ガラス工芸

クロカル超人が行く 177 諏訪市『北澤美術館』 エミール・ガレ展 そして・・・

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フランスのアール・ヌーボーのガラス工芸作家エミール・ガレの作品を集めた展覧会を観に長野県上諏訪まで家人と足を運んだ。当日は諏訪湖畔で花火大会も開催されるみたいで、沿道には屋台がズラリ勢揃いして圧巻。皆夜7時からの開始に備えて準備に夢中だった。そんな“屋台村“を通過したところに『北澤美術館』があって、炎天下汗を拭いながら目的地の美術館に到着。入口にはテレビ番組で放送されたとのコマーシャルの紙切れも。開館30周年記念特別展、北澤美術館所蔵「エミール・ガレ」他100点を鑑賞。エミール・ガレ作「ひとよ茸ランプ」、「フランスの薔薇」、「大黄の葉」、「ひとよ茸文化瓶」、「アザミ」、「松」、「花瓶<タマネギあるいはニンニク>」、「池のモノアラガイ」他、ドーム兄弟作「蜻蛉に蛙文化瓶」、「アネモネ文化瓶」、「春草文化瓶」他、ルネ・ラリック作「花瓶<ナディカ>」、「花瓶<菊に組紐文様>」他、パート・ト・ヴェールの巨匠デプレ作「ラ・ヴァーグ(波)」、ワルダー作「蜻蛉文小物入」等々のアール・ヌーボーやアール・デコの傑作ガラス工芸品が展示されていた。<ガレ展の出品リスト>はこちら→「img059.pdf」をダウンロード ジャポニズムの影響が色濃く反映されているガラス工芸の極みは、繊細かつ優しい絵柄と精密で化学的技法の融合の小宇宙。筆者的にはNo.75の「花瓶<木立> 201」1901-1904 手彫りが気に入ったが、図録他にも収録していず失望。縦に何本か入った円錐形の外側の群青色の太い線、三、四段階に分かれた緑、赤紫、薄黄などのグラデーションの妙技、配色の見事さ、感情表出を巧みに色彩化、思わずいい仕事をしていると呟いてしまったほど。
エミール・ガレ(1846-1904)は植物にも詳しく、また、詩人との交流もあり、それは彼の様々な作品に反映されていて、写実の域を超えその素材と相俟って豊かな詩情を醸し出しているようだ。また、展示最後のコーナーで異才を放っていた、デプレ作「ラ・ヴァーグ(波)」も印象的。放つ光彩によって二種類の好対照な造形、裸婦、その波打つような妖艶な曲線美―。
このフランス装飾芸術の19世紀末アール・ヌーボーを代表するガラス工芸家エミール・ガレの作品等は北澤利雄氏のコレクション。ガレの遺族からの寄贈で現在パリ・オルセー美術館とナンシー派美術館に保存されている当時の貴重な資料も。酷暑日に客が入る?と筆者などは思えたのだが、中高年の夫婦、若い女性、熱心にメモを取りながら鑑賞していた女学生もいた。狭い館の割にはショップのスペースだけは広い。図録を買うはずだったが生彩がなかったので止めた。代わりに何点か物色。忘れずにつけ加えると、この『北澤美術館』には東山魁夷など日本画の名品も二階に展示されている。開館期間は10月20日まで。開館日は9時〜18時、但し10月は9時〜17時。会期中無休。JR中央線 上諏訪駅徒歩12分。

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【写真左上 : 葉書<ひとよ茸ランプ> チケット 写真左下 : パンフレットから】

美術鑑賞後、諏訪湖湖畔の花火大会会場を一瞥Ncm_0831_3
【写真は筆者撮影。花火大会前の諏訪湖湖畔の陣取り風景。積乱雲が不気味】
して、知人の経営している店で昼食と考え、松本駅へ向かった。午後2時半を少し回ってしまいランチ時間に間に合わずアウト。折角タクシーで駆けつけたにもかかわらず、嗚呼―。仕方なく駅前の交番で蕎麦屋「弁天」を教えてもらい、そこで天ざる、自家製煮込みと野沢菜で遅い昼食。夕方5時20分のあずさ20号で帰ろうとしたが、生憎岡谷、上諏訪あたりで落雷、大雨で電車がストップ、再開したのは夜11時20分(ここで不思議な駅のアナウンスが。筆者らは2分後の17時20分松本発の臨時特急列車「あずさ20号」に乗るはずだったが、夜も遅く前倒しして急いで大幅遅れの特急列車「あずさ19号」17時18分松本発千葉行きに乗車した。その直後例のアナウンスがあった。お客様、この後11時32分松本発「スーパーあずさ」が出ます、そちらもご利用下さい、と。あれっ、筆者らがそもそも乗るはずだった特急列車「あずさ20号」はこの時点で消えてなくなってしまった!そしてその時過ぎったのだ。あの子たちの話がー。そう、待合室で長い間真向かいの椅子で待っていた女性3人組の一人が、今構内に止まっている千葉行きの特急列車に乗車した方がいいとアドバイスしてくれたのだ。切符の変更は自由裁量なので今度乗車する時には自由席だとも。すでに2時間以上遅れているので払い戻しはできる。彼女は実は駅員から臨時特急列車「あずさ20号」はスキップする云々の話を盗み聞きしたのと筆者に話しかけてきた。いつの間にか彼女たちも事態の収拾を探っていたのだ。都内に帰るにしてもここからだと3時間はかかるし、このままだと深夜2時を回ってしまうので電車がないという危機感が彼女たちの行動をキレのあるものにしたのかも。結果的には女性3人組の機転にのって正解だった)、松本駅で約6時間足止めを喰らった。その後自宅まで臨時の電車を乗り継ぎ、最終目的地の駅でタクシーを手配されて帰宅。約420分、7時間の遅れ。自宅に着いたのは午前4時15分過ぎだった。いやはや、夏の想い出は苦い―。松本駅では乗客がイライラの限界寸前、しかしJR職員も咄嗟の対応に右往左往するもホームを走ったりと懸命の対応が奏功したのか、少なくとも筆者らの乗客を乗せた電車は真夜中を走らせてくれた。突然の天候悪化で非常事態を強いられたが、パニックは最小限度に食い止められた。特急列車や普通列車など断続的に18本運休したらしい。このため毎年50万人以上の人出で賑わう「諏訪湖祭湖上花火大会」は午後7時43分に中止、湖岸近くではボートが転覆、大雨で一時5000人が近くの学校などの施設に避難し、約400人が夜を明かした模様。岡谷付近では午後8時過ぎの1時間に約74mmの雨量が観測されたという。
行きはラッキーなところがあったが、帰りはとんだ災難だった。松本駅では待ちくたびれすぎ、こんなこともあるのである。誘った家人が曰く、綺麗なガラス工芸品を観たのだから良いじゃない―。ニューヨークではティファニー兄弟のステンドグラスのあるブロンクスの教会には行けなかったし‥‥。それにしてもテレビ東京の美術番組「美の巨人たち」の威力はすごい。

追記 この中央線の大幅遅れの原因はもちろん大雨によるものだが、意外な副産物に手間取ったとも。これは松本駅の駅員の話。実は筆者も上諏訪駅で目撃していた、当日花火大会で大勢の人がその駅につめかけていて、駅員が次々と構内に入ってくる人たちに向かって、帰りは改札口は混み合うことが予想されますので帰りの切符をお早めにお買い求めて下さいと声をかけていたのだ。そして予想が外れた。悪天候のため花火大会は開始43分で中止になってしまったのだ。花火を見に来た人たちが駅の改札で払い戻しするため殺到したわけだ。通常50万人が来るのでとても半端な数ではなかったはずである。ま、全部が全部JRを利用したわけではないけれど。レールの点検作業他もあったー。また、さらに悪いことには、一旦雨も小康状態を保ったらしいが再度ゲリラ豪雨が襲った‥‥。(2013.8.17 記)

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