« 超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 6 | トップページ | リトアニアビール Gubernija社製「Tamsusis elisタムスシス エリス」 »

超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 7

横浜大空襲の被害の数字を眺めるとその被害の大きさが解るので本書から拾ってみよう。死者3649人、重傷1655人、軽傷8542人、行方不明309人、罹災者311218人、当時の人口比からすると二人に一人が罹災。民家の被害は中区、南区、西区、神奈川区に集中し約80000戸が全焼、その後の調べで死者は7000人から8000人と推定されるという。ここでの注目は
京浜急行電鉄の横浜駅と戸部駅の間にあった旧平沼橋の話だ。1944年に廃止されその後横浜大空襲で焼け落ちたホームと鉄筋の残骸は残っていたが、今は撤去されてないそうだ。アメリカ軍の爆撃機B29による攻撃は、戦略的で容赦ないものだった。そういった意味で旧平沼橋駅の残骸は歴史的証拠で貴重な戦争遺跡、移築して残しておけば良かったと思うのだ。これこそ横浜各地に残る戦没者の碑とともに“戦争と平和”を考える生きた教材として役に立つのに―。
尚、この横浜大空襲の話は、小堀 聡著『京浜沿線の近現代史』(クロスカルチャー出版 2018年12月刊行予定)でも言及される。
港北区の慶応義塾大学日吉校舎の地下にある、旧海軍軍司令部がおかれた巨大地下豪の話や病院として使われたフェリス女学院の地下豪の話しも戦争遺跡として貴重だ。日吉の巨大地下豪は機会があったら一度見学したい。
第7章の「占領のまち横浜とザンダー先生」。パイプを加えたマッカーサーが厚木飛行場に降りたときから横浜は「占領のまち」化した。横浜市内に互楽荘(慰安所)、日本造船大丸谷寮(慰安所)やエキスプレスビル(バー)や大阪商船ビル(キャバレー)などの「進駐軍将兵慰安施設」が設けられるも、米兵の間に性病が蔓延し、GHQは民主化の一環として「公娼制度廃止」を指示せざるを得なかった。遊廓の公認を禁止した。日本政府はこういった施設をつくることによって一般女性にまで被害が及ばないことを目論んだが失敗に終わり、まちに「パンパン」(映画、舞台、詩、写真集それに漫画などのモデルになった“メリーさん”はつとに有名)など街娼があふれることになる。これを機にやがては「売春禁止法」が制定される。筆者的には著者が書いている「二業街」(芸者や料理屋を中心とする歓楽街)には興味大。そう、大昔まだ都会に出始めの学生時代の頃、アルバイト先のオーナーに夜半伊勢佐木あたりの食堂(?)に連れて行かれ、そこで目にした光景は、白衣を着たやや年増の女性が給仕している妖しくも不思議な光景だった。これが「二業街」だったか。
そういった占領時代にGHQの兵士たちの振る舞いが横暴さを増すなか、フェリス女学院と極めて縁の深いヘレン・ザンダー女史がいたことは救われる。リンゴの代金支払いや少年を野球場に連れて行った話は感動的だ。(続く)

|

« 超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 6 | トップページ | リトアニアビール Gubernija社製「Tamsusis elisタムスシス エリス」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/77059/66910352

この記事へのトラックバック一覧です: 超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 7:

« 超人の面白読書 132 大西比呂志著『横浜をめぐる7つの物語』 6 | トップページ | リトアニアビール Gubernija社製「Tamsusis elisタムスシス エリス」 »