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2019/04/25

超人の面白読書 137 出版社のPR誌をよみくらべる 8

さて、本題に戻して『図書』、『ちくま』、『一冊の本』3誌読みくらべの続きだ。『図書』の執筆者15名、表紙裏面エッセイそれに「こぼればなし」とすべて読んでみた。文学関係の長短含めたエッセイものが8本と断トツで、意外と少なかったのが絵画・芸術関係のエッセイである。作曲家武満徹が夢に出てきた話を語る表紙裏面の司修、巻頭エッセイで北斎「富獄三十六景」は、「感覚を解放する力の発見である」と横尾忠則、指揮者山本直純の回想を楽しく綴るさだまさしのエッセイくらいだ。際立っていたのは、料理研究家辰巳芳子の筍の話。まさしく旬の食材を取り上げ、文章も春の小川のように流麗で素敵なおばちゃまという感じだ。御年94才らしい。そう、その昔おばちゃまには元帝人社長夫人の大屋政子、映画評論家の小森和子、料理評論家の岸朝子などがいてテレビのバラエティー番組を賑わしていたっけ。「口説きのテクニック」のエッセイの持ち主の小説家高橋三千綱には、ある時代スポーツ小説みたいなジャンルを開拓した記憶が筆者にはあるが、この人のエッセイには何か哀しみの通低音が響いていてやるせない。やはり犬もありか――。ムーミン谷は、もはやフィンランドのスウェーデン語系童話作家トーベ・ヤンソンの北欧のおとぎ話の特権ではなくなり、埼玉県飯能市にテーマパークとしてこの3月に出現し人気らしいが(似たような地形が飯能市にあるらしい)、フランス哲学が専門の聖心女子大学の冨原眞弓(北欧文学の翻訳家でもある。多分語学が堪能なのかも)の北欧文化や文学などを扱った“ミンネのかけら ”の連載ものも毎回楽しく読ませてもらっている。トーベ・ヤンソンが青森産の綿入れを着こなしていた、いいね、この話。今号『図書』の出色は松井茂記の「なぜカナダは大麻を合法化したのか」である。知らなんだ、今時のカナダ事情!2019年1月に発見され“注釈”を施した漱石の通信簿、魯迅の仙台医専のノート写し、アガサ・クリスティーに関するエピソード、植物、古代文学、モダン語のエッセイ、どれもこれも退屈させない。スキップしないで良かった。得した気分。植物、古代文学には多少退屈したが、こういったものに慣れていないのだ。風土記はオモシロイと思う。すんなりと出社途中の電車で読めた。で、気がついた、岩波カルチャーネットワーク人が多いか、若手の書き手が少ない。明るくエネルギッシュな言葉の迸りがほしいところだ。少なくとも他の2誌にはある。

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