解けてしまった」と言った19世紀は、ほぼ20年ごとにパニックが起こり崩壊、しかし、ニューヨーク市はその度に大きく伸びて蘇った。1817年には最も特筆すべき出来事があった。ニューヨークとアパラチヤ山脈の西部の伸び盛りの地域とつながるエリー運河が計画され1825年に開通した。生産物がミシシッピー川を経由し、ニューオーリンズの港に搬送されて東部地区やヨーロッパの市場へ到達、現在はニューヨーク経由で流れている。詩人のオリバー・ウェンデル・ホームズ(最高裁の父)に、商業と金融のクリームをぺろりとなめる舌と書かれたニューヨーク市。1800年にアメリカの輸出の9%がニューヨーク経由だったのに対し、1860年には62%達した。1820年にはフィラデルフィアの人口の10%が1860年にはその2倍になった。かつて遭遇したことがないほどニューヨークは大きなブームに沸き、1年に2ブロックの割合でマンハッタン島は北の方に鳴り響いた。マンハッタンが横幅約2マイルあるなら、それは毎年毎年新しい通りを約10マイルずつ拡張していることを意味していた。ジョン・ジャコブ・アスターが臨終のときにマンハッタン全てを購入しなかったことが大変残念だったと言ったことも確かに頷けるのだ。
南北戦争はニューヨークを麻痺させたはずだ。というのは市が南部の綿貿易をほとんど仲介したからで、最も重要なことは1861年にファーナンド・ウッド市長が南部同盟11州の先導に従い、ユニオンから脱退する提案を実施したからだ。しかし、南北戦争でニューヨーク市は大当たりした。国の負債は6500万ドルから270億ドルまで膨れ上がり、戦争が引き起こした産業は急激に拡大、戦争終了時にはロンドンにつぐ世界第二位の金融センターなった。20世紀に変わってニューヨークは金融や港湾両方ともロンドンと同等になり、また、製造業の主要なセンターにもなった。毎年100万人の移民が市に溢れ、安い労働力を供給、衣服製造や軽産業が発達した。かつてのイギリスのように世界の工場になったのだ。1929年の大恐慌、ニューヨーク ダウはその価値の90%を失い、失職。パークアベニューの共同アパートは維持支払いする人たちに提供された。セントラルパークやイーストリバー沿いには失業者向けの住宅(Hooverville)が急に建てられた。わずか15年後の第二次大戦後にニューヨークは世界の中心になった。最も金持ちが集まる大都市は、あまり統治されていなかった。福祉のコストが嵩み、偽の簿記担当者と組んだ事実を隠していながら増税につぐ増税しても経営費を賄うために今尚借金をしなければならなかった。
ニューヨークに本社を持つ以外に選択肢の全くない事業は、コストの安い郊外か他の都市に移って行った。より安い輸送は生産する仕事を可能にし、より安い労働コストの場所へ出て行くのだ。ウォーターフロントの堕落振りに呆れて船主たちが他の港に逃げた。ニューヨークは大都市としての機能を失った。
しかしながら、新しいチャンスが出版、広告、ファッション、通信の分野で旧いものに取って代わって到来した。市は移民たちにとってひとつの磁石のまま残った。戦後の郊外化における人口の減少もない北東地区の唯一の大都市だ。事実人口は以前より増加している。1970年始め阿漕な人たちが現れて税収は減少、ウォール街の銀行は更なる借り入れを拒否、市は崩壊した。通りは汚く地下鉄は移り気で落書きに悩まされる始末、ニューヨーク証券取引所の座席はタクシーの免許権の2倍以下の価格で購入された。しかし、市はまたもやどん底から這い上がった。幾人かの有能な市長と金融管理委員会によるしっかりした監視によって財政立て直しができた。落書きやポイ捨てのような犯罪を駆逐することは街の概観を非常に良くしたのだ。驚くべきほどの通りの犯罪の減少で国の最も安全な都市に変わった。同じく重要なことは、「メーデー」(1975年5月1日に仲介人の固定コミッションを廃止したこと)だ。1970年代のインフレの終焉、1982年に始まる世界経済の超拡大が歴史上最も大きく長引いたブームだった。25年以上ダウ平均株価は780から14000まで膨れ上がった。それから一年後リーマン・ブラザーズの破綻がやって来たのだ。大きなブームは去り、ニューヨークの最も重要な産業がまたもや崩壊した。
これが大体のあらましだ。
が行われ
最後に著者は書く。ニューヨークが何年もかけてしてきたことをまたやるならば、時間だけが教えてくれるはず。以前より大きく、より良くそしてより金持ちになって回復せよと。しかしながら、私はそれに賭けたくないのだ。大人の中にある子供のように広大な巨大都市の中心深くでは、商売に浮かれ、もちつもたれながら金融街で働こうということがほとんどみられない。ここでは富の創造は今尚切なる願いなのだ。

この記事は短いがいろんなことを示唆している。ニューヨークの歴史が概略できてためになることも然り、筆者が短時間で読めるくらい、文章も平易、しかも繁栄と崩壊のポイントをおさえている。ここには歴史は繰り返されるという単純な命題がある、ダイナミズムが、強欲がある。しかしだ、ニューヨーク魂があるからこそここまで来たのだと思うのだ。それはマンハッタンの強固な建築物である摩天楼の高さと歴史を刻んだ色合い、建築の内部にはしばしばラテン語と装飾が施され、当時の繁栄振りが解るのだ(最もマンハッタン島は一枚岩でできていて地震がない)。筆者は何度も何度も見上げたものだ。そして最も驚いたことは、地下鉄の中で本を読んでいる人たちが以前よりずっと多くなったことだ。第一、スマートになった。このジョン・スティール・ゴードン氏の記事はニューヨークのの整備過去を知れば、未来は怪我をしないよう歩けるはずだと言っているのだろう。過去の教訓を読み取ろうということだ。

✳今朝(2020年6月18日)の毎日新聞「余録」前半にこう書かれている。
「ロンドンが近代世界を代表する大都市となった大きな節目とされるのが、1666年のロンドン大火という。4日間にわたり燃え続けた火災は、主に木造だった市内の家屋の9割近くを灰にしたという。この大火前年のロンドンはペストの大流行により、8万人近い死者を出している。まさに踏んだり蹴ったり、とんでもない災厄の連続だった。だが、惨禍からの復興で木造の建築が禁止され、広い道路や下水道の整備が行われる。再生したのは火災に強く、衛生的な近代年ロンドンだった。市民は疫病と大火という歴史的な大災害から新たな時代の文明の拠点を作り出したのである」

筆者がちょうど昨日このロンドンの大火やペスト流行について知人に話していたばかりで、このように翌日の新聞のコラムに載るとは驚きだ。

2020/06/15

ポストコロナに想うこと 2

2020年6月11日付毎日新聞夕刊に「コロナ断想 下 民主主義の限界 露呈」と題した加藤尚武(京大名誉教授・倫理学)氏の寄稿を読んだ。この執筆者の名前はよく見かけているが、はて、どこだろうと頭を巡らせていたら、『図書』の出版広告のなかにその名前を見つけた。加藤尚武著作集だ。ヘーゲルについての著作があるようだ。その毎日新聞の記事に興味深いところがあったので少し長いが引用してみたい。

官僚や政治家に関して、男女平等がもっと進んだ方がいいという考え方が認められているが、それ以上に、文理平等が推し進められるべきではないだろうか。知識をもつ専門家を官僚組織の中に隠しておいて、国会では隠れた筆者の紙きれを大臣が読み上げるという「民主主義ごっこ」ではなくて、どうして人の接触を8割減らさなくてはならないのか、その理由を直接に理系の専門家が提案し、審議して、そこに国民の声を反映させるようにしてもらいたい。どうしたら「民主主義ごっこ」をやめることができるのか。コロナ問題が残した課題のなかの一つだと思う。

寄稿の前編「『コロナ断想 上 情報の直接性』の喪失」の中で、国会審議について加藤尚武氏はこう書く。

国会の審議は、紙きれを読み上げる大臣の姿で埋め尽くされている。大臣のためにその紙きれに答弁の文字を書いた人は、別の文字を見て書いた。情報の直接性、「ざらざらした大地」(ヴィトゲンシュタイン)がどこにもなくなった。情報として与えられた数字が、作為的にゆがめられたものではないという保証がないと、人類は生き延びる機会を失いかねない。
国会の審議の不思議な光景に一矢を放った格好だ。レベル、ラベルの問題で、反知性主義では国民を束ねていけない。やはり政治家には高い次元の知性が求められて然るべきだが。森友、加計、桜見会、黒川問題と疑惑のオンパレードで、コロナでも転んだ。政権末期のレイムダック状態か。

2020/06/14

ポストコロナに想うこと

久し振りにコラムの執筆だ。ここ3週間ばかりある書評執筆に夢中でそちらにエネルギーを取られてしまったのだ。やっと書き終えたが、その間世間はコロナ禍収束に向けてギアをチェンジした。東京都は解除にステップ1~5までのステージを設けた。レインボーブリッジを緑や赤色に染めて現在の様子を示した(追記。昨夜湾岸線を車で通ったら左手に虹色に染まったレインボーブリッジを発見。ということは、アラートの赤もあったが一応新たな日常に戻ったということだ。6月13日記)。浪花の通天閣を真似て。解除が進んで再び巷に活気が戻った感じだ。東京駅地下からエスカレーターに乗ると、コロナ禍前、最中、コロナ禍後で人の流れが直に分かるのだが、これは朝の出勤の様子で、夜はまだ半開き状態だ。感染者が出ているからだが、経済を回わさないといけないからある許容範囲で行政の首長が判断して発信するのだ。やっかいと言えばやっかいだが、命と経済どちらが大事かは自明のことなのだから仕方あるまい。

2020/06/01

超人の面白読書 149 パウロ・ジョルダーノ著『コロナの時代の僕ら』2

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日本国は5月14日に非常事態宣言解除を東京など一部の都市を除いて実施した。しかし、油断は禁物で現に愛媛県では一旦解除されたものの集団感染が発生している。第二波の到来だ。それは韓国のソウル、中国の武漢そして吉林省でも同じで、新型ウイルス感染の怖さを露呈した形だ。さて、前回のジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』の続き。その前にイタリアの現状をネットで一瞥してみよう。3万人以上の死者を出したイタリアでは、外出や営業が解除されて日常生活が戻りつつあるようだ。何せ一時はどうなるかと世界中が固唾を飲んで見守っていた国だからその後の状況も心配だ。コロナ禍只中で書かれたジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』は、いわば ある時点(2月下旬~3月上旬・下旬)でのイタリアコロナ報告書だ。現状報告だから書かれている新型コロナ感染者の数字は刻々変わる。それは訳者が括弧で追記していることでわかる。この若い作家は、物理学者で数学が得意しかも文学賞受賞歴もある文才の持ち主でもある。

【目次】地に足をつけたままで おたくの午後 感染症の数学 アールノート このまともじゃない非線形の世界で 流行を止める 最善を望む 流行を本当に止める 慎重さの数学 手足口病 隔離生活のジレンマ 運命論への反論 もう一度、運命論への反論 誰もひとつの島ではない 飛 ぶ カオス 市場にて スーパーマーケットにて 引っ越し あまりにたやすい予言 パラドックス 寄生細菌 専門家 外国のグローバル企業 万里の長城 パン神 日々数える 著者あとがき 「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」 訳者あとがき

著者あとがきを加えると101頁の短いエッセイ27編を集めて編んだものだが、散りばめられている言葉を繋ぐと宝石のごとく輝くと、訳者はあとがきで書いている。それは少し大袈裟だと思うが、確かにこの本には科学者の眼を持ったメッセージが込められている。それでは散りばめられている言葉を本文から拾ってみよう。

今回の新型ウイルス流行を背景に生まれるある種の考察は、そのころになっていても(新型コロナウイルスが終息した後)まだ有効だろうから、なぜなら今起こっていることは偶発事故でもなければ、単なる災いでもないからだ。それにこれは少しも新しいことじゃない。過去にもあったし、これからも起きるだろうことなのだ(地に足をつけたままで)。

SARS-CoV・2は今回の新型ウイルスの名前で、COVID-19は病名、つまり感染症の名前だ。〈中略〉感受性人口、ウイルスが感染させることができる人々、感染人口、すでに感染した感染者たち、隔離人口、ウイルスに感染させることができない人々の3つに分類でき、感受性人口(Susceptibles)、感染人口(Infectious)、隔離人口(Removed)の頭文字を並べたのが、SIRだ(感染症の数学)。(一部書き換えて引用―筆者)

仮に僕たちが75億個のビリヤードの球だったとしよう。僕らは感受性保持者で、今は静止している。ところがそこへいきなり、感染した球がひとつ猛スピードで突っこんでくる。この感染した球こそ、いわゆるゼロ号患者だ(訳注/未感染の集団に病気を最初に持ち込む患者)。ゼロ記号患者はふたつの球にぶつかってから動きを止める。弾かれた球は、それぞれがまたふたつの球にぶつかる。次に弾かれた球のどちらもふたつの球にぶつかり……あとはこのパターンが延々と繰り返される。感染症の流行はこうして始まる。一種の連鎖反応だ。その初期段階には、数学者が指数関数と呼ぶかたちで感染者数の増加が起きる。あらゆる感染症の秘められた核心とも呼ぶべきこの数字は基本再生産数と呼ばれ、R0という記号で示される。記号の読み方は「アールノート」で、どんな病気にも必ずR0がある。ビリヤードの球の例だと、R0は2にぴったりで、各感染者が平均ふたりの感受性保持者を感染させる、ということを示している。今回のCOVID-19の場合、R0は、2.5ぐらいではないかと言われている(WHOは2020年3月の時点でCOVID-19のR0を2.0~2.5のあいだと見込んでいる)。〈中略〉ひとりの感染者から伝染する人数が1未満でなければ状況はけっして楽観できないという事実のほうだ。R0が1未満であれば、伝播は自ら止まり、病気は一時の騒ぎで終息する。逆にR0がほんの少しでも1より大きければ、それは流行の始まりを意味している(アールノート)。

「市場にて」では新型コロナウイル発生源について中国の武漢のことに言及している。そして、「スーパーマーケットにて」で次のように書く。

ミラノ在住の著者の友人の日本人の母と娘が買い物に行くと、何もかもお前らのせいだ、さっさと国に帰れと怒鳴られたという。しかも、中国に帰れ、と言われたようだ。医師である著者の父が、イタリア最初のエイズ患者の対応に戸惑った話を持ち出した後著者は、普段よりも少しひとに優しくしよう、慎重になろうとすることができるはずだ、スーパーの通路で他人にぶしつけな文句で罵ってはいけないということも覚えておこうと書く。いずれにせよ――どうしてもアジア人の顔を見分けることができぬ僕らイタリア人の困難さはさておき――今度の新型ウイルスの流行は、何もかも「お前らの」せいではない、どうしても犯人の名を挙げろと言うのならば、すべて僕たちのせいだ、と「みんなの責任」として受け止めようと優しく語る。
南イタリアのキシレラのオリーブの木が寄生細菌でやられた話、その後も「専門家」、「外国のグローバル企業」、「万里の長城」、「パン神」それに「日々を数える」と独自の考えを展開していく。そして、著者あとがきの〈僕は忘れたくない〉のレフレーンが効果的な「コロナウイルスが過ぎたあとも、僕が忘れたくないこと」で終わる。フランスの作家マルグリット・デュラスの言葉を引用しながら、新型コロナウイルスを戦争に例えられることへの違和感を示し、患者を助けよう、死者を悼み、弔おう、そして、まさかの事態に備えようと結ぶ。感染の拡大を数学的にわかりやすく解説しながら、今考えていることを素直に書き記している。

毎日新聞夕刊(2020年4月13日)特集ワイド欄「いま考えることを忘れまい 「コロナの時代の僕ら」出版へ イタリア人作家ジョルダーノさん 国ではなく全人類の問題 」を再読。その新聞記事はこちら↓

ジョルダーノのインタビュー記事 - 20200601152401.pdf

緊急出版の理由は、「感染が広がり混乱した人々を鎮めたかったのが一つ。もう一つは、疫病と地球環境の関係など、僕が考えたことを多くの人に伝え、今後も議論を続けてほしいと思ったからです」と。本書は読みやすい分すらすらと読み進んでしまいがちだが、ふと立ち止まって考える、そういう一冊である。ポストコロナ時代のヒントがここにはあるような気がする。著者は1982年生まれの38歳。イタリア北部トリノ出身。訳者の飯田涼介氏はイタリア在住。イタリアの地理を改めてチェック、そうこうしているうちに少し嬉しいニュースが入った。水の都ベネチアでコロナの感染拡大防止策で人々がホームステイしていたおかげで運河の水がきれいになり、魚が戻ってきた。コロナは良いことももたらすのだ。
急いで書き記そう。帯の写真で拝見した限りでの著者の風貌は、ガリレオ・ガリレイに似ていないか。もっとも著者は大分若いが。イタリア人は我々日本人には、いな、筆者には皆同じく見えてしまうのだ。(笑)

ああ、それにしてもだ、新型ウイルス感染で死亡した全世界の人々よ、安らかにお眠りください。数を数える酷さと国が数の大小を問題にしているこの現実、矛盾するなあ。人の死を決して無駄にしてはならないのだ。人の命の尊さと儚さを思う今日この頃である。

【追記】上記のコラムを書いて1週間くらい経過してからアメリカのニューヨークタイムズに異例の記事が出た。新型コロナウイルスで亡くなられた人たちを同紙が一面に文字のみで掲載したのだ(2020年5月24日付)。タイトルは、数え切れないほどの損失、およそ10万人のアメリカの死。氏名、年齢、出身地、一言添えてリスト化。墓碑銘。本当に胸が痛む。日本の新聞はこんなことができるだろうか。
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/www.tampabay.com/news/nation-world/2020/05/23/the-new-york-times-dedicates-sunday-front-page-to-names-of-1000-coronavirus-victims/%3FoutputType%3Damp%26usqp%3Dmq331AQQKAGYAdHYqqDt4JTvG7ABIA%253D%253D


【PDF版】

The New York Times, May 24, 2020 - 20200601152435.pdf


2020/05/28

超人の面白テレビ観賞 NHK朝ドラ「エール」4

ここに名古屋の知り合いが送ってきた5月9日付『中日新聞』の夕刊がある。トップ記事が古関のエール。朝ドラで知られることになった古関裕而の妻の出身は豊橋市。愛知県をはじめ三重、岐阜県の中部圏を代表する地元紙が早速肖り取り上げた格好のような気がする。しかし、少し読んでみると古関裕而も様々な作曲をしてたことがよく理解できる。愛知県民歌をはじめ、豊橋市歌、名古屋銀行社歌、近鉄百貨店社歌、豊田トヨペット社歌、三重交通社歌、躍進四日市歌それに岐阜プラスチック工業社歌等々多岐にわたっている。『古関裕而―流行作曲家と激動の昭和』(中公新書)の著者刑部芳則日大准教授は、「クラシックの素養と流行歌で培った聴きやすい曲調が社歌や自治体の歌と相性が良かったため、依頼されるのが多かったのではないか」とコメントしている。生涯5000曲以上作曲しているから驚きだ(追記。5月27日付毎日新聞で見つけた。「古関さんはクラシックのほかに、日本古来の民謡や国内外各地に根ざした音楽に強い興味を持ち、深く勉強していました。曲の根底には日本人のもともとの気質に合うようなメロディーや和音があるのではないでしょうか」(古関裕而記念館の学芸員のコメント) 新聞記事の詳細を読むはこちら→
古関裕而の新聞記事.pdf)。

福島県の偉人に伝染病の研究で有名な野口英世がいるが(筆者は小学5年か6年の学芸会で野口英世の幼少期を演らされた)、彼は医学研究では優れた業績を残しても人間的には問題があったようだ。その点同じ偉人でも古関裕而は家族思いの真面目な人だったか。前にこのコラムで言及した「ビックショー」を見た限りではそう思った。しかし、戦争讃歌の曲も作ったが・・・。

今朝(2020年5月27日)の「エール」は、失恋後に幼なじみから詞の提供があって、裕一が曲をつけた「福島行進曲」。初めてのレコード化だ。コロンブスレコードが用意した女性歌手によってレコーディング、指揮はもちろん裕一。歌詞はテロップで流れた。妻音の喜びようは――。
余談だが、コロナ禍でNHK初の朝ドラがロケ中断を余儀なくされたため、放送は6月26日までになり、それ以後はしばらく再放送で凌ぐそうだ。最近のNHKは大河ドラマといい、今度の朝ドラといい、ついていない感じだ。厄払いしないといけないかも(笑)

2020/05/24

超人の面白テレビ観賞 NHK朝ドラ「エール」3

朝ドラで筆者がほぼ毎日見ていたのは第90回あたりからだから6年くらい前か。第90回「花とアン」(女性翻訳家の話)、第91回「マッサン」(日本のウィスキー生みの親物語)、第92回「まれ」(女性ケーキ職人物語)、第93回「あさがきた」(大阪商人物語)、第94回「とと姉ちゃん」(花森安治物語)、第95回「びっぴんさん」(神戸の洋服屋物語)、第96回「ひよっこ」(茨城の田舎娘東京奮戦記)、第97回「わろてんか」(吉本せい物語)、第98回「半分、青い」(岐阜・東京・岐阜で繰り広げられる男女の物語)、第99回「まんぷく」(カップ麺創業者物語)、第100回「夏空」(北海道開拓民の話)、第101回「スカーレット」(信楽焼女性陶芸家物語)。出社前の14分、始めは8時からの視聴だったが、この時間帯だと慌ただしくてBSの7時半から始まる時間帯に切り替えて現在に至っている。


ところで、知り合いがラインで送ってくれた朝ドラ「エール」の撮影場所の福島市民家園。知り合いが散歩中に撮影したものだ。

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超人の面白テレビ観賞 NHK朝ドラ「エール」2

朝ドラ「エール」のはじめの頃は、唐沢寿明扮する音楽好きの父親の福島弁がオモロかった。キャラが立った。しかも、あまり商売っけがなく趣味人風。当時家に蓄音機を持っていたところは少なかったはず。筆者の実家の2階には蓄音機があってコロンビアのレコードもあった。昭和31、2年頃だったか。それより30年前に田舎の中通りの福島に蓄音機があったのだからすごい。高校ではハーモニカを吹く変わり者で作曲も。主人公の才能を認めた音楽教師や友人との出会い、半ば諦めかけて叔父の銀行に赴き行員生活していた時に(風間杜夫扮する頑固な叔父の経営者や愉快な銀行仲間がこの回を盛り上げた)、新聞記者になっていた友人の勧めでイギリスの国際作曲賞に応募(応募作は舞踏組曲「竹取物語」ほか)、二等を獲得するも、主人公の実家の呉服屋が傾き自分の進路が危ぶまれた。主人公の優柔不断さもあって、イギリスから二等獲得ご褒美の留学取り消しの手紙が。不況のせいで資金を出せないという知らせ。一方、豊橋の音の家では、主人公の一ファンだった音が持ち前の行動力で裕一の音楽の才能を活かしてくれるよう母親や兄裕一に替わって呉服屋を継いだ弟などの説得ができず(実家が大変な時期に何を夢見ているのかと取り合ってくれない)、さっさと豊橋へ帰ってしまう。やがて音は姉と東京で学生生活を送る。そこへ音楽に理解がある父親に見送られて主人公が転がり込む。音の孤軍奮闘の甲斐あって主人公はコロンブスの専属作曲家になる。二人で借家住まいもするが、西洋音楽で学んだ者が、コロンブスレコード会社のディレクター(古田新太。はまり役に見えたが)からいきなり流行歌を作れと言われて主人公は打ちのめされ、尊敬する小山田先生(志村けん)にも相手にされない。そんななかライバルの木枯正人(野田洋次郎)と出会い、ある時など嫌気がさしていた木枯正人から銀座のカフェに誘われる。流行歌はこういうところで社会観察して出来上がると木枯がギターを奏でながら「影を慕いて」を唄ってみせる。これがカフェの女やお客さんにウケる。酔って帰った翌朝に裕一は、カフェの女に口紅をつけられたとは気づかずに昨日のシャツを着て朝食に臨んだが、妻音に見つかり夫婦喧嘩に発展、ドタバタ劇が繰り広げられる(朝から夫婦喧嘩を見せられてはたまんないと苦情のメールかあったとか、なかったとか)。
唐沢寿明の演技と福島弁、風間杜夫の明治気質で威厳を盛り込んだ演技、薬師丸ひろ子の包容力のある演技、ヒロインの野性的な顔立ちと大胆な演技、バイプレーたちのコミカルな演技など視聴者を惹きつける演出が目立った。筆者的には主人公裕一とヒロイン音の食卓に出る納豆と八丁味噌の対比がチョー面白い。土地柄、人柄が出ていたような気がする。そうそう、食物で県民性を言い合う番組があったっけ。そんな景色を思い出させてくれるシーンだ。

2020/05/23

超人の面白テレビ観賞 NHK朝ドラ「エール」

作曲家古関裕而といえば、福島駅東口にあるピアノを弾いているモニュメントがよく知られている。いつだったか知り合いの先生宅に行く途中、パチリと写真に収めたことがあった。このコラムのために今回スマホから取り出さそうとしたが見つからなかった。消去してしまったのかも(笑)。筆者的には萩本欽一司会の歌番組で名・迷審査員で丸顔のおじいちゃんのイメージしかない人だが、暖かみのある短いコメントも面白かったと記憶する。もう大分前の話だが、先々週の日曜日だったか、NHKはこの朝ドラ「エール」を盛り上げるため、NHKのアーカイブスから周辺資料を取り出して再放送していた。その一つに萩本欽一氏がリモートでゲスト出演し、「ビックショー 古関裕一」を見ながらコメントしていたのがあった。生き証人がいたのである。
古関裕而をモデルにした朝ドラ「エール」が好評だ。平均視聴率20%前半台をキープしている。時々ドタバタ劇が展開されコミカルなところが受けているのかも知れない。第40回は「紺碧の空」。主人公裕一(窪田正孝。心の動きをうまく取り入れた好感の持てる演技を披露している)の妻音(二階堂ふみ。野生的な顔立ちで思い切りのいい演技が冴える)が突然の「家出」をした先は馬具製造販売の豊橋の実家。姉は軍人と結ばれていたという家庭の幸せそうな変化を喜んでいるのもつかの間、実家から戻り音楽校に復帰、ライバルに刺激されて闘志を燃やす。裕一がコロンブスレコード会社の専属作曲家になっても一枚のレコードすら出せずにいるのをみかねて、またしても行動派の妻音の妙案で作曲できるいい方向に急展開する。音に仕込まれた早稲田の応援団長田中(三浦貫大。三浦友和・百恵夫妻の次男。体育会系らしい演技をしている)の“泣かせる芝居”に心動かされて一気に曲を書き上げる。尊敬する小山田先生(志村けん。渋い演技で存在感をアピール。作曲家山田耕筰がモデル)にも突き放されていた・・・。しかし、ライバルの専属作曲家木枯正人(野田洋次郎。古賀政男とすぐにわかるネーミングが可笑しい。少し屈折した男を演じている)とは彼が レコードを出して売れるようになっても、彼は何かと裕一を気にかけてくれる包容力のある人。早稲田の応援歌の作詞に曲をつける作業を一晩で仕上げ、早慶戦で披露、試合は早稲田が慶応に勝って応援団長に感謝される。そんな折、裕一は作詞を幼なじみの村野鉄男(中村蒼)に頼み、コンビを組むことを思いつき彼に打診する。これが第40回「紺碧の空」のあらすじ。

2020/05/19

超人のジャーナリスト・アイ 180 スウェーデンのキルナで鉱山地震

今日の午前中に宮城県・福島県で震度4の地震があった(追記。午後には長野県と岐阜県の飛騨高山あたりでも震度3、4の地震が頻繁に起こっているとメディアの電子版が伝えている。避難所に行くと密になるので行かないでほしいと。悩ましい!)。最近茨城県や千葉県でも比較的大きめの地震が多発している。北海道東部や南海トラフ地震が叫ばれて非常時に備えるようにと関係自治体が動いているが、避難地図などの修正を施した分かりやすいものや非常時の備蓄も準備されているようだ。
同じ地震でも質が違う鉱山地震の話だが、昨日18日午後3時にスウェーデンの北部の鉱山の町キルナでマグニチュード4.1の鉱山地震があったとスウェーデンの新聞が伝えた。幸いに怪我人はなかった模様。今原因を調べているらしい。キルナはサーミ語のギーロに由来しているらしく、ライチョウの意味。近くにはアイスホテルがあり、オーロラも見ることができる観光客に人気のスポットだ。
掲載された新聞2紙の電子版(『The Local』(英文)と『8Sidor』(瑞語)。➡ https://www.thelocal.se/20200518/record-earthquake-hits-mine-in-northern-sweden-kiruna

https://8sidor.se/sverige/2020/05/marken-skakade-i-kiruna/
因みに、日本の現在の稼働中の鉱山はネットで一覧できるが、閉山に追い込まれたところも大分あるようだ。かつては釜石鉱山、足尾銅山、別子銅山、石見銀山、生野銀山や院内銀山などが有名。忘れてならないのは、佐渡金山・銀山(何年か前に大学のゼミ合宿 に同行して坑内を見学したことがある)があったことだ。新しいとろでは鹿児島にある菱刈鉱山がある。金が採れるみたい。
鉱山史に関して現在『ちくま』に連載中の猪木武徳氏の「地霊を訪ねる」が面白い。日本各地の鉱山などを自動車でめぐる旅で勉強にもなる。また、大阪大学名誉教授で国士舘大学教授の阿部武司先生解題による『全国工場鉱山名簿』も大いに参考になる。
というわけで、スウェーデンのキルナの鉱山地震から日本の鉱山にまで話が及んだが、鉱夫たちの仕事は命がけで鉱毒も発生して公害をもたらしたことは周知の事実。負の遺産も背負い込んだのだ。

2020/05/14

超人の面白読書 149 パウロ・ジョルダーノ著者『コロナの時代の僕ら』

「繁文縟礼(はんぶんじょくれい)」。筆者はこの見慣れない語句を毎日新聞「余録」で見つけ、やはりだれでも同じ感想を持つのかと今回の役所かけ込み騒動を思った。コロナで給付を受けるにしても政府や役所の書類の読解や手続きが煩雑しかもオンライン(特に慣れないと高齢者には操作がむずかしい)、公平性を保つためというが、このコラム余録子が書いている通り給付を受ける側はかなり厄介な手続きと向き合わなければならない。役所側に簡略化と分かりやすさが求められてもいい。 因みに、広辞苑にあたると、繁文縟礼は「規則・礼法などが、こまごまとしていて煩わしいこと。形式を重んじて、手続きなどが面倒なこと」とある。更に、ネットでも調べてみた。

アメリカの社会学者ロバート・キング・マートンが、官僚制の逆機能の一つとして指摘したもの。レッドテープ(red tape)ともいう。マックス・ウェ―バ―の話が出ていて興味深かった。繁文縟礼とは合理的管理様式である文書主義の逆機能である。会議の議事録、業務上の各種書類、指示・命令を伝達するためのなど、もともとは業務内容等を文書によって明示し、記録・保管することによって、業務の客観性を確保するための合理的な手続きである。これらは主業務を円滑に進めていく副業務だが、主業務化し膨大な量の文書を作成し、保管することが目的化してしまう。さらに些細なことにも書類の発行を要求されるようになり、業務の遂行の障害となっていく状況。(ウィキペディア「繁文縟礼」より)。

いつも思うのだが役所の煩雑さを少しは解決して、市民に寄り添う役所をめざしてもらいたい。ここまで今朝の毎日新聞「余録」に触発されて、筆者の体験も踏まえながら書いたみた。 さて、パウロ・ジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』の読後感だ。軽妙な文章の運びでとても詠みやすかった。その昔『限りなく透明に近いブルー』や『なんとなくクリスタル』それに『水駅』などが出たときの造本の手触りを久し振りに味わった。文章がそんなに長くなくくどくどしていないから余白の効果もある。この続きは次回に。

2020/05/12

超人の音楽鑑賞 感動的な日本人ヴァイオリニスト横山令奈さんの演奏

イタリアはクレモナ在住の日本人ヴァイオリニストの横山令奈さんが、4月21日、地元の病院の屋上で演奏した。その様子がYouTubeで世界中に流れ、目に焼き付く感動的なシーンとなった。夕暮れに〈エコーする〉ヴァイオリンの美しくも魂を揺さぶる音色と演奏能力の高さ。しかも曲もすてき。Brava! 病院関係者が拍手している姿もいい。曲目は「四季」や映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のエンリオモリコーネの曲らしい。日本のテレビ局などでも放送された。その演奏を視聴するはこちら(You Tubeから)→https://youtu.be/AXdJdYct9tI


ここで思いついた。イタリア公演の実績もある我らのヴァイオリニスト兼“歌姫”、アーティスト・表現者のサラ・オレーンさんにも演奏してほしい――。
今、緊急出版したイタリアの作家パウロ・ジョルダーノ作・飯田涼介訳『コロナの時代の僕ら』(早川書房 2020年4月25日刊)を読み始めている。イタリアの新聞連載をまとめたもの。早川書房で何冊か出しているみたい。若い作家で『素数たちの孤独』でイタリア最高の文学賞を受賞、物理学者で小説家・エッセイスト。毎日新聞夕刊のインタビュー記事で知った。以前にもこのコラムで書いたが、書く動機は友人の日本人の奥さんが買い物をしていて、イタリア人からコロナうつしと迫害を受けたことだったという。感染症の数学、確かに関係の学問か。読みやすい。なぜか寺田寅彦を思い出した。

2020/05/11

コロナの季節

コロナの季節

春はあけぼの
夏は夜
秋は夕暮れ
冬はつとめて

清少納言は
平安の世に
見事に四季の魅力を
描いた

そして1000年後の今
日本の四季が
危機に晒されている

春の夜明けは蛙とコロナ
夏の夜は花火とコロナ
秋の夕暮れはこおろぎとコロナ
冬の早朝は氷とコロナ

コロナの季節の到来で
景色が色褪せモノトーンに

地球が泣いている

かつて『季節と運命』を謳った人も
心のリトマス紙に
プラスかマイナスか測れずさ迷い
吹くカゼに
すべてを託す

あなたノーマルですか

季節は巡り
コロナの季節が顔を出す
ニューフェイスはいつの間にか
季節の顔になっていた









2020/05/09

アベ脳マスク

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製造元記載なしの怪しいアベ脳マスク
密の味がしない サイズもダウンサイズ
うわべの言葉だけがひとり歩き
妊婦用のマスクなどに不良品
発覚 回収
今や貴重品(笑)

どうなってんの
Japanese government !

今回の政府のマスク調達について毎日新聞電子版の記事→
https://mainichi.jp/articles/20200502/k00/00m/040/234000ck
【追記】昨日アベノマスクが自宅に届いた。(2020.6.6)

2020/05/08

超人のコロナ感・考 5

「超人のコロナ感・考 4」の続き。
佐藤氏はそのコラム「人類と疫病の闘い」でイスラエルの諜報機関モサド幹部の話が、「ポスト新型コロナ禍」の世界を考えるヒントになると書いている。ここで注目されるのは、コロナ禍では行動が制限されるのはどこの国とも変わらない。しかし、イスラエルでは新コロナウイルス感染者のスマートフォンにハッキングして行動を把握するという独特の防止策が取られていて、感染拡大の恐れがあると判断した場合、その人のスマホに警告を送るというもの。しかも議会の承認を得ず行われているという事実。筆者的にはここまで監視と追跡がなされては自由を脅かしかねない空恐ろしいことだ思うのだ。しかし、それはあのゲットーの教訓を活かす狙いがあるからだと書いている。極めて衛生状態が悪かったため発疹チフスが流行して多くの命を落としたからで、それは強い国家の意志の表れだと。もう一つと言ってイタリアの隣スイスの例を挙げている。新コロナウイルス感染で困っていたイタリアを助けなかった理由は、小国は他国の支援どころではない事情があった。自国を守ることが精いっぱいだったというのだ。

国家による個人の生活様式(フランスではコロナと共生することを選択、それを“ニューノーマル”と呼んで日常的な生活に取り入れていくという。2020年5月7日夜ニュース。)への介入や健康状態のモニタリングはある程度やむを得ないと認めつつ、いったん身体を含めた私的領域に国家を踏み込ませてしまうと、危機的状況が収束した後でも、そこから国家を退出させることは難しくなる。

大いに考えさせられる佐藤氏の言辞だ。同じようなことが5月3日の毎日新聞社説にも書かれていた。この日は憲法記念日の祭日である。「タイトルは新型コロナと憲法 民主主義を進化させよう」。緊急事態条項は一歩間違えば、基本的人権の尊重など憲法の大事な原則を毀損する「劇薬」ともなる、と述べ、危機が続いても、利己主義や差別する心にあらがいたいと書く。そして、自発的に他者を大切にし、民主主義を進化させていく必要性を説き、日本の民主主義社会の成熟、強さが問われていると締めくくっている。その前に民主主義社会では、民意がいったん形成されれば、人々が自ら協力する姿勢が生まれる。その方が持続性があり、警察力など使って強制するより高い効果が得られると主張。
ここが最も懸念されるところで、政府や都の自粛要請にもかかわらず開けていた店(死活問題で開けざるをえない状況に追い込まれているのだ)に誹謗中傷や差別的な貼紙をしていたところもあって、メディアで報道された。民主主義社会ではあってはならない行為だ。

超人のコロナ感・考 4

アメリカのポンペオ国務長官がコロナ発生源について中国武漢のウイルス研究所とその周辺が発生源である証拠を掴んでいると発表した。しかし、詳細は明らかにしていない。これに対して中国外務省は猛反発している。WHOは近々調査チームを中国に派遣するという(今朝のメディアのニュースから)。単なる都市伝説にさせないできちんとした綿密な調査に基づいた科学的かつ客観的な証拠を出してほしい。大統領選の外交政策の成果としたい思惑もちらつかしているか。
さて、佐藤優氏の「人類と疫病との闘い」の話の続き。後退する未来予測モデル(未来予測―─いつの時代もこういうのが流行る。それだけ人は不安持ち、安心感をどこかに持ちたい、いわば、拠り所をほしがる経済動物なのか)、強化される国家の機能(コロナ禍で見せつけられているのは、政治体制の違いで迅速化が効力を発揮した国とそうでない国、また、リーダーや医療体制・医療従事者の手腕が問われかねない事態も。命と経済、その瀬戸際――。過去の教訓を活かす手だてはあるが、実際は羅針盤のない航海を強いられている。この医療従事者(エッセンシャル ワーカー)にテラスからの感謝の拍手、ヴァイオリン演奏やダンス、動画などでエールを送る人たちがいることで和む一方、医療従事者を差別する、狭い視野の持ち主の人たちもいることも事実だ。そして、待たれるウイルスの治療薬が日本をはじめ世界各国で開発中だ。そんななか、一歩抜きん出てアメリカで発売されると昨夜報じられた。日本、中国、ロシア、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、ベトナム、タイ、フィリピン、シンガポール、インド、イラン、イタリア、フランス、イギリス、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、オランダ、スウェーデン、アメリカ、ベネズエラ、ブラジルなど各国の取り組みを見よ。そこには様々な景色がみえるけれどまた、同じような見慣れた景色のあるのも事実。斬新なメディアの視点が欠如しているのかないのか。伝えるメディアの姿勢も問われているような感じを受ける)、現在に通じる「ペスト」(アルベール・カミュの小説やエッセイは学生時代にいくつか読んだが、なぜかペストは最初の何頁しか読んでいなかった。全集も持っていたが今は手元にない。で、新潮文庫版『ペスト』を買って読んでいる。今の恐ろしい“コロナの季節”を予告していたかのようだ)、世界と小見出しを拾った。

筆者の説明が少し長過ぎたようだ。先を急ごう。

ここで速報が――。外交評論家の岡本行夫氏がコロナ感染で死去していたことが伝えられた。日曜日のTBS朝の番組「サンデーモーニング」に時々ゲスト出演していた外交のプロで、かつて首相補佐官を努めていた人だ。アメリカ通で温和な語り口が印象的だった。合掌。

 

【追記】2日前に武漢の女性ウイルス研究員のインタビュー記事が載っていた。もはや情報戦の様相。中国とアメリカなどと。その記事を読むはこちら→https://www.asahi.com/articles/ASN5W75Q7N5WUHBI01H.html?iref=comtop_favorite_02

 

2020/05/06

超人のコロナ感・考 3

毎日新聞「時の在りか」の伊藤智永のコラムもコロナ考。ペスト大流行で大学が閉鎖され、田舎でニュートンがリンゴの実が木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見したという話は、フランスの哲学者ボルテールの作り話だったらしく(講談社学術文庫 佐藤満彦『ガリレオの求職活動 ニュートンの家計簿』をおすすめと)、半分怪しいと書いているが、疫病の文明論的論調に少し苦言を呈しながら次のように書く。

今起きていることは新しいか。最大の感染国はなぜ米国か。自国優先主義、国境強化、交易制限、政治家のウソとごまかし、指導者が科学と真実と正義と公正と配慮と節度と自由と人権に背いていると知りながら支持してきた世論、市場と金融と情報通信技術の前に無力な国家、その情報産業と国家に監視してもらいたがる民衆。思えばコロナ危機下の異世界は、感染爆発の前からあった変化を濃密に増幅させたにすぎない。(中略)ニューヨークでは重傷者が人口呼吸を拒むという。装着されたら十中八九死に至る惨状を患者も知っているからだ。付けなくても多くはじき亡くなる。医療崩壊の現場から伝えられる報告に言葉をのむ。

コロナ禍には古くて新しい問題が横たわっているということか。コロナにかからないことに越したことはないのだ。新コロナに罹患した人の体験談をネットで読んだが、それは想像を絶する喉の痛みや呼吸困難が伴い、生きた心地がしなかったという。人に移さない、移されないことを皆が共通感覚として持つことかも知れない。

2020/05/04

クロカル超人が行く 251 コロナ禍のなかの江ノ島行き

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【①イタリア料理『イルシャンティ ビーチェ』 ②『イルシャンティ ビーチェ』外観 ③江島神社奥津宮近くの小公園の猫 ④江島神社奥津宮近くの展望台からの眺め、片瀬江ノ島海岸 ⑤江ノ島展望台近くからの眺め、相模湾 ⑥江島神社辺津宮 ⑦江島神社門前通り ⑧シラス料理店『とびっちょ』 ⑨江ノ電江ノ島駅 ⑩湘南モノレール江ノ島駅】

特別な日を祝うため江ノ島のレストランへ。コロナ感染拡大防止のため外出自粛のなか、観光地江ノ島は流石に人は疎ら、天気も曇り。展望台近くのイタリアンと思って登ったが、そこはコロナ感染拡大防止のため休店中。予約したはずだが・・・。もう一軒水族館の隣にあると店の人に言われてそちらへ。予約した店はビーチ店だった! 毎年この日は江ノ島で特別な日を祝うのだ。


タベルナでシラススパ食べコロナ雨

人いない江ノ島の初夏コロナ雨

相模湾眺めて悲しコロナ雨


【追記】何故かメキシコでは生産中止が伝えられたコロナビール、どっこいここにはコロナビールを飲んでいたカップルがいた。店の従業員に訊くとたまたま在庫があったと答えていた。

2020/05/03

超人のコロナ感・考 2

毎日新聞(2020年5月1日)夕刊特集ワイド 「この国はどこへ コロナの時代に」の大澤真幸、同紙土曜日のオピニオン欄、伊藤智永の「時のありか」それに届いたばかりの『一冊の本』5月号の「混沌とした時代のはじまり 40 人類と疫病との闘い」佐藤優の連載を読んだ。

安倍首相が5月4日に新コロナ感染防止の延長要請(5月31日までといわれているが、6月までとの説も飛び交っている)を発表する。なかなか出口の見えない新コロナ感染収束だが、政府が要請する以上ビジネス活動をしている人たちや医療関係者たちには経済的な補償などをきちんとつけて対策を講じてほしい。延長すれば延長するほどレストランや居酒屋など店舗を構えている人たちの経済的困窮さが増すのは自明なのだから。ニュースでは練馬のとんかつ店で火事があって、その現場からは焼身自殺したようなガソリンがまかれた形跡が見つかったと報じられた。このような犠牲者を出さないためにも手当金(現金給付、持続化給付金、家賃補助など)のスピードが求められる。感染の完全排除は困難を極めるのでどこで折り合いをつけるかが問題だ(追記。5月4日午後9時半過ぎ、政府の専門家委員会から新コロナ感染拡大対策として“新しい生活様式”が打ち出された!ソーシャルディスタンスなど)。

社会学者の大澤真幸は、毎日新聞夕刊特集ワイドのインタビュー記事で、エゴ捨て国境を越えた連帯をと呼びかけている。最後のほうで次のように語っている。

人づきあいも「本当に大事な関係だけを維持するようになると思います。この人と会うのは脅威を越えるくらい重要なのかと問い、打算的な関係は見直されると思います。本当に一緒に仕事をしたい、一緒にいたい人だけつながっていく。それはいいことじゃないかなと思います」。何ために、誰のために生きているのかを問い直す。本質を考える―時代になるということだ。

このインタビュー記事で印象に残ったのが(筆者もコロナ禍で考えさせられている)、“あなたの仕事は意味があるのか”と問われています、そのフレーズだ。こういうある意味では誰にでも降りかかる災厄で人は根源的な問いを突きつけられる。

あなたにとって今の仕事は本当に意味があるのか。

2020/04/29

クロカル超人が行く 250 東京駅珍風景

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新コロナ感染拡大防止のおかげで
東京駅は殺風景、否珍風景そのもの。
人影のない駅構内には照明が冴え、
静かな美の饗宴が出現した。


消し尽くせ
真っ赤なコロナ
春灯り


Wipe out
Red covid-19
Spring's light

2020/04/23

超人の面白読書 148 小冊子ザッピング 混沌とした時代のはじまり 佐藤優 39 コロナショックと社会不安(『一冊の本』)2

ロシアのウィルス感染者が42853人、死者は361人に達していて、今後増加するとも(4月20日現在。時事通信)。ついにロシアまで。

(追記。4月29日現在、ロシアのウィルス感染者は 9万人以上。ロシア首相が感染したとロシアの放送局が伝えた。2020.5. 1)

佐藤氏は雑誌『スプートニク』を読みながら、新型コロナウイルスに関する記事を追う。その中で筆者も気になっていた記事を見つけたのだ。それは〈社会不安とパニック〉のところで次のような記事を読んだ時だ。

新型コロナウイルスの爆発的な蔓延でアジア系の顔つきをした人は世界のいたるところでウイルス保持者であるかのように扱われ、疑いの眼を向けられている。バスなどの交通機関でみんなが離れた席に座り、通りでも迂回されるようになった。ところがアジアの中でも病気とともに別な怖い伝染病、「外国人恐怖症」が流行ってしまった。日本の商店の中には中国人お断りの張り紙を出したところがある。(スプートニク日本語版、2月25日)

同じような記事が最近毎日新聞夕刊にも掲載された。イタリアの比較的若い作家が新コロナウイルスに関する本を日本で緊急出版するにあたってインタビューを受けた。書くきっかけは友人の日本人女性の妻がイタリアで迫害を受けたことだと語っていたこと、今度は日本人である。
佐藤氏は「情報リテラシーの低い人は、根拠があやふやでも自分が信じたい情報、安心したい情報を玉石混淆の大量の情報の中から選んでしまいがちです。すると大手メディアが発信する論理的で理性に訴える記事が嘘や隠蔽に思えてくるのです。〈中略〉危機の中にあっても一旦そこから距離をおいて、外国人排斥から日用品買い占め、無根拠な感染予防まで、さまざまな場面・レベルにおいて、パニック現象は起きるものだと認識しておくべきだ。その上で自分はどうするべきかを考える――正しく恐れ、適切な行動をとるためのヒントがあると思います」と書いている。また、マスクが店頭から消え、マスク着用率が高くなったのは、風説が定説になり、さらに同調圧力に転じた典型例と。そしてなるほどと思わせる見解が披露される。曰く、「欧米人は口の動き方を重視し、口元を隠すということは他人に自分の感情を知られたくないことを意味します。一方で、日本人は「目は口ほどにものを言い」の慣用句通り、目の動きで相手の感情を読み取ろうとします。相手の目が見えないと落ち着かないのです。こんなところにも文化の相違が表れていると思います」と。アメリカのある州のコンビニではマスクをかけた黒人たちを白人の警官が追い払うという光景がテレビで放送されたが、恐怖と不安を煽るというよりはむしろ差別意識が顕在化した実例だ。
「ロシアや中国のように強権的な国家のほうがリスク封じ込めに成功したら、全体主義的のほうがいいのではないかという話にもなる・・・。ロシアや中国のような権威主義的国家でなくとも危機対応はできる。それを成果として示せるかどうかの正念場に来ている」とこの記事を終えている。
書かれた時期は2ヶ月前くらいなので、その後新ウイルス感染者が特に都市部で増加、医療崩壊が叫ばれている。日本政府の対応は、東京都の新ウイルス拡大防止対策に押される形で、緊急事態宣言を4月7日に発表した。5月6日までの期間。命の問題(マスク着用や密閉、密集、密接回避の拡大防止策、医療の臨戦態勢、ウイルス治療薬の早期実施、死者をこれ以上出さない対策)、経済の問題(都市封鎖による経済的な大打撃、金銭面の救済措置を迅速公平に。国民一人10万円の支給は出たが)等ここは有事と捉え、スピード重視でやってほしいものだ。今日あたりのアメリカのメディアでは冬にまた新ウイルスがやってくるといわれている・・・。

【追記】ネットニュースが、女優の岡江久美子さんがコロナウイルスにかかって死亡したと伝えた。驚きだ。明るく気さくな人柄で好感の持てる女優だった。志村けんに続くビックな芸能人2人目のコロナウイルス犠牲者だ。

2020/04/21

超人の面白読書 148 小冊子ザッピング 混沌とした時代のはじまり 佐藤優 39 コロナショックと社会不安(『一冊の本』)

以前にもネットで話題になっていたが、ついにアメリカのトランプ大統領が、新コロナウィルス発生源と噂されている武漢市のウィルス研究所を徹底的に調査すると発表した。しかし、ウィルスは人口的に作られたものを示すものはなく、証拠の信頼性からウィルスは自然のもののようだと軍幹部の話も載せている(毎日新聞2020年4月16日朝刊)。
今朝世界のニュースをザッピングしていたら、ここに来てオーストラリアの放送局なども中国の武漢市の「中国科学院武漢病毒研究所」を取り上げていて、ウィルスはその研究所から流出したのではないかの質問に対して所長がそんなことは絶対にないと断言したコメントを放送していた。
さて、『一冊の本』に連載中の作家・元外務省主任分析官 佐藤優氏の「混沌とした時代のはじまり 39 コロナショックと社会不安」には流石ロシア通だけあってロシアの軍関係、生物・化学兵器関係にも言及した記事が。実際に外交官として情報収集にあたっていた様子が分かる。その一つ、モスクワ健康センターの話。

佐藤氏が副所長に人為的にインフルエンザウイルスを作ることができるのかの質問に、生物兵器としてのインフルエンザは有望だ。見方の将兵にワクチンを注射してから、インフルエンザウイルスを散布すれば、兵器になると笑いながら話してくれたという。そして彼は、この軍医たちはおそらくCRU(ロシア軍参謀本部諜報総局)に勤務し、生物・化学兵器に関する知識を持っている印象を受けたという(P.24-P.25)。(続く)

2020/04/20

超人の面白読書 134 小堀 聡著『京急沿線の近現代史』

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【速報】本書が第45回交通図書賞を受賞されたみたい。いわば、交通界のオスカー賞。おめでとうございます!受賞理由は、「全く新しい近現代史をまとめあげたこと」だそうです。詳しくは日刊の「交通新聞」2020年3月23日号・31日号を読まれたい。またはクロスカルチャー出版ホームページを参照されたい。http://crosscul.com (2020.4.2 記)

【速報2】2020年(令和2年)4月3日、新コロナ感染(4月5日現在、東京都では1日の感染者が143人、過去最多と報道された)防止で自粛のなか(京都在住の著者は欠席)、交通新聞社社長、事務局関係者それにクロスカルチャー出版の関係者出席のもと授賞式が行われた。クロスカルチャー出版関係者がその模様を撮影(撮影=高山茜)。その動画を見るはこちら→https://youtu.be/JMuySUmc85A(2020.4.5 記)
【速報3】神奈川新聞(2020年4月20日)地域総合版に紹介されたみたい。

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京急は西の阪神、東の京急と例えられるほど海沿いを走る庶民の電車として親しまれている。しかも目立つ赤い電車でスピードもある。電車のなかで書きものをするものならすぐさま字が踊ってうまく書けないほど揺れる。その極致はカーブのある線路を走るときで、何とも言えないスリリングさを体験できるのだ。さて、そんな大手私鉄の京急について蘊蓄を傾けた本が刊行された。小堀 聡(名古屋大学准教授 横須賀市出身、日本経済史、エネルギー産業・環境史)著『京急沿線の近現代史』だ。キーワードは120年の京急を繙く、である。本書の関連年表によると、1899年(明治32)1月 川崎(のち六郷橋)―大師、国際標準軌(1435ミリ)にて開業とある。更に本文には1月21日午前10時開始と詳しく書いてある。京急はこの1月でちょうど120年になるのだ。本書は今までの電車本とは切り口が一味違って京急「沿線」の歴史だが、読み応えがあり考えさせてくれる一冊だ。筆者は全12章174頁を一気に読んだ。前から、章によっては二三度、最後の章からは、上りの各駅電車に乗った気分で反対にも読んだ。行間からは〈つよさ〉と〈やさしさ〉が感じられ、〈知見〉が迸る。少壮歴史学者のなせる業だ。初詣(川崎大師)や神社参拝(穴守稲荷)、在来産業(海苔養殖、漁業など)に従事してきた地域・住民が京急の鉄道敷設で変貌していく様を小気味良く抉る。在来産業海水浴・リゾート→大規模な埋め立て・大企業の誘致と進出・重化学工業の勃興と発展・公害→宅地開発・沿線人口増→開発に歯止め・自然破壊・住民運動・自然保護―といったように歴史の光と陰を分かりやすく、ときに資料を駆使して簡明に描き出す。大雑把に捉えれば、前半は京浜工業地帯の発展史、後半はその歪みと警鐘。京急沿線のもう一つの顔である軍隊(帝国陸海軍、占領軍、自衛隊)の話(写真とコメントがいい、特に「小松・パイン」、横浜、逗子、原発誘致失敗の言及もある横須賀とその周辺)を織り混ぜながら、京急延伸と宅地開発の歯止め→三浦半島の自然保全に言及する。そして、京急と沿線―脱工業化の設計図等→自然との共生を模索―の未来像を巡らせて終わる。京急沿線を世界史的、とりわけ東アジアのコンテキストで捉え直したことが画期的だ。ここで目次を掲げてみよう。その前に本書の狙いを著者が書いているので覗いてみたい。

「京急沿線各地での生産活動と生活(住居、行楽、住民運動など)とが、臨海工業地帯の発展とともにどう変わっていくのかを具体的に追跡したい。本書はあくまで沿線史ですから、各章には京急以外にも企業家、政治家、住民、宗教家など様々な人物が登場します。京急は時として主役を、また脇役を演じるでしょう。なお、特別出演として軍隊(帝国陸海軍、占領軍、在日米軍、自衛隊)が登場することを予め補足しておきます。神奈川県にとって軍隊は戦前・戦後を通じて大きな存在であり、それは湘南電鉄、京急やその沿線自治体に数々の影響を与えてきました。京急沿線に注目することは、世界各地からの資源輸入の背後にある日米安保体制を足許から見直す機会にもなるでしょう。」(本文P.10―P.11)

第1章 世界史のなかの京急沿線 第2章 川崎―初詣からハンマーへ 第3章 羽田・蒲田・大森―行楽、空港、高度成長
第4章 品川―帝都直通の夢
第5章 鶴見~新子安―生活と生産との相剋
第6章 日ノ出町・黄金町―直通、戦災、占領
第7章 上大岡~杉田―戦後開発の優等生
第8章 富岡~金沢八景―おもしろき土地の大衆化
第9章 逗子海岸と馬堀海岸―残る砂浜、消えた砂浜
第10章 安針塚~横須賀中央―軍都の戦前と戦後
第11章 浦賀と久里浜―工業化とその蹉跌
第12章 三浦海岸~油壺―三崎直通の夢と現実
あとがき、関連年表

筆者的には第6章、第10章~第12章が印象的。どの章から読んでもいい。鉄道史はもちろんのこと、政治経済史、環境史、都市史、社会史、軍事史、不動産史などのアプローチを可能にする、多面的な読み方ができる本だ。ぜひ薦めたい本。
CPCNo.9 エコーする〈知〉A5判、174頁、クロスカルチャー出版 2018年12月25日刊 定価 本体1,800円+税。

【追記】著者の小堀聡先生が地域情報紙『タウンニュース』横須賀・三浦版の「人物風土記」に登場しました。
その記事を読むはこちら→「20190201112835.pdf」(2019.1.1 記)


2020/04/13

超人の気になるニュース 新コロナウィルス感染拡大のニュース 余滴

【追記25】NYCを含むニューヨーク州が、今大変なことになっている。新コロナウィルス患者が急拡大していて収容施設が追いつかないのだ。全米の感染者数は、69197人、死者数が1046人、その約5割がニューヨーク州だ。かつて友人がいて何回か訪ねたことのあるクウィーンズ地区では、屋外にテントを設置して対応しているという。医療崩壊の危機に晒されている。今朝の毎日新聞朝刊には、ジョンズ・ホプキンズ大などの集計を基に作成した(25日夜)感染者と死亡者が掲げられている。【写真左下】

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【最新データの図表右上: 毎日新聞2020年4月14日朝刊より】

日本の東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏域の住民は、昨日この週末の不要不急の外出は避けるようにと関係の自治体の首長がテレビ会議で協議し要請した。(2020.3.27 記)

【追記26】NHKBS「キャッチ!世界のトップニュース」の金曜日の@NYCの現地キャスター、マイケルさんは、先週セントラルパークで新コロナウィルス対策について街頭インタビューを行っていたが、今朝急遽メイン州ポートランドの妻の実家から放送していた。5時間かけてニューヨーク市から逃亡したという。子どもはオンライン授業とマミーの個人レッスンで凌いでいると語っていた。(2020.3.27 記)

【追記27】アメリカでは政府が民間会社に強制的に製造委託できる法律の適用で(朝鮮戦争以来初めて)、ジェネラル エレクトリックス(GE)に不足している人工呼吸器の製造を依頼したというし、また、ニューヨーク市では駐車場にテントを張って臨時の遺体安置所を作っていると報道された。イタリアでは新コロナウィルス感染が酷い北部地域に、イタリアのほかの地域や海外から医療関係者が応援にかけつけている。一方、新コロナウィルス感染の震源地の武漢では、徐々に封鎖が解除されているという。(2020.3.30 記)

【追記28】今朝の「キャッチ!世界のニュース」ではフランスのメディアが中国の武漢の墓などを取材した結果、公表されている新コロナウィルス感染で死亡した人の数が、統計数字の3000人台よりはるかに多いと数字のまやかしを指摘していた。(2020.3.31 記)

【追記29】日本の現在の新コロナウィルス感染者数は6748人、死者数は98人。(4月14日現在、感染者数は8141人、死者数159人)

全世界では感染者数は182万人達し、死者数も11万人に。最近特に多いのがアメリカで感染者数は55万人、死者数2.1万人以上。その半分はニューヨーク市を含むニューヨーク州だ。が、ここにきて入院患者が減少していると少し明るいニュースも。イギリスではジョンソン首相が新コロナウィルスに感染し入院していたが無事退院。医療従事者の努力が奏功したと感謝を意をSNSに投稿。彼はstay homeを強調していた。そのイギリスの感染者数は7.9万人、死者1万人以上、ドイツの感染者数12.6万人、死者2.9万人以上。今ドイツの医療体制のスピードが注目されている。フランスの感染者数は10万人、死者1万人、フランス社会がコロナの影響ですっかり変貌したらしい。イタリアの感染者数15万人、死者1.9万人、ピークアウトの現象と。スペインの感染者数16万人、死者1.6万人。遺族が新コロナウィルスで亡くなった父親の埋葬先を1週間かけて探し当てたニュースには胸が痛むが、感染防止のため死亡しても家族との引き合わせはできないらしい。酷い現実だ。(2020.4,13 記)

2020/04/10

超人の詩鑑賞 T・S・エリオット『荒地』エトセトラ

T・S・エリオット作
『荒地』 (The Waste Land)


The Burial of the Dead


April is the cruellest month, breeding
Lilacs out of the dead land, mixing
Memory and desire, stirring
Dull roots with spring rain.


Ⅰ 死者の埋葬


4月は最も残酷な月、死んだ土から
ライラックを目覚めさせ、記憶と
欲望をないまぜにし、春の雨で
正気のない根をふるい立たせる。
(岩崎宗治訳)


四月は残酷極まる月だ
リラの花を死んだ土から生み出し
追憶に欲情をかきまぜたり
春の雨で鈍重な草根をふるい起こすのだ。
(比較参照: 西脇順三郎訳)


『荒地』Ⅰ 死者の埋葬 冒頭4行。

訳注。『荒地』は難解な詩である。絵画や文学におけるモダニズムに親しみをもっている読者は、シュールリアリズムにおけるコラージュを見るように、この詩を読みとることできるかと思う。だが、この詩は意味を拒否したコラージュではない。一見ばらばらな断片の集積に見えようと、この詩は意味への意思をはっきりともっている。〈中略〉。第一次大戦後のヨーロッパの荒廃を意味するものとして受け取られた。1922年の歴史的情況において、それは正しい理解であった。だが、この詩はそうした時事的関心を超えて、人類史の中の死と再生についても深い洞察を含んだ詩である。『荒地』という題名は、中世ヨーロッパのアーサー王伝説の中の「聖杯伝説」から来ている。―T・S・エリオット作 岩崎宗治訳『荒地』 岩波文庫 2019年より引用。


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4月は笑えない、最も残酷な月だ!
現代人類史に暗い影を落としている。
コロナが猛威をふるって
人間社会を危機にさらしているのだ。


今朝の東京駅構内は人は疎らで異様にがらんとしていた。
昨夜担当大臣が都内をパトロールして8割かた夜の不要不急を避けているか偵察したとメディアのインタビューに応えていた(実際に目にした光景は4割くらいと)。8割かただとコロナ感染拡大が収まるとみての行動だ。まさしく監視社会。それにしても目に見えない戦争は怖いが、その光景はさらにディストビアの様相を呈している。


【追記】「西脇順三郎を偲ぶ会」の事務局から届いたばかりの小冊子『幻影』No.36の最新号(太田昌孝先生の講演と永田隆史先生の寄稿など)と毎日新聞(2020年1月4日)文化欄(文学逍遥第22回案内人大野裕之(脚本家・プロデューサー)『西脇順三郎詩集』)を読むはこちら→

西脇順三郎詩集 - 20200501110938.pdf


幻影最新号 - 20200501114801.pdf

【追記2】「西脇順三郎を偲ぶ会」会報『幻影』最新号(No.36 2020.1)を楽しく読んだ。太田先生の西脇詩への熱い思いは、至るところに散りばめられていて読む者にもその情熱が伝わってくる。『西脇順三郎物語』の有効活用は太田先生はじめ会員の方々の手弁当によって実践中と会報にも書かれていた。願わくば太田先生の執筆による(共著)『詩人西脇順三郎―その生涯と作品』も活用してもらいたい。有名な「天気」や「雨」の詩の評釈は何度読んでもおもしろく新鮮だ。永田隆史先生の西脇順三郎英詩のことやT・S・エリオットの『荒地』詩の訳や語釈の話には、先生独自の深い味わいを感じたほど。
コロナ禍の4月で思い出したのが、T・S・エリオットの詩で、筆者はほんの触りを書いたのだ。(2020.5.5 記)

2020/04/06

超人のコロナ感・考

「自分はすでに感染しているが発症していないだけ、という意識でみんなが行動してほしい」というアメリカCNNテレビの医療チーフキャスターを務める医師の言葉を心療内科医海原純子氏が自分のコラム、毎日新聞日曜版「新・心のサプリ」で紹介。コロナに負けるな、コロナファイターも登場し、壇蜜ならぬ、「密閉」「密集」「密接」の3密を守れと要請する小池東京都知事。スローガンが好きな政治家か。今、急拡大の恐れがある新コロナウィルス感染者だが、次々と“新外来語゛、横文字生語”も登場して、こちらも混乱気味だ。なるべくこなれた日本語にして関係者は発表してほしいのだが・・・。なんだかねぇ。

ソーシャルディススタンス(social distacing)
オーバーシュート(overshut)
パンデミック(pandemic)
ロックダウン(rockdown)
クラスター(cluster)
エッセンシャル ワーカー(essential worker)
ニューノーマル(new normal)

2020/04/02

超人の小さな花見 もうひとつの桜、満開

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コロナ騒動の中もうひとつの桜、満開。

2020/04/01

公文書問題考

政府公文書改ざん問題でなぜか唐十郎の『佐川君からの手紙』は、猟奇的な事件にあやかった演劇人の小説で、芥川賞を受賞した作品(パリにいた佐川一政氏から自分をモデルにした映画の脚本を書いてほしいと依頼されたが、小説を書いたのが真相らしい)。早いものでもう11年が経つ。いや、もっと前だと思っていたが・・・。2年前に森友学園の国有地売却問題を巡って、国会で証言した当時財務省理財局長の職にあった佐川宣寿氏と同じ苗字、ただそれだけ、連想ゲームの類いである。強引にこじつければ、一方は、世間を恐怖に陥れ人間技とは思えない殺人犯(佐川一政)の苗字を借りた小説のタイトル、他方は、あってはならない政府公文書改ざんの官僚トップ、しかも改ざん指示で末端の部下を自殺に追い込んだ張本人の苗字で、両方とも普通ならありえへん話。


 さて、週刊『文春』2020年3月26日号は、森友学園の国有地売却問題で自殺した財務省職員の手記が掲載されたことで53万部を完売したらしい。一部440円だから➡この号だけで2億3000万以上!1週間以内だから凄すぎ。筆者は何軒か駅の売店や書店に出向いたが品切れだった。ほとんど諦めかけていた頃、思わぬところで見つけゲット(その記事を読むはこちら→文春2020年3月26日号 - 20200325162450.pdf)。なかなかセンセーショナルな記事である。記事の執筆者は、当初から森友問題を取材した大阪日日新聞の記者。しかし、今日国会では安部首相が再調査を拒否したが、透かさず手記を書いた職員の妻が、調査されるのは安部首相や麻生財務大臣と抗議のコメントを出した。それをTBSの午後11時のニュース番組で知った。やはり官僚のトップのそんたくがあったとの疑惑が消えない。モヤモヤ感が残る。ここは今はただの人である佐川氏が国会に出てきて真実を語るべきだろう。亡くなった財務省の職員の死を無駄にしないためにも。そもそもは安部首相が国会で自分が嘘を言っているなら議員を辞職するという大見栄を切ったことから始まったのだ。当時理財局長だった佐川氏にプロセス、否、真実を語ってもらいたい。


【追記】藤原節男のメール【ドンキ・ホーテ】の2020年4月6日の配信から。2020/04/04付けの YouTube動画に、「森友事件、赤木俊夫さん(享年54)の自死の真相!」について、久米宏と相澤冬樹の対談があります。ぜひ、ごらんください。https//bit.ly/3bLKTn4


【対談要旨】2018/3/7 責任を感じ、命を閉じた赤木さん。
その弔問に訪れた同僚の一人が叫んだ。「赤木を殺したのは朝日新聞だ!」
2017/2/8、森友事件(木村真豊中市会議員が、情報公開請求した当該国有地の売却額を非公表とした国の決定に対し、大阪地裁に提訴。その直後に記者会見)をNHKが初めて報じた。NHK担当記者であった相澤冬樹は、安倍昭恵夫人が、日本初の神道系小学校「瑞穂の國記念小學院」(学校法人森友学園)名誉校長に就任しているのことに触れて記事を書いた。しかし、NHK担当デスク(上司)が、安倍昭恵名誉校長のことを削って(「刺激が強すぎる」と忖度して)、森友事件(国有地売却問題)を報じた。その翌日、事前に調査を進めていた朝日新聞は、安倍昭恵名誉校長を大きく報道した。2017年2月17日、森友学園への国有地売却問題に関する国会答弁にて、安倍首相は「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と発言。さらに、2017年2月24日、国会答弁にて、佐川宣寿元財務省理財局長は、森友学園との交渉記録をめぐって「交渉記録はなく、面会などの記録も残っていない」と答弁。その直後の2017/2/26以後、佐川宣寿元財務省理財局長の指示で、財務省近畿財務局が公文書改竄に手を染めることになる。その一年後、朝日新聞は、公文書改竄の事実を掴んで、この事実を公にした。


赤木俊夫さんを殺したのは、朝日新聞では無い。彼を殺したのは、財務省本省の佐川宣寿元財務省理財局長だ。肝心な時は、みな、知らぬ存ぜぬ顔で、責任を全て赤木俊夫さんに押しつけた。彼の奥さんは、ずっと、そのことを心に秘めていた。


相澤 冬樹(相沢 冬樹、あいざわ ふゆき、1962年 - )は、日本のジャーナリスト。宮崎県生まれ。ラ・サール高等学校を経て、東京大学法学部卒業。1987年、日本放送協会(NHK)に記者職で入局。NHK山口放送局、NHK神戸放送局、東京報道局社会部記者、NHK徳島放送局ニュースデスク、NHK大阪放送局大阪府警察キャップ、NHK BSニュース制作担当、2012年大阪放送局、2016年大阪放送局司法キャップを歴任。森友学園問題を取材する中、2018年5月、記者職を解かれ考査部に異動。同年8月NHKを退職、翌9月新日本海新聞社に入社。現在大阪日日新聞論説委員・記者。


 

2020/03/31

コメディアン・タレントの志村けんの突然の死

元ドリフターズのメンバーでコメディアン・タレントの志村けん氏が新コロナウィルスに感染し死去した。享年70歳。主にテレビから茶の間に笑いを届けてくれた。筆者的には人気番組「8時だヨ全員集合」のヒゲダンスコーナーやその後の志村けんの大丈夫だあやバカ殿シリーズが印象的。“バカ殿”死す、はあまりにもショッキングな出来事で、芸能界ではまた一人偉大な芸人を失ったことへの失望感は計り知れないはず。ご冥福を祈りたい。ありがとう、たくさんの笑いを提供してくれて、志村けん !! (2020.3.30  16:50 記)

コメディアン志村けんの笑いを誘うもとは、実は場末の食堂だった。そこで人間観察を勉強したとは身内の証言。ネタバレ的な川越のラーメン屋の話をテレビで視聴したが(NHKの番組「ファミリー ヒストリー」の再放送)、ラーメン屋の母子の仕草を志村流マジックで笑いに変えていたとは流石である。また、ビートルズ来日公演のエピソードはあちこちで聞かされているが、志村けんもその類いの人だったとはオドロキだった。高校の女友達にたまたま当たったチケットを譲り受けてコンサートを聴きに行ったとか。
古川ロッパ、花菱アチャコ、横山エンタツ、柳家金語楼、榎本健一、堺駿二、三木のり平、藤山寛美、クレージキャッツ、てんぷくトリオ、藤田まこと、白木みのる、渥美清、萩本欽一等々思いつくまま書いたが、笑いの歴史は、人間の歴史そのもの。大衆演芸が東京はじめ関西、名古屋などで隆盛を極めやがてテレビの登場で一気に人々の間に浸透していった。筆者的には10代の頃からテレビで漫談(牧紳二やケーシー高峰など)などをよく観ていたし、それこそドリフターズは、志村けんが入る前からTBS夜の番組「8時だヨ全員集合」で観ていた。新たに志村けんが参画してさらにかけ漫才、ドタドタ劇、瞬間芸に磨きがかかった。特にリーダーのいかりや長介や加藤茶とのスピーディーな舞台まわしは秀逸。観客は主に子どもで、加藤茶が会場向かって「~はあ、ビバノンノン、~歯を磨けよ」で終わる名セリフは今もって筆者でも耳に残っている。音楽バンド&コメディ―タッチの笑劇は笑いが半端なかった。「ファミリー ヒストリー」で身内の一人が語っていたが、はじめの3年くらいは泣かず飛ばすの笑いの取れない日々が続いて悩んでいたという。バカ殿にみられる志村けんの独創的な瞬間笑劇は、そんな苦労を肥やしにして出来上がっているのかも。人を笑わせる、楽しませるにはそれ相当のエネルギー、サービス精神がいる。彼はそれをやってのけたのである。人を笑わせることが本当に好きだったのだ。

2020/03/27

クロカル超人が行く 249 2020年(令和2年)千鳥ヶ淵の桜

数合わせ五輪延期の前と後

春なのにああ春なのに春コロナ

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ボートがない彼女がいない淵さくら

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黙ってよあなた桜が狂い咲き

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デストピアテレスクリーンにアーチェリー


2020/03/26

超人の気になるニュース 新コロナウィルス感染拡大のニュース 続々

【追記13】横浜市は9日、会見を開き横浜市立大学が新型コロナウイルスの患者血清中に含まれる抗ウイルス抗体の検出に成功したと発表した。ネットニュースより。(2020.3.9 記)
【追記13の補足】抗新コロナウィルス薬富士フイルム富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」が現在有効的で中国でもこの薬を採用される。抗新コロナウィルス薬は、更に日本、ドイツ、アメリカなどで開発中だ。
【追記13の補足2】見逃していたが、大阪大学は、新コロナウィルスの治療薬を半年後に開発できる見通しだという。

【追記14】コロナがついに経済にダメージ。NY株、過去最高の下げ、2013ドル安、コロナ、原油急落が原因。日経平均、1万9000円割れ、2018年12月26日以来と。ネットニュースから。景気後退か。(2020.3.10 記)

【追記15】新コロナウィルス感染者が日本では1277人に。感染者は今や世界107ヵ国に拡大。特にイタリアが深刻で感染者は1万人以上、死亡者631人。イタリア政府は4月3日まで人の移動を禁止するという異常事態宣言。アメリカでも35州に広がり感染者647人、死亡者25人に。そんな中、中国では習近平主席が武漢を訪れ、新コロナウィルス感染は終息していることをアピールした模様。いずれもNHK 2020年3月11日の朝のニュースから。
今日は東日本大震災・福島原発事故から9年目。風化が心配だ。新コロナウィルス感染拡大で関連行事は中止されたが、福島原発事故後の放射性物質の飛散と同じように、新コロナウィルスの感染拡大も、ウィルス自体が目に見えないし、人などに移して“効力を発揮する”から厄介だ。最悪の場合には肺炎を起こして死に至るのだ。(2020.3.11 記)

【追記16】WHO(世界保健機構)は新コロナウィルスをパンデミック(pandemic 世界的流行)だと宣言した。(2020.3.12)

【追記17】米国俳優のトム・ハンクス夫妻がオーストラリアで新コロナウィルスに感染し隔離された。NHK海外のニュースから。(2020.3.1 記)
【追記18】雑誌『ニューヨーカー』の電子版の新コロナ感染関連記事を読むはこちら→https://www.newyorker.com/news/letter-from-the-uk/reading-about-the-black-death-with-my-daughter-during-the-coronavirus-outbreak

【追記19】今度は映画『ターミネーター』の主役の頑強なアーノルド・シュワルツェネッガー氏が新コロナウィルスに感染したと、12時近くのテレビニュースで分かった。3月18日現在、アメリカでは新コロナウィルスは拡大していて、感染者5800人、死者1000人に達している。昼前のテレビニュースによると、NYCを含むニューヨーク州での感染者が急拡大、しかも全米10州以上に拡大していて、これから11万人くらいに増えるだろうと予測しているという。トランプ大統領は、非常事態宣言し、渡航禁止やレストランの一時休業など対策に大わらわだ。経済もコロナショックで株価が異常急落し悪化、金利引き下げや当座の凌ぎ策として、国民に現金手当など100兆円規模の財政出動を打ち出している。NHKBSなどを参照。
それにしても、2月の初めに武漢の親戚を訪問してアメリカに帰国したシアトルの住民から始まった新コロナウィルス感染が、早期に検査徹底して隔離していればその後の拡大を防げたのではないか―。詳細は雑誌『ニューヨーカー』最新号2020年3月16日号の電子版を参照。
https://www.newyorker.com/news/news-desk/what-went-wrong-with-coronavirus-testing-in-the-us
因みに、3月17日現在、日本では新コロナウィルス感染者は1587人(内クルーズ船乗船者849人)、中国以外のイタリアを含むヨーロッパやアメリカなどの国々で感染者89000人、死者3233人で、中国の88000人を抜いている。特にイタリアが酷すぎ、医療崩壊が起きている。(2020.3.18 記)

【追記20】今やイタリアだけではなくスペインなどヨーロッパ中に新コロナウィルス感染が拡大、アメリカも感染者が急拡大していて渡航禁止を宣言した。日本では大阪と兵庫に感染者が急拡大して往来禁止が出ていて府県の首長がいがみあう事態に発展。そのうち首都圏でも起こるかもしれない。心配だ。

【追記21】そんなコロナ禍でついに東京オリンピックが延期の見通しと昨日一斉にマスコミが報じた。(2020.3.24 記)

【追記22】今日付の毎日新聞朝刊一面の見出しは、新コロナウィルスのパンデミックで「東京五輪延期」だった。一年程度。ニューヨークではコンベンションセンターが新コロナウィルスの患者対策で、急遽ベッドのあるにわか施設に改良すると報道された。(2020.3.24  記)

【追記23】東京で海外からの帰国者など新コロナウィルス感染者が40人以上出て、今後500人以上に増加する可能性を示唆。ロックダウン(都市封鎖)も考慮に。午後8時から小池知事が会見する。(2020.3.25 午後7時48分 記)

【追記24】小池東京知事は会見で、新コロナウィルス感染の急拡大を避けるため、この26日から週末の不要不急の外出を避けるようにと注意を喚起した。(2020.3.26 記)
新コロナウィルス感染者の死者数は、スペインで3434人、イタリア7503人、フランス1331人。NHKBS世界のニュースから。グローバル時代の皮肉、ディストピア小説的世界の露呈―。各国の首相や大統領、IOCの委員長などが緊急テレビ会議で前後策を話し合っているさまは、オーウェル的テレスクリーンにみえる・・・。(2020.3.26 記)

2020/03/21

クロカル超人が行く 248 今年(令和2年)の花見 千代田区靖国神社周辺

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【①靖国神社境内正面左側のヤマザクラ ②同じく靖国境内のヤマザクラ ③④かつて露店があったコーナーに咲く3分咲きのソメイヨシノ ⑤桜のモニュメント ⑥今年の異様な光景を物語る“立て看板 ”⑦専修大学 神田10号館(140年記念館) 法学部・商学部・国際コミュニケーション学部の新学舎 2020年4月から新学部を含めて約3000人が学ぶ 専修大学の都心回帰の新たな拠点になるか】


サクラ見る人の数しれコロナ走る

咲く花も急ぎすぎて一休み


【番外】
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きれいだね写真に親子花の下(笑)

2020/03/18

超人の面白テレビ観賞 新コロナ感染症関連ニュース

先週の土曜日と日曜日に新コロナ感染症関連ニュースなどをテレビ視聴。
土曜日は、朝8時、読売テレビ「ウェークアッブ!ぷらす」、夕方、TBS「報道特集」、テレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」、夕方、TBS「報道特集」、夜10時、TBS「新・情報7days ニュースキャスター」、日曜日には、朝8時、「サンデーモーニング」、夕方6時、NHK「これでわかった!世界のいま」、夜10時、フジテレビ「Mr.サンデー」の8つのニュース番組などを視聴した。新コロナウィルス感染は、もはやパンデミック、日本もそうだが世界中でいろいろな騒動が起きていることをテレビ局が【一様】に伝えていた。新コロナ感染者の数の現状での報告は分かった、マスク掛けと手洗い遵守、クラスター(集団感染)を発生させないためにも狭い空間行き(ライブ、映画館、コンサート、激情など)禁止等も分かった、世界では特にヨーロッパ、そのなかでもイタリアが凄いことになっていることも分かった、収束あるいは終息はいつ頃になるかは分からない、オリンピック開催も雲行きが怪しくなってきた! 一人ひとり身近なところでコロナにかからないように注意するしか手立てがない。それにしても待たれるのは新コロナに効く新薬だ!
丁寧で分かりやすい解説、シャープな切り口、ゲストを交えての鋭い読み解き、ユニークな深読み、現地からの中継を交えた特派員報告と臨場感等々それにアナンサーやキャスターの滑らかで下から目線を心がけた語り口、これらが内容の濃さはもちろんのこと、視聴率という数字に絶えず晒されながら報道番組という硬いようで軟らかい、軟らかいようで硬い個性のある番組をめざすことだと考えるが、更には、ただ単に一方的に情報を流すだけでなく、日常生活を快適に過ごすための考えるヒントを得てもらう、ユニークなニュース番組づくりも必要不可欠だろう。客観的報道を極力心がけて活きた情報を視聴者にいかに手応えがあるものとして伝えられるかがジャーナリズムの使命、また、権力のチェック機能を果たす役割もBig Jobのはずだ。ここまで書いてきて忘れていたことがある。それはテレビが目で見て楽しむツールなので画の良し悪しやストーリー展開、構成もまた、重要なファクターであるということだ。
ウィークエンドの過ごし方に一工夫が必要な筆者の過ごし方だが、新コロナウィルスが終息していない以上、不必要な外出は避けているからでもある。ならば読書があるではないかと突っ込まれそうだ。しかし、平日は活字にどっぷり浸かっているのでオンとオフを切り替えて過ごしたいことも。で、情報をテレビなどから得ることも満更ではなさそうとチャンネルを捻っては楽しんでいるのだ。

2020/03/09

超人の美味しい飲み物 熊本県人吉市鳥飼酒造 米焼酎『鳥飼』

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テレビ朝日の日曜日夜の人気番組「ポツンと一軒家」で紹介された熊本県人吉市の酒造メーカー株式会社鳥飼酒造。こんな山奥に何があるんだろうと興味津々だったが、上空から見えた一軒家に近づくにつれてモダーンな建物が現れた。近くを流れる川の水は澄みきっていて川底が見えるくらい。ここが米焼酎のメーカー鳥飼酒造の工場だという。ここで社長の鳥飼氏が登場。社長は画家志望だったこともあってかオシャレな出で立ちだが、それより凄いのはこの材木などの流木で荒れていた山沿い一帯を買い取り、自然を甦らせ自然と共生して生きて行こうとする彼の姿勢だ。幼少期に遊んだ川も澄みきった川に甦らせた。焼酎づくりには何より水が大切だからという。工場の内部も垣間見ることができた。設備も立派で作業に携わる人の心意気が伝わってきそうな、丁寧な仕事ぶりが伺えた。ホームページを拝見したら、鳥飼酒造の歴史も古い。社長のエコ重視のビジネスにアッパレである。

テレビ放映から一週間くらい経ってふと思い出し、先週の土曜日に東京駅周辺で焼酎「鳥飼」を買い求めたがなかった。あったのは意外にもT駅近くの酒屋だった。一日置いて飲んでみた。720mlの透明な瓶に絵文字と漢字を組み合わせたオシャレな文字デザインの焼酎の名前、瓶の曲線美もいい。さて、米焼酎の味だ。これがスッキリとしていてイケた。美味!価格は少し高めの2200円。

2020/03/08

超人のコロナ禍騒動 トイレットペーパー調達劇

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コロナ禍騒動のなか、今度はデマゴーグ(山陰地方の生協が発信元。謝罪していたが呆れた!)トイレットペーパーがない騒ぎ。家の近くやスーパー、薬局でも棚から消えた。煩く騒ぐのは世の常、主婦たちだ。それなら地方ではどうかと名古屋の友人に頼んでみたら、翌々日送ってくれた。相見互いと。筆者も自助、互助、共助、公助を念頭において仕事をしているが感謝だ。手袋、ティッシュそれにアルコール消毒液まで入っていた!気遣いのある名古屋人である。また、町屋の住人にも調達をお願いした。ドンキホーテでゲットし電車で運んでくれた。感謝感謝!
トイレットペーパーは国内生産がほとんどで品不足になることはないというが、流通に問題があるらしい。急激な対応にはドライバー不足があって迅速に運搬仕切れないのが実情のようだ。それにしても冷静さよ、だ。

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モノ足りずコロナ禍春のほっともっと

2020/03/07

超人のナンセンス詩・ライトバース 「コロナがころんだ」

コロナがころんだ


コロナがころんだ
パンダのくにからころんだ


てこんどーのくにへころんだ
ふじやまのくにへころんだ


ト―ム・クルーズ ころんだ
パスタのくに ころんだ


じゅうたんのくに ころんだ
コアラのくに ころんだ
せいじょうき ころんだ


みんなころんだ
どろんこ どんどん


コロナころころ
コロナころころ


さあ たいへん
はまってはまって


まるい ちきゅうを
ころんでころんで


ころころりーん
ころころりーん 第1連〈19行〉


コロナころんだ
コロナころんだ


トイレットペーパー ころんだ
マスク ころんだ
こめまでころんだ


きのうはなかった
きょうはめがでた


コロナがころんだ
コロナがころんだ


せいふもころんだ
やつらもころんだ


たいじできへんか
だいじなときに


コロナがころんだ
またころんだ


たいじできへんか
だいじはだいじ


あかん ぽかん
あかん ぽかん 第2連〈19行〉


コロナがころんだ
コロナがころんだ


ころんでころんで
ころんでころんで


ちきゅうのはてまで
いっちまえ


コロナがころんだ
いしゃもころんだ


ナロコ ナロコ
ナロコのナロコ


ちきゅうのなかへ
ふかくもぐって


コロナをやっつけよ
じんるいをすくえ  第3連〈14行〉


コロナがころんだ
コロナがころんだ


コロナがストレス
コロナがこわい


てすりあかん
せきあかん


がっこうあかん
かいしゃあかん


みんなころげている
コロナがころげている


ちきゅうじんはくちあけたまま


ポカン ボカン
ポカン ボカン


じんるいでらーめんくうてる 【註】第4連〈14行〉


コロナがころんだ
コロナがころんだ


ゆめのなかで
うちゅうじんがいった
ちきゅうでころびすぎて
コロナがしんだ  第5連〈6行〉


2020.3.7


【註】最後から7行目、「じんるいでらーめんくうてる」は、大阪は西中島南方にある人気のラーメン店『人類みな麺類』に肖った。出張の折りに何回か食べたことがある。淡麗系。特にチャーシューが柔らかくて美味。そのラーメン紀行文はこちらで読める→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2014/05/184-d6e8.html

2020/03/06

スウェーデンでも新コロナウィルス感染

スウェーデンの小さな新聞『8 Sidor』電子版最新号(2020年3月5日付)から。 Ambulans 
En sjuksköterska som jobbar i ambulans har skyddskläder på sig. De åker hem till folk och testar dem för den nya sjukdomen.
Sjuksköterskor gör besök med ambulans hemma hos folk som kan vara smittade.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━>Svenskar smittade i Italien
Flera svenskar har blivit smittade av viruset corona. Nu är över 50 personer i Sverige sjuka. Sjukdomen började i landet Kina. Sedan har den spridit sig till många andra länder. De flesta svenskar som är sjuka bor i Stockholm. De flesta har blivit smittade under resor i Italien. Italien är det land i Europa där flest människor har blivit smittade. Dela på internet.

【写真: 救急車で働く看護師が、防護服を身につけて感染者宅を訪問し、新コロナウィルスに感染していないかテストをしている。看護師がコロナウィルスに感染した人の家を救急車で訪問】スウェーデン人がイタリアでコロナウィルスに感染
 
多くのスウェーデン人がコロナウィルスにかかり、現在50人以上が入院中。感染は中国で始まり、それから多くの国に拡大した。入院中のスウェーデン人はストックホルム在住だ。彼らはイタリア旅行中に感染した。イタリアはヨーロッパにある国でもっとも多くコロナウィルスの感染者が出た国だ。『8 Sidor』電子版を読むはこちら→https://8sidor.se/ _20180929_231512
【写真: 2018年8月に訪問したストックホルム市立図書館―シスタ図書館の棚にあった『8 Sidor』 撮影=筆者】


 【追記】パンデミックになった新コロナウィルスだが、今度はマスク争奪戦が繰り広げられているという。スウェーデンが中国にマスクを発注しフランス経由で運ばれたものの、経由のフランスで高値で売買され半分しか調達できなかった。また、フランスは上海空港で発注したマスクを空輸する寸前に高値で取引したアメリカに奪われてしまったという。いずれもNHKBS「キャッチ!世界のニュース」(4月3日)から。
【追記2】スウエーデンでもテントによる臨時の病院準備へ。増加し続ける新コロナウイルス感染者対応と『8 Sidor』の最新号。https://8sidor.se/sverige/2020/04/tre-nya-sjukhus-star-redo/


【追記3】新コロナウィルス拡大防止策でロックダウン(都市封鎖)を選択していないスウェーデンでコロナ感染者は、10483人で死者887人。
(2020.4,13 記)

【追記4】今朝のBBC(イギリス公共放送)の報道によると、新型コロナウイルス感染拡大対策でスウェーデン政府は外出禁止を出さない独自の対策を採用(所謂スウェーデン方式)しているが、高齢者が医療を受けられず死亡しているとストックホルムからの中継を交えて指摘。(2020.5,20 記)
【追記4】「集団免疫戦略裏目? スウエーデン 死者数突出 北欧各国 移動再開警戒」という見出しで 毎日新聞(5月24日)が報じている。スウエーデン方式(人口の一定程度が感染して免疫をつけることで感染拡大の収束を狙う「集団免疫」の獲得戦略)が危ぶまれているのだ。記事によると、ノルウェーの感染者8309人、死者235人、フィンランドの感染者6537人、死者306人、デンマークの感染者11428人、スウェーデンの感染者32809人、死者3925人(米ジョンズ・ホプキンズ大、22日現在の集計による)。その記事を見るはこちら→https://mainichi.jp/articles/20200524/ddm/007/030/055000c  (2020.5.24 記)


【追記5】スウェーデンのコロナ感染者増加のニュース。ニューズウィーク最新号から。→https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/1-157.php

 (2020.6.16日 記)

2020/03/03

超人の面白読書 146 阿部武司著『アーカイブズと私ー大阪大学での経験ー』

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アーカイブズが多様な情報源として研究者にとってはもちろんのこと、内外の行政に携わる人々 、さらには、一般の人々にも欠かせない機関であることは国際的常識となっている。ところが最近の日本では、政府が都合の悪い文書を隠蔽・廃棄・改竄するといった嘆かわしい事態がまかり通っている。日本人は、記録をきちんと残すアーカイブズの重要性を今こそきちんと認識しなければならない。

Internatinal common sense indicates that archives play an important role as are organized data for providing diverse sources of imformation not only for scholars but also for govermental bodies at home and abroad and people in general. In today's Japan, however, it is highly regrettable that government documents have been concealed, disposed of and even altered. Now is the time for us Japanese to realize the importance of archives in preserving actual records.

本書の巻末にある和英語による要約の冒頭から引用したが 、最近の政府の公文書の扱い方が森友・加計問題等で分かるように安易で杜撰、しかも嘘や忖度する官僚が目立った。自分に都合悪いことには記録を残さないか、あるいは隠蔽し揚げ句には捨てる。自己保身である。記録・整理・保管そして情報を公開することの重要性が無視され、言わば、民主主義の根幹をなす営為が勝手に踏みにじられている。

本書は、経済経営史の専門家が経験した、日本ではまだ設置が十分に確立していない大学アーカイブズ(文書館 ぶんしょかん)の設立をはじめ、図書館、博物館それに企業アーカイブズなどについてその都度雑誌等に書いたものを一冊にまとめたものである。たとえ小さなものでも手を抜かずきちんと論理的に書き記していることに加えて、格調も高い。更に自分の考えを明解に綴るあたりは社会科学者の眼だけではなく、人文学の知も感じさせる幅の広い教養に裏打ちされているように筆者には思える。筆者的には第9章 社会科学研究の国際化、第10章 読書の効用の章も侮れない。著者も書いているようにアメリカの大学では何百ページもある本を読まされ要約させられる。その読書量の凄さはよく知られたことだが、似たような読書体験を持つ著者から発せられる“粘り強い思考”、これが養われることは確かだろう。読書の効用たる所以だ。因みに、第1章~第8章までは次の通り。第1章 図書館・博物館・文書館 第2章 企業アーカイブズと大学 第3章 大学アーカイブズと企業アーカイブズ―現状と課題― 第4章 アーカイブズ創設とアーキビスト 第5章 大阪大学アーカイブズの構築 第6章 日本の官公庁における文書保存 第7章 外国のアーカイブズ 第8章 大阪大学経済史・経営史資料室。
雑文の類いなので内容に多少の重複はあるものの、それはそれで生きた証言と読めば新たな発見もあるかもしれない。大阪大学アーカイブズ設立のご苦労は文面に滲み出ているが、手さぐりからの出発を思えば、いろんな人たちとの連携プレーがあったからこそ成し遂げられたことで、著者のアナーザーヒストリーでもある。今となってはお宝だ。少し言いにくいが本書は大阪大学の宣伝には絶好の書。在校生だけではなく、卒業生にもぜひ読んで頂きたい(特に人文社会系の分野の人たち)。と同時に、図書館・博物館・文書館関係者だけではなく、若い研究者などにも勧めたい一冊である。
最後に文章の鮮やかさが本の表紙に反映しているかのようで“クールさ”を感じさせるがまた、帯風のエンジの暖かさと対比させたシンプルなデザインにも注目だ。
A5判・並製・184頁。定価: 本体2000円+税。2020年2月29日、クロスカルチャー出版刊。(クロスカルチャー出版のホームページを見るはこちら→
http://crosscul.com) 本書の詳細を読むはこちら→https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784908823671 新刊チラシの三輪宗弘先生(九州大学教授)の推薦文を読むはこちら→


三輪先生の推薦文の入った新刊チラシ - 20200304151537.pdf

【追記】昨夜の『報道ステーション』でも放送されたが、3月19日付毎日新聞朝刊一面に「森友改ざん 遺族が国提訴」 手記に「佐川氏の指示」 財務局職員自殺の見出しとリードの文字。森友学園への国有地売却を巡る財務省の改ざん問題で、2018年3月に自殺した近畿財務局の職員の妻が損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。改ざん作業で苦痛と過労でうつ病を発症し自殺したのは、すべて佐川氏の指示だったという手記が残されていた。自殺に追い込まれた原因を明らかにしてほしいと遺族は訴えている。―毎日新聞朝刊(2020年3月19日)より
公文書改ざんの真相をぜひ解明してほしいと願うのは筆者だけではあるまい。本書でも公文書管理の重要性を指摘している。それにしても改めて手記を読んでみると、役所の役所といわれているところで幹部らによる組織ぐるみの公文書改ざん指示、それを現場担当者に押しつけている様子が手に取るようにわかる。(2020.3.19 記)
毎日新聞の記事を読むはこちら→

毎日新聞森友学園国有地手記 - 20200320115554.pdf


朝日新聞の記事を読むはこちら→https://www.asahi.com/sp/articles/ASN3L6K55N3LPTIL00Z.html

【追記】大阪大学アーカイブズニューズレター 15号(2020年3月31日)に菅真城先生の【書評】が掲載されたみたい。掲載誌を含めたチラシを読むはこちら→書評ほか - 20200401193340.pdf

【追記2】《著者関連参考資料》著者が小雑誌に書いた故中村隆英先生の業績それに御厨貴先生が毎日新聞に寄稿した記事。

阿部先生 ・御厨先生エッセイ- 20200420125927.pdf

超人の気になるニュース 新コロナウィルス感染拡大のニュース 続

【追記7】SNSなどからデマが拡散し、人々の不安を煽り買いだめに走ったのがことの真相のようだ。冷静さは必要だが、トイレットペーパーや米は生活必需品、ささやかな市民生活をむやみに煽らないでほしい。トイレットペーパーに関しては、都内の友人や名古屋の知人に頼んで何とか手に入りそうだ。感謝!とんだひな祭りだ。(2020.3.3 記)
ついでに書けば新コロナウィルス感染騒動は、思わぬところに波及効果をもたらしている。筆者も新コロナウィルス感染問題ですぐに思い浮かべたのは、1960年代はじめに交通事故で惜しまれて亡くなったアルベール・カミュの小説『ペスト』だった。その『ペスト』を買い求めている人が多く、版元の新潮社は急遽増刷を決めたらしい。嬉しい悲鳴だ。(2020.3.3 記)

【追記8】最近上梓した某先生は自著に関して次のようなコメントをメールでくれた。「デカメロン」も中世のペストを逃れる時の話をまとめたといわれますし、プーシキンが名作を続々と書き上げたのはコレラで領地にこもった「ボルジノの秋」でした。自著も恐らくはこういうコロナ禍の時期に出たことは人々の記憶に永遠に残ると。強烈な印象をもたらすと筆者も同感。(2020.3.3 記)

【追記9】日本の大正期にもあった米騒動で当時神戸にあった商社鈴木商店が襲撃された事件や関東大震災での朝鮮人襲撃事件などデマ事件を想起させる。(2020.3.3 記)

【追記9】今ネットニュースを見ていたら、アメリカで新コロナウィルス感染で死亡した人が6人と報じられた。ニューヨークでも感染者が出た模様。ここでも店の棚から日用必需品が消えたりとパニックが起きているらしい。(2020.3.3 記)

【追記10】新コロナウィルス感染の最新情報がニューヨークから届いた。昨日身内がラインで送ってきたもの。
http://www.youtube.com/watch?v=YE6alcjmUfs

生きた米語を学ぶにも良い機会で、特にリスニングのトレーニングには最良の材料。スピードといい丁度いい。ニューヨーカーは早口で、時々聞き取りにくいところも。慣れるより慣れろ、とはその筋の専門家の話。(2020.3.4 記)

【追記10】アメリカのカリフォルニア沖に停泊中のクルーズ船『グランド・プリンセス』号で新型ウィルスに感染した乗客が21人にいたことが判明したとテレビが速報を流した。乗客には4人の日本人も。(2020.3.7 記)

【追記11】クラスター(集団感染)が被害の拡大要因と。大阪のライヴハウスなど。(2020.3.8 記)

【追記12】新コロナウィルス感染者がついに全世界で100ヵ国以上10万人に達したとマスコミが報道。特にイタリアでは非常事態宣言が出されたほど感染者が増えて深刻。(2020.3.9 記)

2020/02/29

超人の気になるニュース 新コロナウィルス感染拡大のニュース

今朝(2月26日)のニュースは、新コロナウィルス感染の恐れから異例の中国の全人代中止をトップに、死者まで出ているほど急激な感染のイタリア北部やイラン(イランの副大臣も感染したと笑えないニュースも)それに急拡散している韓国の現状を伝えていた。が、一方で、新コロナウィルス感染は少し前より減少していて企業再開の兆しも出てきたと中国メディアは伝えている。かつてのペスト、コロナ、スペイン風邪、などのパンデミックを引き起こさないためにも、ここはしっかりと専門家を意見に耳を傾け、素人診断を避け、感染防止の対策を一人ひとりが励行すべきだろう。(筆者注: 今ネットニュースを読んで思わずヤバいと呟いてしまった。新たに判明した千葉県の新コロナウィルス感染者は、同じジム通いの人たちだった!とうとう近づいてきたかと少し恐怖を感じている。気をつけなければ)

【追記】新コロナウィルス感染の拡大を防ぐため、安倍首相は3月2日から春休みまでの間小中高を臨時休校することを要請した由。これによりおよそ1300万人が自宅学習を余儀なくされるという(急な要請でこの受験や卒業シーズン、親たちは戸惑い、教育現場は突然の出来事で混乱は避けられない模様。大学も対応に苦慮しているかも。企業はというと、大手企業ではテレワークなどの在宅勤務に切り替えるところも。また、人の集まるコンサートなどの中止、通勤の時差出勤と感染を避ける具体的な動きも出ている。新コロナウィルス感染のピークはここ2週間くらいとみての判断らしい。パンデミックいやパニック!混乱する社会が出現か。やがて9年目の3.11がやってくる。大地震、スーパー台風などの自然災害の備えが必要だといわれているところに、今度は新コロナのインフルエンザの拡大である。どうなっているの、ジパング!(2012.2,27 記)

【追記2】新コロナウィルス(COVID-19)感染が、アメリカでも感染経路が不明な患者が見つかったことが報道されたが、世界48ヵ国までに拡大している。驚くなかれ、中国では新コロナウィルス感染者が7万人以上に達したと伝えられている。そして、先ほど入ってきた最新ニュースでは、WHO(世界保健機構)がパンデミックの可能性を示唆したのだ。(2020.2.28 記)

【追記3】新コロナウィルス感染拡大を防ぐため、3月2日から春休みまでの間臨時休校を要請したことについて、安倍首相が午後6時から記者会見を行った。①専門家の意見を聞いてここ一、二週間が新コロナウィルス感染のピークなので急遽一斉休校を要請した②現場サイドの裁量に任せる③休職する保護者らに対しては特別手当を新設する④新薬治療薬を開発中⑤中国の習近平主席の4月来日は予定(先ほど入ったニュースでは来日中止の方向で検討中と。3月1日午前7時頃)通り⑤東京オリンピックは予定通り開催などを語った。現場丸投げ、場当たり的か。長引かせないための安倍首相の独断?(2020.2.29 記)

【追記4】アメリカでも最初の新コロナウィルス感染者の死亡が報道された。そのニュースをNPR(アメリカ公共放送)で読むはこちら➡https://www.npr.org/2020/02/29/810722517/seattle-area-patient-with-coronavirus-dies

(2020.3.1 記)

【追記5】マスクは仕方がないにしても、トイレットペーパーまで店から消える始末。デマが横行しているのだ。トイレットペーパーは国産でなくなるのは考えにくいといわれている。クロスチェックが大事だという。

【追記6】そのトイレットペーパーが買い占められているのかスーパー、薬局それにコンビニにも本当にない。身内は困っている、困ったものだ !! (2020.3.2 記)

2020/02/27

超人の面白映画・ドラマ観賞 ウィンストン・チャーチルや吉田茂を題材にした映画とテレビドラマ

政治家を扱ったドラマと映画を日曜日と月曜日に続けて観た。前者はイギリスのウィンストン・チャーチル元首相で、後者は日本の吉田茂元首相である。両方とも偶然観賞したにすぎないが、もっとも後者の吉田茂については、テレビ東京が開局55周年記念と銘打って日曜日の夜に池上彰司会で特番を組んだほどで、その力の入れように引きづられた感じだ。スカパー映画の『ウィンストン・チャーチル ヒットラーから世界を救った男』は、第二次世界大戦初期、ナチスドイツによってフランスが陥落寸前まで追い込まれ、イギリスにも侵略の手が及びかけた最中、連合軍が北フランスの港町ダンケルクの戦いで窮地に陥る、その間近に迫った首相の決断までの苦悩の日々を軍関係者、秘書や夫人など側近をまじえて追ったもので、連合国の総指揮官としての重責をリアルに描いている。和平か徹底抗戦かの究極の選択に迫られるチャーチルの姿が印象的で、また、ラジオを通じて訴えた演説も感動的。リーダーシップを発揮して危機を回避したのだ。

他方、芸人鶴瓶演じる吉田茂の『アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂~』は、第二次世界大戦後のアメリカ占領時期を脱却し、日本を独立に導べくサンフランシスコ講和条約締結前後の首相の動静をユーモラスに描いている。もちろんチャーチル、吉田茂とも実際にはイギリスで会っているはずだ。吉田茂は外交官でイギリス大使としてイギリスに赴任していた。戦後すぐに政界入りした遅蒔きの政治家なのだ。筆者が興味を持ったことの一つは、側近の白州次郎や麻生和子(その独特の文体で知られた吉田茂の長男、文芸評論家吉田健一は出てこなかったようだ)の存在そしてブレーン育成私的機関の吉田学校の面々だ。遠い昔、ホテルニュージャパンが火事で焼かれる前、外務大臣を務めた藤山愛一郎事務所と共に保守政治評論家の戸川猪左武氏の事務所もあって、当時赤坂東急ホテル内の書店でアルバイトをしていた筆者は注文書籍や定期購読している週刊誌などの雑誌類を届けていたのだ。微かな記憶を辿れば、その時その政治評論家は小説吉田学校を週刊誌に連載中だった(戸川氏はその何年か後に急死。死因は腹上死だった。筆者はすでに就職していてこのニュースを週刊誌か何かで知って驚いた)。さて、その吉田学校の面々で、このドラマでも活躍振りが描かれているが、今さらながら驚かされるのは錚々たるテクノクラートたちだ。今はソンタクの時代なのか官僚の劣化が目立つ。気骨な人たちが少ないような感じられる。
大磯の吉田茂邸でくり広げられた戦後政治は、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄、宮澤喜一ら後の首相に就く人材を登用した、ある意味で密室政治、強い個性でリーダーシップを発揮して難局を乗り越えていく、パワフル ポリティシャンによって始まったといっても過言ではない。その秘書的役割を担ったのが英国仕込みの白州次郎だった(彼の本や細君の正子女史の本も少しは読んだ)。終戦連絡事務局に関わり、流暢なキングズ イングリッシュでマッカーサーやGHQの幹部たちと交渉しながら吉田を助ける。白州次郎役の生田斗真の演技力も様になっていたが、やはりサンフランシスコ講和条約の日の演説を英語原稿から日本語原稿に急遽替えて、しかも巻き紙の原稿を読み上げるという離れ技を展開したのだ。演出の妙技というべきか外交の晴れの舞台の圧巻だ。しかし、このドラマでは主役の吉田茂役を鶴瓶に抜擢したところが憎い。その仕草に自ずとユーモラスが感じられて、より親近感がわくから不思議だ。吉田の身の回りを切り盛りしたのは新橋芸者上がりの松嶋菜々子演じるこりん、なかなか物静かにみえて賢そうな女性である。吉田を動の人と捉えれば、こりんは静の人だろう。このバランスが吉田にとっては居心地良かったのかもしれない。今も残るJR戸塚駅近くの“ワンマン道路”、駅に隣接している開かずの踏切―何年間か前にやっと開通した―に嫌気がさして、大磯の自宅に帰るための迂回路をわざわざ造らせてしまったのだ。ワンマン宰相といわれる所以である。

2020/02/23

超人の面白動画 問題のSASのコマーシャル

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【コペンハーゲン空港に駐機中のSASの飛行機 写真=筆者撮影】
1年半前に利用したSAS(スカンジナビア航空) 。若いときは憧れだったSASだったが、実際に乗ってみると機内はそれほど快適でもなく、むしろ使い古された感じを受けたほど。トランジットのコペンハーゲンからヘルシンキへ、また、ストックホルムからコペンハーゲンへの比較的短いフライトでも同じような印象を持った。機内食も目新しいものでもなかった。欲を言えば真新しい飛行機に乗りたかった――。その最近のSASのコマーシャルが一部で顰蹙を買っているらしい。北欧は外国からいろいろなものを取り入れて来たコピーの文化だと言いたげなSASのコマーシャル。しかし、いち早く難民・移民を受け入れて来た北欧諸国では、今移民受け入れに反対する勢力も台頭し、以前ほど柔軟性が見られなくなっているのだ。筆者らが訪ねたヘルシンキやストックホルムの公共図書館では難民・移民のための雑誌や書籍、ビデオのコーナーが設けられ、また、特別に彼ら彼女らのための自国語(フィンランド語やスウェーデン語)講習会も開催されるなど具体的な支援策が行われていて、北欧の国々は進んでいるなと思ったものだ。その動画を見るはこちら→https://youtu.be/ShfsBPrNcTI
ここで【北欧に関するトレビア】。ScandinavianとNordic の違いは? その説明のあるコラムはこちら→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2005/06/post_d69a.html

【追記】2020年6月6日からANA(全日空)が東京・羽田空港からストックホルム・アーランダ空港へ直行便を就航する予定。飛行時間は11時間~12時間。これで北欧の国々もさらに身近になり日本から行きやすくなる。今は昔と違って若者などが気軽に出かけ、福祉政策や教育政策の現場を見、北欧家具やデザイン、また、児童文学、映画、演劇、絵画、音楽などの文化や歴史に直に触れているのだ。さて、SASも競争に晒されるということか。


【追記2】SASが新コロナウィルス感染の影響で収益が悪化(新コロナウィルス感染拡大を防ぐため、ヨーロッパほかの国々で渡航禁止が出ている)、1万人の人員削除を発表と今朝のNHKBS1のニュース。(2020.3.16 記)

2020/02/18

超人の面白ラーメン紀行 271 神田神保町『ひつじそば 人と羊』

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ラム肉ラーメンである。錦華通りにあるここの場所もレモンラーメン、ローストビーフ丼ほか何回か替わって『ひつじそば 人と羊』に。開店してまだ3ヶ月、いずれは豊洲の方へ引っ越すと店に貼り出してあった。しじみラーメンの次はラム肉ラーメンと“本来のラーメン”から少し外れてチャレンジャー精神を発揮してのラーメン食べ歩きだ。店に入るなりひつじちゃん臭いに少しドギマギ(何せ強烈でインパクトあるし)、羊ひつじしている店内を見渡したら、女性、男性と会社員風の人たちが2、3人食べていた。券売機もひつじそば(1350円)、羊中華(850円)、羊味噌ラーメン(900円)とひつじづくしで、思わずひつじの群れを想像してしまった(笑)。ここは無難に思えた羊中華をチョイスしてカウンター席の右端に座った。しばらくすると注文のラーメンが出てきた。見た目中華そばそのもの、違うのは鶏や豚でないことぐらい(笑)。魚介系(サバ節使用)とラム肉のコラボスープで独特の脂も強烈だがもちもちした細麺に絡み、トッピングはちょっぴりクセがあるものの洗練されたラム肉のチャーシュー(普通の鶏や豚のチャーシューとほとんど変わらない)とテリーヌ(フランス料理に見かける)、水菜にこれまたインパクトのある大きなモロッコいんげんとシンプルな組み合わせだ。味はいいし、ラム肉のチャーシューもやわらかい。店主はラム肉の臭み、コラボの品、スープの味など調理法をいろいろと工夫されているみたいだ。食べ終わる頃には客が大分入っていた。ラム肉は苦手な人もいるはず。誰にもおすすめはできないが、調理法も工夫されているし、低カロリーでヘルシーだ。チャレンジする価値はあるかも。
筆者的には京都木屋町に「あった」ラム肉専門店『カウロウ館』を思い出した。こちらはラム肉をコースで食べさせてくれた。ラム肉のクセをほとんど感じさせない名物料理だった。
京都木屋町にあった仔羊専門店『カウロウ館』の訪問記を読むはこちら→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2013/07/95-4b85.html

神田神保町『ひつじそば 人羊』1.スープ★★2.麺★★3.接客・雰囲気★★5.価格★☆

2020/02/16

超人の面白読書 145 雑誌『すばる』2019年7月号 特集「教育が変わる 教育を変える」ほか 2 余滴

今私立大学の入試が一段落ついた頃だが、今年度は英語の共通テスト、国語や数学の記述式問題で揺れに揺れた。元々文科省が民間会社に丸投げするシステムが問題だった。英語共通テストについては、「しんぶん赤旗」(2020年2月16日号)も図解入りでその仕組みを分かりやすく書いていたが、教育は公平性や平等それに経済性が基本でブレないことが重要だ。アルバイトに採点させるなど民間に委託するやり方は、信頼性が疑われ、思慮に欠けている。もう一つは雑誌『すばる』でも特集を組んだほど大問題になっている、高校の教科書から文学作品(例えば、高校国語教科書の常連、中島敦の『山月記』は短編ながら秀逸)が消え、代わりに駐車場の契約書などの実用文が掲載されること、また、高校の国語の内容など高校の国語教育改革もまた物議を醸し出しているのだ。ここに来て様相が変わったことを告げたい。ある親しい文学研究者が、高校国語教科書に文学作品は今までと変わらず掲載されることになると言っていたことだ。この事実を上述の先生から直接聞いたのはつい先週のことだ。
高校の教科書問題については、下記のコラムを参照されたい。
https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2019/11/post-0e7cb1.html

 

【追記】文系か理系かの問題については次の記事を参照されたい。AI時代に必要とされる「人文系」―NHK BS1 キャッチ! 世界のトップニュース 特集ダイジェストを読むはこちら→https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/catch/archive/2019/01/0128.html

2020/02/15

超人のジャーナリスト・アイ 179 ストックホルム・スルッセンの新金の橋がまもなく開通

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約1年半前の2018年8月下旬に近くをバスで通ったストックホルムのスルッセンの橋、セーデルマルムとガムラスタン(旧市街)を結ぶ橋だ。当時このエリアは再開発で橋の改修工事中、2年後の2020年に完成すると通りの看板に大きく書かれていた(従って、筆者らを乗せたバスは、セーデルマルムからトンネルの中を走ってガムラスタンへ抜けた)。その時の様子をバスの窓から見た筆者は、「メーラレン湖とバルト海の水面を調節する水門(Slussen)の橋では150年に一度の大改修工事中で、大型の重機が何台も動いていた」と綴っている。その遅れていた新生金の橋が来たる2月24日に開通とのニュース。2020年2月14日のスウェーデンラジオ放送が伝えている。【写真: スウェーデンラジオ放送の電子版より】
NYA SLUSSEN
Slussens guldbro snart framme – trafikstörningar att vänta
Anländer 24 februari. Den försenade guldbron till Slussen beräknas nå Stockholm tidigast den 26 februari. Men redan nu stängs all trafik
av vid Stadsgårdsleden. ―från 14 februari, Sverige Radio P4 Stockholm
スウェーデンラジオ放送の視聴はこちら→https://sverigesradio.se/artikel/7407274 真新しい現代的なスルッセンエリアを見てみたい。写真でみる限りではデザイン性に優れスマート、しかも眺めもいい。そして、屋台でニシンハンバーガーを食べてみたい(このエリアにあったらの話)。

 

【追記】約1年半前に訪ねたスルッセンエリアの工事中を含むストックホルムバス市内遊覧を見るはこちら→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2019/07/219-13-4bca.html

 

【追記2】“スルッセン”といえば、筆者的にはノーベル文学受賞者で詩人のトーマス・トランスロンメル氏を思い出す。彼の自伝「わが回想」に出てる子ども時分に迷子になって、スルッセンやセーデルマルム周辺を歩くシーン(そのシーンを筆者の試訳で読むはこちら→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2011/10/90---7-7cf9.html を)が印象的で、筆者は地図に落として読んだ。筆者が言及したコラムを読むはこちら→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2018/09/post-4dd2.html

2020/02/14

超人の面白ラーメン紀行 270 神田神保町『しじみ軒』

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JR水道橋駅から神保町交差点に向かって白山通りを歩くと旧『いもや』の店に出くわす。そこはつい最近まであったとんかつ店『いまかつ』だったが、この店もラーメン店に衣替えした。しかも少しオドロキのラーメン店だ。その名も「しじみ」を売りにしたラーメン店である。しじみといえば、青森県ではしじみラーメンはお馴染みのラーメンだ。
さて、味が気になるところだが、思いきって入り塩しじみラーメン(800円)を頼んだ。あっさりさっぱりの塩ラーメンで小振りなチャーシュー(これが柔らかいと思いきや弾力性はあるが食べたらなかなか切れない代物)、刻みネギほんの少しとシンプルそのもの。細麺で多少もちもち感があってスープに絡んでいる。その肝心のスープは、もちろん塩味でまろやかな感じだが、「しじみ」の味がほとんどしない。えっ、これはしじみのエキスをほんの少々入れた感じ?うわぁ、丸っきり塩ラーメンみたいと呟いてしまった!で、店の人に訊ねたところ、はい、すみません、これから精進しますだと。他のラーメン(中華そば?)を食べていた女性は、美味しかったですと店の人に告げていた――。
今度は金華公園近くに出来たラムラーメンにチャレンジだ。

神田神保町ラーメン店『しじみ軒』1.スープ☆☆2.麺★★3.トッピング★☆4.接客・雰囲気☆☆5.価格☆☆


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2020/02/13

知の巨人・批評家ジョージ・スタイナーの死

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雑誌『すばる』2020年2月号の藤田直哉の「江藤淳はネトウヨの“父”なのか」を読んだあと筆者は、江藤淳についてある思いを巡らしていた。妻の死後あとを追うようにして鎌倉の自宅で自殺したこと、著名な英文学者・詩人の慶大教授の西脇順三郎氏が若いうちからマスコミにちらほらされている江藤淳(西脇先生の教え子)を嫌っていたこと、『三田文学』に関わったこと、そして、1970年代前半に慶応大学の招きで来日した英国の文芸批評家・哲学者のジョージ・スタイナーと激しいバトルを繰り広げたこと(司会は彼の著書『言語と沈黙』の翻訳者由良君美)だ(見つけ出したらこのコラムに掲載したい。ジョージ・スタイナーと日本の知識人たちのやりとりがチョーオモシロイ。要は噛み合わないのである)。掲載誌が『展望』だったか(筆者の記憶が正しければの話だが)それとも他の雑誌だったか確認しようとあちこちの本棚を探しているが、今のところ未発見なのだ(その後確か髙宮利行氏がそのことを書いていたと記憶していて、探したがその記事も見当たらない。そうしたらネットで彼の記事を見つけ、雑誌は1974年8月号の『世界』であることが判明した。感謝!見つけ出した !! 該当のコピーがジョージ・スタイナー著高田康成訳『師弟のまじわり』の本に挟まっていた)。その記事を読むはこちら→
雑誌『世界』1974年/8月号 - 20200213120228.pdf
ついでに翻訳者の訪問記を読むはこちら→
翻訳者の訪問記 - 20200213120523.pdf
ジョージ・スタイナーの原著と翻訳書は何冊か持っているが、多言語を駆使し西洋古典文学(特にダンテやシェークスピアなど)や哲学を縦横無尽に論じたまさに博覧強記の記述の羅列で、素人にはなかなか手に負えない難解な書物だ。そうこうしているうちに昨日ネットでジョージ・スタイナーの死亡記事に出くわした。2月3日逝去、享年90歳。彼の新刊書や翻訳書が出る度に、少しかじっては投げ出しまた、かじりとその繰り返しが10年前までは続いたか。雑誌『ニューヨーカー』の書評でジョン・アップダイクと並んで彼の名前が出ている記事を読んだことが今となっては懐かしい。西欧文化中心主義に根ざしたユダヤ系の知の巨人だった。アウシュビッツにこだわり続けた人でもあった。イギリスの『ガーディアン』紙電子版にも彼の死亡記事が掲載されていたが、ここではアメリカの『ニューヨークタイムズ』の記事を引用したい。その記事を読むはこちら➡https://www.nytimes.com/2020/02/03/books/george-steiner-dead.html
【追記】上記で言及している慶大名誉教授髙宮利行氏が、オンライン『三田評論』にジョージ・スタイナーの来日とその一部始終を書いている。その記事を読むはこちら➡https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/foreign-visitors/201705-1.html

【追記2】人間の記憶はいい加減なものだということがよく分かった。図書館でジョージ・スタイナー来日時前後の雑誌『展望』を調べたら、1974年7月号の『展望』にジョージ・スタイナーの慶応大学での講演の記事を見つけ出すことができた。(その講演収録記事を読むはこちら→ジョージ・スタイナーの慶応大学での講演収録記事 - 20200224153630.pdf)
この雑誌で由良君美司会、ジョージ・スタイナー、加藤周一、江藤淳で鼎談したと思っていたのだ。筆者の勘違いだった。ついでに合本してある『展望』の目次などをしばし眺めた。花田清輝、いいだもも、森有正、堀田善衛、鶴見俊輔らの名前が目に留まった。1970年代前半の思想状況を概括していた評論もあった。

2020/02/11

雑誌『すばる』2020年2月号拾い読み

さて、北野道夫の「予測A」を読んだついでに、最近の文学シーンを少し眺めてみようと拾い読みをしてみた。その昔は文芸誌を何種類か定期講読していたことも。巻末の執筆陣を見ると、大分若い世代が書き手として名を連ねているようだ。その中で面白そうな、スバルクリティーク 藤田直哉の「江藤淳はネトウヨの“父”なのか」を読んだ。そのあと著名なロシア文学者のドストエフスキー絡みのエッセイやフランス文学者のポール・ヴァレリーのエッセイなどを拾い読みした。前野健太コラム「グラサン便り 66 冬のラブホテル街」も面白く読んだ。小説は続きものが多くスルー、鼎談もスルーした。「江藤淳はネトウヨの“父”なのか」を書いた藤田直哉はそう、北野道夫とほぼ同年で出身大学学部まで同じである。彼の略歴をネットで調べたところ、なかなか気骨のある人物のようだ。

ヘイトと炎上と宗教とイデオロギーの時代へ いまこそ江藤淳を(この項で江藤淳の生い立ち、代表作『夏目漱石』、『小林秀雄』、『成熟と喪失』などを簡単に述べ、「第三の新人」批評に触れ、現在最も参照されているのは『閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』ではないかと書く。WGIPとは、ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム 戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画の略で、保守論壇やネトウヨに多く参照されているという) WGIP史観――『閉ざされた言語空間』 WGIP史観のアップデート――百田尚紀樹『日本国紀』 WGIP論と、冷戦時代 『幼年時代』――禁止もなければ、検閲も存在しない世界 『一族再会』――言葉による死者との交換 フィクションの役割――「奴隷の思想を排す」 『一族再会』の言語観・批評観 『自由と禁忌――何が禁忌で、なぜ自由が必要か 死者の充満した国家の回復――『落葉の掃き良寄せ』』 断絶の原因はアメリカだけか 江藤淳とネトウヨの断絶 健全で簡素な場所へ

以上が小見出し。最後に次のように書いて締める。それが「政治」リアリズムだとしたら、あなたたちは何を「保守」するために戦ってきたのか。必要なのは政治のリアリズムではない。文学のリリシズムである。うまいこというものである。
筆者的には彼の文章の中で次のような箇所に目を奪われた。

内閣調査室が江藤に研究費を渡していたことが分かっている。内閣調査室のメンバーだった志垣民郎の回想録『内閣調査室秘録』(文藝春秋)に収録されているメモによると、1971年10月21日に志垣は江藤に接触している。「月7万円ぐらいをOKする」と記述がある。これは「委託調査」「委託研究」を「お願いする」ためのお金を、内閣から出したいということである。編者の岸俊光によると「志垣氏らは、若い有望な学者に委託費を出して研究をさせることで、現実主義の論客を育て、それを政策にフィードバックしていた」という。
志垣は「学者の会」を組織していった。「左翼学者はなかなか多く、政府としては対策が必要だった」からだ。その「学者の会」の筆頭に上がっている「アメリカ研究会」に江藤は参加し、月一回、アメリカと日本のことを中心に発表や議論が行われていたようだ。メンバーは政治学者の本間長世、永井陽之助らである。(P.208)

なぜか欧米文化研究者は当局に利用しやすい素地があるのかも。

【追記】江藤淳の『閉ざされた言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』については、下記の本の書評の冒頭にも引用されている。その記事を読むはこちら→

『目からウロコの海外資料館めぐり』―図書新聞の書評 - 20200213173039.pdf

2020/02/10

雑誌『すばる』2020年2月号を拾い読み その前に新型コロナウィルス

中国の武漢市(人口約1100万人)の海鮮市場が発生元とされる新型コロナウィルスの流行が、今や世界中に広まって経済にも影響を及ぼしかねない事態が出始めている。それだけ中国人をはじめ人の移動が一昔前より頻繁になっている証左だ。それは連日の加熱気味のマスメディアの報道を見れば明らかだ。筆者的には横浜港に停泊中の豪華クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」の乗客の感染者が日々増えて70名ほどになっている事実に注目している(直近では新たに60人が感染していることがわかり、これで2月10日現在までで130人になると厚生省が発表した由)。3700人いる乗客全員に検査すれば良いものの、具合が良くないとみられた270人余の乗客のみの検査で、あとは2週間船内に閉じ込めて要観察の状態。多くは70代以上の高齢者で高血圧や糖尿病といった持病を持った人たちだ。ともかく全員にウィルス検査が必要だろう。抗ウィルスの治療薬は実験中の段階でまだまだ普及するのには時間がかかるようだ。中国では812人が死亡、前回のサーズを抜いている。そもそもは去年の12月末に武漢市の医師が不明なウィルスが出ていると警告を鳴らしたにもかかわらず、中国当局がその事実を隠蔽、情報操作したことがその後の感染拡大に繋がったと伝えられている。ともかく手洗いやうがいを励行し、マスク(マスク売れ切れで、ない、ないが続いていてパニック状態。特に中国では。中国人が日本にまで来て買い占めている!)着用で当分の間終息を待しかないようだ。過剰に反応せず冷静さが必要だろう。

2020/02/07

超人の面白ラーメン紀行 269 水道橋『蜂塚』

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水道橋駅東口から神保町交差点に向かって徒歩5分ののところにあるラーメン店『蜂塚』。まだ入っていなかったラーメン店らしく、昼時に食べてみた。醤油ラーメンと餃子(3ヶ)のラーメンセットを頼んだ(税込1100円)。大山鶏のスープに麺は群馬産の小麦粉を使用した、なかなかこだわりの感じられる一杯。確かに麺はもちもち感があったが、肝心のスープがイマイチ(スープを少し多めにと頼んだのは筆者だから致し方ないか。味が多少ボケた感じだ)。新宿『はやし田』と関係あるラーメン店らしく、醤油味の中華そばが得意。JR戸塚駅近くにある『ふじ松』も確か『はやし田』の姉妹店。カウンターやテーブル席あわせて14席。1時半頃だったので客入りはそれほどでもなかった。2階は日本酒を取り揃えた居酒屋になっているみたい。狭い厨房で客がカウンターにいるのに従業員が携帯電話をかけているのにはオドロキ、店のマナーの悪さが目立った。

水道橋駅『蟻塚』1.スープ★☆☆2.麺★★3.トッピング★☆☆4.接客・雰囲気★5.価格★☆

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2020/02/05

超人のジャーナリスト・アイ 178 毎日新聞2020年1月27日(月)夕刊特集ワイド 吉原――大衆の裏面史眠る街

毎日新聞2020年1月27日(月)夕刊特集ワイド 吉原――大衆の裏面史眠る街を読んだ。遊郭専門の書店主渡辺豪さんとのインタビュー記事。この記事で興味深い記事を発見。記事によると、18年に始めた有料の「遊郭ツアー」には毎月100人弱が参加、意外なことに女性が9割占めるという。「水商売や風俗に対する偏見は薄まっており、女性のほうが純粋にサブカルチャー的な興味をそそられているのだと思います」渡辺さんが焦燥感に駆られるように、近年の人気ぶりの一方で色街に関する学術的な研究は進んでいない。「売春をポジティブに捉えることになりかねず、タブー視されてきた面がある。特に近現代の記録は少ない。でも歴史は歴史として切り分けてもいいのでは」。こう話すのは郷土史に詳しい地元関係者である。売春防止法施行直後の1960年、台東区が主に江戸時代の吉原をまとめた「新吉原史考」の序説にはこう記されている。〈この遊里の特殊性を冷静に分析することは、たとえ公娼制度が全面的に否認された現在においてすら、あながち無意味な企てではあるまい〉と。その記事を読むはこちら→毎日新聞2020年1月27日 - 20200203190143.pdf

筆者の千束界隈散策の記事を読む①はこちら➡

https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2009/05/post-d2af.html

筆者の千束界隈散策の記事を読む②(続)を読むはこちら➡ https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2009/05/post-52f2.html

 

2020/02/04

超人の面白読書 145 雑誌『すばる』2020年2月号 北野道夫「予測A」を読む 4

奇妙な想像物をこしらえて滑稽がっているシーンも。

*3 (全年齢向け)

今日も合併相手の男子校から生徒会の役員が4人来て2時間ほど議論していったが、委員会の女子たちの頭の中はチ●コのことでいっぱいだった。
男子生徒たちが退室するとき、女子生徒たちは誰も立ち上がらなかった。彼女たちの股間に生えたチ●コがはち切れんばかりに勃起していて、立ち上がれなかったのだ。
それが生えてきたのは1ヶ月前のことで、委員会の女子生徒たち全員に同時に発生した。◻◻の娘の★★も例外ではない。
女子生徒だけになると、教室はたちまち賑やかな声で溢れる。会議資料の上に携帯端末や菓子や化粧道具が広がり、会議の内容はすぐに忘れた。
「ウサイン君ってチ●コでかそうだよね」
「え―、ガダイがいいからって分からないよ。李君のチ●コ見てみたいな」
「クリス君は?」
「被ってそう」
〈中略)
こんなことは親にも教師にも相談できないが、別に問題はない。彼女たちは真っ先にクロールに相談した。
「オッケー・クロール、うちらチ●コが生えてるんだけど?」
クロールによれば、それは想像ペニス〈イマジナリー・チ●コ)というものだった。想像妊娠はよく知られているが、その前段階として想像ペニス、想像性交があり、妊娠の後には想像出産、想像子女がある。
主な原因はストレスで、彼女たちの場合は男子校との合併というストレスが、意識、無意識、物理、様々な位相で影響を及ぼしていると考えられる。

(P.45-P.46)

そしてこの物語は次のように書いて終わる。


こうしている間にも、妻は間男に抱かれているかも知れない。現在進行形で私の家族は消滅し、仕事は奪われ、社会や歴史や自然環境は誰かの都合で改変されつづけている。それなのに私は、ここでこうしてロボット掃除機の小娘のAIを相手にセクハラごっこに興じている。これも誰かの予測通りだろうか。

(P.67)

2020/02/03

超人の面白読書 145 雑誌『すばる』2020年2月号 北野道夫「予測A」を読む 3

そして、主人公が部屋でセルフプレジャー(マスタベーション)する場面。

私は部屋の机の前に一人座って、性器に血が集まって来るのを感じた。
「僕は■■さんのことを考えて毎日エロいことをしている。300回回した」
「へえ、数えてるの?」
私のもう一つ告白を、■■は電話口で聞く限りは平然と受け止めたようだった。
「引かないの?」
「男ってそういうものなんでしょう?」
きっと年上の男に教えてもらったのだろう。■■のクラスメートたち、童貞の、10代の男子たちが家で何をしているか、男なら誰でも知っていることだ。
「これからも続けるの?」
「たぶん」

(P.25)


主人公と同じ会社の女性が交流した男性と情事にふける場面。


✳2 (成人向け)

池本の陰茎が鈴木の膣に半分入ったところで、ホテルの部屋の電話が鳴った。向こう三部屋先まで聞こえるようなけたたましい音だった。池本は無視して続けようとしたが、鈴木は膝を狭めて池本の動きを制した。
「出て」
池本は鈴木と半分繋がったまま、生っ白い腕と身体を伸ばして枕の上の電話を取った。ベルが止まって静かになる。池本は憮然とした態度で応答し、受話器を鈴木に差し出した。
「きみと話がしたいって」
「誰?」
「女の人」
役立たずと心の中で罵りなから、鈴木は受話器を受け取って耳に当てた。
「もしもし」
「鈴木さん、あなたと話がしたいんだけど、一時間後に池袋に出てこられる?」
「どなたですか」
「会ったら教えてあげるわ。断るとあなたにとって面白くないことになるって、分かるでしょう?」
鈴木には朝から違和感があって、家を出るときにははっきりと視線を感じたら、すっと尾行され、今も監視されているのかも知れない。だからこんな電話に敢えて出たのだ。
「高田の差し金ですか」
「詮索は無駄よ」
池本がにやりと口を歪ませて陰茎を一気に根元まで差し込み、激しく腰を振り出す。ベッドが軋み、身体は波打ち、接合部は泡立ったが、鈴木は無表情を崩さず、平然と会話を続けた。
「今、取り込み中なんです。2時間後じゃだめですか」
「私は結構忙しいの。1時間ですべて済ませて池袋まで来て。あなたならできるわ」
電話の女は鈴木が今何をしているか分かっているような口振りだった。池本は相変わらず一生懸命腰を振っているが、鈴木にはまったく響かない。膣の中で陰茎がだんだん失ってゆく。
「なら、あなたが渋谷まで来たらどうですか?」
「嫌よ、あんなどぶ臭いところ」
池袋だって大差ないだろうと思ったが黙っていた。電話が切れると、鈴木は頭上に受話器を持っていって器用に本体の上に戻した。
「あのさ」
池本が気まずそうに見下ろしている。
「全然気持ちよくない?」
こいつは相手がよがらないと自分も気持ちよくなれないタイプか、面倒くさいな、これきりにしようかな。鈴木は両足を池本の腰に絡めて密着し、恥骨同士をぶつけた。
「我慢してたの、もう、馬鹿!」
萎えかけていた陰茎が再び鈴木の中で実体化してくる。そして最大限のそれを軽く締め付けてやると、池本はあっけなく果てた。

(P.39)


2020/02/02

超人の面白読書 145 雑誌『すばる』2020年2月号 北野道夫「予測A」を読む 2

それでは印象的な場面を本文から引用してみよう。57頁もあるのでほんの少しの引用だ。はじめの出だし36行。主人公が自分の家にいてシャワーを浴びるところからこの物語は始まる。


今、家の中には私しかいない。浴室でぬるい湯船に身を浸し、どこかに水滴が落ちる音を聞き、壁の外に広がる薄暗い静寂を感じている。
妻は5歳の長男を空手教室に連れていき、16歳の娘は土曜日なのに朝から学校に行った。最近は何かの委員会活動で忙しいらしく、土日も関係なく制服を着て出ていく。まともな企業なら働かせ過ぎで摘発されているところだ。
湯船に浸るつもりはなかったのだが、昨日遅くに帰ってそのまま寝てしまい、朝、シャワーを浴びようと思って浴室に入ったら、湯が張ってあった。おそらく娘の朝風呂の残りである。わが家では珍しいことではなく、昨日も会社の同僚とそんな話をした記憶がある。温度を確かめて、少しだけ湯を足して入った。
目を凝らすと、水面に細かいごみが浮かんでいるのが見える。娘は妻と先夫の間の子なので、私とは血は繋がっていない。純粋な女子高生の残り湯じゃないですか、と会社の後輩が興奮していたが、血は繋がっていなくとも子供の頃から知っているので、前後の脈絡なく純粋な女子高生として娘を見ることは決してない。決してないが、今や出会った頃の妻と同い年になった娘は、とても美しかった。私などの血を引かなくて良かったと思う。
妻とは6年前に結婚し、5年前に長男が生まれた。長男は生物学的にも私の子供である可能性が高い。父親譲りの運動音痴を矯正するため、空手教室に通わせているが、本人はあまり乗り気ではない。
「オッケー・クロール。換気扉を回して」
私が命じると、小さな電子音がして換気扉が回り始める。同時に、クロールは私が換気扉を付けさせたことを知っている。30分ほど前に目覚めて、まずトイレに行ったことも、冷蔵庫の気の抜けた炭酸水をらっぱ飲みしたことも知っている。それは世界中のあらゆる端末に偏在しながら、東京の中心、千代田区千代田に巨大ビルとして聳えている。もはや神にも等しいクロールに生活の細部まで把握されることを、人々は恐れなくなった。あるいはほとんど忘れた。それは圧倒的な便利さのためでもあり、無力感のためでもあり、双方の無関心のためでもある。

(P.10―P.11)


2020/02/01

超人の面白読書 145 雑誌『すばる』2020年2月号 北野道夫「予測A」を読む

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雑誌『すばる』2020年2月号の巻頭を飾った北野道夫の小説最新作を読む(P.11~P.67)


題名の「予測A」は、妄想を逞しくした結果のタイトルだろうか――。 それにしても好きですね、男女間、否、男女間とおぼしき人たちのプレイが。一歩間違えば、否、間違えなくポルノ小説、性愛小説、自慰小説だろう。自己愛小説か。ウーム、谷崎みたいにフェティシズムまでには至らない、少し抑止力が働いて醒めた感覚で自分の肉体や相手とのやり取りを捉えている。あらすじは単純そのもの(妻と子供二人のいるマンション住まいの30才後半にかかった会社員が、家のことや会社のこと、妻や子どもや会社の仲間を描く。拾って来たロボット掃除機が壊れ、直しに長野県にある会社を訪ねる……)だが(しかし、現実と夢の交差するような描写もあって、読んでいるうちに戸惑ったことも)、いろいろと仕掛けが施されていて、読者はその仕掛け(ロボット掃除機が大きな役割を果たしている。それはAIを駆使した現代の象徴的なモノ)に引きずられて非日常の不思議な空間に立ち会わせられる。何と言うことはない、少しアンニュイ感の漂う中年手前の人間のスリリングなチャレンジかも。異常な世界に誘惑されたい妄想が、仕掛けられた小道具自体を有機的に作動することによってある種の「予測」を引き立たせ、自分の実在感を曖昧にしたまま、異空間の居心地さを体験している。
夫婦間、職場での男女間そしてモノに感情移入しながら男女間の垣根を越えて、筆者的に言わせれば、溶けているようななまめかしい世界を演出している。ダリの絵のゆがんだやわらかい時計、それを白い精液で満たした感覚といったら良いだろうか。
セルフプレジャー、この言葉の何と新鮮なこと。作者は自慰行為に新たな意味を賦与した。それはかつての罪悪感的なイメージから解き放たれて軽いゲーム的な遊戯に異化し、むしろ行為自身を楽しんでいるような素振り書き振りである。私たちはこの「ネオ ポルノ ノベル」を歓迎すべきか今しばらく時間が必要かもしれない。夫婦間のあり方が変わって来ている気配、否、仮面夫婦的な様相の肥大化、それは現代の日常を切り取った一つのリアルさかもしれない。また、文章は読みやすく現代の若者言葉も多用されているが、傑作なのは、■■、★★、□□、チ●コといった人名が入りそうな言葉だったり、猥褻な言葉をすぐ想像つくことだったりと伏せ字効果を散りばめ面白可笑しくしていることだ。伏せ字にゲーム感覚的な要素を取り入れている。一つ忘れてならないことは、性別の交換可能な(願望)、いわば、男がオンナに、女がオトコになってその仕草特に性的な仕草を楽しんでいる。性倒錯とは古い概念で、むしろアニメ的な世界観の反映だろうか。男の象徴的なモノがオトコ化した女に弄ばれている。これは明らかに現代の性生活の乱用、悪戯、戯画化したとしか思えない。いやいや、やっと陽にあてられた感じなのか。現代的なフーゾクは、どっこい変容し続け、ゲーム的な進化を遂げているということなのか。誰でも抱いていて誰でも躊躇する世界を、「予測」しながら妄想を掻き立てて行く実験的な小説なのである。谷崎潤一郎、永井荷風、澁澤龍彦、渡辺淳一、アナイス・ニン、マルグリッド・デュラスなどに代表される性を扱う小説は性愛文学といわれ人間の根源的な事柄で、今までもタブーに挑戦した作家は結構いる。チマチマしていてミニマニズム風だがそういったジャンルの延長線上にある中編小説だ。

【追記】ある統計によれば、2、30年後の日本の社会は3人に1人が独身者と「予測」されている。快楽あるいは自己愛・自己欲求のために精液は大量に流される運命にあるのか。セルフプレジャーは健康に良いと見直す見方もあるが・・・。文學界新人賞受賞歴(芥川賞賞候補にも。その後しばらく鳴りを潜めていた様子)のあるこの作家は2、30年後にどのような作品を書いているのか「予測」がつきにくい。が、きっと通俗小説も書いているだろうが、筆者的には彼独特のオリジナルな領域を開拓してもらいたい。文学に何ができるかではなく、狭い文学領域にとどまらず文学を超えて書き続けてしてほしい。(2020.2.4 記)

【追記2】2020年2月4日の東京新聞「大波小波」欄に北野道夫の最新作「予測A」の短評が掲載されていた(名古屋の知人がショートメールで知らせてきた)。その記事を読むはこちら→


大波小波 - 20200206182708.pdf
少し飛躍しすぎ、深読みしすぎと思うが・・・。ジョージ・オーウェルの『1984』(テレスクリーン)の近未来小説を思わせる、千代田区千代田、改変、クロール➡コントロールねぇ・・・。それより素直に読んだ方がオモロイ、エロい。(2020.2.6 記)


【追記3】新たな書評記事を知り合いのYさんから教えてもらった。読売新聞2020年1月28日【文化欄】文芸月評。北野道夫氏は写真入り、しかも辻原登氏の脇に並んで。その書評を読むはこちら→


読売新聞書評2020年1月28日 - 20200213183506.pdf
(2020.2.13 記)

【追記4】小説関連記事。2020年年2月21日付毎日新聞夕刊特集「吉本ばななさんらを育てた名編集者 根本昌夫さん」の記事が面白い。インタビュー記事で、聞き手は毎日新聞記者の藤原章生氏。吉本ばなな、島田雅彦、石黒達昌、竹野雅人、野中柊、高山羽根子、木村友祐、嶋津輝、佐々木愛、湊ナオ、高橋陽子、高瀬隼子らのデビューに携わった名編集者で『海燕』や『野性時代』の文芸誌の編集長を経験した人。彼の小説教室が人気だという。小説を書くこととは恥しいこと、自分をさらけ出すこと、なりすますことだと。「僕は編集者だから、この人が本当は何を書きたいのかということはわかる方だと思います。すると、書いているものと書きたいものとの距離がわかり、それを埋める手伝いをしているんです。その人自身がどうすれば近づけるかということです」ここには名編集者の読み手としての確かさ、鋭敏 な感受力と眼力があるようだ。そして、「小説として読めるものが全体の5%、そのうちの5%が候補に残る。さらに、2000人の応募があるので最終候補は5人という勘定だ」という。文学賞にありつける確率は全人口の5%の5%の5%で、1万人に1人強と書く記者。才能と覚悟、文章修業の結実、良き文学アドバイザーを得て、 最後は運も味方につけることか。

その毎日新聞の記事を読むはこちら→

根本昌男夫毎日新聞夕刊特集ワイド - 20200224154718.pdf


(2020.2.22 記)

2020/01/25

超人の面白スポーツ 春の選抜高校野球で磐城高校が46年振りに出場

去年の10月、台風19号で多大な水害にあったいわき市特に平窪・赤井地区。その平窪地区の下平窪から徒歩20分、高台にある福島県立磐城高校(文武両道の進学校。今は男女共学)が、毎日新聞主催の第92回春の選抜高校野球大会の21世紀枠で46年振りに出場を果たした。いわき地方は9年前の東日本大震災・福島第一原発事故、その後の放射能による海水汚染や風評被害が続き、また、絶えず地震も多発する地域でも有名で、今回の磐城高校の甲子園出場は地域活性化、元気づけに多大な貢献をするはず。思えば1971年夏の第53回大会、小さな大投手田村投手の力投であっという間に決勝まで勝ち進んだが、惜しくも決勝で桐蔭学園に負けて準優勝。甲子園に爽やかなコバルトブルーの旋風を巻き起こしたのだ。46年後、今度はどういうコバルトブルーが見られるか今から楽しみである。

磐城高校野球部の朝日新聞の記事を読むはこちら⇒

2018年4月24日 ありがとう 夏100回これからも ちびっ子軍団 無限大.pdf


オ一エンカ


フレー フレー バ・ン・コー
フレー フレー イ・ワ・キ

フレフレ バンコー
フレフレ イワキ

陽はまたノボレ
明るく
さわかに

フレー フレー ブルー
フレー フレー ブルー

フレフレ ブル
フレフレ ブル

【追記】昨日のニュースは多少ショック。春の選抜高校野球大会が新コロナウィルス感染拡大のため中止となった。これで21世紀枠で46年ぶりの出場予定だった磐城高校の甲子園での試合は幻に終わった。(2020.3.12 記)

【追記2】いわきで新コロナウィルス感染者が出た。クルーズ船に乗船した人みたい。『福島民報』3月6日より。(2020.3.13 記)

【追記3】サンデーモーニングの名物スポーツコーナーで、磐城高校の木村監督がグランドで最後のノックをしているシーンが流れた。監督は異動で他所の高校へ。コロナ感染拡大問題で春の甲子園口開催が中止になり、残念ながら磐城高校ナインは出場を果たせなかった。この日の放送は、アッパレ、カツのジャッジはなく、あったのは張本勲氏の「胸が痛みます」という一言。しかし、広島県のことは詳しいのに福島県となると地理すら危ぶまれるほど疎いのだ。隣席のフリーアナウンサーの唐橋さんに確かめていたが、流石に大人、彼女は穏やかに対応していた。

峰は秀つ 赤井嶽
水は清し 夏井川
磐陽の学び舎に
ああ楽し 我等ともがら

この歌は近いうちに聞けるか。

本当にノックしていたグランドをテレビで観たとき、セピア色の青春の光景が浮かんだ。マラソンとサッカーはきつかったが、放課後の卓球は楽しかった。筆者は、残念ながら野球少年ではなかった。
(2020.4,7 記)

2020/01/20

超人の不思議発見 成田空港の巡回監視ロボット

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成田空港第一ターミナル4階のエレベーターから降りようとしていたら、ゴミ箱を不思議な動く物体が漁っていた。えっ、何じゃこれはと思ってしばし観察。こんなものが動いているんだと唖然とさせられたが、あとでこれが自立走行巡回監視ロボット「セコムロボットX2」だったことが判明。去年成田空港に導入されたみたい。

2020/01/19

超人の面白ラーメン紀行 268 成田空港『日本の中華そば冨田 成田空港第一ターミナル店』

今や伝説化した池袋の『大勝軒』の故山岸氏(中野『大勝軒』で修行を積んで独立。つけ麺考案者といわれている。昨夜たまたまテレビ番組でつけ麺大王を取り上げていたが―)をレスペクトして止まない松戸のラーメン店『とみ田』の店主。何年か前にわざわざJR松戸駅近くの『とみ田本店』まで行き、並んでつけ麺を食べた。厨房には店主の姿も。美味しかった!動物魚介系ドロドロのつけ麺で何度もラーメン のコンテストで優勝している実力者だ。成田空港第一ターミナル4階に出しているのが支店の『日本の中華そば冨田 成田空港第一ターミナル店』。ある人を見送りに来たついでにこの店に入ったのだ。今回は例のつけ麺ではなくチャーシュー中華そば(1230円)を頼んだ。その日の体調にもよるが、この中華そばはそれほど美味いとは思えなかった。何だろうかと少し考えてみたが、これっといった決め手が浮かばない。強いて言えば、スープが甘ったるいか。チャーシューも極上とは言えない。麺はまあまあ。場所柄客入りはいい。女子高校生のアルバイトが着ていた店用の上着に違和感が。これは一昨日食べたラーメン店でも感じたことだ。

成田空港『日本の中華そば冨田 成田空港第一ターミナル店』1.スープ★★2.麺★★☆3.トッピング★☆☆4.接客・雰囲気☆☆☆5.価格★☆


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2020/01/15

クロカル超人が行く 247 横浜駅 南イタリア料理『トラットリア イルサッジオ』

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【①『トラットリア Il saggioイルサッジオ』(saggioはイタリア語で賢者という意味らしい)のオープンキッチン。中で働く料理人の多いこと。②窯焼きナポリ風マルゲリータ。もちもち感たっぷり。焦げ具合もいい。③アマトリチャーナ(いわゆる日本の洋食のナポリタン風)。トマトの酸味が少しあって。④カルボナーラ。ほう、チーズ台。⑤ボンゴレ ビアンコ。味見はしなかったが鮮やか。⑥みんなで少しシェアしたあとのタコのカルパッチョ。こういったタコ料理もあるんだ。その形状とうすさに圧倒される。⑦イタリア産生ハムとサラミの盛り合わせ。思わずボーノと叫びたくなったほど】

横浜駅東口地下街ポルタにある崎陽軒本店の2階にある南イタリア料理店『トラットリア イルサッジオ』。このレストランでニューヨークから一時帰国した人との食事会(1名は風邪で欠席のため、子ども2人を含めて8名)。イタリアン、リーズナブルな価格、食べ物をチョイスできるなどの条件を満たすレストランをネットで探したら、このイタリアン レストランに出くわした。チョイスでき、お馴染みのピッツァやパスタ一つひとつにしても丁寧に仕上げられていて美味かつリーズナブル(一品1600円~1800円くらい)。特にここのピッツァは、薄生地だがもちもち感たっぷり。焦げ具合もいい。美味。しかし、食事のメニューを選んでいる最中にいきなり魚料理の魴鮄(ぼうぼう)丸ごと一匹が出てきたのにはビックリ。イタリアン風味の釜焼きらしい。店のデモ、本日の料理である。食べたかったが価格が少し高いのでパスした。南イタリア・ナポリのピッツァを食べさせる店は恵比寿駅東口にもあって、出来たばかりの店を並んで食べたことがある。直接ナポリの店から窯を持ち込んでの本格的なピッツァレストラン『アンティーカ ピッツェリア デ ミケーレ』だ(【最新情報】 横浜アイアンヘッドに2019年10月31日に東京・恵比寿、福岡・天神に続いてオープンした由。日本3号店。知らなんだ!)前回食事会を開催した年だから、もう7年前である。

この記事を読むはこちら→https://crocul.cocolog-nifty.com/callsay/2012/12/71-7e47.html

【追記】忘れていた、ムール貝を食べるのが。ここのメニューにあった!ニューヨークで地中海料理の一つ、レバノン料理店(ブロードウェイ42、3丁目あたり)に入ってバケツ一杯のムール貝を赤ワインを飲みながら食べたのを思い出した。


ナポリピッツァ


ナ―ポリ フォルチュル ナ―ミヤ
(Napoli, fortuna mia)
なあ ポリス 星降る 波間
空耳 ソラ ナポリ

ピッツァ ニューヨーク
ナポリタン ヨコハマ

グラッチェ
アモーレ ミーオ

母音がカワイイ
母音が跳ねてる

ピザももちや
パスタもホウトウや

小麦粉のシルクロード
シルクロードの食べ歩き

ナ―ポリ フォルチュル ナ―ミヤ
(Napoli, fortuna mia)
なあ ポリス 星降る 波間
空耳 ソラ ナポリ

2020/01/11

クロカル超人が行く 246 カレー店『オードリー』

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オードリーのかつカレー。

勝つ彼いつも離さずオードリー

泳ぐ野菜にかつ添えにこり

かつカレー辛さ負けるな寒さかな

スープカレーうまさ辛さも色次第

2020/01/09

クロカル超人が行く 245 東京駅周辺みたび KITTE

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【写真: ①こだわり抜いた茨城ブランドのコーヒー店『SAZA COFFEE』のGeisha coffee。一杯なんと1000円、レギュラーコーヒーと飲み比べてと。少し張り切り気味の女性店長は名刺まで出して。②催しものコーナー(兵庫県豊岡市は革製品で有名。その展示品)。その前ですっかりニューヨーカーになった人と記念写真。背景の松、待つわの小宇宙(笑)】

2020/01/05

2020年 新年の詩 「2020ねん オリンピックいや」

2020ねん オリンピックいや


2020ねん オリンピックいや
トウキョウはオリンピック前から
外国人で溢れている

ゴールデン街
新橋の居酒屋
もちろんトウキョウ外の
富士山に
京都の祇園も

なぜか英語と中国語が
飛び交うジパング

おみやげはトウキョウ発の
カプセルホテル

ロシア
イギリス
シンガポール
そして中国

まだまだ増えそう
宇宙船カプセル号

2020ねんオリンピックいや
何やねんトウキョウ

ツキジを退かし
トヨスに移し
ついでにマラソンまで
北の大地サッポロに

オリンピックいや
暑い日に
タイフーが来るかも
みんな一つの資本に喰われ
クタクタになるまで戦うの

誰のため
誰のため

第一次大戦後のヨーロッパを
“荒地”と詠んだT.S.エリオット
そしていまチキュウは
温暖化・気候変動に苦しんでいる

すでに現実を
剥ぎ取りはじめた

北極・南極の氷河の溶けかたが半端ない
オーストラリアの山火事の大きさも半端ない
フィリピンや日本のスーパータイフー
西インド諸島やアメリカの大ハリケーン


チキュウが壊れているのに
チキュウが荒地化しているのに
お祭りしてていいの
あと10ねん もたんかも

争いはハケン主義のエゴのカタマリ
資本主義も社会主義も
右も左も
チキュウという泥船に乗っている

チキュウを救え
チキュウを救え


人間の側に寄り添うことが
できない為政者よ
シンジロウ
シンジオウ
なんてまっぴらおかしい

2020ねんオリンピックいや
やめとけばいいのに

年のはじめに
脱出劇とは大胆不敵
ビックリぽんや
浮かれたジパングに
鐘をひとつ鳴らして消えた

飛んでイスタンブール
ああ 異邦人

2020ねん オリンピックいや
ニーゼロ ニーゼロ

閉じた響き
いややねん


2020.1.5



2019/12/26

超人の面白ラーメン紀行 267 文京区本郷 『札幌ラーメン三好』

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先週の土曜日の本郷界隈散策で出くわした札幌ラーメンの店。この時もう一つ眺めた本郷の古本屋の一つ、森井書店に草野心平関係の古本を買いに来たのだ。ネットで探していたらここの古本屋にぶち当たったので、電話してすぐ駆けつけた。で、遅いランチにとこの札幌ラーメンを選んだのだ。要は札幌系の味噌ラーメンしかも素朴な味噌―西山製麺の黄色い縮れ太麺、多めでシャキシャキ感のあるモヤシをはじめたっぷりの野菜、大きいチャーシュー、あふれるほどのコーンとバター、そうそう、1980年代の札幌駅から大通り界隈にあったラーメン店の味を求めて―を食べたかったのだ。
味噌バター(910円)を頼んだ。無料だったのでモヤシそれにスープも追加した。一啜りの感想は似て非なるもの、ナンチャッテラーメンで出汁がイマイチ、インパクトがない。平べったく縮れているようでいないような中細麺、モヤシは茹で過ぎてシャキシャキ感はほとんどない、バターは少し小さいとナンチャッテラーメンそのもの。その中でもチャーシューだけはまあまあ。全体的に小ぶり、あの大ぶりの素朴な札幌味噌ラーメンはどこへ行った? 見れば中国系のラーメン店の様子。客は3、4人いたか。店内も少し暗い感じ。折角期待して入ったのに、これでは看板倒れだ。

文京区本郷『札幌ラーメン三好』1.スープ★☆2.麺☆☆3.トッピング★☆4.接客係・雰囲気☆5.価格★

【追記】穴あきスプーンは使わなかった、いな、使えなかった、必要なかった、邪魔だった(笑)
【追記2】偶然にコンビニで新発売のカップラーメンの札幌ラーメンを見つけ試食。スープはリアルなラーメン店顔負けの味だ。(2019.12.26 記)
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2019/12/23

クロカル超人が行く 244 本郷 根津 谷中 千駄木 日本橋 秋葉原

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アメリカはアトランタに住んでいる友人一家(奥さんと息子)が一時帰国。一日筆者の案内で下町散策をした。総歩数、25000歩。下記は所々で撮影した写真。


【写真説明】

❶東大赤門前で記念撮影。このあと構内のショップへ。東大が独自に開発したアミノ酸もの。日本酒、ボールペンなど文具類、ネクタイまで揃えた東大グッズが所狭しと置いてある。❷金魚坂。創業350年、カフェも兼ねた錦鯉の卸問屋。開店前、いけすの金魚見て終わりに。❸金魚坂の幟。❹金魚坂外観。名物黒カレーは案内板で。❺『たけくらべ』や『にごりえ』などで有名な明治時代の作家・歌人樋口一葉が貧乏時代に通った旧伊勢屋質店。今は跡見学園の持ち物。❻菊坂下道沿いに住んでいた樋口一葉も使ったという井戸ポンプ。❼梨の木坂にある明治30年代に建てられた旅館鳳明館。アトランタ一家は興味津々。次はここに泊まるのかしら。❽弥生美術館・竹久夢二美術館。この日は雑誌『なかよし』の原画展開催で女性陣多数来館。夢二のメランコリックな世界に魅了される。“かわいい”の先駆者。着物姿の女性の顔の形、目、口の描き方が独特。その色使い、造形美。アトランタの主がこれ何と読むんだっけと説明文の“寡黙”を指した。カモク、silenceと思わず言い換えみたいに応えた筆者だったが、すかさず、not talk very muchだと主が呟いた。流石、アメリカ生活が長いだけある。❾高級魚や松本で北海道のもことこ産の蜆(150g、900円)を購入(夜、試食したが大きくてやわらか、美味)。狭い店内に高級食材がコンパクトに並ぶ。このマグロは美味しいよと店主。小さなマグロが2000円!❿SWEDEN GRACE店内。スウェーデン製の鍋敷きを購入。⓫猫好きの女優の川上麻衣子さん(本人に許可をいただいて撮影)は猫町にお店を。⓬川上麻衣子さんの北欧グッズの店外観。⓭千駄木の中華料理店『天外天』でランチ。ここは地下鉄千駄木駅すぐ近くにあった時から何回か訪ねている。特に麻婆豆腐とザーサイが美味。遅いランチ後日本橋へ。コレド室町テラス2階『誠品生活』のカフェコーナーのタピオカミルクティー。ウーム、これがタピオカ?? 雑貨を見たあと書店(有隣堂)を一巡。ジャンルで区切られた本や雑誌が並んでいて見やすいが客入りがイマイチ。⓮鉄板200℃秋葉原店のコースメニュー。


トウキョウに
師走姿の
エトランジェ


はにかみ屋
日本語届かず
冬明かり


老夫婦
冬空あおぎ
一安堵


【追記】本郷界隈の樋口一葉旧居跡、谷中コジャレ界隈で浴用束子を購入し、となりの『Bangobooks』で草野心平の本をゲット。


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2019/12/21

超人の面白読書 144 井上萬葡『オシャレなスイスワイン 観光立国・スイスの魅力』

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【写真: ⑦⑧日英語による本書の要約】

 

 

ボジョレー・ヌーボーの季節に新たなワインについての蘊蓄を傾けた、いな、芳香な香りを文章から嗅ぎ取れる本が出た。井上萬葡著『オシャレなスイスワイン 観光立国・スイスの魅力』だ。著者は日本で唯一のワインジャーナリストで在日スイス商工会議所会員(SCCIJ)。外資系のホテルなどでワインセミナーの講師も務めている。いわゆるハウツーものではなく、本格的なスイスワインと文化について書かれた本で、著者の熱量が充分に感じられるオシャレで素敵な本だ。最新情報を盛り込みながら、スイスワインの歴史、産地と特徴、古城めぐり、芸術家、20年に一度のワイン祭り、チーズ・ワインの食文化、自然農法、詩人リルケのエピソードなど内容は多岐にわたりしかも濃厚。タイトルが示しているようにスイスワインの言及はもちろんのこと、文化や観光までわかりやすくていねいに解説していてガイドブックには最適だ。口絵のスイスワインの産地イラストマップ(写真③)や未だにファンの多いオードリー・ヘップバーンの墓(写真④)、ブドウ畑に植えられた薔薇(写真④)、裏表紙(写真②)や本文に挿入されたスイスワイン祭りのカラー写真(写真⑤⑥)も際立った光彩を放っている。現地に行って困らないように問い合わせ先のURLや現地語をルビ付きで表記したりと著者の思いやりが感じられる本でもある。一読して“いいね”が何度もつきそうな好著。ここでスイスワインと文化についてほんの少し触れてみたい。筆者も青春時代に書いた小さな冊子の冒頭にリルケの『ドウイノの悲歌』から詩句を引用したことがあった――。今となっては遠い昔の出来事だ。リルケが書いた葡萄に関する詩を本文から書き写してみよう。

 

雪の名ごりは
日増しに消えて
灰褐色の土肌が
またあらわれる もとの場所に

 

敏捷な鋤がもう働いている
人は思いだす 緑が
特に好きな色であることを

 

丘の斜面にひとは結う
やがてやさしい四目垣を
葡萄に手を貸してやるがいい
葡萄はお前を知って 身をさしだす

 

(中略)

 

なんと倹(つつま)しいのだろう 葡萄は。
ほとんど花もつけないで
ただ未来の香りをそっと放っているばかり
それは苦労した土地が迷信深く
約束をしないでいるかのようだ

 

(中略)

 

オルガンの鍵盤のような葡萄山の段丘よ
一日中 日光がそれをたたいている
それから興える葡萄の蔓から酒杯へと
鳴りひびいていく移調よ

 

―R.M.リルケ著、富士川英郎訳『ブァリスのスケッチ七篇 或はささやかな薔薇の年』より
(本文P.146~P.147)

 

スイスワインと言えば、希少価値のあるワインで価格は少し高めだがひょんなことから愛飲している―といってもクリスマスシーズンくらいだが―スイスはバーゼル ラント州のセルビルとクルースで生産しているGschwind ゲシュビントワイナリーのSteibängler Pinot noir シュタインバングラ―〈赤〉だ。口当たりが良くなめらか、初心者向きのワインでもある。
Pic00000d _20190807_200232 【写真: 代表的なブドウの品種のPinor Noir ピノ・ノワールとChasselas シャスラ(本書P.28 主なブドウ品種を参照)】

 

本書を読めばあなたもワイン通 !! 読んでから飲むか、飲んでから読むか。さて、あなたならどうする?

 

井上萬葡著『オシャレなスイスワイン 観光立国・スイスの魅力』 CPCリブレ No.11 エコーする〈知〉 定価1800円+税
2019年10月25日刊行 クロスカルチャー出版
本書は書店やアマゾンなどネット書店などで購入できるようです。興味のある方はクロスカルチャー出版のホームページを参照されたい。
URL: http://crosscul.com

 

 

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【追記】【大垣書店の大垣守弘社長と本店店長】

 

 

【追記2】著者から写真が送られてきました。紀伊国屋書店天王寺MIO店やジュンク堂大阪本店の一角に本書が。みなさん、手にとって読んで見てください。(2019.12.15 記)

 

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【追記3】朝日新聞2019年12月19日朝刊の広告。
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【追記4】『図書新聞』2020年1月11日、月刊『たる』2020年1月号に書評が掲載されたみたい。(2019.12.26 記)
その書評を読むはこちらです⇒

図書新聞・雑誌たるの書評 - 20191226211718.pdf

 

👀【追記5】2020年2月23日付『京都新聞』に内容を的確に捉えた書店人の書評が掲載されたみたい。因みに、記事の提供は某書店のM社長です。
その記事を読むはこちら➡Image0 👀その前に書き手の方から送ってもらったものはこちら→

京都新聞書評欄 - 20200224160353.pdf

 

👀本書のP.64~P.68には「ホラー小説の招待」、『フランケンシュタインFrankenstein』と『吸血鬼Vampyre』ができるまでが書かれているが、筆者は偶然にも土曜日の昼にスカパーで2017年エル・ファニング主演の映画『メアリーの総て』を視聴した。それで本書を思い出したのだ。その映画の内容等についてはこちら⇒https://gaga.ne.jp/maryshelley/  (2020.4.27 記)

 

2019/12/19

超人のジャーナリスト・アイ 177 谷川俊太郎作 国境なき医師団に寄せるの詩

毎日新聞の日曜版に出たばかりの詩人谷川俊太郎さんが、今度は毎日新聞2019年12月18日の夕刊に国境なき医師団の展示に寄せた詩を書いた。


国境なき医師団に寄せる


傷ついて赤い血を流し
痛みに悲鳴を上げるのは
敵も味方もないカラダ
ココロは国家に属していても
カラダは自然に属している

肌の色が違っても
母の言葉が違っても
信ずる神が違っても
カラダは同じ
ホモ・サピエンス

続きを読むはこちら→

毎日新聞に掲載された谷川俊太郎の記事 - 20191219125414.pdf

先ごろアフガニスタンで銃で撃たれて亡くなったペシャワールの会現地代表で医師の中村哲さんもそうだったが、武器で平和は解決しない。紛争地の人々に治療を続けている国境なき医師団(MSF)が難民や避難民の苦しみに焦点を当てる展示を都内の千代田区外神田のアーツ千代田3331、1階のメインギャラリーで22日まで開催中。毎日新聞の記事から。

2019/12/18

クロカル超人が行く 244 関西学院大学構内の紅葉 2019年 VS 2018年

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今年と去年の紅葉の色づきがわかる写真。関西学院大学構内だが、撮影した場所が正門から少し左側の経済学部・商学部研究棟近く(今年、2019年12月11日撮影)と正門から奥右側文学部研究棟近く(去年、2018年11月30日撮影)のもの。

紅葉色ボルドー色になりにけり

2019/12/16

超人の面白ラーメン紀行 266 JR・横浜市営地下鉄戸塚駅『らぁ麺 ふじ松』

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駅周辺をちょっと数えただけでも15、6軒が犇めくラーメン激戦区戸塚に新規参入したラーメン店『ふじ松』。新宿、池袋、横浜駅にあるラーメン店『はやし田』の姉妹店で和食をイメージした淡麗系ラーメンだ。日曜日の夜に寄って、早速醤油らぁ麺(800円)を頼んだ。少し待って出てきたラーメンは見た目小さな感じのどんぶりで、トッピングもシンプル系。半透明な大山鶏スープを一啜り、旨味成分を凝縮したような味わいだが少し甘さが。コショウを借り入れたら甘さが中和された。ストレートの中細麺は、かん水の臭いが少し鼻につき(この臭いは久し振りだが)、麺が思ったより硬い。美味だが微妙な味わい。今までの淡麗系ラーメンとは一味違っていた。さらにトッピングの低温処理した肩ロース豚と鶏むね肉のチャーシューのやわらかさ加減も美味だが微妙。穂先メンマとほんの散らしたネギ、すべてはシンプルに仕上げた感じだ。
カウンター12、ボックス16の計28名が入れる店内、厨房が広くしかもスタッフの数も7名と普通のラーメン店より多い。スタッフも元気よく応対していた。客入りはまあまあ。ラーメン500円など企画ものもあってか並んでいるらしい。すぐ近くには10月に開店した会津系それに故佐野実の支那そばや本店、横浜家系と老舗や新興ラーメン店が並ぶ。このラーメン店は、トツカーナ1階通り側の焼き鳥屋『小路』やカレー屋『千吉』のあとになるが、さて、ラーメンビジネスが吉と出るか見ものだ。最後に一言、内装の和風仕立てには更なる工夫が必要かも。
JR・横浜市営地下鉄戸塚駅『らぁ麺 ふじ松』1.スープ★★☆2.麺★★☆3.トッピング★★☆4.雰囲気・接客★★5.価格★★

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2019/12/12

クロカル超人が行く 243 大阪難波 フランス料理店『草月』

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【特選黒毛和牛フィレステーキコース】

①食前酒アスティスプマンテ
②オードブルサラダ盛り合わせ
③フォアグラのポワレ
④本日のスープ コンソメ
⑤旬の新鮮魚のムニエル
⑥特選黒毛和牛フィレ肉のステーキ
⑦デザート盛り合わせ
⑧コーヒー
飲み物はビールと赤ワイン

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【写真の時計は動いていた!】


師走の浪花の夜
老舗のフレンチ
ワンコースに花が咲き

美味
C'est si bon

ワイン本とウィスキー会社の話
ええよ
ええよ


そうして
ミナミの夜は更けた

2019/12/11

クロカル超人が行く 242 大阪ミナミ『法善寺横丁』

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大阪ミナミのこの一角は火災があって一時どうなることかと心配だったが回復した模様。“包丁一本さらしにまいて・・・”と唄った藤島桓夫の名曲『月の法善寺横丁』、大阪人“聖地”の『法善寺』。30代に当時の取次店のY常務に案内されたところで、めっちゃ懐かしい。今回浪花の女性にガイドしてもらい、水かけ不動で祈願。そして、夜の法善寺横丁をチラリと覗いて、近くのホテルの36階のラウンジで浪花の夜景を楽しんだ。眼下に一際目立つ“御堂筋線のニーオンライト”がとてもきれいだった。元『新歌舞伎座』の写真に変身・変容の紆余曲折を語るより、浪花のど根性とユーモア精神が感じられるモダン建築の方に目を向けた方がよりリアルさが感じられる。そうそう、霊柩車を連想させる(その日本独特の霊柩車が今モンゴルでも走っているとか)。冠婚葬祭業大手の『ブルゴ』が、つい最近『ホテルロイヤルクラシック』の名前でオープンしたホテルだという。この向かいにはぼでじゅうの看板が見えるが、そこは昔『ナンバブックセンター』という書店があったところ。もちろん親会社はぼでじゅう。酒好きの鹿児島出身の書店員がいた。高島屋から転職した男性で、故郷の英雄、西郷どんがよっぽど好きらしく讃えること讃えること、それは尋常ではなかった!彼とは道頓堀でよく呑んだ。後年その店がみのもんた司会の店再生番組で取り上げられ放送された時には驚いた。古き良き時代の一幕である。

2019/12/10

超人の面白北欧映画鑑賞 スウェーデン・デンマーク合作映画『 リンドグレーン』

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12月上旬はスウェーデンのストックホルムではノーベル受賞式の時期。今回ノーベル化学賞を受賞した吉野さんが英語で専門のバッテリーに関する内容を動画を入れて分かりやすくスピーチしている映像がテレビで放映された。舞踏会に出なくてもいいならと出席したらしいが、何とも庶民的で微笑ましい。
そんなスウェーデンの恒例の行事のなか、昨日(2019年12月7日)から劇場公開中のスウェーデン・デンマーク合作映画『リンドグレーン』を岩波ホールで鑑賞。『長くつ下のピッピ』など多数の著作があるスウェーデンの児童文学者アストリッド・リンドグレーンAstrid Lindgrenの若き日の苦悩を描いた秀作。偉大な児童文学者にも光と影が――。その影に光をあてた10代後半から20代前半の、言わば、思春期の若い女性の屈折した姿を追った映画だ。作家としてデビューする前――その子ども時代の体験が後の傑作を生み出す――のよくある話で、自我に目覚めた身勝手な少女がやがて大人の女に変身していくさまをリアルに描き出している。ここには女性監督の厳しくも優しい眼差しがある。
スウェーデン南部のスモーランドで農場を営む敬虔なクリスチャンの家庭。アストリッド(ヒロイン)は、家の手伝いをするも反抗的な10代を過ごす。教区の委員を務める父と無口だが気丈夫な母それに兄妹弟と自然豊かな農場で働くアストリッドは、文才があることを父親に認められるも反抗的な思春期を迎えたのか、村の遊技場に顔を出すなどしてグレ始める。そんなとき父が小さな新聞社の助手の仕事を見つけてアストリッドを預けるが、新聞社の主は離婚寸前、精神的に追い込まれた状態で、ふと若い少女に目がくらみ過ちを犯す。やがてアストリッドは子を身ごもり思い悩む。はじめは村の噂など世間体を考慮して、新聞社の主の言うとおりにストックホルムに出て秘書の学校で学ぶが、同僚にデンマークで一人で産める場所があることを聞きつけ、そこで生むことを決心してデンマークの女性弁護士のもとへ行って産む。新聞社の主の離婚が成立するまで産んだ子どもを預かってもらうも、その主は離婚裁判成立を金銭で解決(はじめはかんつう罪で刑務所行きと言っていたことを信じ覚悟していたアストリッド・・・)。アストリッドは不祥事を金銭で済ました主の軽率な行動に怒り、子どもラーシュを一人で育てることを決意する。が、子どもを引き取って育てるが、離ればなれに暮らしたことがかえって災いしなかなかなつかない。出版社の編集部に職を得て仕事と子育てを両立させようと懸命につとめるもうまくいかず悩む。そんなとき上司であるリンドグレーンが何かつけ面倒をみる。やがて二人に愛が芽生える――。映画はここで終わる。このあとはリンドグレーンの助けもあって、作家デビューを果たす。力強く生きる女性と子どもへの愛情をたっぷりかけた子どもための物語を紡ぎだしていく。それは苦悩した思春期があったからこそ可能だった・・・。
スウェーデン南部のノスタルジックな美しい田園風景、田舎と都会をつなぐストックホルム行きの蒸気機関車、さらに船でデンマークに渡る二国間跨ぎ、いずれも精神的には苦痛の時期で、見える景色はいかほどだったか。それを醸し出すには余りある秋冬色、何となく陽射しのないモノトーンの世界を演出。しかし、強く生きる意志に、そう、ベートーベンではないが、苦痛を乗り越えてやがて歓喜に至る――。驚きに値しないかもしれないが、筆者が昨夏訪ねたストックホルム市立中央図書館の2階で、ヒロインアストリッドが苦悩についての本を借り出すシーンに出くわしたときには思わず親近感を抱いた。

忘れていた、最初と最後のシーン。作者とおぼしきおばあさんが、自分の部屋で本を読んで励まされた読者からの手紙を読んでいるところから始まり、ラストシーンもここへ戻る。2000年のはじめに亡くなったが長生きしたようだ。彼女の作品は世界中で読まれていてその数は膨大だ。

上映時間: 2時間03分。岩波ホールで2020年2月7日まで。

2019/12/06

クロカル超人が行く 241 相鉄・JR新駅「羽沢横浜国大駅」

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2019年(令和元年)11月30日に相鉄線がJRと乗り入れ、海老名から新宿まで30分くらいで結ばれた。たまたまこの辺に用事があったので、新駅「羽沢横浜国大駅」に立ち寄ったのだ。試しに横浜国大まで歩いてみたが30分ほどかかった。初めてで要領が掴めず遠周りしたかもしれない。駅周辺は更地でこれからといったところ。しかし、横浜国大へは密集する住宅街を通り抜けて行かなければならない。いずれにせよ、横浜国大へはどのルートもそれなりに時間がかかるようだ。

2019/12/04

冬の花 シクラメン

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シクラメン。冬のひざしをあびて何と色鮮やかなこと!
シクラメンといえば、四半期前に布施明が唄った「シクラメンのかほり」がチョー懐かしい。
彼の叙情的な唄が瞼に浮かぶ。元はといえば、あの小椋桂の作。彼の唄い方にはギター片手にもの静かに淡々と唄いあげる印象が強い。そこに人をひきつける魅力が隠されていたかも。彼ののびやかな声調とともに。ここ最近のことばで語れば、ええよ、ええよ、かな(笑)。


シクラメン今年もツヤふやし窓ガガミ


師走3日、晴。暖気。

2019/12/02

クロカル超人が行く 240 横浜中区 県立神奈川県立文学館「中島 敦展」余滴

「三月記」

唐の玄宗皇帝の時代。李徴は、若いころから学問に秀で、科挙に及第して官吏となったが、片意地で協調性がなく、人と交流することもほとんどなかった。下級官吏でいるよりは、詩人として名を残そうと役人を辞めるが、文名は上がらず、果てに失踪してしまう。
失踪の翌年、同じく官吏で、李徴の数少ない友人であった袁さんが、役目で山道を行くと、猛虎に遭遇する。「危ないところだった」と呟いたその声は、紛れもない、失踪した李徴のものだった。李徴は、己の数奇な運命を静かに語り出す。


「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」によって虎と化した男の独白を通じ、人間心理の深淵に迫ったこの作品は、発表から80年近く経ったいまも、広く読み継がれている。
李景亮撰「人虎伝」という中国の古典をもとに書かれてはいるものの、「人虎伝」と「山月記」では、李徴が虎と化した理由が大きく異なっている。また、自筆ノートからによると、(中略)「ボク場合、自尊心といふやつが、猛獣でしたよ」と書いている。
―図録「中島 敦展 魅せられた旅人の短い生涯」P.42より

2019/11/21

超人の面白ラーメン紀行 265 小田急町田駅『一番いちばん』再訪

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約4年半振りに訪ねたラーメン店『一番いちばん』は、昔懐かしの醤油味と平打ち麺が持ち味の中華そば。今回は豪勢な特製ラーメン(1000円)をチョイス。チャーシューがチョー美味だった。見た感じ、あわてんぼうの年配の愛嬌のある女性とマイペースの男性とのコンビが絶妙だ。

晩秋の色づいた味また楽し

2019/11/11

クロカル超人が行く 240 横浜中区 県立神奈川近代文学館「中島 敦展 魅せられた旅人の短い生涯」

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11月10日の日曜日は、スーパー台風19号など甚大な被害をもたらした被災地に配慮して延期になった天皇陛下即位のパレードがあった日。筆者たちは中島敦展を観に港の見える公園近くの県立神奈川近代文学館

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に出向いた。きっかけは定番の高校国語教科書の文学作品、中島敦の『山月記』が掲載されなくなる懸念があることを雑誌で読んだからでまた、ちょうど館のメールで開催を知らされたことで観にでかけてみようと思ったからだ。まさにタイミング良い企画展だ。そのことを如実に伝えるコーナーが最後の方にあった。そこには戦後すぐ採用されるきっかけとなったエピソードと実際に教科書に掲載されている文学作品等が解りやすくディスプレイされていた。『山月記』の位置は断トツに1位。過去に何度か中島敦展は開催されたらしく、今回は中島敦が国語編修書記官として赴任した南洋諸島にフォーカス、作家池澤夏樹のユニークな解説付きだ。2時間20分(11時50分~14時10分)、夏目漱石の書斎を再現した常設コーナー(獅子文六、大佛次郎、吉川英治、岡本かの子など横浜、神奈川にゆかりのある作家をコンパクトに展示・解説)も再度拝見したのだ。

中島敦展 魅せられた旅人の短い生涯 Nakajima Atsushi―A Brief Life of an Enchanted Wadererの図録(スペースの都合上一部割愛)を見るはこちら→中島敦図録 - 20191113193714.pdf

2019/11/08

クロカル超人が行く 239 東京・丸の内『ロイヤルコペンハーゲン東京本店』

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東京・丸の内にあるロイヤルコペンハーゲン東京本店。贈答用に来年のイヤープレートを買い求めに寄った。ついでに店内メインのディスプレイをパチリ。もちろん店員に許可を頂いて。まわりは丸の内の高級ブランドが並ぶ一角。

【ロイヤルコペンハーゲンの2020年イヤープレート商品説明】
2020年のイヤープレートは、暖かな羽をまとった小さなメンフクロウが、歴史あるコペンハーゲン大学の片隅から聖母教会の鐘の音に耳を傾ける姿を描いています。
フクロウは、コペンハーゲンの人々が壮大で静寂に包まれた教会に入り、ベルテル・トーヴァルセンの壮麗な彫刻の美しさを堪能している様子を近くで見守っています。
今年のモチーフもアラン・ターキルセンによってデザインされました。

2019/11/07

クロカル超人が行く 238 水道橋 庭のホテルレストラン『DINNING LEIU ダイニング流』でランチ

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JR水道橋駅徒歩5分のところにある『庭のホテル』レストラン『DINNING LEIU ダイニング流』で、大阪からの賓客を初めてフレンチコース料理(ランチタイム)でもてなした。上品な味わいで季節のものを盛り込んだ料理だ。カメラに収めるはずがつい話に夢中になり、気づいた時にはデザートが来ていて、それを撮るのが目一杯だった。このレストランは旬の野菜やハーブが自慢のランチらしい。もちろん供された5品すべて美味だったが、何せ食べ慣れていないため見た目はどれも新鮮だ。大きめのお皿に盛り付けられた料理の上品なこと(美味しく見せる余白の美とか)、これがフレンチ、いやいや、庶民にはお皿は小さ目でもっと量があってほしいと勝手に想像してしまったほど(これでは美味しく見えないとか)。意外にもオリーブオイルをつけて食べるフランスパンが美味。店のオススメのブルガリア産赤ワインは(筆者にはそうみえた)が、渋味がほとんどなく飲みやすかった。スイスワインの話で盛り上っているのにブルガリアワインである(笑)。欧州つながりしかもお祝いということでカンパーイ🍸。

リュウランチコース・パン・コーヒー付き    

前菜
ズワイガニとフレゴラのセルクル仕立て
→ウーム、わからない、カニ君と組み立てた“工芸品”ぽい、味は意外と淡白。

スープ
本日のスープ ポテトスープ
→マイルド、この味ならスープ好きの筆者にもわかる。

魚料理
真鯛のポワレ ブロッコリーのコキヤージュソース
→上品、淡白そしてやわらか。美味。

肉料理
山形豚肩ロースのグリル マディラソース
→やわらかいポーク。

デザート
紅玉とアールグレイのムース ドーム仕立て
→ほとんどデザートなるものは食べない筆者だが、ムースねぇ、スムーズと頷いた。
それに形状がユニークなアイス、もちろん冷たくて甘い。そして色彩の妙技を堪能。

量は少しだがそれぞれ違った味わいのするソースがいい。

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【写真:レストラン『ダイニング流』のランチコースメニュー】

2019/11/06

超人の面白読書 146 雑誌『すばる』2019年7月号 特集「教育が変わる 教育を変える」ほか 4

昨夜のテレビ報道で、ついに英語民間試験から新共通試験の国語の記述式試験も問題になってきた。受験生はこの時期に揺れ動く文科省に迷惑千万だろう。一連の改革に疑問を呈し高校長などが文科省に嘆願しているにもかかわらず、強引に押し通そうとしている。そもそも制度設計が盤石ではなかったのだ。今日、国会でこの問題で熱い論戦が繰り広げられるそうだ。教育は百年の計と言われるが、将来ある人材を目先に振り回されずパースペクティブな視点で捉え直し、知見を擦り合わせて制度設計してほしいものだ。大袈裟に言えば受験生は将来がかかっているのである。政策立案する政治家や官僚の劣化が酷い。国民のために奉仕しているのか疑わしいと言わざるを得ない。受験生は今まで積み上げてきた蓄積が本番で役立たなくなる危険性も孕んでいるのだ。国語の記述式問題では採点の段階で客観的にどう数値化するかが難しいかも知れない。採点する方の高いレベルでの判断が必要で、時間もかかり採点側の主観も入ることは歪めない。それとここが問題である―採点する際にアルバイトを使うということ。50万人受験生の採点がアルバイトの判断に委ねられていることへの危惧だ。

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