絵画

クロカル超人が行く 206 世田谷文学館「澁澤龍彦 ドラコニアの地平」

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【写真上から下へ: ①澁澤龍彦展チラシ ②図録 ドラコニアの地平 ③球体、円環への志向 ④「さようなら、土方巽」1986年1月 土方巽への弔辞 ⑤ジャン・コクトーからの手紙ほか ⑤金子國義・四谷シモンの作品 ⑦北欧神話 宇宙樹イグドラジィルの話と愛用のパーカー万年筆それに澁澤龍彦のネーム入り原稿用紙】②~⑦は『図録 ドラコニアの地平』(平凡社 2017年10月刊)より。

世田谷文学館で開催中の没後30周年特別企画「澁澤龍彦 ドラコニアの地平」を観に出かけた。10年前に横須賀美術館で開催された没後20周年記念イベント、「澁澤龍彦 幻想美術館」を観たが、今回はどんな展覧会になるか楽しみだった。また、美術館と文学館での展示の相違はあるのか、あれこれ思考を巡らせたのだ。その相違は歴然で、manuscriptの祝祭ともいうべきディスプレイ、書き記した夥しい数の生原稿の類が現前、ドラコニア(龍の世界)へようこそといった感じだ。鉛筆で書いた丸みがかった文字の原稿はとてもきれいで読みやすい。それにしても原稿、原稿また原稿のオンパレードである。約2時間鑑賞。興味深いところはいろいろとあったけれども、筆者が特に印象的だったところを図録(巻頭に菅野昭正「高丘親王航海記」讃、巖谷國士「澁澤龍彦と文学の旅」の好エッセーを掲載。展示内容を編集して反映している)から拾ってみた。

②見返しに黒を配して澁澤龍彦の世界をシンボライズしページ配置等細工を施した凝った本、その表紙。自分自身を写し出した鏡、キルヒャーの『シナ図説』、四谷シモンの「機械仕掛けの少女」ほか。帯には待望の大回顧展 公式カタログと書かれている。図録に挟み込まれた小冊子には妻の澁澤龍子さんと四谷シモン氏の対談があってなかなか読ませる。龍子さんから澁澤龍彦の日常が見えてきて何となく親しみが沸いてきた。食べ物や服の話など。著名人のエッセイも面白いが、その中でも芥川賞作家の諏訪哲史氏の澁澤龍彦評が秀逸。それはこのコラムの最後に引用したい。③球体、円環への志向のページには次のような言辞が。伸縮自在のマクロコスモスとミクロコスモスの観念を、二つながら手に入れることが必要ではないかと。円環志向はどこかの版元のモットーでもある。3つの矢を射る円環運動 : 異文化・文学・歴史統計。多分に澁澤龍彦の影響下にあるはず。マジナリアしかり。ついでに球体ほかオブジェに言及すると、地球儀、アストロラーベ(古代の天体観測器)、ウニの標本、ドライフラワー.鉱物、鏡、貝殻、小瓶のなかの玉虫等々。偏愛の賜物。④土方巽の弔辞、独特のかすれ声にひかれた。一つひとつ原稿を追った。文章も味わい深い。次を捲ると、右頁が土井典作「貞操帯」と左頁が雑誌『血と薔薇』。

⑤ジャン・コクトーの手紙。筆者的にはこの展示会で一番の収穫。便箋に万年筆で書いたジャン・コクトーのやわらかい文字が踊る。ブルーカラーのCher Tasso Shibusawaがいいね、likes ! 澁澤龍彦、初翻訳はジャン・コクトーの『大股びらき』(白水社 1954年8月)だ。次頁は東京大学仏文学科に提出した卒業論文「サドの現代性」(1952年12月)⑥画家金子國義と人形作家四谷シモン、いわば、澁澤龍彦ファミリーの人たちの作品、「エロティシズム」と「天使ー澁澤龍彦に捧ぐ」⑦北欧神話を読み解くエッセイ、宇宙樹イグドラジィル(ユグドラシル Yggdrasill)に魅せられて。羽のデザインが特徴のパーカー万年筆、筆者の高校時代の一時期、当時の友人N男と万年筆談義に花を咲かせていた。専らボディの緑が特徴のドイツ製ペリカン万年筆をあれこれ話題に。買えないくせにカタログを弄っていた。もちろんスマートなアメリカ製パーカー万年筆も地元の大きなステーショナリーで特別に見せてもらったりした。パーカー万年筆もゲットしたが、胸ボケットにさしているうちに羽の部分が何かに引っ掛かって折れたりしたので、それ以来使っていない。やがて大学生になってモンブランを手に入れ、今も愛用している。モンブランのカタログでは一番先に登場するモデルだ。たまに銀座のモンブランの日本支社に行ってオーバーホールをしてもらっている。澁澤龍彦のパーカー万年筆は保管が良いのか歴史性を感じさせない。Good fountain-pen, good job ! 自家製原稿用紙には澁澤龍彦の「彦」の独特なのばし方に魅了される。遊び心たっぷりなところがいい。原稿用紙はそれこそ銀座の「伊東屋」に行って気に入ったものをゲットしたりしたが、筆者にはどうも馴染まない。きちんと文章を書くのが目的なのに、いやに升目の鉛筆文字の格好を気にし過ぎていたのかも。升目を埋める丸みのある澁澤龍彦の文字群を“見る”と、一見さりげなく綺麗に並んではいるが、どういうわけか不思議な魔力を感じざるを得ない。そう、野中ユリの作品「新月輪の澁澤龍彦」がそれを見事に表現している。筆者は横須賀美術館の「澁澤龍彦 幻想美術館」の最後にこの作品が飾られていたのをよく覚えているしまた、ずっとそれこそ頭を抱えて考えていたことも事実なのだ。構図の奇抜性(宇宙観・感、大きなものとちっぽけな眼差し、その対比のオモシロさ、『高丘親王航海記』の原稿の配置、幻想、闇考)だけではあるまい・・・。そして今、謎が少しずつ解けていくような、溶けていかないような、健全な暗黒世界に誘われている。澁澤龍彦はいつも無限の可能性を秘めているのだ。

さて、芥川賞作家諏訪哲史氏の図録に寄せたエッセイだ。最後の何行かを引用してこのコラムを締めよう。
「澁澤龍彦とは果たして人がいうような異端者であろうか。偏綺を愛する彼自身の本質とは天使の如き「聖性」だ。サドが時に聖侯爵と呼ばれるように、澁澤さんはいわば裏返された聖人であった。」(図録『 澁澤龍彦 ドラコニアの地平』P.261より)

世田谷文学館の「渋澤龍彦 ドラコニアの地平」の展示会の実際の様子はこちらで見られる。→http://s.webry.info/sp/mignonbis.at.webry.info/201710/article_2.html

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超人のドキッとする絵画 31 東京都美術館 ボイマンス美術館所蔵「バベルの搭」展

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 【東京都美術館の案内チラシの
 「バベルの搭」】
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【東京都美術館入口付近の案内ポス
ターの「バベルの搭」】
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【入口の大友克洋の「Inside Babel」】
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   【出口の「バベルの搭」】
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【上野構内の『たいめいけん』。海老
オムライス+チラシ「バベルの搭」】

ジョージ・オーウェルの『1984』をやっと読み終えた。ディストピア小説の最高傑作。新訳もこなれていて読みやすい。限りなく「現代」を映し出していてそら恐ろしい。この想像力・創造力!恐らく著者の経験が背景にあることは容易に想像がつく。でないとこれだけの小説は書けない。トーマス・ピンチョンの解説もまたよく読み込んでて的確、素晴らしい。今度は念願のジョージ・スタイナーの『After Babel』に原著と翻訳書でチャレンジしたい。この原著の見返しにはこの本の内容を象徴的に表している「バベルの搭」の絵が挿入されている。原著は複数の言語で書かれていてかなり根気のいる読書となるはず。翻訳は原著が出て35年後に刊行された([上]が1997年、「下」が2009年に刊行)。まさしく言語と翻訳の問題を扱っている。 その前に気になっていた展覧会に出向いた。

東京都美術館特別席展
ボイマンス美術館所蔵
ブリューゲル「バベルの搭」

16世紀ネーデルラントの至宝ーボスを越えてー
オランダのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館のコレクションから、ピーテル・ブリューゲル1世の「バベルの搭」(旧約聖書の「創世記」にある伝説の搭。天まで届く高い搭を築こうとするも、同じ言葉を話す民だからこんなことをすると言葉を通じなくし搭の建設を途中で打ち切ってしまう。神の逆鱗に触れた話。傲慢さと愚かさの戒め)と奇想の巨匠ヒエロニムス・ボスの作品を中心に、絵画、彫刻、版画など16世紀ネーデルラント美術のコレクション約90点を展示紹介。(参照: 東京都美術館CALENDAR 2017[平成29].4→2018[平成30].3)

16世紀北ヨーロッパのオランダ絵画の世界に。
「aera_mook_2017.4.20刊ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展公式ガイドP.78-P.79).pdf」をダウンロード
少し薄暗い世界、幻想、怪奇、寓話の世界へ。教会関係者の彫刻から始まり、肖像画などホラント地方の美術、ボスの絵

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【ボス: 浮浪者(行商人)  よく観察すると面白い】
や版画などを観て歩き、奇想の世界に

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【ブリューゲル: 大きな魚が小さな魚を食う。
当時の体制批判、寓意画】

少し引き込まれたあと(何故か横須賀美術館て開催された「澁澤龍彦展」を思い出した)、ピーテル・ブリューゲル1世の[バベルの搭]を観賞。その絵の何とも言えない造形美、人々の表情など描写の緻密なこと、それに色彩の冴え、一つ一つ観ていても飽きず、これが16世紀中期のものかと驚くばかり。筆者的には褐色の搭に不穏な雲、それはニューヨークの世界貿易センタービルに飛行機が突撃してビルが崩壊し多数の犠牲者を出した大惨劇、あの16年前の9.11同時多発テロのシーンを思い起こした。しかし、この絵の前には人だかりができていて、じっくり観賞している暇はなく係員の誘導するまま歩を進めざるをえなかったのが残念。特に出口付近のミュージアムショップでは買い物客でレジは長蛇の列、いやはや凄いことになっていた。これでは“建設中”の「バベルの搭」も崩れそうな気配(笑)。それで急いで東京都美術館を出て、JR駅構内の『たいめいけん』で食事をしたのだが、驚くなかれここのメニューに“バベルの搭カレー”なるものがあったのだ。ファミリーで食事のテーブルにはそのバベルの搭カレーが供されていた。搭は黄色みがかっていてきもち高かった。老舗の洋食屋はあやかりメニューまで作ってしまったー。

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超人のドキッとする絵画 30 国立新美術館 ミュシャ(ムハ)展

2017年3月8日から開催中の「ミュシャ展」(6月5日まで開催)。混雑が予想されるため早めの観覧をと考えて、先週の土曜日の午後六本木の国立新美術館に出掛けた。「ミュシャ展」を観覧するのは、堺市立文化会館、森美術館、そごう美術館に次いで4度目。主に大作「スラブ叙事詩Slav epic」を観るためだ。春になっても天候が落ち着く様子もなく、寒暖の差が激しい三寒四温の日々が続いていて土曜日の午後も例外ではなかった。そんな土曜日の午後、久しぶりの国立新美術館訪問だった。当日券購入に30分近くは並んだが、あとはスムーズに鑑賞できた。意外と混んでいなかったのだ。あの上野の「惹冲展」での長蛇の列を経験した者としては多少肩透かしを喰った感じだ。

写真が許可されたアートスペースで2枚をゲット。このコラム用に多少加工。
このスラブ叙事詩は題材のスラブ民族の歴史を描いた点(伝統に偏りすぎの感も)といい、その大きさといい、圧倒的な迫力をもって観る者を楽しませてくれる。更に付け加えれば色使いや構図の巧みさもー。

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【「ミュシャ展」図録表紙】

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【スラブ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い スラブ民族復興 1926 (未完成) 390×590cm テンペラ、油彩/カンヴァス プラハ市立美術館】

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【スラブ民族の賛歌 スラブ民族は人類のために 1926 480×405cm テンペラ、油彩/カンヴァス プラハ市立美術館】

(続く)

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超人のドキッとする絵画 29 神奈川県立近代美術館 葉山館『陽光礼讚 谷川晃一・宮迫千鶴展』 続

「谷川晃一・宮迫千鶴展」展示品、アトランダムにディスプレイ。

①②
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④⑤
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⑥⑦⑧
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⑨⑩⑪
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⑫⑬⑭⑮⑯⑰
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⑱⑲
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上からタイトルと制作年。

①T-16 La GOLONDORINA Ⅰ 2000年
②T-17 La GOLONDORINA Ⅱ 2000年
③美術評論、エッセイ、絵本など自著展示コーナー
④ T-14 大室山脈 2009年
⑤ T-35 大室山脈・秋 2009年
⑥ T-31 ムーンクロス 2005年
⑦ T-29 カラベラ・ダンス 2005年
⑧ T-26 マスク・ボックス 2005年
⑨M-63 コラージュC(「珈琲色のStory」 シリーズ) 2007年
⑩M-62 コーヒーアンドビスケット 2007年
⑪M-57 青いレモンの夜 2005年
⑫M-59 月のピアノ 2007年
⑬M-52 花言葉・月夜の夢 2007年
⑭M-53 花言葉・夕暮れの想い 2007年
⑮M-54 花言葉・静な夜 2007年
⑯M-55 花言葉・小さな情熱 2007年
⑰M-51 緑の庭 2006年
⑱T-50 静かな夜 2015年
⑲T-49 海辺の町 2015年
⑳T-70 大室山と大島 2016年
※T-番号: 谷川晃一の作品と展示番号
M-番号: 宮迫千鶴の作品と展示番号

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超人のドキッとする絵画 29 神奈川県立近代美術館 葉山館「陽光礼讚 谷川晃一・宮迫千鶴展」

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昨夜のテレビ東京の美術番組『美の巨人たち』は、ピカソが55歳時に描いた20世紀最高傑作『ゲルニカ』、25歳時の作品『アヴィニオンの女たち』

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そして15歳時に描いた『科学と慈愛』を取り上げ、時間を逆戻りしながらピカソの早熟ぶりとその隠された苦悩それに創造と破壊に費やしたピカソ絵画の秘密を解き明かしていた。素直な子どもの絵を描くことがピカソの目標だったーそれはポップアートの第一人者谷川晃一にも当てはまる。今神奈川県立近代美術館葉山館で開催中の「陽光礼讚 谷川晃一・宮迫千鶴展」の図録解説からも読み取れる(「子どもに向かって成長する」)。もっともこの展覧会は伊豆高原での絵画芸術活動の作品群だ。今までの色彩に森のイメージとしての“緑”が多用されているのも彼の新しい境地かも知れない。興味を引くのは宮迫作品もポップアートを得意とする画家だったが、谷川作品と比べると色使いはもちろんのこと、線描写が少し太くゆったりした感じを受けるのだ。おおらかさがあるといっても過言ではない。谷川作品も刺激しあってポップアートの完成度が高くなっているのを感得できるが、最近の諸作品は“緑の王国”とも言っていい、豊かな森に入り木々と呼応している豊穣なイメージを私たちに与えてくれる。そこでは時間がゆったりと流れているのだ。

絵画鑑賞後美術館の裏手の海に通じる散歩コースを回り葉山の海を一瞥、冬の光が眩しく海は穏やかだった。“額縁”にと一枚を写真に収めたら、さながら19世紀のターナーやコンスタブルの英国風景画が現前にあるような構図に。不思議な光景である。

追記 日曜美術館(2016年12月4日放送)「絵は歌うように生まれてくる~画家・谷川晃一森の生活~」を11日の再放送で観た。かつて前衛画家として名を馳せた谷川晃一氏の最新映像だ。伊豆高原での画家・谷川晃一さんの暮らしぶりを追った番組。コックをやっていたこともあるしく料理の腕前はなかなかなもの、さらに驚いたことには仏壇に向かって般若心経をすらすらと唱えていたことだ。時間が止まるようなゆったりとのんびりした芸術生活があって羨ましい。高齢にもかかわらず仕事に意欲的でアトリエでの絵筆を持つ仕草も若々しく見えた。

写真上から : 筆者撮影
西日を浴びた神奈川県立近代美術館葉山館
「陽光礼讚 谷川晃一・宮迫千鶴展」図録表紙 チラシ

眠りの舟 2001年 アクリル 紙 35.0×51.0cm(谷川晃一)
太陽の鳥 1993年 アクリル カンヴァス 90.8×116.50cm (谷川晃一)
キャラバン 2005年 ミクストメディア 43.0×33.0×12.3cm (谷川晃一)
南下するナウマン象 2005年 ミクストメディア43.0×33.0×12.3cm (谷川晃一)
旅のトランプ 2005年 ミクストメディア 43.0×33.0×12.0cm (谷川晃一)
マスク・ボックス 2005年 ミクストメディア 43.0×33.0×14.0cm(谷川晃一)

畑の至福 1992年 コラージュ グアッシュ 紙 パネル 141.0×103.0cm (宮迫千鶴)
奥の農場 1992年 コラージュ グアッシュ 紙 パネル 146.0×104.0cm(宮迫千鶴)
5月の風 1992年 コラージュ グアッシュ 紙 パネル 140.5×103.0cm(宮迫千鶴)
フィンランドの夏 1995年 コラージュ グアッシュ 紙 パネル 146.0×103.0cm(宮迫千鶴)

雑木林の音楽 2015年 アクリル 紙 パネル 73.0×103.0cm(谷川晃一)
神奈川県立近代美術館葉山館裏手から眺めた葉山の海

追記 一度だけ筆者は編集者のT 氏の計らいで谷川氏、宮迫さんと談笑する機会があった。もう遠い昔、宮迫さんからは便箋に書かれたメモをもらった記憶があるが、はてどこにあるか?その後何十年か振りで谷川氏とはドイツ文学者の種村季弘展でお会いした。大きな文字の名刺が印象的だった。

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クロカル超人が行く 194 上野・東京都美術館『若冲展』 6

米国収集家が愛した若冲Jakuchu Beloved By American Collectors
40 月梅図(絹本着色、宝暦5年1755年、メトロポリタン美術館蔵)、41 菊花図(紙本墨画、寛政4年1792年、デンバー美術館蔵)、42 葡萄図(紙本墨画、江戸時代18世紀、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)、43 旭日雄鶏図(絹本着色、江戸時代18世紀、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)構図技法の巧みな絵、44 雪芦鴛鴦図(絹本着色、江戸時代18世紀、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)、45 紫陽花双鶏図(絹本着色、江戸時代18世紀、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)、46 虎図(絹本着色、宝暦5年1755年、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)、47 竹梅双鶴図(絹本着色、江戸時代18世紀、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)、48 鳥獣花木図屏風Birds, Animals, and Flowering Plants in Imaginary Scene(紙本着色Color on paper、江戸時代18世紀Edo period, 18 century、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵Etsuko and Joe Price Collection)若冲絵画最高傑作の一つ、方眼に見事なまでに塗り込まれた動植物。豊かな想像力の世界。何となくユーモアのある象の表情と大きさが際立つが独特な青色も印象的。アメリカ人がこの絵に取りつかれたことも納得がいくような気がする。ところで、若冲は本物の象を見たのか?家人が何度も筆者に訊いていた・・・。江戸時代に象が江戸まで運ばれたことはあるようだ。さぞかし驚いたに違いない―。象プライス、と駄洒落まで出た。

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ】より

49 伏見人形図(紙本着色、寛政12年1800年、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)、50 鷲図(紙本墨画、寛政12年1800年、エツコ&ジョー・プライスコレクション蔵)

20 : 47 『若冲展』鑑賞終了。この混雑では絵をじっくり鑑賞できる状態ではなかった。

追記 言語学者の井上史男氏が2016年6月7日付「日刊ゲンダイ」の週間読書日記欄で若冲展に言及して、こんなことを書いていた。

5月×日 若冲の絵の中の文字に注目。「画像言語学」の実践だ。ほぼ漢字だけだ。仏教に帰依して描いたからだろう。浮世絵で漢字以外にひらがなが使われ、近代の写真や絵はがきでカタカナやアルファベットも現れるのとは大違いだ。筆者も若冲絵画のタイトルを書き写して不思議に思ったことの一つを言い当てているみたい。(2016年6月16日 記)

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クロカル超人が行く 194 上野・東京都美術館『若冲展』 5

2-21 動物綵絵 芦鴛図(絹本着色、宝暦11年1761年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-22 動物綵絵 芦雁図(絹本着色、明和3年1766年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-23 動物綵絵 池辺群虫図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)蛙(かわず)の表情の可愛いこと、観察眼の勝利!生命の讃歌ともいえる絵。

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ】より

2.-24 動物綵絵 貝甲図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-25 動物綵絵 諸魚図(絹本着色、明和3年1766年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-27 動物綵絵 蓮池遊魚図(絹本着色、明和2年1765年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-28 動物綵絵 菊花流水図(絹本着色、明和3年1766年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-29 動物綵絵 紅葉小禽図(絹本着色、明和3年1766年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-30 動物綵絵 桃花小禽図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)。

20 : 37 混雑し過ぎてじっくり観られず、極めて残念。待った時間の長さと美術鑑賞時間の短さ、何だこれはと思いながら、2階の画遊人、若沖(2)の陳列室へ。Jakuchu, A Man Rejoicing in Painting(2)

7 雪梅雄鶏図(絹本着色、江戸時代18世紀、京都・両足院※5月8日までで観られず)、15 百犬図(絹本着色、江戸時代18世紀、個人蔵※5月8日までで観られず)、25 果蔬涅槃図(紙本墨画、江戸時代18世紀、京都国立博物館蔵)、30 石峰寺図(絹本墨図、寛政4年1792年、京都国立博物館蔵)、34 菜蟲請(重要文化財、絹本着色、寛政4年1792年、佐野市立吉澤記念美術きい館蔵)、35 仙人掌群鶏図襖絵(重要文化財、紙本金地着色、寛政2年1790年、大阪・西福寺蔵)この展覧会の監修者で日本美術史家の辻氏が何度もこの襖絵について言及している前衛画家杉全直氏のことばにすべてが凝縮しているような気がする。それは『奇相の系譜』の引用を読めば足りる。このコラム(「クロカル超人が行く 194 上野・東京都美術館『若冲』」でも言及しているので参照されたい。またもやじっくり観られないのが何よりも惜しい。

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【生誕300年 若冲展カタログ】より

36 蓮池図(重要文化財、紙本墨図、寛政2年1790年、大阪・西福寺蔵)、37 三十六歌仙図屏風(紙本墨画、寛政8年1796年、岡田美術館蔵)、38 石燈籠図屏風(紙本墨図、江戸時代18世紀、京都国立博物館蔵)、39 象と鯨図屏風(紙本墨図、寛政9年1797年、MIHO MUSEUM蔵)(続く)

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クロカル超人がゆく 194 上野・東京都美術館『若冲展』 4

1-1 釈迦三尊像 釈迦如来像(絹本着色、明和2年1765年度末以前、京都・相国寺蔵)、1-2 釈迦如来釈迦像 文殊菩薩像(同上)、1-3 釈迦如来像 普賢菩薩像(同上)8年前に京都・相国寺で観たもの。独特な技法のなかにも温かみがある。
2-1 動物綵絵 老松孔雀図Colorful Realm of Living Beings, White Peacock, Peonies, and Old Pine Tree(絹本着色、宝暦11年1761年以前、宮内庁三の丸尚蔵館)、2-2 動物綵絵 老松鳳図(絹本着色、明和3年1766年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-3 動物綵絵 薔薇小禽図(絹本着色、明和2年1765年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-4 動物綵絵 牡丹小禽図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-5 動物綵絵 梅花皓月図(絹本着色、宝暦11年1761年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-6 動物綵絵 梅花小禽図(絹本着色、宝暦8年1758年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-7 動物綵絵 老松鸚鵡図(絹本着色、宝暦11年1761年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-8 動物綵絵 老松白鶏図(絹本着色、宝暦11年1761年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-9 動物綵絵 梅花群鶴図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-10 動物綵絵 棕櫚雄鶏図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-11 動物綵絵 向日葵雄鶏図(絹本着色、宝暦9年1759年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)向日葵の描写と鶏の鶏冠の赤、見事なまでの描写力だ。2-12 動物綵絵 南天雄鶏図(絹本着色、明和2年1765年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)南天と鶏の組み合わせが観る者を圧倒させる。その赤と黒のコントラストそれに白が添える。描写技法のすばらしさそして迫力。

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ P.58―P.59】

2-13 動物綵絵 芙蓉双鶏図(絹本着色、宝暦11年1761年以前、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-14 動物綵絵 紫陽花双鶏図(絹本着色、宝暦9年1759年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-15 群鶏図(絹本着色、明和2年1765年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)一連の鶏図の中でも最高傑作の一つ。精密描写、極才色、構図の取り方、躍動感、どれをとってもすばらしい。たとえ鶏を飼って観察して描いたとしてもここまでできるだろうか。天才のなせる技だろう!2-16 動物綵絵 大鶏雌雄図(絹本着色、宝暦9年1759年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ P.62-P.63】

2-17 動物綵絵 芍薬群蝶図(絹本着色、宝暦7年~8年1757~58年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-18 動物綵絵 秋塘群雀図(絹本着色、宝暦9年1759年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、2-19 動物綵絵 雪中鴛鴦図(絹本着色、宝暦9年1759年、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)(続く)

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クロカル超人が行く 194 上野・東京都美術館『若冲展』 3

20-2 鹿苑寺大書院障壁画 松鶴図襖絵(重要文化財、紙本墨画、宝暦9年1759年、京都・鹿苑寺蔵)、20-3 鹿苑寺大書院障壁画 芭蕉叭々鶏図襖絵(重要文化財、紙本墨画、宝暦9年1759年、京都・鹿苑寺蔵)、20-4 鹿苑寺大書院障壁画 菊鶏図襖絵(重要文化財、紙本墨画、宝暦9年1759年、京都・鹿苑寺蔵)この長い墨襖図は人、ヒト、ひとでじっくり観られず!他人の肩の間などから覗いて観たのが大半。21 竹虎図(紙本墨図、江戸時代18世紀、京都・鹿苑寺蔵)、22 鳳凰之図(紙本墨画、江戸時代18世紀、京都・相国寺蔵※5月8日までで観られず)、樹木雄鶏図(紙本墨画、江戸時代18世紀、イセ文化基金蔵)、24 虹に双鶏図(紙本墨画、江戸時代18世紀、細見美術館蔵)、26 瓢箪・牡丹図(紙本墨画、明和元年1764年以前、細見美術館蔵)、27 亀図(紙本墨画、寛政12年1800年、京都・鹿苑寺蔵)、28 月に叭々鳥図(紙本墨画、江戸時代18世紀、岡田美術館蔵※5月8日までで観られず)、29 虎図(紙本墨画、江戸時代18世紀、石峰寺蔵)、31 乗興舟(紙本拓版、明和4年1767年、京都国立博物館蔵)、32 玄圃瑤華(紙本拓版、明和5年1768年、青裳堂書店蔵)、33-1 花鳥版画 櫟に鸚哥図(木版着色、明和8年1771年、公益財団法人 平木浮世絵財団蔵)、33-2 花鳥版画 青桐に砂糖鳥図(木版着色、明和8年1771年、公益財団法人 平木浮世絵財団蔵)、33-3 花鳥版画 椿に白頭翁図(木版着色、明和8年1771年、公益財団法人 平木浮世絵財団蔵)いやはや、昨夜見た満月もこの月とそっくり。この絵を描いてから245年後だ!若冲はすごい、また感動だ。(2016年5月22日 記)、33-4 花鳥版画 雪竹に錦鶏図(木版着色、明和8年1771年、公益財団法人 平木浮世絵財団蔵)若冲最高傑作の一つ、雪の上の錦鶏。その色彩の鮮やかさよ!その尾の長さの美しさよ!

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ P.198】

33-5 花鳥版画 薔薇に鸚哥図(木版着色、明和8年1771年、公益財団法人 平木浮世絵財団蔵)、33-6 花鳥版画 鸚鵡図(木版着色、明和8年1771年、公益財団法人 平木浮世絵財団蔵)

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ P.196 】


20 : 22 1階の〈釈迦三尊像〉と〈動物綵絵〉Sakyamuni Triad and the Colorful Realm of living Beingsの展示室へ。(続く)

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クロカル超人が行く 194 上野・東京都美術館『若冲展』 2

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20 : 01 『若冲展』入口通過。
20 : 05 地階から鑑賞。わっ、こんなに人が、まるで芋洗いの中へ突入する感じ。思わず笑ってしまった。
LBF 画遊人、若冲(1) “ 画遊人”とは何とも言い得て妙。3 牡丹・百合図(絹本着色、江戸時代18世紀、京都・滋照寺蔵)精密に描かれかつ鮮やかな色の配置。牡丹の赤、百合の白が対称的。構図の確かさそれに安定感があって動きも感じられる。4 隠元豆・玉蜀黍図(和歌山県指定文化財、紙本墨画、江戸時代18世紀、和歌山草堂寺蔵)可愛い蛙はどこを見ている?空間処理が上手い。5 糸瓜群虫図(絹本着色、江戸時代18世紀、細見美術館蔵※5月8日までで観られず)、6 雪中雄鶏図Rooster in the Snow(紙本着色、江戸時代18世紀、細見美術館蔵) 竹林の雪の白さ加減、鶏の目と鶏冠の赤、丹念に塗り込まれた茶、白、黒の羽根のリアル過ぎる躍動感、構図、色彩の極致。8 雪中雄鶏図(絹本着色、江戸時代18世紀、岡田美術館蔵※5月8日までで観られず)、9 花卉雄鶏図(絹本着色、江戸時代18世紀、岡田美術館蔵) 鶏図の極細と色使いの巧みさが凄い、10 梅花小禽図(絹本着色、江戸時代18世紀、岡田美術館蔵)花と戯れる鶏、やはり赤の鶏冠の表情はインパクト抜群。11 旭日鳳凰図Phoenix and Sun(絹本着色、宝暦5年1755年頃、宮内庁三の丸尚蔵館蔵) 赤と白のコントラスト、構図の抜群さは観るものを惹き付けてやまない。特に鳳凰の練り上げた白さは感動もの。「鳳凰図が観れれば長蛇の列で待つ甲斐があるのよ」とおばさんが呟いた。12 孔雀鳳凰図(絹本着色、宝暦1755年頃、岡田美術館蔵)色鮮やかなことこの上ない。孔雀の色合い、松の緑がいい。13 月夜白梅図White Plum Blossoms on a Moonlit Night(絹本着色、江戸時代18世紀、個人蔵)月夜に咲く梅の白さが何ともユニーク、花月風詠の典型的な景色。丸い月の色合いに風情が─。ていねいに描き込まれた梅の見事さよ。14 白梅錦鶏図(絹本着色、江戸時代18世紀、MIHO MUSEUM蔵)極彩色の錦鶏、見事というほかない。16 厖児戯箒図(絹本着色、宝暦14年1764年以前、京都・鹿苑寺蔵)猫と箒のおわそび的ポーズ。ユーモラス、ユーモラス。

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【生誕300年記念 若冲展 カタログ】より

17 伏見人形図(紙本着色、江戸時代18世紀、国立歴史民俗博物館蔵)絵師の眼差しが解るよう。人形の色使いと滑稽さを醸し出すユニークさ。18 達磨図(絹本着色、江戸時代18世紀、MIHO MUSEUM蔵)滑稽さのなかに親しみも込められているよう。 19 売茶翁蔵(絹本墨図、宝暦7年1757年、個人蔵)商売人のユーモラスな表情がいかにも人間臭い。20-1 鹿苑寺大書院障壁画 葡萄小禽図襖絵(重要文化財、紙本墨画、宝暦9年1759年、京都・鹿苑寺蔵)(続く)

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