書店事情

超人の面白書店発見  東京豊島区池袋 ユニークな書店『天狼院』

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何ともユニークな書店が去年の9月に池袋にオープンして話題になっている。たまたま新聞のラテ欄を見てBS11のニュース番組を観たのだ。この書店にはコタツがあって長時間読書や飲み物も自由、棚構成もテーマ別さらに部活的な素人ぽい試みも行われていて、今までの書店のイメージをガラリと変えた小さな書店である。場所はジュンク堂池袋店から徒歩5、6分のところにある、これまたユニークな店名の『天狼院』。ただ単に音の響きが良いから付けたらしい。三浦崇典(みうらたかのり)店主(36才)は大手書店に勤めた後独立、ネット行き過ぎの最近の書店事情を逆手にとって生き延びられるリアル書店を開業。店のコンセプトは本を売るだけではなく体験する、リーディングライフそれに自由に楽しくだ。だから棚も客の要望に応えて構成したりと本の可能性を試行。アイデア次第ではどんどん試みが広がる。未来型の楽しい書店だ。開店3ヶ月で黒字を出したとテレビ出演で三浦店主が語っていた。マジシャン講習、写真講習ではプロカメラマンに指南を仰ぎ飛鳥公園まで出向いての写真実写会、ファナティックな読書会など奇抜なテーマで実践。まだ開店して5ヶ月だがやればできる実例だ。アイデアだけで終わらないように“あきない“は地道な継続が大事だから頑張ってほしい。この書店の可能性に期待したい。

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超人のニューヨーク訪問記 2013年初夏 余話 2 ニューヨークの老舗書店『St.Mark's Bookshop』

O氏から最近はブログ更新していませんね、と催促めいた言葉を頂戴したばかり。実はこのブログに連載した『超人のニューヨーク訪問記 2013年初夏』を編集・製作中なのだ。これが簡単に出来上がると思って取りかかったまではいいが、デティールを追ううちにドツボに嵌まって難儀してしまった。カタカナ語の表記やつぶやき風の間投詞の処理、英文表記と校正やレイアウト、文体の敬体の“落ち着き具合“、漢字とカタカタやひらがなの割合、新しいアイデアの挿入是非、字数、起承転結、文章癖、全体の文章のリズム、表紙デザイン、写真の取り込みと選択等々あって、わずか50ページ足らずの旅行記はまだ筆者の手を離れないでいる。

下記は『超人のニューヨーク訪問記 2013年初夏』に新たに収録した文章。

出版不況の中、日本の書店も廃業・閉店が叫ばれて久しいですが、今度は神戸の元町で長らく書店業を営んでいた海文堂が廃業と毎日新聞が伝えていました。以前には小規模の書店が消えて行きましたが、今や中規模の書店も廃業・閉店に追い込まれていて、何と2000年に21,000店以上あった書店が2013年5月時点では14,000店に激変しているようです。理由は大型書店チェーン店の進出ばかりではなく、アマゾンなどに代表されるインターネット書店の大躍進で苦境に立たされてきたというのが実情のようです。注文から到着までのスピードが速く、普通の書店では到底叶わないシステムに打ち負かされたことのようです。読者もこのシステムに慣れされてしまって、もはや書店注文には時間がかかることが書店買いを減らしている理由でもあるようです。その対処方法は一部の大型書店みたいに図書館化する書店の展開だとも言い張る関係者も。
さて、ニューヨークの書店事情ですが、ミッドタウンにある某書店のI女史は、自分が勤めている店も日本書を大幅に減らし価格を少し落として洋書を増やし始めましたと。
こちらは日本人対応の店から脱却を図る品揃えを展開中でした。弁当、カフェ、ブティックにコミックと品揃えが替り始め、かつての書店のイメージからだんだん遠のくかのような印象すら受けました。そしてI女史がヒフィスアベニューにあるアメリカの書店チェーン店も存続の危機に晒されていますと。また、彼女がニューヨーク大学近くにある老舗の書店が正に今閉店の憂い目に遭っていますとも。私の好きな本屋さんですのでぜひ訪ねてみてくださいと頼まれました。筆者は透かさず名前を訊いて手持ちの紙片にメモを取りました。
『St. Mark’s Bookshop』は
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ラーメン店がひしめくあたりの通りを少し行ったイーストビレッジにありました。店構えは老舗らしく品のある看板、店の色調や雰囲気も悪くありません。カウンターにいた男性に許可をもらいユニークな棚や店の奥行が分かる場所を2,3枚撮らせてもらいました。ハルキムラカミの本もありました。文学や芸術のジャンルが充実しているようでした。今はっきりとは覚えていないのですが、小雑誌の類の棚があったようにも・・・。あとで分かったことですが、この棚こそこの店が好まれるユニークな試みだそうです。B0007805_2322013_2【http::pds.exblog.jp/pds./1/201306/09/05/b0007805からの画像】
 “ジン”(zine : 新しい小冊子発行の形)と呼ばれている自費出版の冊子や本が置かれていて、売れたら補充してくれるありがたい書店らしく、6掛けで仕入れてくれるそうです。売れて100部程度。この店がオーナーから立ち退きを迫られ、贔屓にしている地域住民の強い支援も手伝ってか目下3ヶ月間だけオーナーの特別な配慮で家賃がただで営業中みたいです。売れ上げが伸び悩んでいる書店は古今東西同じかも知れません。

追記 気になって『セント・マークス書店』がまだあるかネットで調べてみた。ホームページは見つかったので営業はしているみたい。試しにハルキムラカミとこのホームページの検索に入れてみると、しばらくして英訳本が出て来た。何とか続けているらしい。ネット基金を活用しながら続けているとか、家主の賃上げに耐えかねて引っ越しを考えているとか、この書店を巡っていろいろな憶測が飛んでいる。(2013年11月7日 記)

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超人のジャーナリスト・アイ 129 大型書店考

 筆者は、8月28日付朝日新聞のフロントランナーに丸善の小城武彦社長の記事が掲載されていることをネットで知った。早速その新聞を買い込んで読んだ。
 ここ何年間か大日本印刷(DNP)が、丸善→図書館流通センター(TRC)→ジュンク堂→文教堂→ブックオフ、主婦の友などを次々に傘下に収め、一大出版流通再編が加速し始めていて、少し目を離せば関係が分からなくなるほど巨大な地殻変動が起きている。その仕掛人こそ通産省ベンチャー企業支援出身でTSUTAYA常務、産業再生機構,カネボウ社長を歴任した小城氏その人と噂されている(ネットを読む限りではの話だが)。朝日新聞の記事を端折って読めば、日本の知を支える基盤産業が崩壊しつつあることが看過できない、「委託制度」に問題があるとしつつも、書店は顧客のニーズを掴み、売り切って行く姿勢が大事と強調している。購買意欲を高める店舗工夫が必要と斬新なアイデアを店内に展開中だ。松岡正剛(元工作舎雑誌「遊」編集長、『千夜千冊』の著者、現丸善の子会社「編集工学研究所」所長)棚(松丸本舗)はその一つで、デザインや棚構成も斬新だ(参加した出版社の話では、売れ行きはイマイチとの声もあることも事実)。 紙とデジタル、リアル書店とネット書店という「二次元ハイブリッド」を構想、ネットと書店がうまくコンビネーションをはかり、紙とデジタルでどうシナジーを出すかを考えていて、日本ならではの書籍流通のモデルを生み出したいと。それは店舗で本がなければそれで終わりでなく、なければ通販で届けるか、デジタル配信するか、その場でプリントオンデマンドで印字するか、お客が選択できるようにしたいと。目指すは大日本印刷の力も借りて、電子書籍配信やプリントオンデマンドなどの機能を統合したデジタル・プラットホームを構築することだと語っていた。
 日本には二大取次会社(トーハンと日販)が出版流通を独占しているが、出版流通業界再編がさらに進化し続けていくのか注目されるところ(取次会社のサバイバルも過激さを増している)。
 来年2月に丸善と同様に正式に大日本印刷傘下に入るジュンク堂が、大型書店出店を計画、その場所が最近業界紙に発表された。今度は大阪の阪急梅田駅茶屋町に2060坪で12月に出店する。MARUZEN&ジュンク堂のブランドでの出店もあり得ることを示唆。これは既存の紀伊國屋書店梅田本店(改装計画中)を直撃するばかりではなく、周辺書店も影響を受けるはずだ。大阪梅田周辺には大型書店が結構あるが、果たして生き延びられるのか心配だ。ジュンク堂は同一商圏にある梅田ヒルトンプラザ店を縮小して丸善の看板で運営することも検討しているらしい。 堂島の旧毎日新聞社跡地のビルには大規模なジュンク堂大阪本店もある。いやはや中小書店の淘汰の時代が目の前に来ている感じだが、大型書店同士の戦いもしのぎを削るということだろう。共存共栄はありえない?
 MARUZEN&ジュンク堂の連合体は、最近渋谷の東急本店に開店したばかりだが、福島・郡山のうすい百貨店に県内一のワンフロア700坪で、10月の中旬には吉祥寺の伊勢丹跡地の商業施設に1100坪で、10月下旬には広島の天満屋にも出店予定。2012年までにこの連合体は、全国の主要都市で大型店舗を10店出店する計画。そのため売り上げが芳しくない小規模店を閉店する。また、丸善やジュンク堂のある既存店がある場合には、かち合わないように調整しながら出店するらしい。出店ラッシュもいいが、要は、店舗運用資金とその後の売り上げ伸長だ。豊富な商品と質のいい人材確保ができるかがポイントだ。これだけの出店だから決して容易ではないとは素人でも想像がつくが、内部もいろいろと混成チーム、その苦労もあるはず。そもそも小売業の書店も本離れ現象やネットショッピングに読者を奪われたりして販売不振が続いている。
 印刷業界の二大大手、大日本印刷と凸版印刷もデジタル化の波が押し寄せ、旧来の印刷工程を直撃、新技術、コスト提案等のプレ部分や製本他まで視野に入れたポスト部分を取り込まないと特に中小規模の印刷会社は生き残れないらしい。印刷業界も不振で他業界への連携を強め始めたのだ。その豊富な資本力と川上から川下までの出版流通全体を視野に入れた印刷会社の戦略か。
大日本印刷傘下の丸善・ジュンク堂・TRC・主婦の友のCHIグループ、他方、凸版印刷も紀伊國屋書店と国会図書館のデジタル化に乗り出した。アマゾン、アップルやグーグルの「黒船」も来ている。新たな読者の囲い込みが始まっている。
 リアル書店の店頭の活性化はただ端末に頼り切りにするのではなく、お客が立ち寄りたくなる棚構成、棚管理、接客に尽きる、これは一朝一夕ではできない。この辺が筆者の常日頃から思っていることなのだ。最近では手書きポップなどで既刊書や文庫本の売り上げを驚くほど伸ばしている書店もあって、活性化も見られるし、書店を舞台にした小説や奮戦記なども出て来た。それにしても付録のバックが目当ての雑誌が渦高く積み上げられているコーナーに行くと、筆者などは逃げ出したくなって図書館に駆け込んでしまう。
いずれにせよ、コングリマット化した書店の大型化は、新たな流れが出来つつある兆候かもしれないが、文化受発信基地であることを忘れないでほしい。ビジネスも大事だが―。
 余談だが、久し振りに朝日新聞のbe欄を読んだ。丸善社長の記事以外にも面白いものがあった。勝ち組、負け組についての若者インタビュー記事、簡単にできてしまう、be report 電子書籍の自作法、まだあるフジマキ兄の記事そして何より面白かったのは、車屋長吉の悩みのるつぼだった。今回は老人の浮気を扱っていた。
2010年7月19日付毎日新聞朝刊メディア欄には、苦境「本屋さん」生き残り模索中 カギは本棚づくりとの見出し。この話は別な機会に。 最後に一つ付け加えると、上記で触れた梅田界隈に大阪が拠点の旭屋書店本店がある(最近元気がないようだ)。かつてはここの人文書は男女ペアで本の補充など棚管理をきめ細かく行っていた。
 さて、最後。ネット書き込みにここまで来たら大日本印刷は、ソフトバンクを買収したらとの大胆な意見が載っていた。

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超人のジャーナリスト・アイ 128 大規模書店考 その前に

 かつて1980年代の後半から90年代前半に毎年のようにニューヨークの書店を見て歩いた。20年と少し経った、ちょうど1年前にニューヨークを再訪して多少の書店巡りをした。ミッドタウンのヒィフス・アベニューにある書店はバーンズ&ノーブル、ボーダーズ、ダブルデイなどの大型チェーンが幅を効かせて老舗の書店が消えていた。日本の書店の紀伊國屋書店やブックオフ(オンジャパンの東京書店や旭屋書店もあったが今はない)も場所や品揃えを変えながら営業をしていた。ある業界紙に連載されたニューヨークの書店なる本も読んだ(この本は読者プレゼントだった!)。それより52丁目付近にあるアップル社の直営店の賑わいが印象的だった。
 リアルとバーチャル、この媒体変容が今年の一番の話題だ。キンドル、iPad、ソニー製の電子書籍など電子書籍の本格的な出現によりペーパーとペーパーレスの時代の突入、その間の棲み分けがクローズアップされて来て、紙媒体は電子媒体に駆逐されるとあちこちで本気で囁かれている。新聞のコラムや大手出版社のPR雑誌のコラムにも、やれ電子書籍が売れ行き好調で紙媒体を抜いたとか(一部のジャンルらしい)、やれ紙媒体はまだまだ印を付けたり、捲る感覚を大事にできるとか、双方の言い分が拮抗しているが、コンテンツや重さそれにデザインは電子書籍に叶わない。すでに電子辞書が証明済みだ。昨日読んだある英字紙の週刊版最新号には、かのオックスフォード英語辞典の最新版は電子媒体で提供することになるかもとの記事が載っていた。20冊からなる1セットの価格は、1165ドル、他方、オンライン版の年間利用料金は295ドルで毎月200万ヒットを記録しているらしい。印刷されない可能性が高いと。

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クロカル超人が行く 57 日本橋 『丸善日本橋店』

Maruzen土曜の昼下がり、早大国際会議場3階会議室での20世紀メディア研究会を途中で抜け出して日本橋界隈へ。高島屋本店に立ち寄った後、筆者は新生丸善日本橋店へ入った。今最先端を走るベルギー発のファッション雑誌「A Magazine」を覗いてみようと真直ぐに3階の洋書売場へ急いだ。ここで携帯カメラで撮ったのがこの入口付近の棚だ。うむ、ひょっとするとこの光景は20年前に見たニューヨークの書店の入口に似てないかー。つらつら考えていると、もしもし、と声をかけてきたのは想定外の警備員。今日は良いですが、今度からご遠慮願いますと丁寧な口調だった。すみません。
新しい店内は赤レンガ柱を配したり什器の上部には西洋風のモールディングを配したりしてシックで高級感が漂う落ち着いた大人の空間を演出している。コンセプトは「The First MARUZEN」、原点に立ち返ってということだろうか。そして手元のパンフレットで新生丸善宣言を発見。曰く、明治2年(1869)横浜で創業、翌年ここ日本橋に店舗を構えた。中略。伝統と新しさの融合した店舗空間、厳選した品揃え、きめ細かなサービスを目指すと。今年で138年のこの老舗の書店は明治以来日本の知をリードしてきたことは確かだろうが、最近では業績が芳しくなくいろいろと取り沙汰されてきたことも事実。1000坪のこの店の年間目標額は30億円そうだ。業界紙によると、先に1年半前にオープンした丸の内本店は、40億円目標で目下売り上げは好調らしい(余談だが、先週の金曜の朝、筆者の隣で元財務大臣の塩爺が文庫本数冊を買っていたね)。しかし新丸の内ビルディングにあった店は12月で閉めている。東京駅周辺には南に八重洲ブックセンター、大丸に三省堂、駅中にブックガーデンと大小の書店があって書店も混戦状態、サバイバル合戦が当分続くかも知れない。それにしても、余波をまともに受けているここからさほど遠くない本屋街・神保町が地盤沈下していると言われている。丸善のPR雑誌「學鐙」には2,3年前に文芸評論家の紅野敏郎の連載「學鐙」を読むの中で、明治の頃の丸善の帳簿を開陳しながら創業者の早矢仕有的(はやしゆうてき)の苦労話が書かれていた。今その号を探してみたが見当たらない。記憶を辿るしかないのが残念である。
さて、階は下がって2階、1階と筆者は一巡しながら入口に戻った。その間1階の丸善特設コーナーの中にレトロ調でオシャレなハヤシライスの缶詰を一瞥した後、その脇にあった万年筆の専門誌や平積中の梶井基次郎の文庫本、『檸檬』の中の丸善が出てくる箇所を立ち読みしていると、へぇ、丸善も変わったんだ、以前はこんなところに無かったねなど中年、ヤングアダルト風の夫婦の会話が聞こえてきた。文庫本の収集力は目玉とか。入口付近では昼下がり、いな夕方近くか、ジャズバンドによる生演奏が響き渡っていた。入口西洋風平台を占めていたのは渡辺淳一著『鈍感力』だ。時代を象徴しているかー。丸善は現代風MA・RU・ZENとして蘇るのだろうか。押せよ押せよではないが、確かにそれなりの服装をしていた人たちで溢れていた。帰り際東京駅へ向かう途中、黄色と白のデザインから黒と白のデザインにに替った紙袋を持った人たちが目立っていた。
一昨日オープンしたばかりのこのオシャレな書店からしばし目が離せない。

追記。新生丸善のフロアーはこうだ(パンフレットによれば)。
3階。医学・薬学・看護 理学・工学 土木・建築 コンピュータ 芸術 洋書 カフェ ギャラリー インフォメーション
2階。ビジネス・経済 法律・資格 語学・辞典 福祉 文芸 人文・社会 文庫・新書 コミック 学習参考書 教育 児童 
1階。雑誌 雑誌・実用書 地図・ガイド 丸善セレクション 
B1階。一般文具 ペーパー&グッズ 萬年筆 時計 メガネ イベントスペース
【写真右下:高島屋本店前から写す】

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弥生晴れ本とレンガをハヤシたて

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超人のジャーナリスト・アイ 36 書店再考

  毎日新聞(2006年8月11日付夕刊)や新文化(2006年8月10日号)の記事よると、ネット書店が急成長する中、書店もいろいろと読者と本をつなぐのに創意工夫しているらしい。筆者もネットで購入する場合が多くなってきているが、時々は通勤帰りや仕事の途中で大きな書店、中規模の書店に立ち寄っては新刊書、話題書、ベストセラー本を一応チェックし手触り感を確かめている。そうするとつい立ち読みまでしてしまうのだが。
  この毎日新聞の記事はユニークな書店のブックフェアを紹介していてオモシロイ。中でも民間企業で働く文学好きの30代男女7人による読書サークル「白水Uブックス研究会」が、書店のブックフェアに参画するという珍しい試みが啓文堂吉祥寺店文芸書コーナーで行われている。Img017
"もう話題だけの本は読みたくないオトナたちへ"のコピーのもと、タブッキ『遠い水平線』、カルヴィーノ『木のぼり男爵』など白水社の海外もの芸術ものを扱う新書版シリーズ「白水Uブックス」(白水社Uブックス研究会が選んだ本)が棚に並ぶ。特にS・ダイベック『シカゴ育ち』(柴田元幸訳)は、最初の3週間で20冊売れたという。こういうPOPの効用もあるか。いわく、名作保証・このUブックスが効く!"、とね。POPをじっくり読んでから購入していく客が目立つとは書店員の言葉。同様のフェアをやりたいと他の書店からも打診があるという。出版社や書店の人たち(いわば利害関係がある人たち)ではなく外部の人たち(いわば利害のない一般人で読書案内人的な人たち)が参画していることが味噌。読書活性化、読者開拓の新しいコラボレーションだ。しかも既刊書掘り起こしの作戦である。そしてまた、もうひとつの試みではこうも記事は語る。「編集者の熱い思いだけでは本の良さや面白さを伝えることは出来ない。書店員の方々の、なぜこの本をすすめるかというメッセージがあってはじめて、読者の手にとってもらえる」というのだ。講談社・書店『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』POP大賞を企画した版元の言葉。ここでは仕掛けが見え隠れしている。
今や書店評論家の永江朗氏は「刊行点数が増大し出版の全貌が見えなくなってきていて、その結果、作り手と読み手が出会う場所としての書店が見直されてきたのだが、裏を返せば今まで現場が軽視され過ぎていた。また、ネット書店の匿名書評の口コミ効果もあるのではと分析している。
  吉祥寺南口の井の頭駅入口近くにあるこの店は、仕事の途中で立ち寄ったことがあるし新書版も購入した。その時はごく普通の本屋で特別にオモシロイとは思わなかったね。筆者が気づかなかっただけかーコレマタシツレイイタシマシタ、立ち寄ったのは半年以上も前の話だが。確かにこのチェーン店は京王線沿いに多いが、最近いろいろと脱構築を始めているらしいのだ。
  新文化に寄稿した青田氏の記事は、最近出版社、取次店、書店の若手の有志が集い勉強会、研究会を定期的に開いてその三文の知恵の実践に取り組んでいるという記事だが、若い人も捨てたものではなく、IT技術などを駆使してむしろ意欲的かつ挑戦的であるという。筆者はその昔この青田氏なども参加した書店・出版社の集い「棚の会」が原宿で発足式を行い、書店のあり方について大いに議論したことを懐かしく思う。まさしく青春時代だった。情報が溢れ選択肢が多い今の時代は発想の転換と複眼的思考が求められているのかも知れない。

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